パリの郊外電車(RER)と国鉄を楽しむ(一部始発・終電情報あり、19年パリ旅行記)

記事上部注釈
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パリの移動に使う都市交通。メインはメトロですが、駅の数が多く時間がかかります。そこで有効に使えるのが郊外電車(RER)です。また、郊外の観光にも有効な国鉄電車も取り上げました。パリの移動に使えるものの、あまり紹介のないこれらの交通手段を取り上げます。

写真1. RERには2階建ての電車も使われる

パリの都市鉄道のあらまし

パリ市内の移動には多くの方法があります。徒歩から自家用ヘリまで含めればその方法はかなり多いでしょう。しかし、鉄道に関して絞ると、地下鉄(メトロ)、RER(郊外電車)、トラム(路面電車)に限られます。地下鉄はパリ市の多くの地域をカバーし、RERはパリ市郊外(パリ市の外)とパリを結びます。トラムはパリ市の中心部にはなく、パリの端や市外にあるのみです。

パリ市内を移動するメインは地下鉄(メトロ)です。パリ市をくまなく結んでいるためです。パリのあらゆる場所を地下鉄の駅から近いように建設した結果、駅と駅の距離がありません。そのため、メトロは駅が多く移動に時間がかかります。そこで、高速に移動したい場合に使うのがRERです。RERはパリの郊外からパリ市内までを結ぶ路線です。そのパリ市内では駅が絞られていて、ピンポイントで使うには便利です。東京に例えると、地下鉄や山手線に対する東海道線や埼京線、中央線快速というイメージでしょうか。例えば、パリの中心部のシャトレ(RERはシャトレ・レアール)から凱旋門の最寄駅のシャルル・ド・ゴール・エトワールまで地下鉄1号線では8駅ですが、RERのA線ではわずか2駅です。ただし、メトロの14路線に対してRERはわずか5路線であり、駅も少ないので目的地にRERの駅がある可能性はそれだけ低くなります。パリ中心部は地下路線ですので、景色を眺める楽しみはありません。

また、パリから各地へ国鉄路線が伸びています。国鉄は主に長距離列車を運転するのですが、近い場所への列車を運転しています。これが国鉄の近距離路線です。多くの観光客が関係するのはベルサイユへの国鉄路線でしょう。

あらましの最後に国鉄路線を含めたパリ近郊の路線図を示します。これを見るだけでは意味が不明でしょうから、リンクも貼ります。

パリ路線図

図1. パリの路線図(公式サイトの路線図ページからダウンロードできます)

お金の話をしていませんでした。パリの郊外の5ゾーン(図1で外側の白い部分)までは国鉄、RER、メトロのいずれでも共通の乗車券が使えます。日本のようにJR、地下鉄、私鉄で別々の運賃体系ということではないのです。

RER:パリ郊外とパリ中心部を結ぶ革命的な交通機関

第二次世界大戦が終了した際のパリの交通機関は以下の通りでした。

・メトロ(地下鉄):パリ市内を結び、郊外には足を延ばさない
・国鉄路線:パリの外れの長距離ターミナル駅から郊外に向かう

メトロが建設された当初はパリの郊外と都心を直結させて、パリ市外に人口が移行することを懸念して、パリの都心とパリの郊外を直接結びませんでした。しかし、時が流れて都市そのもので考える時代から、都市圏で考える時代に移りました。そのような時代に郊外とパリの中心部が結ばれていないのは、都市圏の考えにそぐいません。そこで、長年に渡って対立していた国鉄とパリ市が手を結んで、新しい都市鉄道が建設されました。それがRERです。RERはパリの郊外とパリの中心をダイレクトで結んだ交通機関です。郊外と中心部を直結するのが重要な役割ですので、都市内の駅は限定されています。逆にいうと、市内の移動でRERを使うことができれば、移動時間が短く済みます。

