フランクフルト中央駅に親しむ(構内図も収録!)

記事上部注釈
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ドイツでも巨大なターミナル駅、フランクフルト中央駅。ここには多くの列車が集うほか、多くの利用者も集います。そんなフランクフルト中央駅に親しみました。

写真1. 石造りの荘厳な駅舎

注意

フランクフルトは2つあり、1つがフランクフルト・アム・マイン、もう1つがフランクフルト(オーダー)です。しかし、後者の知名度はかなり低く、日本ではフランクフルト・アム・マインをフランクフルトと称されることがほとんどです。そのため、本記事では、フランクフルト・アム・マインをフランクフルトと表記することにします。

復習:ドイツにおけるフランクフルトの位置づけ

フランクフルト中央駅に親しむ前に、ドイツにおけるフランクフルトの位置づけを示します。

図1. フランクフルトの位置(googleマップより引用)

まず、フランクフルトの位置を示しました(図1)。現在のドイツ連邦共和国を地理的に東西に分割し、西側のほぼ中央よりやや南に位置します。つまり、ドイツの西側のほぼ中央に位置します。そのため、(政治的に)ドイツが東西に分割されていた時代、西ドイツの首都候補にもなっていました。現実には、ここよりやや北に位置するボンが暫定首都になっていました(多くの側面から説明がありますが、いつか首都をベルリンに戻したいという当時の意図もあったと聞いています)。

フランクフルトはドイツでも有数の人口をかかえ、第5位(※)です。5位でありながら、国際空港近くという利便性、金融都市としての発展があり、現在のような地位となったのでしょう。

※1位から順に、ベルリン、ハンブルク、ミュンヘン、ケルン、フランクフルトです。

さて、鉄道におけるフランクフルトの位置づけはどうでしょうか(人口の多さと鉄道の発展度合いは必ずしも一致しません)。

図2. ドイツ国内の長距離列車網(ドイツ鉄道公式サイトより引用)

ドイツの長距離列車網を示しました(図2)。これを見ると、Frankfurt(Main)は多くの系統が集まっていることがわかります。

図3. ドイツ国内の長距離列車網の概念図(ドイツ鉄道公式サイトより引用後加工)

長距離列車網のうち多くの系統が重なっている区間を独断で塗りつぶしました(図3)。これも私の独断で南北方向はに、東西方向はで示しました。フランクフルトは南北方向の系統が集まる場所にあります。

では、地域交通はどうでしょうか。主に中距離列車が掲載されている路線図を示します。

図4. ヘッセン州の路線図(ドイツ鉄道の公式サイトより引用)

左下にフランクフルトがあります。このあたりには系統が多く、中距離列車が集中していることもわかります。

図5. フランクフルトSバーンの路線図

フランクフルトの近距離列車の路線図を示します(図5)。フランクフルト中央駅付近に多くの系統が集中していることがわかります。

図2~図5まで多くの路線図を示しましたが、ここで述べたいことは、長距離列車~近距離列車までのあらゆる性格の列車がフランクフルト中央駅に集結するということです。

補足

ここまで日本で使われそうな単語を使いましたが、以下の記述ではドイツの種別で記します。そのため、その記述に先んじてドイツの種別と日本の種別の対応関係(遠く離れた国なので1:1で対応するわけでない)を簡単に示します。

  • ICE:ドイツの高速列車。日本で例えると新幹線。ただし、ヨーロッパのこの類の列車は在来線を走ることがあるので(国のあらゆる路線が山形新幹線のようなもの)、新幹線ではなく高速列車という表現が適切。
  • IC:ドイツの長距離列車。日本で例えるとJRの特急列車。ただし、ドイツの長距離列車は自由席が基本(指定された席は指定席という扱いで首都圏のJR特急のような制度)という違いがある。国境を超えるICの多くはECと称される。
  • RERB:ドイツの中距離列車。日本で例えると普通列車や快速列車。REは快速列車、RBは普通列車という翻訳がなされるが、REといえど各駅に停車する区間があったり、RBといえど後述のSバーンの駅を通過する例もある。一般にはREのほうがRBより停車駅は少ない傾向がある。
  • Sバーン:ドイツの近距離列車。日本で例えると山手線、青梅線、鶴見線などを総称したもの。ただし、電車に限らない。

なお、本記事の範囲外となりますが、(ドイツ語が公用語の)スイスやオーストリアでも類似の分類です。

フランクフルト中央駅の概要

フランクフルトの位置づけを簡単に確認したところで、フランクフルト中央駅の概要を紹介します。

フランクフルト中央駅の概要

  • 所在地(概要):ドイツ連邦共和国ヘッセン州フランクフルト市
  • 規模(DBの駅のみ):13面24線(頭端式)+2面4線(通過式)
  • 主な系統:ドイツ国内外各方面の長距離列車+フランクフルト近郊の中距離列車+近距離列車

