山陽新幹線のこだま号。ゆったりとした車両が使われることが多く、中距離利用であれば視野に入る選択肢ではあります。そんなこだま号に乗って約160kmを移動しました。

写真1. 三原に停車中の様子
復習:広島と岡山の移動方法概論
さて、広島と岡山の移動方法の概要を紹介しましょう。主な移動手段は以下の通りです(表1)。
表1. 広島と岡山の移動手段の概要
所要時間 | 本数 | 運賃+料金 | |
新幹線 | 35分~40分 | 毎時4本以上 | 5,610円 |
高速バス | 2時間40分程度 | 1日6往復 | 3,100円(往復6,500円) |
在来線 | 3時間程度 | 毎時1本程度 | 3,080円 |
王道は新幹線です。広島と岡山は160km近く(在来線の営業キロ)ありますが、その間をわずか35分~40分で結びます。また、東京と博多を結ぶ経路上ということもあり、本数も確保されています。
具体的には、東京-博多を結ぶのぞみ号が毎時2本、東京と広島を結ぶのぞみ号が毎時1本、そして新大阪と鹿児島中央を結ぶさくら号が毎時1~2本です。いずれも広島、岡山にとまりますから、1時間に4本以上が運転されています。ここでの本数は定期列車のみであり、臨時列車を含むと本数は増えます。
ただし、運賃と料金(新幹線の場合は特急料金がかかります)の合計は5,610円(自由席)であり、この中では最も高価な移動手段です。座席は横5列配列が主体ですが、さくら号やみずほ号の指定席は横4列配列です(さくら号やみずほ号でも自由席は横5列配列)。
少し節約したい場合は高速バスでしょう。ただし、所要時間は新幹線の4倍以上の2時間40分前後であり、新幹線よりも2時間かかってしまいます。また、本数も1日6往復です。複数のバス会社による運行ですが、両備バスのホームページで確認することができます。
その高速バスとほぼ同じ料金・速度で移動できるのが在来線です。ただし、在来線の場合は直通列車は設定されておらず、糸崎で乗りかえることになります。これは在来線の管轄支社が異なり、車両運用を最適化するためと理解しています。日中時間帯でも1時間間隔(糸崎-岡山は20~40分間隔)です。広島近辺は本数が多いですが、白市以東の本数が1時間間隔なので、このような組み合わせとなります。
新幹線は便利で速いのは事実ですが、昨今のインバウンド需要の影響もあり、混雑が激しい区間もあります。その場合、所要時間をやや犠牲にすると座席が広いこだま号を選択する方法もあります。所要時間は80分程度とかかりますが、それでも高速バスよりも所要時間は半分です。そして、こだま号は指定席は横4列シートが約束され(さくら号よりも埋まりにくい)ます。
2025年6月現在での使用車両とその特徴をまとめます(表2)。
表2. 山陽新幹線こだま号の使用車両
指定席号車 | 特記事項 | |
700系8両編成 | 4~6号車(横4列シート) | 7号車、8号車も横4列シート |
500系8両編成 | 4~6号車(横4列シート) | 6号車は元グリーン車 |
自由席でゆったりとした座席に座りたいなら700系、指定席でゆったりとしたいのなら500系という選択肢が良いでしょう。もちろん、自分が乗りたい時刻の列車に乗ることが最重要です。
この区間ののぞみ号に乗っています。
広島から岡山への「のぞみ」での移動(車窓も堪能、22年GW)

写真2. 700系こだま号の座席

写真3. 500系5号車の座席
山陽新幹線のこだま号に実際に乗る(広島→岡山)
御託はこの程度にして、実際に乗りましょう!

写真4. 広島駅の電光掲示板
広島駅の電光掲示板です(写真4)。先発のこだま842号と次発ののぞみ8号が並んでいます。
- こだま842号:広島8:40→岡山9:55/10:09→新大阪11:25
- のぞみ8号:広島8:43→岡山9:19/9:20→新大阪10:04/10:06→名古屋10:55/10:57→東京12:33
このように、岡山で36分差、新大阪で79分差になっています。

写真5. 14番のりばにこだま号が入ってきた
14番のりばにこだま号が入ってきました。本来の500系新幹線はシャープな形状とシックな外観が特徴ですが、今回はハローキティラッピングと称し、異色となっています。あまり好ましくないと思います…。

写真6. こだま号のドアが開く
こだま号のドアが開きました(写真6)。
車内の観察
最初に車内を観察します。

写真7. 6号車の車内はゆったりとした座席

写真8. 座席背面にはテーブルがない
座席背面にはテーブルがありません(写真8)。これでは不都合に見えますが!

写真9. ひじかけにテーブルが備わる
ひじかけにテーブルが備わります(写真9)。

写真10. テーブルを展開!
テーブルを展開します(写真10)。テーブルはそれなりの大きさです。

写真11. 6号車の座席
6号車の座席です(写真11)。座った瞬間に「普通の席より広い!」と感じました。グレー味の配色は1990年代を感じさせます。

写真12. そのほかの指定席車両
そのほかの指定席車両の様子です(写真12)。横4列シートでじゅうぶんのお値打ちですが、6号車に比べると見劣りしてしまいます。ところで意外と乗車率が高いです。時間をある程度犠牲にして、あえてこだま号を選んでいるのか、こだま号停車駅への利用が多いのか…?

