広島県第2の都市、福山。その代表駅の福山駅は特殊な構造の駅です。そんな福山駅を歩きました。

写真1. 福山城から見る福山駅
補足本記事は鉄道関係の記事です。そのため、輸送実態に合わせ、福山は(広島県ですが)「岡山地区」と称することにします。本記事での「広島地区」の定義は糸崎以西(駅構内は岡山地区)とします。
復習:福山駅の概要
最初に福山駅の概要を紹介します。
図1. 福山駅の位置(googleマップより引用)
- 所在地:広島県福山市三之丸町30-1
- 路線:山陽新幹線、山陽本線、福塩線
- 規模:2面2線+通過線2線(新幹線)、3面6線(在来線)
福山駅の位置を示しました(図1)。福山の表玄関として位置し、福山城は北側、市街地は南側にあります。また、新幹線を含む複数の路線が乗り入れており、長距離交通へのアクセスも可能です(停車しない新幹線列車もありますが)。
山陽新幹線はのぞみ号も毎時1本停車(多客期運転の臨時列車を含むと毎時2本)し、東京や名古屋からも乗りかえなしで行けます。また、さくら号も毎時1本停車(多客期運転の臨時列車を含むと毎時2本)し、大阪や九州方面にも乗りかえ不要でアクセスできます。このほか、こだま号も毎時1本停車します。中堅駅としてそれなりの利便性を誇るということです。
ただし、在来線はそこまで便利ではありません。山陽本線は福山の前後を15分間隔で運転されていた時期もありますが、2025年現在は20~40分間隔です。これは2020年からの需要減を反映した運行計画を2022年以降に適用したという側面があります。2024年、2025年ダイヤ改正ではやや本数は回復していますが…。
福塩線もそこまで便利ではありません。毎時1本程度の運転はありますが、パターンダイヤになっていません。福塩線は方角的には山陰方面を向いていますが、山陰方面の連絡路線としての役割を放棄しています(福塩線経由だと山陰方面には大回りになるため、近隣の伯備線にその役割を集約することは妥当とは思いますが)。
他方、四国方面の連絡駅という役割があります。すなわち、福山と今治を結ぶバス路線があり、福山から公共交通機関で四国に向かうことができます。
実際に四国から本州にこの路線バスに乗っています。

写真2. 在来線の上に新幹線が重なる様子(福山オリエンタルホテルの客室より撮影)
福山駅の構造には興味深いものがあります。それは新幹線と在来線の多層構造であることです(写真2)。通常の新幹線駅は在来線駅の横に建設されます。しかし、福山駅は在来線の上に新幹線ホームがあり、xy軸上は在来線と新幹線が同一地点にあります。
実際に福山駅を歩く
御託はこの程度にして、福山駅を実際に歩きましょう!理解の補助として、公式サイトに掲載されている構内図を示しました。
改札外の様子

図2. 福山駅の構内図(JRおでかけネットより引用)

写真3. 北側から眺めた福山駅
北側から眺めた様子です(写真3)。

写真4. 南側から眺めた福山駅
南側から眺めた様子です(写真4)。1Fにコンコース、2Fに在来線、3Fに新幹線というある意味単純な構造です。そして、線路が東西方向、通路が南北方向ということです。

写真5. 連絡通路の様子
連絡通路の様子です(写真5)。これは改札付近から北側を眺めた様子です。

写真6. 連絡通路から南側を眺める
連絡通路から南側を眺めます(写真6)。

写真7. 改札口を眺める
改札口を眺めます(写真7)。新幹線/在来線とも同じ改札口を共用します。これにより、全体の改札口を2つに集約しています。別の表現をすると、新幹線に乗るためには、在来線改札と新幹線乗換改札の2つの改札口を通る必要があります。

写真8. 改札口に近づく
改札口により近づいた角度からも撮影しました(写真8)。

写真9. 駅には商業施設が入る
駅の東側の高架下には商業施設が入ります(写真9)。

写真10. さんすて福山の様子
さんすて福山という商業施設が入り、駅から雨にぬれずに行くことが可能です。福山駅そのものは待合室は充実しているとは言いがたいですが、ここがそれを補完しています。さんすてとは、サンステーションテラスという岡山支社の商業施設の略称です。
改札内の様子
次に改札内の様子を示します。

写真11. 改札内の様子
改札内の様子です。正面に新幹線改札口があります。

写真12. 正面の新幹線改札口
正面の新幹線改札口です(写真12)。

写真13. 新幹線改札口に近づく
新幹線改札口に近づきました(写真13)。在来線よりも人が多く、新幹線の興隆を感じます。広島県第2の都市であり、このような駅から細かく乗客を集めることが重要です。

写真14. 在来線ホームへの階段
在来線ホームへの階段があります(写真14)。山陽本線ホームは改札口から直進方向にあります。

写真15. 福塩線ホームへの階段
福塩線ホームへの階段は脇にあります(写真15)。福山駅は基本的に山陽本線下りは3番のりばと4番のりば、山陽本線上りは5番のりばと6番のりばに統一されています。

