ベルギー東部のリエージュからベルギー南部のナミュールまでは列車で移動することができます。比較的便利なベルギーの鉄道網を活用して移動しました。
注意ベルギーは主要な公用語にフランス語とオランダ語が採用され、地域によって使い分けられています。リエージュはフランス語地区ですので、本記事ではフランス語表記に近い日本語表記を採用します。

写真1. 古豪とのご対面!
復習:ベルギーの鉄道網とナミュールとリエージュの位置関係
最初にベルギーの鉄道網や両都市の位置関係を紹介します。
図1. リエージュとナミュールの位置関係
リエージュとナミュールの位置関係を示しました(図1)。ベルギーは南部のワロン地区(フランス語地区)と北部のフランデレン地区(オランダ語地区)にわかれます。
リエージュとナミュールはいずれも南部のワロン地区に位置し、いずれもフランス語が通用しています。本記事では断りなく「リエージュ」「ナミュール」と称していますが、いずれもフランス語での表記です。オランダ語表記だとリエージュではなくルーク、ナミュールではなくナーメンです。両者は60km離れています。
では、その2つの都市は鉄道利用できるのでしょうか?

図2. ベルギーの鉄道網(SNCBの公式サイトより引用)
ベルギー国鉄の路線図を示しました(図2)。右側に囲われているところがリエージュ、その左側がナミュールです。
ベルギーの鉄道網といってもあまりイメージはわかないと思いますが、実は意外と便利です。地方都市の2都市に過ぎませんが、平日は毎時2本のICと毎時1本のLが運転されます。土曜・休日は半減してしまいますが…。
表1. 平日のリエージュ→ナミュールの時刻表(ベルギー国鉄公式サイトより引用)

表2. 平日のナミュール→リエージュの時刻表(ベルギー国鉄公式サイトより引用)

表3. 土曜・休日のリエージュ→ナミュールの時刻表(ベルギー国鉄公式サイトより引用)

表4. 土曜・休日のナミュール→リエージュの時刻表(ベルギー国鉄公式サイトより引用)

わかりやすさを重視し、両都市の連絡時刻表を示しました(表1~表4)。ICで50分程度、Lで70分程度です。平日のLはICに抜かれますが、土曜・休日のLは先着です。
ICは特急列車とも訳されますが、日本の感覚だと快速というイメージです(全車自由席)。したがって、料金不要の快速が2本に対し、普通が1本という割合です。
リエージュ-ナミュール-シャルルロアが毎時1本運転され、平日はこれにリエージュ-ナミュール-ブリュッセルが追加されます。ベルギーは全国でパターンダイヤを採用していますので、旅程が立てやすく(当初予定より1時間単位で列車をずれせれば旅程を変更可能)、ストレスのない移動が可能です。この点はスイスと同様に感じました。
リエージュからナミュールまで実際に乗る
御託はこの程度にして、実際に乗ってみましょう!

写真2. ナミュール経由ブリュッセル行き
リエージュ=ギユマン駅からブリュッセル行きに乗ります(写真2)。ただし、リエージュからブリュッセルまではナミュールを通らない別経路があります(こちらがブリュッセルまでの所要時間は短い)。したがって、停車駅にNamurが含まれるかを確認する必要があります。

写真3. 古豪が待っている
古豪が待っていました(写真3)。斬新な駅に古豪。なかなかの組み合わせです。

写真4. 落書きがすさまじい…
落書きがすさまじいです(写真4)。ベルギーはそこまでの治安の悪さを感じませんでしたが、ドイツから来た身にはインパクトが強いです。

写真5. 1等車の外観
黄色の帯があることから、1等車とわかります(写真5)。でも、中に入るのは勇気が必要です…。

写真6. 1等車の車内
1等車の車内です(写真6)。空いており、冷房の効きが悪いことを除けば、それなりに快適な車内です。このときはかなりの気温で、ベルギー地区としては異例の暑さでしたので、このような思いをする機会もそうないでしょう。
この車内に紳士がおり、途中でお姉さまも乗られましたが、一様に「この車両暑すぎ」という思いで団結できました。

写真7. ドアは折り戸だった
ドアは折り戸でした(写真7)。インターネットで軽く調べると、充当系統や車体外観からM4客車と思いました。

写真8. 先頭の2両は立入不可!
どのような事情かわかりませんでしたが、先頭の2両への立ち入りは不可能でした。

写真9. リエージュを発車!
想定の反対方向に進みました(写真9)。ドイツからやってきた方向と反対方向、すなわち駅発車時の進行方向はドイツ方面でした。

図3. リエージュ付近の線路配置(OpenRailwayMapより引用後加工)
簡単にリエージュ付近の線路配置を示しました(図3)。ドイツ方面、ナミュール方面いずれも駅を出たら南に進みます。ここに来るまで、リエージュ=ギユマン駅付近では線路は東西方向に配置され、東から来て西に進むものと思い込んでいました。それが、意外に感じた理由です。