RERには5路線あり、A線、B線、C線、D線、E線があります。主な観光客はA線、B線、C線を知っていれば充分でしょう。

A線:有名な観光名所の近くを通る路線

A線は東端がディズニーランドパリ(途中で分岐するので、必ずディズニーランドパリに行くわけではない!)、西(西の端ではない!)にパリの副都心のラデファンスがあり、パリの東西を貫く路線です。その途中ではリヨン駅、シャトレ・レアール(パリ発祥の地、シテ島に近い)、オペール(オペラ座に近い)、シャルル・ド・ゴール・エトワール(凱旋門の最寄駅)を通ります。パリのメジャースポットを結びつつ高速で結ぶのが特徴です。

私ですか?乗れずしまいでした。

写真2. A線のりば(シャトレ・レアールで撮影)

A線のりばの電光掲示板を眺めてみました(写真2)。ことごとく運休です。RERのA線は工事も行っていないのに長期間運休していました。

写真3. ロープが張っていて線路に近づけない(シャトレ・レアールで撮影)

ロープが張っていて線路に近づけません(写真3)。でも運休なのになぜホームに入れたのか不思議ですか?シャトレ・レアールではA線とB線が同じホームを使っていて、乗りかえに便利なように便宜が図られているのです。このときはB線は運転していたので、ホーム自体には入れました。さっきから出ているシャトレ・レアールって何でしょう?

こちらもチェック!関連リンク

シャトレ・レアール駅を楽しむ(パリ7大ターミナル紹介、19年夏パリ観光)
隠れたパリ中央駅ともいえるシャトレ・レアール駅を取り上げています。パリの中心部のターミナルなのに多くの人が取り上げていません。つまり、この記事はそれだけ貴重な存在です!

B線:パリ郊外の2つの空港と市内を結ぶ路線

では、パリの中心部でそのA線と乗りかえができるB線とはどのような路線なのでしょうか。A線が東西線であればB線が南北線といえる存在です。パリの北のシャルルドゴール空港(分岐点なので、行かない電車もあります)からパリ北駅(ヨーロッパで一番の利用を誇るターミナル駅)、シャトレ・レアール、サンミシェル・ノートルダム(ノートルダム大聖堂の最寄!)を通り、オルリー空港に至る路線です。

私はパリを出発する際は航空機を使いましたが、(鉄道マニアなのに)この路線を使いませんでした。私がパリを出発する日はピンポイントで一部区間が運休だったのです。全くもう…。

C線:ベルサイユへの貴重な足

C線はベルサイユ宮殿へのアクセスする路線です。路線図を見ると、パリ南西部からパリの中心よりもやや南側を通り、パリの南東部に抜ける路線です。南東部から南西部にまた戻る系統があるのが興味深いです。パリのシンボルであるエッフェル塔の最寄駅(シャンドマルス・トゥール・エッフェル)も通ります。

写真4. RERのC線の駅は閉鎖!

じゃあ、RERで向かったんだろ?そう思いたくなるのもわかります。でも、実際はRERのC線の都心部は運休でした。その証拠に、エッフェル塔最寄駅はシャッターが閉まっていました(写真4)。常に運休している状態は何ですか?頭が悪いのですか?

さっきまで、各路線の機能していない場面ばかり掲載していましたので、機能している場面を掲載しましょう。ベルサイユ宮殿からパリ市内に向かったときの様子です。

写真5. ベルサイユRG駅の駅舎

ベルサイユには大きく分けて3つの駅がありますが、その中でベルサイユRGが最もベルサイユ宮殿に近い駅です。そのためか、多くの人が降りてきます(写真5)。

写真6. 都心区間運休の事実を知らされる

駅には立派なポスターがあり、都心区間運休の事実が知らされます(写真6)。でも何でド派手に運休するのだろう?都心部には地下鉄があるとはいえ、ここまで運休するのは解せません。しかし、ここはフランス。日本の常識が通用しないと割り切るしかありません。