写真13. 自由席車両は横5列シート
自由席車両は横5列シートです(写真13)。一般的な新幹線車両と同等の配列です(写真13)。東海道新幹線の車両は青系のシートですので、新鮮さを感じます。

写真14. 2号車はキティを意識した内装
3号車~8号車は通常の車内ですが、1号車と2号車は特別仕様でした。2号車はなかなかパンチのある床に変更されていました(写真14)。

写真15. 1号車の売店
1号車は1両まるごと売店に変更されていました(写真15)。「通常の座席」が8両ぶんから7両ぶんに減っていますが、こだま号は空いているから問題ないということでしょうか。
カウンターはガラガラでしたが、これで採算を取れるのか部外者ながら心配になってしまいます。

写真16. デッキの雰囲気
デッキの雰囲気です(写真16)。JR西日本らしいシックさは残っていますが、客寄せパンダ的にキティラッピングがなされているのが雰囲気を壊しているような…。

写真17. デッキのドア
デッキのドアです(写真17)。シックな雰囲気にキティラッピングはそぐわないように感じます。

写真18. 洗面台の様子
洗面台の様子です(写真18)。
車窓を楽しむ
さて、車窓を楽しみましょう!この日は初夏らしい晴れた日でしたので、車窓を楽しむには絶好の日よりです。

写真19. 広島を発車!
広島を発車しました(写真19)。朝9時前とあってか、道路は混んでいます。このような時こそ鉄道の出番です。

写真20. 住宅街を走る
住宅街を走ります(写真20)。

写真21. 田園風景を走る
あたりが田園風景に変わりました(写真21)。

写真22. 東広島に停車!
東広島に停車しました(写真22)。

写真23. 赤い屋根の家が多い
赤い屋根の家が多いです(写真23)。中国地方には赤い瓦屋根の家が多いと聞きますが、まさにその一例です。

写真24. 都市らしい風景
都市らしい風景も展開します。そろそろ三原です。

写真25. 三原で外に出る
三原では速達列車の通過待ちでしばらく停車するとのことでしたので、先頭車を撮影しました(写真25)。

写真26. 円筒形の車体断面とわかる
円筒形の車体断面とわかります(写真26)。

写真27. 三原を発車!
三原を発車します(写真27)。

写真28. 新尾道に停車!
すぐに新尾道に停車します(写真28)。三原からの営業キロは11.5kmであり、品川-新横浜の12.0kmより短いです。ほとんどの駅に停車するひかり591号でさえ通過します(新大阪と博多の間で新尾道と厚狭しか通過しない)。

写真29. インバウンド需要も受け入れている?
こだま号とはいえ、在来線よりも速達性に優れています。そのためか、新尾道からもインバウンド客の姿が見えます(写真29)。

写真30. 民家も見かける
山陽新幹線は東海道新幹線よりも都市圏らしさは感じませんが、それでも日本の東西軸とあってか、都市圏らしさを感じる箇所も多いです(写真30)。

写真31. 福山の市街地を走る
福山の市街地に入りました(写真31)。広島県第2の都市ですので、市街地の規模も相応です。

写真32. 福山城が見える
福山城が見えます(写真32)。こちらからあちらが見えるということは、あちらからこちらも見えるということです。

写真33. 福山に停車!
福山に停車します(写真33)。福山城に近い立地です。

写真34. 福山で乗らない人も多い
福山で乗らない人も多いです(写真34)。こだま842号の4分後にのぞみ120号(臨時列車)が発車し、10分後にのぞみ12号(定期列車)が発車するダイヤですので、急ぐ人はのぞみ号を待つのです。また、この接続によって、東広島、三原、新尾道から名古屋・東京方面への連絡も兼ねているのでしょう。

写真35. 建物が多い
福山を発車しました。しばらくは建物が多いです。

写真36. 郊外的な風景を走る
都市圏の郊外らしい風景を走ります(写真36)。
動画1. 500系走行の様子
500系新幹線走行の様子を動画で撮影しました(動画1)。

写真37. のどかな風景に変わってきた
のどかな風景に変わってきました(写真37)。

写真38. 都市圏に入ってきた
再び都市圏に入ってきました(写真38)。岡山に近づいてきたのです。

写真39. 新倉敷に停車!
新倉敷に停車しました(写真39)。

写真40. 高梁川を渡る
高梁川を渡ります(写真40)。

写真41. 岡山に到着!
岡山に到着しました(写真41)。今回はここで降りることにしました。

写真42. シャープな先頭形状
シャープな先頭形状です(写真42)。

写真43. のぞみ14号と緩急結合
のぞみ14号と緩急結合します(写真43)。かつてののぞみ号の車両と現代ののぞみ号の車両のコラボレーションです。
500系のこだま号に乗ってみて

写真44. 円筒形の車体断面に横5列の座席配列だと狭さは隠せない
今回、残りの寿命が短い500系に乗りました。のぞみ号の運用から撤廃し、今やこだま号専用の車両になっています。しかし、横4列の車内はゆったりとしており、かつてほどではありませんが、俊足さも感じました。
ただし、円筒形の車体断面ということもあり、現在の新幹線の主力車両としては「狭い」でしょう。それが500系の東海道新幹線からの引退の大きな理由であり、現代の車両にそぐわない点もありましょう。
今後は置き換えの波にもまれるでしょう。置き換えとなる車両は円筒形の車体断面ではなく、車内も「広く」、サービスアップは確実です。また、加速性能や最高速度という意味でグレードアップし、主要駅間の所要時間も短縮できるかもしれません。そのなかで、横4列シートなどのゆとり、そして東海道新幹線と異なるシックな配色も受け継いでもらいたいものです。
他方、こだま号といえど(毎時1本ということもありましょうが)利用客はそれなりに見られ、小駅を結ぶ需要も見られ、幹線軸の輸送量の大きさも実感したのでした。
果たして前後はどこに行ったのでしょうか?
(←前)ホテル川島(広島駅すぐ)の宿泊記
こだま号の旅(500系、広島→岡山):現在地
さくら号の旅(岡山→新大阪)(→次)
★今回の旅行の全体像は25年GW瀬戸内旅行のまとめに記載しています。