図6. フランクフルト中央駅の位置(googleマップより引用)

フランクフルト中央駅の概要と位置(図6)を示しました。フランクフルト中央駅はフランクフルトの中心街の西端に作られました。そのため、駅の東側に出入口のある頭端式ホームとされました。この点は欧州の多くの駅に共通します。1888年開業と歴史のある駅です。

戦後にSバーンが整備され、中心部を地下線で貫く系統が設定され、駅の東側に向かう線路が建設されました。その線路は地下にあります。つまり、Sバーンの多くは地下ホームにあります。

このように頭端式の地上ホームと通過式の地下ホームが東西(地上ホームは西方向のみ)にあり、東にメイン出入口、南北にサブの出入口があるのがフランクフルト中央駅の構造です。

図7. フランクフルト中央駅の構内図(ドイツ鉄道公式サイトより引用)

その構内図を示します(図7)。欧州の大ターミナルの多くと同様、路線別にホームは決まっていません。フランスやチェコは大ざっぱ(なのか臨機応変なのか)で発車ホームが決まっていませんが、ドイツ鉄道は一応は几帳面で、例えば9:53発ミュンヘン行きICE529列車は9番線です。当日のホーム変更はあり得ますが、直前までホームが決まらないフランスやチェコより几帳面といえそうです。

なお、ドイツの駅に改札口がないのが基本であり、フランクフルト中央駅もその原則から外れません。信用乗車制のためです。

信用乗車とは?

信用乗車とは書いている字がごとく、乗客を信用して改札を省略するというものです。(中略)単に信用乗車というだけでは、みんなが不正してしまい、正直者が馬鹿を見ることになります。そこで、抜き打ちで検札し有効な乗車券類を所持していないと不正乗車として罰金が課されます。

ドイツ鉄道大全(p62)より引用

個人的に非効率と思うのはフランクフルトから東側に向かう系統であっても、いったん駅の西側に進む点です。

図8. フランクフルト中央駅付近の線路配置(OpenRailwayMapより引用後加工)

丸印をつけた箇所がフランクフルト中央駅、黒い線が東方向(ベルリン、ニュルンベルク方面)です。フランクフルトの市街地を回り込むように南側に迂回しています。これは効率が悪いです。

中心市街地を経由する地下線を建設し(赤線)、東側に直接つながる経路を新設すれば、南側を迂回する必要がなくなり、若干でありますが、スピードアップが可能です。また、すべての長距離列車が折り返すことから、駅の西側は上下列車が平面交差し、ダイヤが乱れるもとです。一部列車であってもスルー運転するようになればダイヤ乱れのリスクが軽減します。また、この余力でフランクフルト空港駅発着列車の一部をフランクフルト中央駅にも寄る経路に変更すれば、実質的な増発となりましょう。

フランクフルト中央駅を楽しむ

御託はこの程度とし、実際にフランクフルト中央駅を楽しみましょう!

駅構内の様子

まず、駅構内の様子を紹介します。駅構内の概要がわかっているとスムーズと思い、構内図を再掲しました(図9)。

図9. フランクフルト中央駅の構内図(再掲)

写真2. フランクフルト中央駅東側

フランクフルト中央駅の東側にいます。こちら側には立派な駅舎があります(写真2)。街の正面に面した玄関口ともいえる場所です。夏なので木の葉が生い茂り、駅舎を撮影するのに邪魔に思いますが、写真映りが悪いからといって木を切ってはいけません!木を含めて風景なのです。

写真3. HAUPTBAHNHOF(中央駅)とだけ書かれ、フランクフルトの文字はない

中央駅とだけ書かれ、フランクフルトの文字はありません(写真3)。日本の感覚だとフランクフルト駅と認識するので違和感はありますが、ここにいる人はフランクフルトにいることは自明であり、フランクフルトと書く必要はないということでしょうか。

写真4. 駅舎に入る

駅舎に入ります(写真4)。目立つところに自動券売機もあり、「チケットが買えませんでした!」と言い訳できないようになっています。

写真5. 駅舎に入ってから振り返る

駅舎に入ってから振り返る角度です(写真5)。

写真6. もう少し進んだ角度から振り返る

もう少し進んだ角度から振り返ります(写真6)。

写真7. 駅舎内の様子

駅舎内のホームどうしをつなぐ部分です(写真7)。

写真8. 通路に向かい側に列車が並ぶ

通路の向かい側に列車が並びます(写真8)。

写真9. 駅舎から眺めるホーム

駅舎から眺めるホームです(写真9)。多くの列車が間近に眺められる点はファンにとっては良いですね!ただし、駅舎に近い側の車両が混雑する傾向になり、最後尾側だと駅舎まで歩かされる点はどうかと思います。いちおう、駅舎と反対側に地下への階段があり、駅の南北に行けるように工夫されています。

