ベルギーの海岸トラム(ベルギー沿岸軌道)に乗る

記事上部注釈
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ベルギーの海岸には総延長の長い路面電車が運転されています。かつてはベルギーに多く走っていた長距離トラム。その唯一の生き残りに乗ってみました。

写真1. にぎわうオステンド市街を走る路面電車

補足

ベルギーは2つの言語(フランス語とオランダ語)が主に使われる国家です。本記事で取り扱う範囲はオランダ語使用地域ですので、地名などの表記はオランダ語読みに準拠することにします。また、Oostendeの読みは「オーストエンデ」とも表記しますが、本記事では地球の歩き方に合わせたオステンドと表記します。

復習:ベルギー沿岸軌道の概要

最初にベルギー沿岸軌道の概要を紹介します。

ベルギー海岸の概要

  • 名称:Kusttram(オランダ語、フランス語表記だとTram du littoral)
  • 区間:デ・パンネ-クノック
  • 距離:67km
  • 駅数:68駅
  • 所要時間:2時間25分

図1. ベルギー沿岸軌道の位置(googleマップより引用)

ベルギー沿岸軌道の経路を示しました(図1)。なかなか長い路線で、全長67kmです。ここまで長い路面電車は存在せず、世界一の長さを誇ります。

図2. 途中駅の一覧(公式サイトより引用)

ベルギー国鉄の路線がブリュッセルから北海沿岸まで放射状に伸びているのに対し、この路面電車はその放射状の路線の終点を結ぶ形態です。いいかえると、国鉄路線は放射軸、このトラムは環状軸ということです。

興味深いことは、この路線は近年に環境保護として建設されたのではなく、昔からある路線が残っていたことです。営業不振で廃止されそうなところ、行楽客の利用が多く、残されたというのが大まかな経緯です。江ノ島電鉄に似たものを感じます。

コースタルトラムで波のリズムに合わせて移動

デ・パンヌとクノックの間に67駅。

コースタルトラムは、日中は10分、15分、または20分ごと、夕方には30分または60分ごとに運行しています。

コースタルトラムは、一年中、すべての海辺のリゾートで最も美しいスポットに連れて行き、海岸のアトラクションの入り口のすぐ前にあなたを降ろします。

駐車スペースを探したり、交通量の多い場所で列に並んだりする必要はもうありません。

あなたにぴったりのチケットを選んで、ゆったりと座って、お好みの目的地まで気にせずに旅行してください。クノックからデパンネまで、ルートに沿って海の景色を眺めることができます。

ベルギー沿岸軌道の公式サイトより引用後翻訳

公式サイトより引用しました。美しい文言が書かれていますが、駐車場探しや駐車待ちがない点を長所としています。

実態として、デ・パンネ-クノックを行き来する乗客はほとんど存在せず、いても途中のオステンドでの乗降が多いです。そのため、時刻表を見るとオステンドで3分くらい停車することが多いです。

運賃は以下の通りです。

  • 1回券:2.5ユーロ
  • 往復券:5.0ユーロ
  • 24時間券:7.5ユーロ(1日券でなく24時間券)
  • 72時間券:15ユーロ

公式サイトを読み解くと、以上の運賃です。このトラムを3回以上乗る場合は、24時間券のほうが良いです。1日目の13時から乗ると、2日目の13時まで乗れます。1泊旅行の際には良い制度ですね!24時間券については公式サイトに使いかたが掲載されています。

ベルギー沿岸軌道に実際に乗る

御託はこの程度にして、実際に乗ってみましょう!今回は東半分のクノックからオステンドまでとしました。

写真2. ホームに停車中の様子

ホームに停車中の様子です(写真2)。

写真3. このあたりの路線図

このあたりの公共交通の路線図です(写真3)。このトラムをKTと識別しています。てっきり「Kaigan Toramu」と思いましたが(そんなことはない!)、オランダ語のKusttramの略称です。

