姫新線の旅(姫路→津山)

記事上部注釈
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中国山地を貫く路線の姫新線と芸備線。路線網だけを見ると山陽本線のバイパス路線にも見えますが、その実態は山中を走るローカル線です。その姫新線の東半分に乗りました。

写真1. 姫新線の姫路側は配慮された新車が導入され、座れれば快適に移動できる

復習:姫新線の路線網

図1. 姫新線とその周囲の路線網(OpeuRailwayMapより引用後加工)

中国地方東部の地図と路線図を示しました(図1)。姫新線と芸備線を組み合わせれば、姫路-新見-広島と山陽本線のバイパスが成立しますし、現在廃線の三江線と組み合わせれば、姫路-三次-江津の中国地方を東西に貫く東西軸としても成立しそうに見えます。

しかし、現実には中国地方の東西軸としては機能せず、地域交通として細々と続いています(芸備線については一部区間で存続すべきかという議論まであります)。

これには多くの要因が考えられますが、一番は沿線人口が少ないことでしょう。また、津山、新見については南北軸がある程度整備されており、沿線の拠点と他の地域の行き来に姫新線や芸備線に用がないことも要因にありましょう。

そのような姫新線ですが、地域輸送としてはある程度機能しており、主な区間の本数は以下の通りです(表1)。

表1. 姫新線の本数(一部の区間便を除く)

区間下り本数
姫路-播磨新宮29本
播磨新宮-佐用14本
佐用-津山8本(一部区間で区間運転あり)
津山-中国勝山12本
中国勝山-新見7本(津山からの通しは6本)

このように、姫路よりは都市近郊鉄道としてある程度機能しており、播磨新宮までは毎時1~2本、その先の佐用までは毎時1本~2時間間隔を目安として確保されていますが、佐用以西はまさにローカル線とう風情です。

津山はそれなりの規模の都市ですが、その津山へのアクセスは津山線が担い、姫新線の役割が小さいです。したがって、津山周辺の本数もそこまで多くありません。

そして乗り通しを念頭に置いていないためか、佐用や津山での乗りかえ時間は最短と限らず、待つことも多いです。

姫新線に実際に乗る

さて、実際に乗りましょう!今回は佐用で乗りかえましたので、分けて記します。

Stage1. 姫路→佐用

まずは姫路近くの都市近郊区間ともいえる姫路から佐用です。この区間(Stage2で記す佐用-上月も含む)は姫新線高速化事業により、ローカル線では速度の高い100km/h運転が可能になっています。

「ローカル線」の最高速度が85km/h以下の路線が多いことや地方の「亜幹線」の最高速度が95km/hであることを考えると、なかなか足の速いほうと思います。

写真2. 姫新線用の気動車が停車中

姫新線用の気動車が停車しています(写真2)。2両編成が127系、1両編成が122系と称します。

写真3. 2両編成が停車中

2両編成が停車中です。ローカル線では2両編成は標準かやや長いほうです。停車中なのにまだ客扱いする前、とこの瞬間は思っていました。

写真4. 多くの乗客が並ぶ

多くの乗客が並んでいます。折り返し上月行きとなる列車はまだ入線しておらず、(列が2つしかないことからわかるように)1両編成でした。1両編成でここまで混んでいるのは問題外といえる対応です。

車内も混んでおり、11:25の発車直前に来た人たちは乗ることをあきらめる人も見られました。私も通路側の席を確保するのがやっとであり、車窓を堪能することは断念しました。

姫路を発車するころには車内中央部分の通路も埋まるほどの混雑でした。播磨高岡、余部と乗客の数は特に変わらず、本竜野でも立ちは解消されませんでした。本竜野で上り列車とすれ違う際も2両編成に立ちが発生していました。

こちらも本竜野で若干空きましたが、通路まで客が立っていました。ただし、いくらか空いており、本竜野までの圧迫感は感じません。

播磨新宮に到着し、ある程度降りました。降りたといっても全員着席には至らず、ゆとりをもって立てるというくらいです。結局、1両編成の列車は佐用まで立ちは解消されませんでした。

写真5. 佐用に着いた列車

佐用に到着です(写真5)。私を含め、多くの乗客が降りました。佐用といっても目的地がどこかあるのだろうか?

写真6. 佐用駅前

佐用駅前です(写真6)。よく見ると、乗ってきた人に対し、自動車の中から声をかける人が多く見られました。そうか!4連休の初日ということで、親戚などに会いに来たのか!

写真7. 自動車がとまっている

自動車がとまっています(写真7)。近い時刻でやってきた特急スーパーはくとでやってきた人もいるでしょう。

4連休の初日なのだから、せめて1両編成から2両編成への増結くらいの対応はお願いしたいと思いました。願わくば、播磨新宮までの20分ヘッドと佐用までの1時間ヘッドも…。

Stage2. 佐用→津山

佐用で1時間以上の待ち時間が発生しました。これは津山での接続などに力点が置かれており、佐用の前後で乗りつぐ人はごく少ないという判断なのでしょう。

写真8. 津山からの列車がやってきた

津山からの列車がやってきました(写真8)。この列車はホームの津山より、そして先ほどの姫路発着はホームの姫路よりにとまります。なぜだろうと考えましたが、姫路よりはホームをかさ上げしており、それ以外はホーム高さはそのままです。両者が混在する区間については、ホームの高さを意識しているのです。

車両の帯色が青系であり、岡山地区の標準と異なります。山陰地区から転属した車両なのでしょう。所属が変わったら帯色も変更すると思っていたので意外でした。

写真9. 前後のドアが開き、乗車!

