ベルギー南部のディナン。ここは首都ブリュッセルから列車で2時間の場所です。ベルギー国鉄は比較的便利でストレスも溜まりません。そんな移動を満喫しました。

写真1. ブリュッセル中央駅に着いたIC
注意ベルギーはフランス語とオランダ語を地域によって使い分けています。本記事で触れる地域は基本的にワロン地区(フランス語使用地域)です。そのため、本記事では地名をフランス語読みしたものを日本語表記します。ただし、ブリュッセルは両言語使用なので、必要に応じオランダ語表記も併記します。
復習:ディナンとブリュッセルの移動方法概論
最初にディナンとブリュッセルの位置関係や移動方法を簡単に紹介します。
図1. ディナンとブリュッセルの位置関係(googleマップより引用)
両者の位置関係を示しました(図1)。2時間足らずの列車旅です。
では、ベルギー国鉄の路線網はどうでしょうか。

図2. ベルギーの鉄道網(SNCBの公式サイトより引用後加工)
イメージのために時刻表を示します。ディナンからナミュールまではローカル線、ナミュールからブリュッセルは幹線です。ナミュールからブリュッセルはルクセンブルク系統とリエージュ方面系統も運転されます。したがって、ナミュールが重要の中継点です。
ICが運転されていますが、ベルギー国内のICは日本でいう快速のようなものです。全席自由席です。大手民鉄の急行のような感覚で利用できます。ディナンとナミュールの間はLも運転されていますが、この区間ではICもLも同等です。大手民鉄の郊外区間で急行系列車が各駅にとまるようなものです。
表群1. ディナン→ブリュッセルの連絡時刻表(イメージ、平日、ベルギー国鉄公式サイトより引用後加工)


ディナン断面で11時台の連絡列車は以下の通りです。別の時間帯であっても基本的な流れは変わりません。
- ディナン11:38→ナミュール12:08/12:15→ブリュッセル中央13:24
- ディナン11:57→ナミュール12:29/12:44→ブリュッセル中央13:53(乗りかえないと空港13:43着)
表群2. ブリュッセル→ディナンの連絡時刻表(イメージ、平日、ベルギー国鉄公式サイトより引用後加工)


ブリュッセル断面で13時台の連絡列車は以下の通りです。
- ブリュッセル中央14:07→ナミュール15:17/15:31→ディナン16:03(ブリュッセル空港14:17)
- ブリュッセル中央14:38→ナミュール15:43/15:52→ディナン16:22
表群3. ディナン→ブリュッセルの連絡時刻表(イメージ、平日、ベルギー国鉄公式サイトより引用後加工)


ディナン断面で10時台と11時台の連絡時刻は以下の通りです(ディナン発11:38は設定なし)。
- ディナン10:13→ブリュッセル中央11:53(ブリュッセル-ルクセンブルク11:42→ブリュッセル空港12:00があり)
- ディナン10:38→ナミュール11:08/11:15→ブリュッセル中央12:24
- ディナン11:13→ブリュッセル中央12:53(ブリュッセル-ルクセンブルク12:42→ブリュッセル空港13:00があり)
平日はディナンからナミュールまでのLが毎時1本運転されていますが、土曜・休日は2時間間隔と半減します。また、ブリュッセル直通は空港駅発着ではなく中央駅方面に向かいます。平日は30分間隔のブリュッセル空港-ブリュッセル-ルクセンブルクは土曜・休日は毎時1本と半減します。
表群4. ブリュッセル→ディナンの連絡時刻表(イメージ、平日、ベルギー国鉄公式サイトより引用後加工)


こちらも反対方向と同様です。ブリュッセル断面で10時台と11時台の連絡列車は以下の通りです。ブリュッセル中央11:37発はナミュールで接続はありません。
- ブリュッセル中央10:07→ディナン11:48(ブリュッセル空港10:04→ブリュッセル-ルクセンブルク10:24から乗りかえ可能)
- ブリュッセル中央10:37→ナミュール11:44/11:52→12:22
- ブリュッセル中央11:07→ディナン12:48(ブリュッセル空港11:04→ブリュッセル-ルクセンブルク11:24から乗りかえ可能)
土曜・休日は平日に比べ運転本数が少ないのはベルギー国内では当たり前のことですが、日本の感覚だと違和感があります。
ディナンからブリュッセルまで実際に乗る
御託はこの程度にし、実際に乗りましょう!私は平日に乗りましたので、ナミュールで乗りかえました。
Stage1. ディナンからナミュール

写真2. ディナン駅に入る
ディナン駅に入ります(写真2)。私は無知でしたので、駅舎を通り、目の前で列車に乗り遅れました…。もしも手前の階段から行ったら間に合ったかもしれません。
ともかく田舎の駅であっても、定時運転のために乗客を待たない姿勢がある、それがベルギー国鉄と感じました。

写真3. ブリュッセル空港行きは早めに入線している
ブリュッセル空港行きは早めに入線していました(写真3)。そう!先発のナミュール行きが来るよりも早く入線していたのです。

