山陽本線岡山地区。それなりに利用が見られつつ、一方でのどかな風景のなかを走る路線でもあります。その山陽本線に倉敷から福山まで乗車しました。

写真1. 倉敷に入線した普通三原行き
復習:山陽本線(岡山地区)の運行形態
最初に山陽本線(岡山地区)の運行形態を紹介します。
表1. 山陽本線(岡山地区)の主要駅間の所要時間と運転間隔
所要時間(岡山-福山) | 約60分 |
所要時間(倉敷-福山) | 約40分 |
運転間隔(岡山-福山) | 約30分~40分(金光以東は約20分~40分) |
所要時間(福山-三原) | 約35分 |
運転間隔(福山-三原) | 約40分 |
山陽本線(岡山地区)はもともとシティ電車として発展してきましたが、その退潮は2000年代後半に始まりました。現在は岡山-金光は20分~30分間隔を目安(平日の昼間は約40分間隔のこともある)、金光-三原は40分間隔目安です。ただし、パターンダイヤは導入されておらず、都度時刻表を確認する必要があります。
ただし、乗ると速度は速く、58.3kmも離れている岡山-福山を60分で結びます。これは目立ちませんが、日本の普通電車としては速度の速いほうです。
参考までに岡山-福山の本数の推移を簡単にまとめます(表2)。
表2. 岡山-福山の本数の推移
2008年 | 快速30分間隔+普通約15分間隔 |
2012年 | 普通20分間隔 |
2022年 | 普通20~40分間隔(金光以東20分間隔) |
2023年 | 普通40~60分間隔(金光以東20~40分間隔) |
2024年 | 普通20~40分間隔(金光以東20~30分間隔) |
2022年ダイヤ改正までは20分間隔がほぼ守られていました。一部の金光以西の運転を取りやめ、金光以西だけといえど、2022年ダイヤ改正では40分のダイヤホールが生じるようになりました。2023年にはこれが深度化し、2022年ダイヤ改正で運転されていた岡山-福山通しの列車を一部削減し、金光以東にも40分のダイヤホールが生じ、かつ金光以西は60分のダイヤホールが生じることになってしまいました。
この点は2024年ダイヤ改正で一部是正され、金光以西で60分のダイヤホールは廃絶され、最大40分間隔に復帰しました。また、金光以東でも40分開く箇所は30分間隔に調整されています。
2020年以降の社会変化にともなう需要減があり、それが(年単位で作成するために)2022年、2023年ダイヤ改正で反映されたことになります。2024年、2025年の本数の一部復元は2022年度以降の需要回復によるものでしょう。
なお、ここまでの記述は細かな分単位の違いについては触れておらず、実際には30分以上のダイヤホールが生じる箇所はあります。
倉敷から福山まで実際に乗る
御託はこの程度にして、実際に乗りましょう!

写真2. 運転間隔がいびつ
運転間隔がいびつです(写真2)。2025年ダイヤ改正から、土曜・休日に限り岡山10:57→金光11:29/11:36→岡山12:12が増発されています。これなら、11:20発を7分くらい後にずらし、かつ先発を3分くらい前にずらすと、運転間隔が均等になります。

写真3. 先発の金光行きは空いている
先発の金光行きは空いています(写真3)。私のようにあえて先発の金光行きを見送り、後の三原行きを待つ人も散見されました。笠岡や福山に行きたい人もそれなりにいるのでしょう。

写真4. 普通三原行きがやってきた
普通三原行きがやってきました(写真4)。国鉄型の黄色の電車です。まだ115系電車が現役だから、それに当たったと少しの間思いましたが、これは113系電車です。この区間には目立った勾配はなく、抑速ブレーキなしの113系でも用は足りるということでしょうか。新型車両投入で異端児が先に排除されると思いましたが、そのようなことはないのでしょうか。
山陽地区の113系電車、115系電車の内装について紹介しています。
車内中央部の転換クロスシート部分は空いていなかったように見えましたので、車端部のボックスシートに陣取りました。

写真5. 倉敷を発車!
倉敷を発車しました(写真5)。倉敷のホームは古さを売りにする倉敷らしい意匠が凝らされています。

写真6. 伯備線が分岐!
伯備線が分岐します(写真6)。国鉄系の路線は分岐駅手前で実質的に分岐し、分岐駅直後で分岐する線形が多いように見えます。個人的には分岐駅では方向別ホームのほうが、倉敷から岡山に向かうのにホームが分かれなくて便利になるとは感じます。

