東海道新幹線の繁忙期の「のぞみ」に乗る(東京→新大阪)

記事上部注釈
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旅行業界には繁忙期というものがあります。大型連休、お盆、年末年始の年3回です。この典型的な場面が東海道新幹線の「のぞみ」号です。そんなのぞみ号に乗りました。

写真1. 新大阪で降りる乗客群

繁忙期の東海道新幹線「のぞみ」号の概要

本記事の概要をまとめます。

  • 東海道新幹線は東京駅と新大阪駅を結ぶ乗りものであり、のぞみ号は両者を2時間30分以内で結ぶ
  • 年間3回の繁忙期(大型連休、お盆、年末年始)ののぞみ号は全席指定席で自由席はない。ただし、自由席特急券で立って移動することは可能である
  • 朝6:30すぎであっても東京駅で乗りかえ改札を通るには8分程度必要、連休初日の下りのぞみ号は新大阪に5分程度遅れて到着

詳細は以下に記します。

復習:関東と関西の移動方法と航空機

写真2. 大量の乗客を運ぶ新幹線(新大阪で撮影)

関東と関西の移動方法の概要について述べ、その後に新幹線の概要について紹介します。

復習1. 関東と関西の交通手段概要

関東は日本で最も人口が多い場所、関西は日本でも2番に人口の多い場所です。そんな両者の距離は500km程度あり、多くの交通手段が整備されています(表1)。

表1. 主要な交通機関の概要

航空機新幹線夜行バス
所要時間1時間10分2時間30分8時間程度
運賃・料金(定価)30,000円前後14,720円15,000円程度
運賃・料金(安価)5,000円程度13,870円5,000円程度
運転本数毎時2本程度毎時4本以上1日20往復程度

非常に大まかに述べると、以下の要領です。

  • 正規の価格が高いものの、速達性に優れる航空機
  • 価格は安いものの、速達性のない夜行バス
  • 速達性がそれなりで、価格は中程度利便性が最も優れる新幹線

航空機は速達性に優れ、やりようによっては価格も低減できます。一方、新幹線は価格は中程度、都市の中心近くへのアクセス可能、JR線の場合は東京都区内から大阪市内のどこでも定額(航空機のように都市中心部-空港の運賃がかからない)という利便性があります。

夜行バスは速達性こそ劣りますが、寝ながら移動も可能であり(ぐっすり寝られるかは別問題)、ある意味時間を有効活用でき、価格も低減できるというメリットがあります。

これらの特性を考慮し、各自にとって最適な交通手段を選択することがポイントです。

東海道新幹線とのぞみ号

東海道新幹線には3つの愛称があります。

  • のぞみ:東京-新大阪の都市間輸送を担う列車。東京-新大阪の停車駅は品川、新横浜、名古屋、京都。東京と新大阪を2時間30分以内で結ぶ。
  • ひかり:上記のぞみが通過する主要駅にも停車する列車。
  • こだま:各駅に停車する列車。

このように使い分けされます。利用者の多くは東京地区-名古屋-大阪地区の行き来を目的として東海道新幹線に乗りますから、のぞみ号の本数は多く、ひっきりなしに臨時列車が設定されます(過去のデータを応用して適宜臨時列車が設定されます)。とりわけ、繁忙期はのぞみ号は毎時12本運転されます。

また、のぞみ号は自由席が設定されていますが、上で述べた年3回の最繁忙期にはのぞみ号は全席指定席として運転されます。この期間で指定席券を手配できなかった人は以下の方策で移動します。

  • 着席を期待して自由席が設定されているひかり号やこだまで向かう
  • 着席可能性を放棄し、自由席特急券でのぞみ号のデッキで移動する

このように、普段は毎時4本以上設定されており、多くの時間帯で12分以上のダイヤホールが生じないという性格的に大手民鉄の急行のように気軽に乗れるのぞみ号といえど、繁忙期はきっちりと計画を立てる必要があります。

繁忙期の東海道新幹線に実際に乗る

さて、実際に繁忙期の東海道新幹線に乗りましょう!日付は2025年5月3日。世間的には4連休の始まりです。

写真3. 東京駅の乗りかえ改札

東京駅の乗りかえ改札です(写真3)。かなり並んでいます。6:30過ぎであってもここまで混雑するのですか…。

写真4. 改札内も人が多い

改札内も人が多いです(写真4)。のぞみ号に自由席が設定されていると、ホームに人が滞留し、その滞留によって通路がふさがれます。改札に並び始めてから改札内まで8分02秒かかっていました。この人流がのぞみ号の全席指定制にした理由の1つでしょう。

