東南アジアに位置するシンガポール。乗りつぎ拠点として多くの方面への航空便が航行しています。その1つの航空便でシンガポールからフランクフルト(ドイツ連邦共和国)に向かいました。
写真1. 23:55発SQ026便はニューヨーク行き
復習:直行便と経由便
写真2. OU5809便(SQ0026便とのコードシェア便)はフランクフルト経由
航空機には直行便と経由便があります。簡単にいうと、以下の区分です。
- 直行便は始発から終点までノンストップ
- 経由便は1か所以上に立ち寄るもの
一般に「乗りつぎ」というのは乗客が自身の都合で、2本以上の直行便(経由便)を乗りかえているだけです(もちろん航空会社が乗りつぎ客を誘致している側面もあります)。そのため、航空機の運行システムとしては、直行便と経由便の2通りです。言いかえると、経由便は航空機を主体とした見かた、乗りつぎは乗客を主体とした見かたです。
現代のほとんどの航空便は直行便で、経由便はわずかです。経由便が減った理由は以下の通りとされます。
途中で給油や中継をした場合、スタッフを配置したり給油設備を整えたりする必要もある。(中略)中継せずに一気に飛ぶ方が効率的なのだ。
このような理由よりも途中に立ち寄る理由(給油が必要、区間利用者を集めたいなど)がある場合、経由便として運行されることもあります。
例えば、シンガポールとニューヨーク(アメリカ合衆国)の航空便はフランクフルト(ドイツ連邦共和国)経由です。
- SQ025:ニューヨーク20:55→フランクフルト10:40/12:30→シンガポール6:50
- SQ026:シンガポール23:55→フランクフルト6:45/8:35→ニューヨーク11:10
SQ026にシンガポールからフランクフルトだけ乗ることもできますし、ニューヨークまで乗ることも可能です。逆に、フランクフルトからニューヨークだけ乗ることも可能です。これはシンガポール航空にとってもある意味チャンスです。基本的に航空会社は自国発着しか営業できません。しかし、経由便にすることで、シンガポールとは無関係な欧州-米国の乗客を搭乗させることができるのです。
このときの私の行動パターンは以下の通りでした。
- SQ0631:東京羽田9:15→シンガポール15:15
- SQ0026:シンガポール23:55→フランクフルト6:45
つまり、SQ0631という直行便とSQ0026という経由便を私という乗客が乗りつぎというパターンで利用したということです。このときはシンガポールをわずかながらに観光していますが、あくまでも8時間40分の乗りつぎ時間を有効活用しただけのことです。
シンガポールからフランクフルトまでの搭乗
御託はこの程度にして、実際に搭乗します。
表1. 搭乗した航空便の概要
搭乗日 | 2024年8月11日 |
航空便 | SQ0631 |
機種 | ボーイング 777-300ER |
シンガポール発 | 23:55 |
フランクフルト着 | 6:45 |
等級 | エコノミークラス |
搭乗便の概要を示しました(表1)。この表を見ると所要時間は7時間に見えますが、時差があり、フランクフルト着はシンガポール時刻の12:45です。そのため、所要時間は12時間50分です。
Stage1. 搭乗手続きから搭乗まで
写真3. 一見するとニューヨーク行き
私が乗る便はシンガポール航空のSQ0026便です。私もこの便に乗るまでは経由便であることを知らず、乗る予定の便名と行先が合わず、やや混乱しました。
写真4. フランクフルト経由と表示されるが…
交互表示がなされ、フランクフルト経由と示されますが、コードシェア便ということもあり、便名がOU5809と表示されています。コードシェア便という概念があったので、フランクフルト経由ニューヨーク行きとわかりましたが、混乱のもとです。表示方法を工夫すると良いと思いました!