写真16. 福塩線ホームの様子
福塩線ホームの様子です(写真16)。階段が1か所にしかなく、ホームの長さも短いです。福塩線の本数も多くなのですから、山陽本線ホームに着けたほうが乗客的には便利とは思いますが、どうでしょうか。

写真17. 福山駅の山陽本線ホーム
福山駅の山陽本線ホームです(写真17)。列車を降りた際には気づきませんでしたが、ホームを上下方向に貫通しているのは、改札口と新幹線ホームに続く階段でしょうか。

写真18. 山陽本線ホームの様子
山陽本線ホームを別の角度から撮影しました(写真18)。西日本地区らしく、ホームのベンチは横向きです。ホーム転落を防ぐ取り組みの1つです。

写真19. 福山駅の新幹線ホーム
新幹線ホームの様子です(写真19)。長距離輸送の覇者、新幹線の利用客は在来線とはけた違いに見えます。
福山駅を発着する列車
最後に福山駅を発着する列車を紹介します。

写真20. 福山どまりの電車がやってきた
福山どまりの電車がやってきました(写真20)。折り返し普通岡山行きに変わります。岡山地区の主力の115系電車です。この角度で見ると、在来線と新幹線の重層構造であることがわかります。

写真21. 広島地区の車両も姿を見せる
福山の在来線ホームの電車は基本的に岡山地区の車両です。しかし、広島地区の車両も姿を見せます(写真21)。残念なことは福山-広島を通す運転でなく、三原までの運転です。糸崎での乗りかえは同一ホームとはいえ、せっかく広島地区の車両を使っているのだから、福山-広島の直通とすれば利便性が向上します。
発車ホームを統一するのは良い取り組みですが、到着ホームが異なります。したがって、福山で乗りかえる人は階段を使って乗りかえる必要があります。

写真22. 山陽本線ホームに着いた113系電車
山陽本線ホームに着いた黄色い電車です(写真22)。先の車両と異なり、関西地区で長らく活躍した車両であり、側面の行先表示が異なります。勾配の関係ない区間で運転するため、115系電車でなく113系電車でした。

写真23. 岡山地区にも新型車両が徐々に導入される
岡山地区にも新型車両が徐々に導入されています(写真23)。毎時2本でそれなりに混んでいるように見えましたので、かつてのシティ電車のように毎時4本に復活しても良いのでは?この新型車両は227系500番台と称しますが、広島地区の0番台と車内レイアウトが異なり、ドア間に座席が4列しかありません。広島地区と同じレイアウトであれば、車両が共通化でき、福山や糸崎での分断を解消できるチャンスでした。

写真24. 福塩線の電車
福塩線の電車です(写真24)。福塩線は105系電車の独壇場という先入観がありましたが、115系電車も入ります。

(参考)写真25. 福塩線の主力105系電車
参考に105系電車の姿を示します(福山オリエンタルホテルの客室より撮影、写真25)。

写真26. 観光列車etSETOra
広島地区の観光列車のetSETOraもやってきます(写真26)。このときばかりは車両に撮影する人が多かったと記憶しています。もっとも113系や115系電車の引退時にはジャーナリストさんがこぞって撮影にやってくるのでしょうが…。

(参考)写真27. ジャーナリストが集結する様子
参考にジャーナリストが集結する様子を示します(写真27、川崎駅工事時の武蔵小杉迂回の特急踊り子の停車時)。
福山駅を利用してみて

写真28. 福山城から眺めた福山駅
在来線と新幹線の重層構造の福山駅。利用した際は在来線ホームが暗く感じましたが、その理由を知って納得できました。土地の有効活用という意味では興味深い事例といえ、都市部ならではの駅といえましょう。
ただし、重厚長大な建造物を造っていた国鉄時代を感じさせる動線の長さも感じました。これが民鉄であれば、新幹線の同じホームに在来線列車を発着させ、利便性を少しでも高めるのでしょう。そして、新幹線、在来線ともに集客しようとしましょう。それがないのが国鉄譲りの構造物を使う駅というものを感じました。
また、大型連休前後に訪問したとあってか、利用客も多く、利用者あっての駅ということを改めて実感しました。
コメント
取材ありがとうございました。私は今は京都在住ですが、福山育ちでこの記事を見つけた時はうれしかったです。差在来の上に新幹線で乗り換えは一度1階の改札を抜けなくてはならないですよね。昔は階段で新幹線と在来線のホームが階段で連絡されてたのですが。不便になりました。
また、駅はその都市の玄関なのにもかかわらず、駅全体の老朽化が進んでいるのにリニューアルする気配すら感じません。出張で来られた方が「今度は観光で」ととても思っていただける、わくわくを感じられるようではありません。観光列車や新型車両も段々と充実してきているのでそれに合わせて駅前の商業施設と協力しながら駅のリニューアルを進めてほしいと願っております。
今回はありがとうございました。
※投稿者が本名(のような名前)でしたので、投稿者さんの名前を弊サイト側で書き換えました。