山陽新幹線のこだま号に乗る(新大阪→姫路)

記事上部注釈
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山陽新幹線。東海道新幹線よりも沿線人口が少なく、こだま号は1時間間隔でしか運転されません。そのこだま号は独特な車両が使われます。そんなこだま号に繁忙期に乗りました。

写真1. こだま号はかたすみの20番のりばから発車

山陽新幹線のこだま号の概要

今回の記事の要点は以下の通りです。

  • 山陽新幹線で各駅にとまる列車はこだまと称し、だいたい1時間間隔である
  • 8両編成の場合、指定席を選べば快適な座席である
  • 連休初日の下り列車の場合、指定席は満席であった

詳細は以下に記します。

復習:山陽新幹線の各愛称

写真2. 山陽新幹線ではさくら号の存在感も大きい(新大阪で撮影)

山陽新幹線(新大阪-博多)は東海道新幹線とある程度歩調を合わせて運営されます。その山陽新幹線の列車群を簡単に紹介します。

  • のぞみ:東京方面との都市間輸送を担う列車。新大阪-博多の基本停車駅は新神戸、岡山、広島、小倉。新大阪と博多を2時間30分程度で結ぶ。基本停車駅以外に姫路、福山、徳山、新山口のいずれかに停車することが多い
  • ひかり:上記のぞみが通過する駅にも停車する列車。後述のさくら号に役割をゆずりつつあり、影が薄い
  • みずほ:新大阪-鹿児島中央を結ぶ列車。東京のかわりに鹿児島中央に向かうのぞみ号というイメージ
  • さくら:新大阪-鹿児島中央方面を結ぶ列車。山陽新幹線内ではのぞみ号より1駅程度多く停車することが多い
  • こだま:各駅に停車する列車。

山陽新幹線においては、のぞみ号とさくら号が速達輸送を担い(さくら号のほうが1駅程度多くとまる)、さくら号のかわりにみずほ号が設定される時間帯もあります。

そして、速達列車に通過される駅をフォローするのがこだま号です。たいてい毎時1本の設定であり(本数が少なく見えますが、準主要駅であればのぞみ号やさくら号でカバーされます)、東海道新幹線の半分の本数です。また、昼間時間帯はこだま号は岡山-博多の運転であり、新大阪-岡山はひかり号によってカバーされます。

多くのこだま号は8両編成による運転であり、指定席は横4列シートです。のぞみ号は指定席でも横5列シート、さらにのぞみ料金が必要ということもあり、車内設備としては価格の安いこだま号のほうが上です。

もっとも、九州新幹線に直通するさくら号やみずほ号は指定席だと横4列シートが約束され、山陽新幹線内では16両編成の指定席よりも8両編成の指定席のほうがグレードが高いことはもはや常識です。かつてはこだま号の自由席も横4列シートが約束されていましたが、現在は700系8両編成の6-8号車を除き、横5列シートです。

ただし、こだま号だと新大阪から博多まで4時間10分程度かかり、のぞみ号などに比べて1時間40分程度の犠牲があります。この時間差があり、こだま号を選ばれにくく、結果として定員の少ない車両でも成立しているという側面もあります。

実際にこだま号にのる

さて、実際にこだま号に乗ってみましょう。2025年5月現在では、500系8両編成か700系8両編成が充当されるのが基本ですが、今回は700系8両編成(ひかりレールスター用の車両)でした。

700系8両編成の普通車指定席の車内

最初に普通車指定席の車内を簡単に紹介します。

写真3. 新大阪に停車中の700系8両編成

新大阪に停車中の700系8両編成です(写真3)。指定席の4号車と5号車は横4列シートです。

写真4. グレードの高い普通車指定席

横4列とあり、グレードの高い普通車指定席です(写真4)。シートの明度をあえて下げて落ち着いた印象の室内にすることは、JR西日本らしさを感じます。

写真5. 座席を横から眺める

座席を横から眺めます(写真5)。ドリンクホルダが見えます。

写真6. 座席から眺めた室内

座席から眺めた室内の様子です(写真6)。照明の色温度が低く(=電球色の照明)、高級さを感じます。座席の色がもっと青ければ不自然と思いますが…。

写真7. どっしりとした座席

どっしりとした座席です(写真7)。

写真8. ドリンクホルダを活用!

ドリンクホルダを活用しました(写真8)!脇にあるのが私の携帯電話です。最近、arrowsちゃんからpixelに機種変更しました(どうでも良い情報ですね…)

写真9. 出入口の様子

出入口の様子です(写真9)。こちらもシックな印象です。

山陽新幹線こだま号の様子

さて、実際の様子はどうでしょうか。

写真10. 20番のりばに向かう人が多い

20番のりばに向かう人は意外と多いです(写真10)。「どうせこだまでしょ?」と見くびっていました。考えてみれば4連休の初日の朝の便です。関西地区から出発するにはちょうど良い時間帯です。岡山までであれば、所要時間差は20分程度です。これであれば、こだまを使う人もいるでしょう。

写真11. 20番のりばにも人が多い

20番のりばにも人が多いです(写真11)。発車後も自由席の待ちが多いことから、みずほ号やさくら号に乗る人かもしれませんが。

写真12. 乗車率は高い(走行中に撮影)

乗車率は高く、指定席は満席でした。

写真13. 新大阪を発車!