写真4. 窓口があった

窓口がありました(写真4)。「オステンド」と片言の日本語を発し、2.5ユーロのチケットが発券されました。

写真5. カードが発行された

カードが発行されました(写真5)。これをカードリーダーにかざします。

写真6. 地元のプロフェッショナルがカードをかざす

地元のプロフェッショナルがカードをかざしていました(写真6)。

写真7. 天井も凝ったデザイン

天井も凝ったデザインです(写真7)。

写真8. 前方も見える

席によっては前方も見えます(写真8)。このあとは混雑の影響もあり、ずっと右側の車窓ばかり見ていましたが…。

写真9. 白い家が並ぶ

白い家が並びます(写真9)。ベルギー南部の建物と異なる風情に見えます。海岸沿いゆえの事情があるのでしょうか。

写真10. のどかな住宅街を走る

のどかな住宅街を走ります(写真10)。新しい建物が多く、近年発展しているエリアなのでしょうか。

写真11. 新しい集合住宅もある

新しい集合住宅もあります(写真11)。海岸リゾートゆえなのか、産業地帯周辺ゆえなのでしょうか。

写真12. リゾート風の風景を走る

リゾート風の風景を走ります(写真12)。

写真13. いつの間にか港湾地区に入っていた

いつの間にか港湾地区に入っていました(写真13)。ずっとリゾート風の風景を走るという期待を裏切ってくれます。

写真14. ゼーブルッヘ付近を走行中

ゼーブルッヘ付近を走行中です(写真14)。ここはベルギーで2番目に大きな港です。それはそれなりの就労者数が見込まれ、地域の産業が発展するわけです。

写真15. 左に曲がる

左に曲がります(写真15)。目的地はあちら方面なのに…。

写真16. やや内陸よりを進む

やや内陸よりを進みます(写真16)。本来の経路の橋が上昇しており、通れなかったのでしょうか。

写真17. 迂回した

迂回し、可動橋の脇に戻りました(写真17)。片方だけはね上がったのはなぜだろう?

写真18. 港湾の様子を眺める子供たち

港湾の様子を眺める子供たちの姿がありました(写真18)。

写真19. 港湾の脇を走る

港湾の脇を走ります(写真19)。

写真20. 国鉄をまたぐ

国鉄をまたぎます(写真20)。ブルッヘ(英語読みでブルージュ)の北側に位置します。

動画1. 海岸線を走行中

海岸線を走行中の様子を動画で撮影しました(動画1)。軽快に走っている様子がわかると思います。

写真21. 住宅街を走る

住宅街に入りました(写真21)。

写真22. 市街地に入る

市街地に入ります(写真22)。ブランケンベルヘという場所です。

写真23. ブランケンベルヘ駅前に停車

ブランケンベルべ駅前に停車しました(写真23)。ここからはブリュッセル方面のICも出ています。このあたりから混んできました。

写真24. 駅前広場を走る

駅前を走ります(写真24)。

写真25. 小都市を走る

小都市を走ります(写真25)。

写真26. 住宅街を走る

住宅街を走ります(写真26)。

写真27. 港の脇を通る

港の脇を通ります(写真27)。先ほどの港と異なり、産業用という雰囲気は薄いです。

写真28. 停留所で乗り降りがある

停留所で乗り降りがあります(写真28)。海岸リゾートであり、そのなかの移動需要もあるのでしょう。

写真29. 防砂林が見える

防砂林が見えます(写真29)。残念ながら海が見える区間は多くありません。

写真30. オステンドの市街地に入る

オステンドの市街地に入ります(写真30)。オステンドは沿線で最も人口の多い都市です。

写真31. 水辺の光景

水辺の光景が広がります(写真31)。

写真32. 産業地帯の光景

産業地帯の光景です(写真32)。オステンドの海岸リゾート地区は駅の北西側であり、こちら側ではありません。

写真33. 国鉄線をまたぐ

国鉄線をまたぎます(写真33)。ブリュッセルから続く幹線の終点で、毎時3本程度の乗車チャンスがあり、需要の多さを物語ります。

写真34. 国鉄駅の西側を走る

国鉄駅の西側を走ります(写真34)。

写真35. 車内は大混雑!

夏のバカンスシーズンだったためか、10分間隔の頻発運転でも車内は大混雑でした(写真35)。

写真36. ウェステンデ=バード行きだった

ここオステンドで降りることにしました。デパンネ行きではなく、途中のウェステンデ=バード行きでした(写真36)。

写真37. ターミナル駅らしい装い

ターミナル駅らしい装いでした(写真37)。

写真38. 人々が目的地に散る

人々が目的地に散っていきます(写真38)。

ベルギー沿岸軌道に乗ってみて

写真39. オステンドの市街地を走るトラム(周囲の人通りの多さが興隆を物語っていると思います)

ベルギーの海岸を走る路面電車。この文字から想像したイメージは、のどかな場所をコトコト走るローカル線というものでした。しかし、沿線は産業地帯やリゾート地が広がり、住宅も新しい建物が多く感じました。決して、時代に残された沿線を走るわけでありません。

産業地帯とリゾート地が共存した不思議な地域を走る路線でした。また、沿線はこれらの興隆を感じられ、時代遅れと感じられる先入観の路面電車が現在まで残っている理由も理解できました。

このように鉄道路線は沿線の興隆に支えられ、沿線もまた鉄道路線に支えられるのでしょう。

前後を読みたい!

果たして前後はどこに行ったのでしょうか?

(←前)ブルージュ(ブルッヘ)からクノックまでの列車旅

ブルージュ(ブルッヘ)からクノックまでの列車旅:現在地

オステンドの街歩き観光(24年夏)(→次)

★本旅行記については、24年夏旅行のまとめで全体像(予算、日程、感想、そして次回への改善点)をまとめています。

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