(参考)図1. チャンギ空港のターミナル3の配置図(公式サイトより引用)
参考にチャンギ空港の配置図を示しました(図1)。
写真5. 空港の第3ターミナル内のフードコート
私はケチなので、トランジットエリア内の飲食店(=独占商売なので高いことが予想される)ではなく、ターミナル内のフードコートを選択しました(写真5)。
写真6. ベトナム料理を選択
同じ東南アジアということもあり、ベトナム料理を選択しました(写真6)。しかし、食べて思い出しました。私がパクチー嫌いであることに…。
写真7. 出国審査を受ける
出国審査を受けます(写真7)。私は羽田からフランクフルトの搭乗券を見せましたが、ここを通れませんでした。どうやらシンガポールでいったん入国する扱いではなく、トランジットエリア内に滞在する建前で発券されたようです。
これは、近くのシンガポール航空の自動チェックイン機でパスポートでチェックインし直し、搭乗券を再発行してもらいました。このあたり、シンガポールやシンガポール航空がしっかりしたシステムを構築し、搭乗客に不便をかけないことがわかります。
シンガポール乗りつぎでトランジットエリアから出る場合は、再度の搭乗手続きが必要なことを知りました。
写真8. トランジットエリア内は華やかな空間が広がる
トランジットエリア内は華やかな空間が広がります(写真8)。私はAから出発ですので、左に向かいます。
写真9. トランジットエリア内を歩く
トランジットエリア内を歩きます(写真9)。国際線乗りつぎ需要の誘致がシンガポールの重要な課題であることから、トランジットエリア内も充実しています(トランジットエリアが貧相だと乗りつぎ客の印象が悪くなる)。
写真10. トランジットエリア内を歩く
トランジットエリア内を歩きます(写真10)。この雰囲気が日本と異なるアジア圏内にいることを感じます。
写真11. トランジットエリア内を走るスカイトレイン
トランジットエリア内を走るスカイトレインです(写真11)。
写真12. A12ゲートに到着!
A12ゲートに到着しました(写真12)。保安物検査はこの先にあり、航空機に乗る直前に買ったものであっても容赦なく検査されます。つまり、機内持ち込みが不可とされる液体飲料はトランジットエリアで購入したものであっても、機内に持ち込めません!
写真13. 保安検査後に搭乗便専用の待合室がある
保安検査後に搭乗便専用の待合室があります。保安検査で約半数の人が引っかかっていました(写真13)。私は引っかかりませんでした!
ここまでラウンジの様子がないことからわかる通り、私は航空会社の上級会員でもなければ、ビジネスクラスの顧客でもありません!そのため、ラウンジは使っていません。
どうしてもラウンジを使いたければ、多少の金額を支払い、AMBASSADOR TRANSIT LOUNGE(トランジットエリア内)に使うことも手です。シャワーもありますし…。
Stage2. 実際のフライト(シンガポール→フランクフルト)
実際に搭乗します。
写真14. 多くの人が搭乗していた
待合室で少しだけゆっくりしていたら、多くの人が搭乗した後でした(写真14)。
写真15. すぐに前の乗客に追いついた
案ずることはありませんでした。すぐに前の乗客に追いつきました(写真15)。
写真16. ビジネスクラスを通過(翌朝に撮影)
ビジネスクラスを通過します(写真16)。
写真17. プレミアムエコノミークラスを通過(翌朝に撮影)
エコノミークラスを通過します(写真17)。
写真18. わちゃわちゃするエコノミークラスに到着
わちゃわちゃするエコノミークラスに到着しました(写真18)。ところで、私の席に先客がいました。指定席だというのに自由席と勘違いしているようでした。「This is my seat」と片言の英語を発したら、キャビンアテンダントさんも加勢し、きちんとどいてくれました。
写真19. エコノミークラスの様子(翌朝に撮影)
エコノミークラスの様子です(写真19)。一般的なエコノミークラスは横10列配列ですが、この機種は横9列配列です。
写真20. B777-300ERによる運航
シンガポールまでの航空便と同様、B777-300ERによる運航でした(写真20)。
写真21. 今回のSQ0026便のフランクフルトまでの経路
今回のSQ0026便のフランクフルトまでの経路です(写真21)。
写真22. 夜の空港
夜の空港です(写真22)。離陸時は機内も暗く、それなりに風景が楽しめます。
写真23. 機内食が出てくる
寝ようと思ったら、機内が明るくなり、機内食が出てきます(写真23)。もう深夜と思いますが、インドネシア西部では日付が変わる前、フランクフルトでは夕食時でそちらに合わせたのでしょうか。
その後、機内が暗くなり、睡眠に入りました。
写真24. 夜明けの気配
しばらく寝ていたら(揺れをそこまで感じなかった!)、夜が明けようとしていました。私は進行方向右側(おおむね北側)を向いていましたから、北側の空が明るいです。普段は気にしませんが、北半球では夏場は真東より北の方角から日の出を拝むという事実を思い出します。
写真25. トルコ上空付近を飛行中
トルコ付近の黒海を飛行中でした(写真25)。この地図のマシュハドはイラン北部、ザナオセン(シャナオゼン)はロシア南部です。つまり、タジキスタン、トルクメニスタン、アゼルバイジャンなどを通り、イランやロシアを避けていることがわかります。
このように航路は地形的条件や気象条件とは関係ない、政治的事情で決められます。
写真26. 夜が明けた
夜が明けました(写真26)。ここはどこでしょうか?
