ベルギー東部に位置するリエージュ。その代表的な駅のリエージュ=ギユマン駅。この駅は特徴的な建物です。そんなリエージュ=ギルマン駅(Gare de Liège-Guillemins)に親しみました。

写真1. 斬新なデザインに度肝を抜かれる
注意ベルギーは主要な公用語にフランス語とオランダ語が採用され、地域によって使い分けられています。リエージュはフランス語地区ですので、本記事ではフランス語表記に近い日本語表記とします。
復習:リエージュとリエージュ=ギユマン駅
図1. リエージュの位置(googleマップより引用)
リエージュ(オランダ語表記:ルーク)はベルギー東部の都市です。ベルギー国内はフランス語が使われる地区(ワロン地区)とオランダ語が使われる地区(フランデレン地区)にわかれていますが、リエージュはワロン地区の有力都市(ワロン地区で最も人口が多いのはシャルルロア)です。
そのリエージュの代表駅がリエージュ=ギユマン駅です。
図2. リエージュ=ギユマン駅の位置(googleマップより引用)
位置を示しました(図2)。リエージュの中心街から離れていますが、ここが国際列車も停車するターミナル駅です。
では、そのリエージュ=ギユマン駅はベルギーの鉄道網においてどのような地位を占めているのでしょうか。

図3. ベルギー全体の路線図(SNCBの公式サイトより引用)
ベルギー国鉄の路線図を示しました(図3)。ベルギーの東側のリエージュ(Liège)はある意味1大拠点です。

図4. リエージュ周辺の路線図(SNCBの公式サイトより引用)
ベルギー国鉄の路線図を示しました(図4)。やはり、リエージュ=ギユマン駅に向かって多くの路線が集まっています。特に、No.2とNo.3で示されているのはブリュッセルとドイツを結ぶ幹線であり、ベルギーはおろか、欧州でも重要な路線です。
ベルギーの時刻表を見ると、ICとLばかり登場しますが、ベルギーの国内列車はICとLが基本(一部の大都市でSもあり)で、そのICも日本の快速に性質が近いです。特急的な立ち位置を占めるのはパリ、ロンドン、アムステルダム、ケルン方面のユーロスター(ケルン方面はICEもあり)だけです。
リエージュ=ギユマン駅を歩く
御託はこの程度にして、リエージュ=ギユマン駅を実際に歩きましょう。

図5. リエージュ=ギユマン駅の構内図(ベルギー国鉄公式サイトより引用)
駅構内図を示します(図5)。駅は意外と小さく、5面9線です。また、通過型の配線で、欧州のターミナルといって連想する頭端式の配線ではありません。ベルギーは通過型の配線の駅が多いのですが…(ブリュッセルの南北のターミナル駅も地下線で結び、通過式にしました)。

写真2. 山側の様子
リエージュ=ギユマン駅は川と山にはさまれた立地に位置します。そのため、山側は線路より周囲が高く、川側は線路より周囲が低くなっています。
そのうち、山側から撮影しました(写真2)。特徴的な屋根が目を引きます。

写真3. 山側から駅に入る
山側から駅に入りましょう(写真3)。

写真4. 連絡通路を歩く
連絡通路を歩きます(写真4)。天井の造作が特徴的です。

写真5. 山側からの通路は途切れる
山側からの通路は川側までは達しておらず、1番線側で途切れます(写真5)。このような開放的なデザインを採用できるのは、改札口がないためかもしれません。ベルギー国鉄は隣国ドイツと同様、改札口はないのが基本です。

写真6. 連絡通路からホームを眺める
連絡通路からホームを眺めます(写真6)。なかなかダイナミックな風景です。

写真7. ホームへのエスカレータ
ホームへのエスカレータです(写真7)。

写真8. ホームに向かう
ホームに向かいます(写真8)。ホーム全体を巨大な屋根が包みます。そして、その屋根の形状が斬新です。

写真9. ホームの屋根を別角度から撮影
別の角度から撮影しました(写真9)。よく見ると、赤色と黄色を使っていますが、これらはベルギーの国旗由来でしょうか。

写真10. 川側を眺める
川側を眺めます(写真10)。よく見ると、ホームから下方向に向かう階段が見えます。これが川側に通じているのです。
どこに向かうにもベルギー国鉄標準色の車両が使われ、統一的なイメージが形成されます。ベルギーの国土はそこまで広くなく(九州程度)、ある程度小さいことがまとまりに重要なのでしょうか。

写真11. エスカレータから天井を眺める
エスカレータから天井を眺めます(写真11)。

写真12. ホームの様子
ホームの様子です(写真12)。ホーム上の屋根がなく、空間の広さを感じさせます。

写真13. ドイツからのICEがやってきた
ドイツからのICEがやってきました(写真13)。前述の通り、フランス方面ードイツ方面の幹線です。ICEはブリュッセル止まりですが、ベルギーとドイツの連絡列車として重要な役割を果たします。

写真14. 落書きも多い
ベルギーの車両で印象的な点は落書きが多かったことです(写真14)。治安が悪いように感じませんでしたが、そこまで柄の悪い国なのでしょうか。

写真15. 床も斬新
床も斬新です(写真15)。
リエージュ=ギユマン駅に親しんでみて

写真16. 利用者も多く利用されている駅でもある
今回は、乗りかえの合間にリエージュ=ギユマン駅を訪問しました。斬新な駅舎で、著名な建築家がたずさわったことを感じさせるものでした。また、0Fと2Fの通路、1Fのホームという構造もそれなりにわかりやすい構造です。また、ドーム屋根を設置したことでホームの屋根を省略でき、この点は意外とコストダウンにつながっているのかもしれません。
ホーム全体をつなぐ屋根を設置するのは、斬新なアイディアに見えますが、ヨーロッパ地区では古くから導入された考えです。そのような意味では伝統と革新の融合のデザインにも見えました。
屋根のアクセントカラーの赤色と黄色が車両のアクセントカラーと類似しており、そのような意味で統一性を感じました。これもこの駅が斬新でありながら「ウザい」と感じさせない理由かもしれません。
重要種を明かすと旅行に向かう前から「教科書」によって、この駅の建築物としての斬新さは知っていました。西ヨーロッパ(ドイツとスイス含む)の斬新な土木建築物について書いています。どちらかというと、「建物に興味はあるけど詳しくはない」人向けの本で、気軽に読めます。
果たして前後はどこに行ったのでしょうか?
(←前)ケルンからリエージュまでの列車旅(トラブルとその対処法も収録、24年夏)
リエージュ=ギユマン駅(Gare de Liège-Guillemins)に親しむ:現在地
★本旅行記については、24年夏旅行のまとめで全体像(予算、日程、感想、そして次回への改善点)をまとめています。