24年5月伊勢・京都旅行の振り返り

記事上部注釈
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意外と組み合わせられることのない、伊勢と京都の旅行。その全体像をまとめるとともに、良い点や悪い点、気づきをまとめます。

写真1. 今回のハイライト集

京都・伊勢旅行の総括

今回の総括をまとめると以下の通りです。

  • 2泊3日の旅程で多くの交通手段に触れつつ、旅程にゆとりを生み出す戦略(旅のマトリックス図)に成功した
  • 日が長く、天候も良く、過ごしやすい気候であり、5月下旬は旅行に良い時期である
  • 前回の旅行で今回の旅行の準備が可能であり、コスト削減が可能であった

詳細を以下に記します。

旅程一覧

今回の旅程の一覧を示します。なお、往路の東京→名古屋ののぞみ91号、復路の京都→東京ののぞみ410号については本旅行記には掲載していません(弊サイトに東海道新幹線について書いた記事が多くあるためです)。

0~1日目:東京出発→伊勢で宿泊

新幹線で東京を出発、名古屋で宿泊(前日の夜のことです)。伊勢神宮を主目的として行動しました。伊勢志摩ライナーに乗る前には名鉄の混雑も確認しました(名鉄の混雑調査については本旅行記からは省いていますが、別途記事にまとめています)。

2日目:伊勢観光→京都宿泊

この日は伊勢を観光した後、特急しまかぜで京都まで移動、京都で宿泊しました。

3日目:京都観光の後に帰宅

この日は京都を観光し、新幹線で東京都内に帰宅しました。

旅費の確認

旅費についてまとめます。

旅費の定義と集計結果

本記事では、東京駅で新幹線に乗ってから、東京駅で新幹線を降りるまでを旅費と定義します。もう少し厳密に定義すると、東京駅で新幹線乗りかえ改札を通過後から、再び東京駅に戻ってきたときの新幹線乗りかえ改札通過時までを今回の旅費としました(図1)。

図1. 東京駅での定義外のイメージ(往路、復路も同様)

なお、自宅は東京都区内にあり(最寄もJR駅)、東京都区内からの乗車券を使用しました。そのため、事実上旅費は自宅からスタートと同義ですが、厳密さを重視し、東京駅からのスタートとしました。ゴールについても同様です。

まず、私が負担した項目別の金額一覧を示します(表1)。

表1. 私が負担した金額一覧

金額 [円]割合[%]割合累計[%]
移動40,26051.651.6
ホテル28,09636.087.6
食事6,4038.295.8
休憩2,3753.098.8
都市税3500.499.3
食料2500.499.7
物品1000.3100.0
観光00.0100.0
総合計78,038100.0100.0

各項目の定義は以下の通りです。


  • 移動:旅行中に移動に費やした費用のこと。夜行便で移動した場合は宿泊費も兼ねているが、簡単のため全額を「移動」に算入した。今回は名鉄の混雑調査も実施したが、これにともなう費用(名鉄名古屋-栄生の普通乗車券相当)は今回の旅程外と定義し、旅費に含んでいない。
  • ホテル:宿泊費用のこと。食事つきの場合、厳密には食費と宿泊に分割する必要があるが、簡単のため全額を「ホテル」に算入した。ここでは宿泊施設の種類は問わず、不動産のベッドや布団類で過ごすための費用を合計した。
  • 食事:宿泊施設類の食事付きプラン以外のレストランで消費した費用。
  • 休憩:街歩きなどの合間に喫茶店等で休憩した際に生じた費用。
  • 都市税:宿泊先で支払った税金。
  • 食料:小売店で購入した食料。飲み物と特に区別していない。
  • 物品:上記項目に外れる消耗品類の費用の合計。本旅行ではコインランドリーにかかる費用のみであった。
  • 観光:いわゆる入場料。この項目には不動産等への入場料を算入し、動産への入場料を算入していない。すなわち、観光列車の類は「移動」としており、本項目には算入していない。


図2. 旅費の割合一覧

図3. 旅費の金額一覧

2泊3日(と前泊)伊勢と京都をまわるした旅行で、総合計金額78,038円でした。これには現地の食費も含まれており、旅行によって追加で発生した費用ではありません。日常生活でも食費がかかるので、旅行によって追加で発生した費用はこれより少なくなります。これを考慮すると、旅行で追加で発生した費用は7万円程度と考えるのが妥当でしょう。ただし、日常の費用見積もりは議論が複雑になりますので、本旅行の金額は78,038円とします。