図10. フランクフルト中央駅の地下1Fの構内図(ドイツ鉄道公式サイトより引用)

地下1Fの構内図を示しました(図10)。これを見ると、地下のSバーンへの連絡を含め、南北方向の連絡通路があります。

写真10. 高いドームの中に広がる空間

高いドームに空間が広がります(写真10)。欧州の駅らしい風景です。平日の朝とあって通勤客も見かけますが、大荷物を持った観光客の姿も見え、欧州のハブ空港近くという立地を感じさせます。

写真11. 駅舎内にパン屋もある

駅舎内にパン屋もありました(写真11)。

写真12. 駅舎内を南に進む

駅舎内を南に進みます(写真12)。

写真13. 駅舎の南側には両替所もある

マル秘情報ですが、駅舎の南側には両替所もあります(写真13)。ここで手持ちのスイスフラン(前年の旅行の残金)をユーロに両替しました。さらなるマル秘情報ですが、この旅行で現金は10000円も使わず、この両替は無意味でした!

写真14. レートの悪い両替商

レートの悪い両替商です(写真14)。前回の旅行の残金を別の通貨にするにはどうしたら良いのだろう?

写真15. 駅の北側にやってきた

駅の北側にやってきました(写真15)。

写真16. 近くから駅舎を眺める

近くから駅舎を眺めます(写真16)。掲示物がなく、ここが駅とは気づかないかもしれません。

写真17. 狭い入口から駅舎に入る

狭い入口から駅舎に入ります(写真17)。

写真18. 北側から駅に入る

北側から駅に入ります(写真18)。

写真19. 駅北側にも発車案内がある

駅北側にも発車案内があります(写真19)。

写真20. 駅の通路を一望する

駅の通路を一望できます(写真20)。24番線まで一列に並ぶので、空間の広がりを感じます。

フランクフルト中央駅には地下ホームがあり、そこにSバーンも発着します。

写真21. Sバーンホームに向かうエスカレータ

駅舎の通路の北側(16番線か21番線)にSバーンホーム行きのエスカレータがあります(写真21)。

写真22. エスカレータを降りた様子

エスカレータを降りた場所付近からエスカレータを眺めました(写真22)。

写真23. 地下のコンコース付近

地下のコンコース付近です(写真23)。

写真24. 地下のコンコース付近

地下のコンコース付近です(写真24)。

写真25. 地下のコンコース付近

地下のコンコース付近です(写真25)。

写真26. ホームは1面に同じ方向

ホームは2面4線で、1面は同じ方向に向かいます(写真26)。

写真27. ホーム側からエスカレータを眺める

ホーム側からエスカレータを眺めます(写真27)。

写真28. ホームの様子

ホームの様子です(写真28)。地下ホームが特に顕著ですが、全体的に彩度の低い空間でモダンな配色に感じます。430形電車です。

列車を眺める

駅にやってくる主役は何でしょうか。利用者それぞれの物語もありましょうが、それは街中でも同様です。駅ならではというと列車群でしょう!

写真29. パリ東行きが停車中

8:25発パリ東行きが停車中でした(写真29)。パリまでの所要時間は4時間程度です。パリもフランクフルトも空港が広く、搭乗まで時間がかかることを考慮すると、所要時間4時間というのはある程度競争力がある設定です。フランスが関わると本数が限定されるのか、1時間間隔のパターンダイヤは実現されず、2時間~4時間程度の間隔となっています。ここではICEがやってきましたが、TGVが充当される便もあります。

写真30. ミュンヘン行きが停車中

ミュンヘンICEが停車中です(写真30)。ミュンヘンまでの所要時間は3時間少々で、これも航空機と競争力ある所要時間です。ドイツ鉄道は遅れるとされていますが、航空機も遅れるでしょうから、このあたりは互角でしょうか。逆にいうと、定時制を確保すれば航空機に対抗できるチャンスです。

8:52発ICEはこの日に限り、3番線に変更されています。ドイツ鉄道は(遅れるものの)意外と案内は丁寧で、本来の発車ホームの発車案内に、別ホームの発車案内を表示させています。これは日本の鉄道も見習うべき姿勢と思います。

写真31. ICE 3neoか?