乗りかえ改札の増設を求めたいところですが、現実にJR東海は事実上の乗りかえ改札を増設しています。具体的には品川駅の開設と新横浜駅の拠点化です。これらの2駅を東京駅の役割を一部分担させることにより、乗りかえ改札の事実上の増設、そして利便性の向上を両立させました。まさに日本らしい解決方法です。

写真5. のぞみ号の車内

のぞみ291号の車内です(写真5)。品川や新横浜で乗る人もいるためか、空席もそれなりにあります。毎時12本の運転ということで、列車を間違えやすいです。そのため、車掌さんは「列車名をお確かめください。各列車満席のため代わりの席を用意できません」と注意喚起していました。また、これとは別に「全車指定席です。自由席のお客さまはお座りいただけません」という旨の案内もありました。

写真6. 東京都心を走る

東京都心を走ります(写真6)。

写真7. 高輪ゲートウェイ付近の再開発

高輪ゲートウェイ付近では再開発されています(写真7)。

写真8. 品川に停車!

品川に停車します(写真8)。ここでも多くの人が並んでいます。渋谷地区から東海道新幹線に乗る場合、こちらのほうが便利でしょう。東京の南西部からのアクセスを飛躍的に便利にした拠点なのです。

写真9. 品川を発車!

品川を発車しました(写真9)。住宅街の向こうには富士山が見えます。

写真10. 新横浜に停車

新横浜に停車します(写真10)。連休初日の早朝とあってか、上りホームには人影がありません。のぞみ291号は品川でも新横浜でも本線側に停車しました。すなわち、品川でも新横浜でもポイント通過の揺れがありませんでした。

新横浜で席が埋まりました。ただし、のぞみ号で立って移動できることがそこまで知られていないのか、立っている人は見かけませんでした。

写真11. 相鉄線をまたぐ

相鉄線をまたぎます(写真11)。従来は単に交差する東海道新幹線と相鉄線でしたが、2023年から新横浜で乗りかえ可能になりました。これは相鉄線沿線の利便性向上だけでなく、相鉄線沿線の東海道新幹線の競争力強化につながります(羽田空港へのアクセスが相対的に不便になったため)。

写真12. 富士山が見える

早朝ということもあり、車内で少しうとうとしていたら、富士山に近づいていました(写真12)。

写真13. 富士山が見える

もう少し近づきました(写真13)。きれいな晴天で、車掌さんからの案内も入っていました。

写真14. 住宅街を走る

住宅街を走ります(写真14)。

写真15. 静岡を通過!

静岡を通過します(写真15)。東京地区、名古屋、関西地区の拠点間はのぞみ号が頻発運転していますが、静岡もふくむ中間駅はこだま号の30分間隔、そして静岡や浜松はひかり号の1時間間隔と、意外と本数は少ないです。

写真16. のどかな平野部を走る

のどかな平野部を走ります(写真16)。

写真17. 在来線普通が見える

在来線の普通電車が見えます(写真17)。静岡地区の東海道線は在来線では速度は高いほうですが、新幹線だと一瞬で追い越します。

写真18. 浜松付近を走行中

浜松付近を走行中です(写真18)。

写真19. 浜名湖が見える

浜名湖が見えます(写真19)。

写真20. 浜名湖が見える

浜名湖が見えます(写真20)。

写真21. 矢作川を渡る

愛知県に入り、豊橋を通過した後しばらくして、矢作川を渡ります(写真21)。

写真22. 名古屋手前で停止

名古屋手前で停止します(写真22)。このときは先行列車遅れと案内されていましたが、先行列車のどの列車という情報までは公開されませんでした。

写真23. 名古屋に停車!

名古屋に停車します(写真23)。名古屋から若干空くのかと思いきや、満席のまま推移します。東京発6:51、名古屋発8:29と、名古屋だとちょうど良い時間帯なため、名古屋からの乗客も多いのでしょうか。

写真24. 名古屋を発車!