考察1. 世間平均との比較

では、この78,038円という金額は世間一般と比べるとどうでしょうか。

観光庁の集計によると平均2.32泊、61,736円(2024年1-3月集計結果)とされています。今回は現地でも移動したことから、これを単純に比例計算すると、求める金額をx [円]とすると、

2.32泊:61,736円 = 2.00泊:x [円]

これを解くと(中学の比の計算の基本式で外側の積と内側の積は一致します)、世間平均の2泊国内旅行の平均費用は53,221円と見積もられます。ご承知の通り1-3月は閑散期ですが、単純にするためにこの金額をそのまま採用します。つまり、世間平均よりも24,817円(46.6%)余計にお金をかけていることになります。

図4. 旅費の世間比

世間平均よりも24,817円かかっている点を考慮しながら、項目別の費用について簡単に考えます。分析のセオリーである上位項目(金額ベースで95.8%)のみの考察とします。

移動費(40,260円)

全体の51.6%かかっており、最も支出金額が大きい項目でした。往路の新幹線は自由席を選択したものの、新幹線代がかさむ結果となりました。その内訳を示します。

項目金額
東京都区内→名古屋市内(乗車券)6,380円
新幹線自由席特急券(東京→名古屋)4,180円
デジタルまわりゃんせ8,600円
近鉄名古屋→伊勢市(特急券)1,340円
宇治山田→賢島(特急券)320円
賢島→京都(しまかぜの特急券)3,090円
京都市内→東京都区内(乗車券)8,360円
新幹線指定席特急券(京都→東京)5,810円
合計38,080円

※都市内移動については本表に含まない。そのため、本表の合計金額は旅行中の合計金額の40,260円と一致しない

伊勢観光を織り込み、デジタルまわりゃんせを使いました。これはそれなりに元が取れたと自負していますが、特急券付きであればさらに安くなりました。

往復の特急に乗る場合は、まわりゃんせ(特急券付き)がお得です。往復の特急で乗れるパターンで最も安い区間の名古屋-松阪が1340円で、往復で2680円です。特急券有無による違いは2400円ですから、往復に特急を使うだけで280円ぶん安くなります。(デジタルまわりゃんせとまわりゃんせのどちらが得か?より引用)

これにより、320円+1340円+1930円-2400円=1190円安くできました。車両にこだわりがありましたが、会員登録で仮予約し、前回の旅行で大阪市内の近鉄駅で特急券に引き換えることが可能でした。旅行を組み合わせ、旅行中に次回の旅行の準備を実施する、旅行群という考えかたを導入していないことを後悔しました。

このような課題はあるものの、往復の交通手段を自分で自由に選んだことを考慮すると、健闘したほうと自画自賛しています。

ホテル代(28,096円)

次に支出の多い項目でした。グレードや立地を最優先で計画し、価格はそこまで重視しませんでした。そのため、この項目についてはある程度の出費を覚悟していた部分があります。ただし、由布院の反省を踏まえ、「身の丈」に合わない高価格帯の宿泊施設を選択肢から排除し、旅費の節約と不釣り合いな宿泊施設に泊まることによる身分不相応感からの開放を狙いました。

これはそれなりにヒットした結果です。ただし、1日目を早起きし、前泊をなくせば6,000円以上節約できました。

食事代(6,403円)

2泊3日の食事代としてはだいぶリーズナブルに消費できた結果です。夕食1回は宿泊費に内包されており、この項目に計上されていないことを考慮しても「お外」で過ごした割には安く済ませたほうでしょうか。これは決して高級料理ばかりに力点を置かず、ある程度庶民的な「身の丈」に合った選択をした結果です。

全般として

各項目の節約可能費用を算出しましたが、合計で8,000円程度の節約が可能と判明しました。とはいえ、節約に目が行き過ぎても窮屈になりますから、考え得る最も安い旅費よりも8,000円程度高いだけで済んだのは上出来と思います。