ごつい前面形状の車両です。素人目にはICE 3neoに見えますが、どうでしょうか。

写真32. ICEに乗りこむ人々

ICEに乗りこむ人々もちらほらと見かけます(写真32)。

写真33. ウィーン行きは25分遅れ

フランクフルトからはるか遠くのウィーンへの直通も設定されています(写真33)。フランクフルトからウィーンまでは6時間以上の長旅です。この列車はフランクフルト始発ではなく、(高速新線でなく)在来線経由でケルン方面からやってきます。

フランクフルト以北では2時間間隔の在来線経由IC、フランクフルト以南では(だいたい※)2時間間隔で設定されるパッサウ(ドイツ南東部のオーストリアとの境界駅)方面のICEの一員として機能します。運用の都合でフランクフルトで直通しているという側面も強いでしょう。進行方向が変わることからも、日本であれば別列車として設定することでしょう。

※ニュルンベルク-パッサウは2時間間隔ですが、フランクフルトからやってくる列車は4時間間隔が開くことがあります。その場合、別の列車がニュルンベルクで接続し、理論上は2時間間隔でパッサウ方面への乗車チャンスがあるという意味です。

写真34. ICも活躍

ICEの陰に隠れていますが、ICも運転されています。機関車連結で、こちら側のコンコースからだと1領ぶん余計に歩かされるのは気になる点です。

写真35. ジーゲン方面の列車

ジーゲン方面の列車です(写真35)。ICと称しているとはいえ、2階建て客車で、REと同等仕様です。REの居住性は比較的高いとはいえ、これで良いのでしょうか?

写真36. 地域列車も停車中

地域列車も停車中です(写真36)。

写真37. ケーニッヒスシュタイン行き

ケーニッヒスシュタイン行きです(写真37)。フランクフルト北側の都市です。

写真38. 2階建ての電車も活躍中

2階建ての電車も活躍中です(写真38)。

写真39. 到着列車!

到着列車と表示され、乗ることはできないようです(写真39)。回送列車としての発車時刻が表示されるのが興味深いです。

写真40. RB10系統のライン川右岸系統

ライン川右岸系統が停車中です(写真40)。ヴィスバーデン経由でコブレンツ方面に向かう便です。ヴィスバーデンはヘッセン州の州都です。そう、フランクフルトは州都ではありません!

写真41. RBはコンパクトな編成

RBはコンパクトな編成です(写真41)。フランクフルトにやってくる系統の種類こそ多いものの、それぞれの系統は毎時1本程度であることが多く、1つの系統しかやってこない駅への乗車チャンスは毎時1本なことが多いです。

そのため、1つの番線の使用頻度は毎時2回程度のことが多く、日本の大和西大寺のような迫力を期待すると、迫力が意外とないことに気づかされます。

写真42. ホームの端部はドームがかかっていない

ホームの端部は屋根がかかっていません(写真42、2018年に撮影)。そして、気づかされるのは、ドームの屋根が垂直方向に壁があり、霧雨が入りにくいように配慮されていることです。この点は欧州の多くの駅に共通しています。

写真43. ホームに屋根はある

そして、ホーム端部にかかる箇所はホームに屋根があります(写真43、2023年に撮影)。意外とホームが埋まっていないことに気づかされます。

そのほかの様子をミニギャラリーで雰囲気をお伝えしましょう!

フランクフルト中央駅を訪問して

写真44. フランクフルト中央駅の駅名標(隣駅が表示されていないのは欧州では通常)

フランクフルト中央駅を訪問しました。欧州のなかでは、ドイツは列車密度は高いほうですが、意外と忙しさを感じる駅ではありませんでした。それもそのはず、多くの系統が集まっても毎時1本の系統がほとんどであり、それが24線でさばいているわけです。

日本的発想をすると、地下に市街地を貫通する長距離線を敷き(一方は東側、一方は南側)、スルー運転を導入しつつ、駅構内をコンパクト化、そして空いた土地を再開発するというシナリオが思い浮かびます。そして、空港駅に分散している列車を中央駅に引き込むという発想です。そのほうが利便性は向上すると思われ、ダイヤ乱れも軽減します。

その一方、このような駅は独特の風情もあるのも事実であり、バリアフリーにも対応していて逆に時代の要請に従った構造の駅構内でもあります。

今後も地域に合わせたように発展をとげるのでしょう。

重要

本記事で詳細に解説しますが、ドイツの鉄道に関する内容を一通り、そして詳しく解説した書籍を出版いたしました。同人誌の流通ルートで販売していますが、いわゆる萌え絵は一切なく一般的な同人誌に嫌悪感を示す人でも抵抗ない内容・体裁になっています。

前後を読みたい!

果たして前後はどこに行ったのでしょうか?

(←前)フランクフルト空港からフランクフルト中央駅への移動

フランクフルト中央駅に親しむ(構内図も収録!):現在地

ライン川右岸線の列車旅(フランクフルト-ヴィースバーデン-コブレンツ)(→次)

★本旅行記については、24年夏旅行のまとめで全体像(予算、日程、感想、そして次回への改善点)をまとめています。

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