写真4. ナミュール行きがやってきた
山奥からナミュール行きがやってきました(写真4)。ブリュッセル中央駅に向かうには、ICよりこちらのほうが所要時間は短いです。このあたりはAM08系ばかりです。

写真5. 1等車は空いている
1等車は空いていました(写真5)。

写真6. 開けてきた
開けてきました(写真6)。

写真7. ベルギーらしい風景が広がる
ベルギーらしい風景が広がります(写真7)。

写真8. ムーズ川沿いを走る
列車は川の左岸から右岸に移りました。ムーズ川沿いを走ります(写真8)。このムーズ川(オランダ語表記でマース川)はナミュールやリエージュを通り、オランダ領内を通って北海に注ぎます。

写真9. 田舎の駅に停車!
田舎の駅に停車します(写真9)。日本の感覚だと毎時1本あるかないかですが、ベルギーでは毎時2本(土曜・休日は毎時1.5本)確保されており、利便性の違いを感じます。

写真10. 水辺を走る
水辺を走ります(写真10)。

写真11. 建物が増えてきた
建物が増えてきました(写真11)。

写真12. 都市圏の光景
都市圏の光景が広がります(写真12)。

写真13. ジャンブ(Jambes)に停車!
ジャンブに停車します(写真13)。ナミュールの隣駅ですが、ここからナミュールまでは平日だと毎時2本の区間運転が確保されています。土曜・休日でも毎時1本が確保されています(ナミュールとシャルルロアの区間時刻表に掲載されています)。

写真14. ムーズ川を渡る
ムーズ川を渡ります(写真14)。

写真15. 線路が増える
リエージュ方面とルクセンブルク方面の線路が合流し、ナミュールに到着します。

図3. ナミュール付近の線路配置図(OpenRailWayMapより引用後加工)
ナミュール付近の線路配置図です(図3)。この矢印はディナン方面行きに合わせているので、この場合は矢印と反対向きです。

写真16. まもなくナミュールに到着!
2等車の車内を観察しました(写真16)。着席定員程度の乗車率です。日本のローカル線だと最後の1駅は立ちが生じることもありますが、さすがベルギー国鉄、区間運転で補っています。

写真17. ナミュールに到着!
ナミュールに到着です(写真17)。どこかで見覚えある落書きだと思ったら…

(参考)写真18. 前日にナミュールからディナンまで乗った車両
前日に乗った車両でした(写真18)。車両番号よりも落書きでピンときました。
Stage2. ナミュールからブリュッセル
次にナミュールからブリュッセルまで乗ります。

写真19. ブリュッセル方面は9番線からの発車
着いたのが8番線、ブリュッセル方面は9番線とホームの反対側からの発車でした(写真19)。ブリュッセル南行きですが、中心街に近いのは中央駅です。

写真20. ブリュッセル行きがやってきた
ルクセンブルク方面からブリュッセル行きがやってきました(写真20)。このときはあまり意識していませんでしたが、首都を結ぶ国際列車です。

写真21. 客車列車による運転
客車列車による運転でした(写真21)。国じゅうでパターンダイヤで運転されているのは、ドイツ、スイス、オーストリアと同様ですが、これらの国々と異なり、乗車位置表示がありません。ましてやホーム上に印もありません。そのため、乗車位置に迷います。

写真22. 乗客も多い
乗客も多く、乗り降りに時間がそれなりにかかります(写真22)。日本なら乗車位置を細かく表示し、乗客もその通りに動きますが、ここははるか離れた外国です。そのようなことを期待してはいけません。

写真23. 2等車でも快適そう
2等車でも快適そうです(写真23)。首都どうしを結ぶ列車だからと評するのは持ち上げすぎでしょうか?

写真24. 1等車の車内(ブリュッセル中央で下車直前に撮影)
1等車の車内です(写真24)。なかなか快適な車内です。個人的所感ですが、今回のベルギー国鉄で乗った列車のなかでは最も居住性が良く感じました。

写真25. 着席時の視点から
着席時の視点で撮影しました(写真25)。座席も広々していて快適です。そして照明や天井も雰囲気があります。

図4.ナミュール付近の線路配置図(OpenRailWayMapより引用後加工)
ナミュール付近の線路配置図です(図4)。ルクセンブルク方面とブリュッセル方面は進行方向を変えることなく進めます。ディナン方面やリエージュ方面もしかりです。そのため、これらの方向からブリュッセル方面への直通列車が設定されているのでしょう。
シャルルロア方面とブリュッセル方面の直通はありませんが、これは問題ありません。シャルルロアとブリュッセルは別の路線が通っているのです。

