ルール地帯のICは多くありますが、主要な系統はライン川方面からハンブルク方面への系統でしょう。今回はルール地帯より南側のコブレンツからルール地帯のデュッセルドルフまで乗車しました。ICの概要から乗車率、そして車内の雰囲気について紹介します。
ルール地方は、ルール工業地帯で有名なところです。
図1. ルール地方を示す地図
ただし、「これ」と決まった定義があるわけではなく、慣用的に言っているのが現状です。弊サイトではケルン、デュッセルドルフなども含めて述べることにします。ちゃんとライン・ルールSバーンの範囲にも入っていますしね。
ICとは?
ICという単語が平然と出てきましたが、ICについての説明がないと、「ICとは何だよ」と読者さまがいらつくことでしょう。そこで、簡単に解説します。
ICとはインターシティの略号です。都市と都市を結ぶ列車のことです。日本でいえば特急に相当します。昔は各国の国内列車で最も上位の種別でしたが、現在は高速列車(ICEなど)にその地位を譲っています。ドイツではICEが通っていない経路では主力となっています。このICが国外まで足を伸ばすとECになるのです。オーストリアではICやECがレイルジェットに置き換わっていますが、本質はICやECと同じです。また、ECの本質もICと同じです。
利用する上では、中央ヨーロッパのICは日本の特急と異なる面があります。指定席と自由席の区分はなく、指定された席だけが指定席になります。ここで、その利用方法を日本の新幹線で例えて説明しましょう。
特定ののぞみ号について1号車1A席は新横浜→名古屋が予約され、1Bが京都→広島と予約されているとしましょう。その場合、座席の上にこれらの予約区間が記されています。予約区間では指定席、そうではない区間は自由席です。例えば、あなたが東京から名古屋まで移動する場合は、1Bであれば座れます。もしも新大阪まで乗るのだったら?その場合は、1Bに名古屋まで着席し、名古屋からは1Aに移動するだけです。
この例からわかる通り、席が全て確保されているのかもしれませんし、全て席を確保されていないかもしれません。確実に座りたければ座席を確保すれば良いですし、そうでなければ座席を確保しなければ良いだけです。今回、私は空いていると推定したため、座席は確保しませんでした。もう少しお金を出せばもっと空いていてゆったりしている1等に乗れるためです。
趣味的な話をすると、ICの多くは機関車+客車の構成です。ドイツやイタリアの高速列車には電車方式を採用している例もありますが、ICには多くありません。
ICに乗る
それでは、実際に乗ってみましょう。今回はコブレンツからデュッセルドルフまでの乗車です。
写真1. ハンブルク行きのICの表示
ハンブルク行きのICが表示されています(写真1)。ハンブルク中央駅行きではなく、アルトナ行きです。中央駅の少し先まで延長運転しているという認識で構いません。
私が乗るコブレンツからデュッセルドルフまでは並行して高速新線がありますので、在来線を利用する人はそう多くありません。それでもなるべく空いている車両を希望していましたので、1等を選択しました。1等は後ろ寄りのEとFで待つのが良さそうですね。ドイツ西部を通るハンブルク行きは前が1等車のようですね。
写真2. コブレンツに入線するIC
コブレンツにICが入線してきました(写真2)。この先頭は機関車ではなく客車です。この客車に運転席が付いています。終点で機関車を付け替える必要がなくて運転上は便利でしょう。
IC1等車の内装を見る
せっかく1等車に乗ったのですから、内装を堪能しましょう!
写真3. ICの1等車の全景
これが1等の全景です。横3列でゆったりしています。
写真4. 化粧室は車両の端部にある
写真5. 化粧室は当然洋式!