写真7. 美しい駅舎

写真8. 美しい駅舎

駅舎は大きくないものの、美しいものです(写真7-8)。

写真9. 2階建ての電車が停車中

RERは近郊電車ですが、必ずしも乗り降りに重点を置かれているわけではありません(写真9)。今回は2階建ての電車が停車していました。

写真10. 2階建ての電車の車内

車内はこのように、3列+2列となっていて、座席数を確保することに重点が置かれている車両とわかります(写真10)。

写真11. 昼下がりのベルサイユを行く

写真12. 昼下がりのベルサイユを行く

私は朝からベルサイユ宮殿を眺めました(写真11-12)。その帰りの車窓です。ベルサイユとパリの間は都市化が進んでいます。

写真13. 住宅街を走る

やはり住宅街を走ります(写真13)。

写真14. 高架橋を下る(国鉄線と交差)

すると、高架橋が出現しました(写真14)。これは国鉄のN線です。モンパルナス駅とベルサイユを結ぶ路線です。昔、サンラザール駅、モンパルナス駅の両方からベルサイユに向かう路線が建設した名残で接続駅を設置していないと部外者は推測します。

写真15. 見晴らしの良い場所にやってきた

急に周囲の標高が低くなります。つまり、線路が高い場所にあり、見晴らしの良い場所にやってきます(写真15)。

写真16. 見晴らしの良い場所にやってきた

この光景はしばらく続きます(写真16)。

写真17. 再開発がなされている

パリばかりが都心ではありません。パリ市外も再開発されています(写真17)。パリ市の領域は一般の例えだと、山手線に相当します。つまり、東京でいうと新宿副都心もお台場も市の外にあるということです。東京の感覚で考えると、このあたりも再開発しても良いでしょう。

写真18. セーヌ川に近づいた

セーヌ川に近づいてきました(写真18)。ここからしばらくセーヌ川の左岸地域を走ります。

写真19. Gare du Pont du Gariglianoに到着

私は別の目的(ただし達成できなかった)があるので、途中のGare du Pont du Gariglianoで降りました(写真19)。ここはパリ市内の駅ですが、パリ市の端にあります。

写真20. 電車を見送る

電車を見送りました(写真20)。私はこのとき、気球に乗ろうとしていました。その顛末はパリの景色を体感できるスポット(Fly View Paris、19年夏)をご覧ください。

パリのRERの車両を楽しむ

では、RERの車両は2階建てのものしかないのでしょうか。答えはNo!です。でも、最初は2階建ての電車を紹介します!

2階建ての電車

写真21. ダイナミックな2階建ての電車(側面)

2階建ての車両の様子がよくわかるのは側面からの写真でしょう。ということで側面の写真です(写真21)。公園で気球を待っている際に撮影しました(結局その気球は強風のため中止)。

写真22. 出入口の路線図

車内に入ります。出入口の路線図です(写真22)。この車両はC線で使うことを前提にされているようです。ならば、車体カラーを黄色ベース(注.RERのC線のラインカラーは黄色です)にすれば良いのに!

写真23. 入口から客席を眺める

入口から客席を眺めます(写真23)。2階建ての車両は階段があり、階段をどのように処理するのかが興味深いです。JRの215系電車の普通車は乗降性を優先して直線状の階段ですし、JR普通列車のグリーン車はスペースを節約できるらせん階段を採用しています(写真24-25をご参照ください)。この車両は通勤電車ですので、らせん階段を採用しています。

215系のデッキ部分から2Fを見上げる

(参考)写真24. 215系電車の普通車

E231系グリーン車車内

(参考)写真25. E231系電車のグリーン車(階段部分がまっすぐではないことはわかると思います)