先行ののぞみ107号が遅れており(この列車の3分前に新大阪を出る)、新大阪を数分遅れで発車しました(写真13)。のぞみ107号からの接続待ちというより、のぞみ107号を優先して走らせるためでしょう。

写真14. 東海道線との会合

東海道線と一瞬だけ並走します。そう!この区間の在来線は山陽線でなく、東海道線です(神戸が境界です)。ただし、今やJR神戸線の時代であり、東海道線と山陽線の境界を意識するのは昔の考えかたとも表現できます。

写真15. 川を渡る

川を渡ります(写真15)。

写真16. 新神戸に停車!

トンネルに入り、トンネルのはざまの新神戸に停車します(写真16)。ここは2面2線交互発着が不可能であり、山陽新幹線の本数を増やすうえでは、大きなネックです。大阪側にあるため、新神戸より手前で折り返すことも難しいです。関東の大手民鉄のような発想であれば最繁忙期に限り通過列車を設定することも手ですが、利便性確保のために新神戸は全列車停車としており、それを崩さないので、この手法も使えません。

写真17. 播磨平野を走る

播磨平野を走ります(写真17)。

写真18. 播磨平野の光景

播磨平野の光景です(写真18)。それなりに都市化が進んでいる印象です。

写真19. 西明石に停車!

西明石に停車します(写真19)。のぞみ号やさくら号が通過する駅に丁寧に停車し、その都度乗客を拾います。

写真20. 西明石を発車!

西明石を発車しました(写真20)。

写真21. 瀬戸内海が見える

瀬戸内海が見えました(写真21)。山陽新幹線は瀬戸内海が見える区間は意外と少なく、貴重な風景です。

写真22. 都市圏の光景を走る

都市圏の光景を走ります(写真22)。

写真23. 姫路に到着!

姫路に到着です(写真23)。

写真24. こだま845号の表示

こだま845号の表示です(写真24)。新大阪から姫路までは40分でした。

大阪から姫路まで新快速で62分程度であり、大阪と姫路の移動において、こだま号の価値は高くありません。しかし、新幹線の他の列車と組み合わせることでその速達性を発揮します。停車駅ごとに待避があるという先入観がありましたが、姫路では待避なしで発車しました。

補足

山陽新幹線のこだま号といえどかつての車両よりスピードアップしています。それがどの程度なのかを見積もるために、2003年から節目ごとに今回と同じ時間帯のこだま号の所要時間を比べました。今回は姫路ではなく、岡山までの所要時間を取り上げました。

新大阪岡山所要時間
2003年(品川開業時)9:1510:331:18
2012年(山陽新幹線100系引退)9:3810:591:21
2017年(保安装置改良)9:3510:421:07
2020年(東海道新幹線700系引退)9:3210:421:10
2025年9:3210:431:11

2003年時点では1時間18分かかっていました。2012年時点では車両こそスピードアップしたものの、後を追う列車の本数が増えたこともあり、(追い抜かれる列車が2本増え)3分スピードダウンしました。2017年ダイヤでは保安装置をアナログATCからデジタルATCに更新し、(後続ののぞみ号から逃げ切れることもあり、待避本数が減少し)14分短縮しました。2020年ダイヤでは追い抜く列車が1本増えたこともあり、3分スピードダウンしています。

山陽新幹線のこだま号に乗ってみて

写真25. スターが使われたこだま号

今回は引退が近い700系8両編成に乗ることも1つの目的として、新大阪から姫路までの40分をこだま号を選択しました。連休の初日とあり、多くの利用者でにぎわっていました

また、西明石での乗り降りが意外と多いことも印象に残りました。冷静に考えると、小駅といえどある意味「特急停車駅」です。「特急停車駅」とあれば利用客が見込まれ、毎時1本の列車に利用が集中することも当たり前のことでした。こだま号は多くの駅でのぞみ号やさくら号に抜かれます。これは裏を返すと、速達列車への乗りかえチャンスが多いことも意味します。

こだま号に乗っていると、新幹線は主要駅と主要駅の移動に限らない点を認識できます。つまり、速達列車とこだま号を合わせて新幹線という交通システムが成立していることを改めて認識できました。人気のない列車であってもそれぞれの役割があるのです。

そして、車両にはゆとりがありました。このゆとりを次世代の車両にも引き継いてもらいたいと感じました。

前後を読みたい!

果たして前後はどこに行ったのでしょうか?

(←前)東海道新幹線の繁忙期の「のぞみ」に乗る(東京→新大阪)

山陽新幹線のこだま号に乗る(新大阪→姫路):現在地

姫路駅を歩く(2025年)(→次)

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