なお、観光費用が0円だったのは、伊勢神宮や石清水八幡宮が実質無料だったこと、伊勢の入場料がデジタルまわりゃんせに含まれているためです。

荷物の工夫

前回の旅行同様、荷物は最小限に留めました。

  1. 比較的温暖な場所を選択し、着替えを最小限にした
  2. 途中でコインランドリーをはさみ、(2泊するので)2組の着替えが必要なところ、1組の着替えとした
  3. 撮影機材も愛用の軽いデジカメを採用し、撮り鉄のプロフェッショナルのような重い機材を運ぶ手間を省いた(そもそも持っていない)

この荷物削減プランは大ヒットでした。旅程計画時点ではあまり気になりませんが、旅行中の地味な課題が大荷物の置き場確保です。この程度の工夫はもはや常識の範囲でしょうが、重要な原理なので再掲しました。

荷物にわずらわされない旅行、とても良いものです。手ぶらで旅行したいですが、さすがにそうはいかないでしょう。

特定の荷物を持たないことによる軽量化は1g、削減できる容量は1mlかもしれません。この1gや1mlの積み重ねがスマートな旅行につながるのです。

今回の旅行の感想

写真2. 明るい昼下がりのスペイン村

5月は日照時間が長いです。それもGW(5月上旬)よりも5月下旬のほうが長いです。例えば、東京の日の出と日の入りの時刻を示します(表2)。

表2. 東京の日の出と日の入りの時刻(国立天文台より引用)

日の出日の入り南中高度
1/16:5016:3831.3°
2/16:4217:0837.1°
3/16:1117:3646.9°
4/15:2818:0359.0°
5/14:4918:2869.5°
6/14:2618:5276.5°
7/14:2919:0177.4°
8/14:4918:4572.3°
9/15:1318:0862.5°
10/15:3617:2551.0°
11/16:0316:4639.8°
12/16:3216:2832.5°

5月下旬は5時台にはもはや明るく、18時台まで明るいです(この時刻は場所によって異なりますが傾向は同じです)。明るい時間が長いことは、鉄道旅行において重要です。同じ鉄道移動であっても夜間移動よりも昼間の移動のほうが楽しいでしょう。その昼間が長いほうが鉄道旅行をより楽しめるのは明白です。

そして、見逃せないのが南中時の太陽の角度です。5月下旬は75°あり、12月の30°よりも45°高いです。下記の計算の通り、2倍近く明るい季節です。つまり、5月下旬は明るい環境を満喫できます。

世の中には多くの価値観があり、冬の薄暗いほうが風情があって好ましいという考えもありましょう。しかし、私はある意味子どもじみた価値観で、明るい環境が良い、という考えです。そのため、5月下旬は昼間が(長いだけでなく)明るく旅行に好ましいと実感しました。

そして、今回の旅行は伊勢志摩地区と京都地区というある意味ベタな場所を選びました。ベタな観光地は混雑という問題があるものの、にぎわいや(多くの人が訪れるという)わかりやすい魅力があることも特徴です。有名観光地にいつも行くのは芸がありませんが、たまにはこのような場所を訪問することも良いと思いました。

また、近鉄特急に焦点を当て、多彩な車両に乗ることも1つの目的としました。伊勢志摩ライナー、アーバンライナー、しまかぜというエース級の車両に長時間乗ることができ、鉄道旅行の魅力を再認識しました。これもある意味ベタな選択でした。

今回はベタな選択肢の魅力に改めて気づいたのでした。ベタな選択肢は多くの人の心に刺さります。その一員に自らが含まれるためでしょう。そして、5月下旬の旅行の魅力にも気づきました!(昨年は西武池袋線撮り鉄スポットの探索、2022年は小田急撮り鉄スポットの探索と、きれいな写真撮影に奔走していました)

補足

太陽から発せられる光量をaとすると、地面に差し込む光量は正弦で示されますので、太陽の高度ごとに以下の通り示されます。

  • 冬の場合:a×sin30°=0.5a
  • 初夏の場合:a×sin75°=0.966a

非常にたやすくいうと、初夏は冬より1.93倍の光が降り注ぎます。もちろん天候で明るさは異なりますが、それでも初夏は冬の2倍近く明るいということです。厳密には1月は7月より太陽に近いのですが、季節変化からわかるように、その影響は地球の自転軸の傾きの影響より小さいです。そのため、天文の高度な内容は本記事の範囲を超える(そして私も計算できない!)ので省略しました。

図5. 太陽高度の違いのイメージ(自作の図)

前後を読みたい!

果たして前後はどこに行ったのでしょうか?

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