写真26. 電球色の照明が美しい

ヨーロッパは日本よりも照明の色にこだわっています。そのためか、照明の色は電球色です(写真26)。

写真27. 照明部分を見てみる

その照明を見てみます(写真27)。やはり美しい電球色ですね!なお、この電車の加速はそこまで良くなく、電機子チョッパの音がしました。

フラットタイプの車両

ただし、2階建ての車両だと乗降に時間がかかるという難点があります。パリ中心部は利用の多い駅が続くので、乗降性に重点を置いた車両も求められます。このような車両も見られました。

写真28. フラットタイプの車両の外観

このような外観です(写真28)。飽きがこない外観です。この車両は4ドア車両です(別に撮影した写真を拡大して確認しました)。フランス国鉄のマークとパリ市交通局のマークの両方があります。日本の感覚だと、市営車には市営のマークを付けて国鉄車には国鉄のマークを付けそうなものですが、そのようなことはありません。

写真29. 車内はボックスシート

車内はボックスシートです(写真29)。パリに限らず、ヨーロッパの近郊電車の多くはロングシート配列ではなく、クロスシート配列です。ベルリンウィーンブダペストなど…。

一部の始発と終電の時刻を掲載!

RERのA線とB線については、始発と終電の時刻が示されています。その時刻を示しましょう!

写真30. A線の時刻

A線の運行時間帯はパリの中心部基準で5:20~0:40ごろです(写真30)。地下鉄とそれほど変わりません。日中時間帯はパリの中心部で5分間隔運転を実現しています。

写真31. B線の時刻

B線の運行時間帯も同じようなものです(写真31)。日中時間帯はパリの中心部で5分間隔(15分に3本の運転)を実現しています。

国鉄路線:パリとそれなりに遠い場所を結ぶ交通機関

中心部と郊外を結ぶ系統はRERだけではありません。国鉄の近距離輸送もあります。乱暴な例えですが、RERが東京の中央線快速だとすると、国鉄の近距離輸送は東海道線のようなものです。現地ではTransilienと呼んでいます。

パリの長距離ターミナル基準では以下の系統があります。

リヨン駅:R線(南東方面の路線)
オステルリッツ駅:なし
モンパルナス駅:N線(西方面の路線)
サンラザール駅:J線(北西方面の路線)とL線(ベルサイユ方面の路線)
北駅:H線(北方面の路線)とK線(北東方面の路線)
東駅:P線(東方面の路線)

このうち多くの路線が途中で分岐します。例えば、N線であれば、ベルサイユの先のSaint-Cyrで2方向に分かれるという具合にです。その先でさらに分岐、などの複雑な分岐をする路線も多いです。詳しくは路線図を見てください、としか言えません。

これだけではつまらないことでしょう。実際に乗った記録を見たいことでしょう。でも、実はベルサイユ宮殿に行くときに国鉄路線との触れ合いを記しています。詳しくはそちらをご覧いただくことにしましょう!

ベルサイユ宮殿を楽しむ(混雑回避方法、アクセスも紹介、19年夏)で書いています。ベルサイユ宮殿に行くのが目的なのか、国鉄に乗るのが目的なのかわからないですね…。

写真32. サンラザール駅に停車中の国鉄電車

写真33. ベルサイユRD駅に停車中の古い電車(別の郊外でも見ました)

前後を読みたい!

さて、前後ではどこに行ったのでしょうか?

←(前)パリの地下鉄(メトロ)とトラムを楽しむ(始発・終電情報あり、19年夏パリ観光)

パリの郊外電車(RER)と国鉄を楽しむ(一部始発・終電情報あり、19年パリ観光)←今ココ!

パリからの日帰り旅行:絶景のエトルタ観光(アクセスも紹介、19年夏)(次)→

★パリの観光についてまとめたページはこちら。パリ観光の計画に大いに役立ちます
パリのおすすめスポット10選まとめとモデルコース(19年夏パリ観光)

★この旅行記の案内・目次・まとめページはこちら
ハンガリー、スイス、フランス旅行のまとめと振り返り

※それぞれ別ウィンドウで開きます。

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