まずはトイレに行ってみましょう。トイレは車両の端部のドア周辺にあります(写真4)。当然ながら、洋式です(写真5)。だって、西洋ですからね。機能的で最低限の水準を満たしているというのが私の感想です。
写真6. 空席表示(この表示は「詳しいことは知らんよ」ということです)
座席の上にはggf.freigebenと表示がなされています。これは「たぶん空席だけど、予約が入っているかもね★」ということです。つまり、何も情報が与えられていないのです。
写真7. 座席周りにもゆとりがある
座席周りにもゆとりがあります(写真7)。私の実測では、座席幅が60cm、座席の間隔(シートピッチ)は100cmです。日本のグリーン車の標準がシートピッチ116cmであることを考えると、意外と狭いですね。
写真8. 1人がけ座席もゆとりがある
写真9. 1人がけの座席
そうは言っても、めったにグリーン車に乗らない私にとってはゆとりがあります(写真8-9)。コブレンツからデュッセルドルフまで、1等乗車率が50%程度と車内にゆとりがあったこともそのように感じる1つの要因となったことでしょう。
ICからの景色を楽しむ
写真10. 緑が美しい
列車はコブレンツを出ました。この列車は停車駅厳選タイプですので、デュッセルドルフまでボンとケルンにしか停車しません。ケルンは人口100万人を超える大都市、ボンはかつての首都ですね。
写真11. ライン川が見える
せっかくなので、ライン川を眺めることができる場所に座ります。その考えが功を奏したのか、ライン川を眺めることができました(写真11)。でも、ナイトジェットから眺めた景色のほうが迫力がありますね。そう、コブレンツから北は絶景ではないのです。
写真12. ライン川と住宅の共演
写真13. 美しい建造物が車窓を彩る
ライン川の他にも美しい建造物が車窓を飾ります(写真12-13)。
写真14. 美しいライン川
写真15. 美しいライン川
写真16. ライン川を行く船
そしてライン川がまた姿を見せました(写真14-16)。国際河川なので、船も行き交いますね。
写真17. 美しいドイツ西部の都市近郊
都市近郊に近づいてきました(写真17)。日本と異なる景色が目の前に展開します。
写真18. かつての首都ボンが近づいてきた
そう、かつての首都であるボンが近づいてきたのです(写真18)。かつての首都とはいっても、東西ドイツが分断されていた時代だけですけど。
写真19. かつての首都ボンに停車
そのボンに停車しました(写真19)。かつての首都だというのに、5番線までしかありません。
写真20. のどかな景色が広がる
そのボンとケルンの間はのどかな景色が広がります(写真20)。ドイツは日本の東京近郊と異なり、都市と都市の間はのどかな景色が広がるのです。
写真21. ケルンが近づいてきた
人口100万人のケルンが近づいてきました(写真21)。
写真22. ラインルールSバーンがいた!
そのような大都市にはSバーンが発達しています(写真22)。ベルリンのSバーンとは異なり、架線から電気を取り入れます。
写真23. ケルンに停車
ケルンに停車します(写真23)。ドイツ北西部の主要駅の1つです。ちょうどICEが停車していました。フランクフルト方面への系統でしょう。ベルリン方面の系統は基本的にはこのタイプの車両は使用されません。
写真24. 美しいケルン大聖堂
ケルン大聖堂の横を通ります(写真24)。ケルン大聖堂は駅に近くて、良い観光地といえます。
写真25. ルール工業地帯に近づくが、のどかな景色
写真26. のどかな景色が続く
ケルンより北側はルール工業地帯もあり、ドイツでも屈指の、いやヨーロッパでも屈指の人口密度を誇ります。それでものどかな景色が展開します(写真26)。
写真27. 工場が見えてきた
そんな中、工場もあります(写真27)。産業が発達している地域であることも読み取れます。
写真28. デュッセルドルフに到着
そうして、デュッセルドルフに到着しました(写真28)。
このカメラは今回の記事のような移動時には便利です。シャッターが合う速度が早いので、走行中の車内からの撮影が便利なのです。
さて、前後ではどこに行ったのでしょうか?
ルール地帯のICに乗る(概要、混雑はどう?18年GW):今ココ!
※それぞれ別ウィンドウで開きます。
★この旅行の全体像を旅行後の感想といっしょに簡単にまとめています。