写真26. ナミュールを発車!
ナミュールを発車しました(写真26)。

写真27. シャルルロア方面と分岐!
シャルルロア方面と分岐します(写真27)。

写真28. 平らな風景が広がる
平らな風景が広がります(写真28)。ナミュールまでの風景と異なります。

写真29. 麦秋といえる光景
麦秋といえる光景のなかを走ります(写真30)。

写真30. ジャンブルー(Gembloux)に停車!
ジャンブルーに停車します(写真30)。

写真31. ローカル列車が停車中
ローカル列車が停車していました(写真31)。時刻から推定するに、ここでICに抜かされるRでしょうか。

写真32. 平原を走る
平原を走ります(写真32)。

写真33. 起伏が現れた
と思ったら、起伏が現れました(写真33)。

写真34. 線路が交差する
線路が交差します(写真34)。どこかの分岐点でしょうか。

写真35. まもなくオティニ(Ottignies)に停車
まもなくオティニに停車します(写真35)。

写真36. 家が多い
家が多いです(写真36)。ここまでの車窓で工場があまり見えません。かつての工業の中心はもっと南よりにあったことがわかります。

写真37. オティニに停車!
オティニに停車します(写真37)。

図5. オティニ付近の路線図(ベルギー国鉄の公式サイトより引用後加工)
オティニ付近の路線図です(図5)。ブリュッセル-ナミュールの放射軸に対し、ルーバン-シャルルロアの半環状軸が交差しています。

写真38. 利用客が多い
ここも利用客が多いです(写真38)。ベルギー国鉄の利用の多さを感じます。

写真39. 森が広がる
オティニからブリュッセル都市圏のSが毎時2本運転されますが、依然としてのどかな風景が広がります(写真39)。

写真40. 線路増設のスペース?
線路増設のスペースでしょうか(写真40)。もしもそうであれば、日々インフラ増強に努め、未来に向かって投資するベルギー国鉄の姿が見えます。社会制度が異なりますが、日本の鉄道もそうなってもらいたいと感じました。

写真41. 住宅街を走る
住宅街を走ります(写真41)。

写真42. Watermael(Watermaal)を通過!
ワテルマルを通過しました。ワロン地区からフランデレン地区を過ぎ、すでにブリュッセルに入りました。そのため、この記事でもオランダ語表記を追加しました。

写真43. 建物が増えてきた
建物が増えてきました(写真43)。さすがベネルクス3国で最も人口の多い都市だけあります。

写真44. ブリュッセル-ルクセンブルクに停車
ブリュッセル-ルクセンブルクに停車します。このあたりで車内表示にオランダ語表記が登場しました。前の停車駅はフランス語地区であり、オランダ語も使うエリアに入ったためでしょう。
図6. ブリュッセル-ルクセンブルク駅の位置(googleマップより引用)
ブリュッセル-ルクセンブルク駅の位置です(図6)。ここからブリュッセルを周回するように移動します。

図7. ナミュール方面からの通過経路(OpenRailwayMapより引用後加工)
通過経路を示しました(図7)。市街地を迂回して北駅に向かう経路で建設されたのでしょうが、迂回しすぎです。ルクセンブルク駅から中央駅までまっすぐ伸ばせば良いのに…。
もっとも中央駅に急ぐ場合は、ブリュッセル-シューマン駅から地下鉄を使う手もあります。

写真45. ブリュッセルを走る
ブリュッセルを走ります(写真45)。

写真46. 線路と合流する
多くの線路と合流します(写真46)。ベルギーの南北軸と合流したのです。

写真47. まもなくブリュッセル北駅に到着!
まもなくブリュッセル北駅に到着です(写真47)。戦前のターミナル駅の1つです。

写真48. ブリュッセル北駅に到着
ブリュッセル北駅(Bruxellles-Nord/Brussel-Noord)に到着しました(写真48)。ここから南駅までは戦後に開業した南北連絡線を走ります。

写真49. ブリュッセルの副都心を走る
ブリュッセルの副都心ともいえる場所を走ります(写真49)。

写真50. まもなく地下線に入る
まもなく地下線に入ります(写真50)。

写真51. ブリュッセル中央駅に到着!
ブリュッセル中央駅に到着しました(写真51)。王宮とグランプラスの間にある立地と表現すると、立地の良さがわかりましょうか?
ディナンからブリュッセルまで移動して
今回、旅程の都合でディナンからブリュッセルまで移動しました。基本的に定時運転(駅でそれなりに停車していたら定時まで時刻調整した場面があった)で、乗り遅れた客にある意味厳しい場面が見られました。これは厳しいようですが、定刻前に列車に乗った多くの人に対しては適切な対応であり、ベルギー国鉄が正しい方向を向いているように感じました。
また、幹線系統のICは利用者が多く、それだけ鉄道が充実する動機となっていることでしょう。これからも(日本ほどでないが)定時運転と比較的多い運転本数、そして予約不要の気軽さ。鉄道を道具として使うという意味ではストレスを感じませんでした。
果たして前後はどこに行ったのでしょうか?
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ディナンからブリュッセルへの移動(24年夏):現在地
アダージョ アクセス ブリュッセル ヨーロッパの宿泊記(24年夏)(→次)
★本旅行記については、24年夏旅行のまとめで全体像(予算、日程、感想、そして次回への改善点)をまとめています。