写真27. チェコかドイツか
チェコかドイツかという位置でした(写真27)。
写真28. フランクフルトに近づく
フランクフルトに近づきます(写真28)。シンガポールはフランクフルトの東側にあるにも関わらず、西側からの進入です。滑走路に縛られる航空機の弱みです。あちら側に航空機が見えます。
写真29. 航空機が飛び立つ
航空機が飛び立ちました(写真29)。行先はわかりませんが、ルフトハンザドイツ航空であることはわかります。
写真30. ライン川が見える
ライン川が見えます(写真30)。
写真31. マイン川が見える
マイン川が見えます(写真31)。奥に見える都市はマインツでしょうか。
写真32. 絵本のような都市風景
絵本のような都市風景です(写真32)。ただし、手前の電車が12両編成であるあたり、都市圏の風景です。
写真33. 多くの線路が分岐する
フランクフルト空港近くには鉄道駅もあり、高速新線の分岐点でもあります。その様子がわかります(写真33)。
動画1. フランクフルト空港着陸時の様子
フランクフルト空港着陸時の様子です(動画1)。
こうして、シンガポール時刻で12:56(フランクフルト時刻で6:56)に自由に動けるようになりました。定刻より11分遅れです。定刻の定義が滑走路到着時刻とすると、定刻通りということでしょうか。
Stage3. 空港到着からドイツ入国まで
空港に到着し、すぐに自由に動けるわけではありません。ドイツ入国の手続きが必要です。今回の時系列を示します(表2)。
表2. 航空機着陸から制限エリア脱出までの時系列
航空機着陸(定刻ベース) | 6:45 |
座席立ち上がり | 6:56 |
入国審査に並ぶ | 7:11 |
入国審査終了 | 7:31 |
制限エリア脱出 | 7:34 |
航空機着陸から49分で制限エリア(保安検査が必要な領域)を抜けました。手荷物を預けた人はもう少し時間がかかると思いますが、私は手荷物を預けていません…。
写真34. ニューヨーク行きの乗客が集合!
ニューヨーク行きの乗客は集合していました(写真34)。忘れていましたが、この航空便はフランクフルト行きではなく、フランクフルト経由ニューヨーク行きでした。フランクフルトを越えて利用する人は通路で待機するように言われていました。
写真35. 通路に向かって進む
通路に向かって進みます(写真35)。
写真36. 通路に沿って進む
通路に沿って進みます(写真36)。
写真37. ものすごい行列!
ものすごい行列です(写真37)。
写真38. 行列の後ろはどこだろう?
行列の後ろはどこだろう(写真38)?
写真39. 脇の通路に並ばされる
脇の通路に並ばされます(写真39)。日本のパスポートは自動レーンだった気がしますが、「ここに並べ」と言われたので、静かに待ちます。ここで並ぶ態度も入国の審査に加味されると信じているので…。
やたらにこやかな補助スタッフと、険しい表情の入国審査官の対象が印象的でした。私の英語があまりにも下手過ぎて入国審査官も苦笑いしていました。これに備えて旅行計画書を書いていましたが、提示することもなく終了です。無益無害の旅行者と判断されたのでしょう。
写真40. 入国完了!
入国完了です(写真40)。
写真41. 制限エリアから抜け出した
制限エリアから抜け出しました(写真41)。8/12の7:34のことでした。前回も今回もここでレンタルWi-Fiの電源を入れました。
シンガポールからフランクフルトまで搭乗してみて
写真42. 深夜に出発するので時間の有効活用も可能
今回、シンガポールからフランクフルトまで航空機で移動しました。経由便であることは聞いていませんが、利用するぶんには不便さを特に感じませんでした。比較的簡素な機内食で余計なコストをおさえつつ(私は揺れる機内で多くを食べたいと思わないので簡素な機内食で良い)、上下の揺れが少ない飛行、横9列とややゆとりのある機内と、輸送の本質にこだわった印象で、それなりの満足度でした。
果たして前後はどこに行ったのでしょうか?
シンガポールからフランクフルトへの航空便(経由便への搭乗):現在地