写真7. 住宅街を走る
住宅街を走ります(写真7)。

写真8. 西阿知に停車
西阿知に停車します(写真8)。西阿知ということは阿知はどこでしょうか。答えは倉敷駅周辺の周辺の地名です。

写真9. 高梁川を渡る
高梁川を渡ります(写真9)。
動画1. 西阿知→新倉敷の走行風景
その走行風景を動画で収録しました(動画1)。国鉄型の走行風景が伝わると思います。

写真10. 新幹線の高架が近づく
新幹線の高架が近づきます(写真10)。

写真11. 新倉敷に停車!
新倉敷に停車します(写真11)。新幹線開業時に開業した駅のように見えますが、もともと玉島駅として君臨していました。

写真12. 新幹線の高架が徐々に遠ざかる
新幹線の高架が徐々に遠ざかります(写真12)。

写真13. 田園風景を走る
田園風景を走ります(写真13)。

写真14. 金光に停車!
金光に停車します(写真14)。ここで折り返し岡山行きが発車を待っていました。

写真15. 田園風景を走る
田園風景を走ります(写真15)。

写真16. 鴨方に停車!
鴨方に停車します(写真16)。駅前の発展具合は金光と差がないように見え、1駅の違いで本数の格差が生じるのはどうかとも感じます。

写真17. のどかな風景が広がる
のどかな風景が広がります(写真17)。

写真18. 里庄に停車!
里庄に停車します(写真18)。昔は東京と九州を結ぶ大幹線としての役割があったためか、多くの駅で側線があります。1980年代以降のシティ電車に合わせた新駅ではそのような線路がなく、識別が可能です。

写真19. 丘陵地帯が広がる
丘陵地帯が広がります(写真19)。

写真20. 歴史のある街を走る
歴史のありそうな街を走ります(写真20)。

写真21. 笠岡手前の混雑状況
笠岡手前の混雑状況です(写真21)。4両編成の先頭車かつ休日午前中の都市から離れる区間でこの程度の乗車率であれば乗っているほうに見えます。

写真21. 笠岡に近づく
笠岡に近づきました(写真21)。山陽本線の岡山県内最西端の駅です。

写真22. 笠岡に停車!
笠岡に停車します(写真22)。

写真23. 丘陵地帯を走る
丘陵地帯を走ります(写真23)。確かに少しだけ山がちですが、県境あたりの雰囲気をあまり感じません。

写真24. 大門に停車!
大門に停車します(写真24)。ここから多くの高校生が乗ってきました。やはり県内で動くのでしょうか。それもあり、一気に混んできました。

写真25. 新しい住宅が見える
新しい住宅が目立ってきました(写真25)。倉敷郊外のベッドタウン以来の風景です。

写真26. 貨物駅も見える
貨物駅も見えます(写真26)。

写真27. 東福山に停車
東福山に停車します(写真27)。住宅街の中にあり、発展が期待できる駅です。もっとも2021年7月1日より無人駅になっていますが。

写真28. 住宅街を走る
住宅街を走ります(写真28)。

写真29. 新しい住宅が多い
新しい住宅が多いです(写真29)。都市圏を感じさせる風景です。

写真30. 高架線を走る
高架線を走ります(写真30)。山陽本線としては岡山駅西側以来ではないでしょうか。

写真31. 福山で多くの乗客が降りる
福山で多くの乗客が降ります(写真31)。(祝日に乗ったこともあり)心なしか乗客の皆さんは「列車から降りられる」と伸び伸びとしていたように見えます。私のように残念…と思う人は少数派なのでしょう。

写真32. 多くの乗客が出口に向かう
多くの乗客が出口(新幹線乗換含む)に向かいます(写真32)。

写真33. 福山である程度空いた
福山である程度空きました(写真33)。とはいえ、福山から尾道に向かう観光客もいるはずです。
山陽本線(岡山地区)に乗ってみて

写真34. 倉敷発車後の車内
今回、岡山県第2の都市から広島県第2の都市まで幹線に乗りました。かつてはシティ電車として名をはせ、かつ平均10分間隔を誇った区間です。沿線風景を見るとそれなりに都市化されており、シティ電車を運転された様子も納得できます。
ただし、現実は4両編成ということもあり空席があった区間もあったことも事実です。反面、インバウンド需要の興隆もあり、現状の20分~40分間隔は間延びし過ぎで、都市の中心駅では混雑も認められました。他方、市街地にありながら駅がなく、潜在需要を逃しているようにも見えました。
今後、新型車両に統一される日が来るでしょう。その際は一部列車のワンマン運転を前提とした短編成高頻度化政策を再度推進いただき、15分間隔運転を復帰いただきたいものです。