写真10. 南に進む
前述の通り、南向きに進みます(写真10)。

写真11. 西向きに変える
西向きに進行方向を変えます(写真11)。

写真12. 思わず現在位置を確認
思わず手持ちのARROWSちゃんのgoogleマップで位置を確認してしまいました(写真12)。

写真13. ベルギーらしい住宅が見える
ベルギーらしい住宅が見えます(写真13)。この日の午後までいた、ドイツと異なり、壁の色が茶色の建物が目立ちます。色相が赤よりで明度が下がったといえば正確でしょうか?

写真14. ベルギーの住宅を走る
ベルギーの住宅街を走ります(写真14)。車両のクーラーの効きが悪く、落書きが目立つ車体で、行く先に不安を感じましたが、車内の治安も問題なく、走りは順調です。車内の治安が良いのは、暑さに耐えているという戦友という意識がそうさせたのかもしれません。

写真15. Flémalle-Hauteに停車!
最初の停車駅に停車します(写真15)。車内放送もろくになく、フレマル何とかとしかわかりません。

写真16. 工場の脇を走る
工場の脇を走ります(写真16)。ベルギーが工業国であることを実感する場面です。

写真17. ムーズ川沿いを走る
ムーズ川沿いを走ります(写真17)。

写真18. ユイに停車!
ユイに停車します(写真18)。さきの停車駅といい、なかなか発車しません。1等車はガラガラですが、2等車が混んでいて停車時間が必要なのでしょうか?

写真19. 次の停車駅に停車!
すぐにStatte(スタット)に停車しました(写真19)。斜張橋が印象に残っています。両駅は歩いても1.2km程度と非常に近いです。

写真20. 工場がある
また工場の横を通ります(写真20)。

写真21. 子気味良く走る
なかなかの速度で走ります(写真21)。しかし、工場が古いように見え、何となく衰退しているようにも見えます。ベルギーには南北格差があり、南部はやや衰退しています。そのような先入観で観察していたため、そう見えたのかもしれません。

写真22. Andenneに停車!
アンダンヌに停車します(写真22)。

写真23. ムーズ川沿いを走る
ムーズ川沿いを走ります(写真23)。

写真24. 家が減ってきた
家が減ってきました(写真24)。

写真25. 崖が展開する
崖も展開しました(写真25)。

写真26. 岩石の加工施設がある
岩石の加工施設がありました(写真26)。やはり工業が産業なのでしょう。

写真27. ナミュールに近づく
ナミュールに近づきます(写真27)。

写真28. 建物が増えてきた
建物が増えてきました(写真28)。

写真29. 立派な列車が見える
立派な列車も見えます(写真29)。方角から推定するに、ルクセンブルク方面でしょうか。

写真30. 線路が多い
線路が多いです(写真30)。5方面の拠点だけあります。

写真31. 斜張橋が見える
斜張橋が見えます(写真31)。ベルギーには斜張橋が多くないですか?

写真32. ナミュールに到着!
ほとんど定刻通り、ナミュールに到着しました(写真32)。左に見えている列車がブリュッセル行きです。いつもなら乗った列車を撮影するのですが、この角度からしか撮影していないあたり、冷房の弱いこの列車から離れたかったという思いが伝わります。
リエージュからナミュールへの列車旅を終えて

写真33. 落書きに閉口したが車内は清潔だった
今回、ベルギーで最初の列車にリエージュからナミュールを選びました(厳密にはリエージュまでもベルギーの鉄道旅でしたが、ドイツのICEということもありベルギーという実感はわきませんでした)。地方路線ということで最高速度は120km/h止まりでしたが、客車ならではの静かな車内、そして走りの良さ、華美過ぎない車内、ということで実質本位なベルギーの鉄道らしさを味わいました。とりわけ、(先に乗っていたICEが約40分遅れということと比較し)定時運転確保に努めていた点も印象に残ります。
この印象はその後くつがえされることもありませんでした。言いかえると、ベルギーの鉄道は全国で統一したサービスを広く提供しているということです。さっそく、道具としてよく考えられているベルギーの鉄道らしさに触れたのです。
ここまで詳細に解説しました。公式サイトから予約できると思いますが、日本語で予約できないことに不安を感じる人もいるかもしれません。下記のサイトであれば、日本語で予約できるので安心です。


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また、その予約にはクレジットカードが便利です。
個人的にはエポスカード
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果たして前後はどこに行ったのでしょうか?
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リエージュからナミュールまでの列車旅:現在地
★本旅行記については、24年夏旅行のまとめで全体像(予算、日程、感想、そして次回への改善点)をまとめています。