名古屋を発車しました(写真24)。車掌さんが車内を巡回し、新大阪9:28発くろしお5号新宮行きの乗りかえ客の有無を確認していました。

写真25. 特徴的な建物が見える

特徴的な建物が見えます(写真25)。ソーラーアークと称する建物であり、現在は存続が危ぶまれています。

写真26. 山あいを走る

関ヶ原付近では山あいを走ります(写真26)。

写真27. 緑を走る

緑のなかを走ります(写真27)。通過しがちなこのあたりですが、降りてみるとおもしろいかもしれません。例えば醒ヶ井とか。

写真28. 米原付近の風景

米原付近の風景です(写真28)。かつては東海道線と北陸線の分岐駅でしたから、規模は大きいです。

写真29. 住宅街が広がる

住宅街が広がります(写真29)。

写真30. 京都手前の風景

京都手前でトンネルを出て、このような風景が広がります(写真30)。このような光景は京都らしいと個人的には感じますが、具体的に言葉で説明できません…。

写真31. 京都に到着

京都に到着します(写真31)。ここ京都でかなり降りました。半数程度の座席が空いています。これが広島や博多発着便であれば京都-岡山以西の乗客が乗りこみますが、こののぞみ291号は新大阪行きなので、そのような乗客も入りません。

写真32. 緊張感がやわらいだ車内

このように空席がある程度あると、車内の緊張感もやや緩和するように感じます(写真32)。

写真33. 京都府と大阪府の境界付近

京都府と大阪府の境界付近の風景です(写真33)。

写真34. 鳥飼の車両基地

鳥飼の車両基地が見えます(写真34)。これが見えたら新大阪はもうすぐです。

写真35. 新大阪に到着!

結局4分遅れの9:22に新大阪に着きました(写真35)。特急くろしお5号の出発時刻まであと6分しかありませんが、この日は9:31発に変更していました。

写真36. まるで祭!

まるで祭のような人ごみです(写真36)。万国博覧会はある意味、祭なのでしょうが…。

写真37. 新大阪駅構内は人でごった返す

新大阪駅構内は人でごった返していました(写真37)。

繁忙期ののぞみ号に乗ってみて

写真38. 発車前の東京駅での光景

繁忙期ののぞみ号は、意外と秩序は守られていました。しかし、駅構内はカオスともいえる状況であり、駅や車内のカオスを制御することが繁忙期の輸送のかなめでしょう。それを抑制する最大の方策がのぞみ号の全車指定席化です。このことを改めて実感しました。

しかし、カオスの制御によって、乗客の自由度は損なわれています。

従来の東海道新幹線は乗客に「考えさせない」システムを構築してきました。東海道新幹線ののぞみ号増発による待ち時間短縮(=発車時刻を考えさせない)、停車パターン統一による利便性強化(一部ののぞみ号が新横浜を通過した場合、新横浜利用者は停車パターンを考えねばならない)がその肝です。そして、自由席設置も「来たのぞみ号に乗れば良い」という気軽さを作り出していたと思います。

のぞみ号全席指定化により、(実は来たのぞみ号のデッキに立てば良いという気軽さはあるのですが)列車や座席を指定するという「考える」作業が発生しています。輸送量が大きくない年3回の繁忙期以外は自由席を存続させているのも、乗客の自由度を尊重するJR側の姿勢と理解できます。

のぞみ号の毎時12本運転により、若干の混乱も許されにくい状況が生じています。繁忙期ののぞみ号の全席指定制は混乱を下げるための苦肉の策でしょう。かといって、のぞみ号を毎時10本に減便することは、毎時2600席以上の喪失にほかならず、今さら実施しにくい方策です。

かといって、自由席が存続したひかり号では大幅に遅れた列車もあったと聞きます。大量の乗客をさばく、このことの難しさを若干ながら理解できた気がします。

他方、道中は晴れていて明るく、外の気温も快適といえるものでした。そのため、「お出かけ日和」でした。このようなときに旅行客が集中するのもやむを得ません。旅行するのであれば、快適なときに実施したいのが人情です。このような人情も改めて実感しました。

前後を読みたい!

果たして前後はどこに行ったのでしょうか?

(←前)ありません!(この記事から旅行開始です!)

東海道新幹線の繁忙期の「のぞみ」に乗る(東京→新大阪):現在地

山陽新幹線のこだま号に乗る(新大阪→姫路)(→次)

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