佐用では前後のドアが開き、スムーズに乗車可能です。今度は窓側に座れました(写真9)!

写真10. 佐用を発車!

佐用を発車しました(写真10)。隣に見える線路は智頭急行線です。現在の南北軸を担う路線であり、大阪や岡山から鳥取方面への特急も運転されています。伯備線と並ぶ陰陽連絡線です。その智頭急行線とは不思議な角度で並走しており、姫路方面からの列車は反対方向に進みます。佐用断面では姫新線が南北に通っており、次の上月は南側からアクセスするためです。

写真11. のどかな風景を走る

のどかな風景を走ります(写真11)。

写真12. 上月に停車!

上月に停車します(写真12)。姫路からの高速化工事の終点ということで大きな規模の駅を想定していましたが、意外と簡素な駅です。姫路からの列車はここまでです(表1の佐用-津山の列車本数には原則として上月発着を含んでいません)。ある意味、ここまでが都市圏輸送の区間です。

写真13. のどかな風景を走る

のどかな風景を走ります(写真13)。津山まで山越えの厳しい風景が展開すると思いきや、山間部の里を走る印象です。

写真14. 美作江見に停車!

美作江見に停車します(写真14)。

写真15. のどかな風景を走る

のどかな風景を走ります(写真15)。

写真16. 緑が美しい

緑が美しいです(写真16)。

写真17. 道路がある

道路と並走します(写真17)。

写真18. 川を渡る

川を渡ります(写真18)。

写真19. 勝間田手前の風景

勝間田手前の風景です(写真19)。マルイといえばファッションを中心とするデパートというのが従来の常識でしたが、マルイといえばスーパーマーケットというのがこれからの常識です。

写真20. 勝間田に停車!

勝間田に停車しました(写真20)。民家もある程度あります。

写真21. 水辺を走る

水辺を走ります。5月上旬とあり、緑が反射する水面は美しいと思います。

写真22. 思想が強そうな看板

車窓に思想の強そうな看板が出現しました(写真22)。私は他人が信じるものについては干渉しない主義です。自宅に来た宗教勧誘の人に対しては、「私が神です」と案内しますが…。

写真23. 建物が増えてきた

建物が増えてきました(写真23)。岡山県第3の都市、津山の市街地に入ったのです。

写真24. 因美線が合流

因美線が合流します(写真24)。因美線と津山線と合わせ、中国地方の南北軸を形成していました。ただし、現在は線形がはるかに良好な智頭急行線にその役割を引き渡しています。

写真25. 東津山に停車!

東津山に停車しました(写真25)。

写真26. 加茂川を渡る

加茂川を渡ります(写真26)。

写真27. 津山に到着!

津山に到着しました(写真27)。区間利用も見られ、津山よりでは乗客が若干増えたものの、津山までついに立ちは発生しませんでした。ローカル線の厳しさを感じます。

(参考)写真28. 津山で下車する様子

参考に津山で多くの乗客が下車する様子を撮影しました(写真28)。

姫新線の東半分に乗ってみて

写真29. 津山に停車中の姫新線列車

今回、中国山地を走る姫新線にスポットを当てました。予想以上に地形の険しさを感じず、沿線にもある程度の人口が集積している様子を感じました。

とりわけ姫路付近は立ちが生じるレベルであり、高速化の効果を感じました。また、連休の初日という条件もありましょうが、(親戚訪問などの)「用事がある」風情の乗客が大半を占めました。一般に利用されている鉄道路線では、趣味や観光などのレジャーとして乗っている人が少なく、姫新線の客層はまさに「利用されている」様子でした。

連休初日かといって、長時間の立ちを強いることは鉄道路線としては正しくありません。例えば、姫路と余部の間のような2駅間程度であれば立ちも許容範囲内です。しかし、実態は佐用まで立ちは解消されませんでした。混む時期にはピンポイントで増結し、ある程度の快適性を約束することがローカル線の使命と感じました(本数が少なく、立ちが前提であれば鉄道利用から遠ざかります)。また、沿線各駅で改札をしっかりと整備し、姫路での中間改札をなくして新快速との接続を改善することも肝要でしょう。

他方、佐用-津山は沿線に工場などの「通勤や用務利用の目的地」とも呼べる場所が点在しているように見えました。これらの通勤や用務利用(工場来訪など)に姫新線を使えるようにすることも重要と思いました。そのことを考えると、1時間間隔でも実は過剰ではないかもしれません。

これらを考慮すると、姫路側では毎時2~3本を確保しつつ、佐用までは毎時1本を約束すると良いでしょう。佐用-津山は2時間間隔を約束しつつ、津山よりや朝夕は1時間間隔を確保。そして、津山では高速運転の快速列車に短時間で接続するタクトダイヤを実現し、新幹線から姫新線沿線への足を確保ということです。

姫新線の東半分は沿線人口も少ないとは思えず、鉄道利用の土壌を感じられます。これからも低コスト(運賃をしっかりと徴収することも含む)とある程度の利便性確保が必要に思いました。

前後を読みたい!

果たして前後はどこに行ったのでしょうか?

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姫新線の旅(姫路→津山):現在地

津山線の普通に乗る(津山→岡山)(→次)

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