山陽新幹線の速達列車。東京に直通するのぞみ号が圧倒的存在感ですが、リーズナブルな存在があります。座席グレードも高い穴場的列車を活用しました。

写真1. 新大阪に到着したさくら号
復習:新大阪と岡山の速達列車
最初に新大阪と岡山の速達列車について簡単に紹介します。
表1. 新大阪と岡山の速達列車の概要
所要時間 | 45分~50分 |
運賃・料金 | 5,610円 |
運転本数 | 毎時4本以上 |
主力は東京直通ののぞみ号です。毎時2本が東京-博多運転、毎時1本が東京-広島運転で、合計毎時3本の運転です。定期列車は毎時3本ですが、最大で毎時4本の臨時列車が入り、繁忙期では最大毎時7本運転されます。
このほかに新大阪-鹿児島中央にさくら号が毎時1本運転されます。乗客の多い時間帯はこれに毎時1本のみずほ号が加わり、このほかに毎時1本の臨時列車が加わることがあります。すなわち、新大阪発着の鹿児島中央直結が毎時1本~毎時2本が確保されるということです。さくら号は山陽新幹線で新神戸、岡山、広島と小倉のほかに2駅以上を選択停車(姫路、福山、徳山、新山口のうち2駅のことが多い)し、みずほ号は姫路に追加停車するかしないかという速達性です。なお、みずほ号とのぞみ号は同額の追加料金が必要です。
合計で毎時4本~毎時8本の速達列車が運転されます。速達列車以外の列車も毎時1本~毎時2本あり、これ以上の増発は、新神戸駅で交互発着ができないために難しいとされます(のぞみ停車駅全駅で交互発着している東海道新幹線でも毎時16本運転が最大)。これ以上の増発には、新神戸通過の臨時列車を設定するしかありません。

写真2. のぞみ号の普通車

写真3. さくら号(みずほ号)の普通車自由席

写真4. さくら号(みずほ号)の普通車指定席の車内
のぞみ号の普通車、さくら号(みずほ号)の普通車をそれぞれ示しました(写真2~写真4)。個人的所感ですが、のぞみ号の普通車が最もチープに見え(彩度を低くするか色相を赤~オレンジ系に変えれば照明とのチグハグさが解消されると思う)、さくら号のほうがやや高級感あります。とりわけ、さくら号の指定席は横4列シートで乗り心地はかなり良いです。
ましてや、さくら号はのぞみ号より安い料金で指定席に乗れますから、時間が合えばさくら号で移動するほうが良いでしょう。
実際にさくら号で移動する
御託はこの程度にして、実際に岡山から新大阪まで移動します。
さくら号の指定席
最初にさくら号の指定席の様子を紹介します。

(再掲)写真5. さくら号の普通車指定席
さくら号の普通車指定席の様子です(写真5)。グレーと茶色を上手に活用し、シックながら上質の雰囲気を演出しています。

写真6. さくら号の普通車指定席の雰囲気
座席背面が強調されるアングルで撮影しました(写真6)。

写真7. 座席を横から眺める
座席を横から眺めます(写真7)。ドリンクホルダが目立ちます。

写真8. 車内の雰囲気
車内の雰囲気を座席から撮影しました(写真8)。

写真9. 座席背面の様子
座席背面の様子です(写真9)。

写真10. ひじかけの様子
ひじかけの様子です(写真10)。普通車指定席料金でこのグレードを堪能できる地区の人たちがうらやましく感じます。

写真11. ドリンクホルダを展開
ドリンクホルダを展開しました(写真11)。

写真12. テーブルを展開
テーブルを展開しました(写真12)。ここも木を印象付けるデザインです。
さくら号の車窓
さて、さくら号の車窓を楽しみましょう!

写真13. 電光掲示板に示されるさくら号
岡山駅の電光掲示板に示されます(写真13)。新大阪までしか行かないさくら号よりも名古屋や東京にも行けるのぞみ号のほうが選ばれ、輸送力も違うことがわかります。

写真14. 岡山駅で待つ人々
岡山駅で列車を待つ人々です(写真14)。西日本地区らしくベンチが横向きです。

写真15. さくら号が入ってきた
さくら号が入ってきました(写真15)。のぞみ号よりも車体は青みが強いですが、写真にするとわかりにくいです。

写真16. 岡山を発車!
岡山を発車しました(写真16)。

写真17. 徐々に建物が減る
徐々に建物が減ります(写真17)。

写真18. のどかな風景を走る
のどかな風景を走ります(写真18)。
動画1. 快走する様子
快走する様子を動画で撮影しました(動画1)。

写真19. 川を渡る
川を渡ります(写真19)。

写真20. 緑が広がる
緑が広がります(写真20)。山陽新幹線の岡山と相生の間には岡山県と兵庫県の境界があり、ひいては中国地方と近畿地方の境界があります。それだけに山がちで緑も多い点は納得できるかもしれません。

写真21. 徐々に開けてきた
徐々に開けてきました(写真21)。

写真22. 山陽本線が並走する
相生を通過したあたりの風景です。山陽本線が並走します(写真22)。

写真23. 周囲が開けてきた
周囲が開けてきました(写真23)。播磨平野に入ったことを実感します。
動画2. かなり速い速度で快走!
かなり速い速度で快走します(動画2)。さすが新幹線で乗り心地は良く、そのせいか自分が止まっていて、周囲の風景が変わるだけの仮想現実にいるような錯覚も覚えてしまいます。また、岡山まで乗っていたこだま号と風景の流れる速度が違うようにも感じます。
(参考)動画3. こだま号から眺める風景
参考に動画を再掲しました(動画3)。

写真24. 姫路を通過!
姫路を通過します(写真24)。姫路に停車する速達列車は毎時1本程度であり、そのほかは通過します。姫路通過列車は岡山と新大阪を45分で結び(のぞみ号もさくら号もほぼ同じ)、姫路停車列車は岡山と新大阪を49分で結びます。
例えば、私の乗っているさくら542号は45分で結び、岡山を約30分後に出発するのぞみ90号は48分で結びます。しかし、さくら542号よりのぞみ90号のほうが指定席料金は320円高いのです。つまり、速達料金を取っている列車のほうが所要時間が3分長いという現象が生じているのです。特定の一面をとらえただけのことですが、これはやや不合理といえます。
マニアはこのようなことにめくじらを立ててしまうのです。

写真25. 郊外の風景を走る
郊外の風景を走ります(写真25)。

写真26. 西明石付近の住宅街を走る
西明石付近の住宅街を走ります(写真26)。

写真27. 新神戸に停車!
新神戸に停車します(写真27)。このあたりに来ると、新大阪までしか行けない、さくら号は中途半端に見えてしまいます。全列車停車駅でありながら2面2線という貧弱な配線です。もっともトンネルの間にある立地なので、駅があるだけ先人の努力によるものと理解したほうが良いかもしれません。

写真28. 住宅街を走る
新神戸を発車後、トンネルを抜けると住宅街を走ります(写真28)。

写真29. 川を渡る
川を渡ります(写真29)。

写真30. 阪急電車の線路を渡る
阪急電車の線路を渡ります(写真30)。

写真31. まもなく新大阪
高層ビルが増えてきました。線路も分岐し、まもなく新大阪です(写真31)。

写真32. 新大阪に停車!
新大阪に停車です(写真32)。

写真33. 新大阪に到着!
新大阪に到着しました(写真33)。
さくら号を利用してみて

写真34. さくら号の普通車指定席はグリーン車に近いグレードに見える
今回、グレードの高い普通車を誇る、さくら号をあえて選び、岡山から新大阪まで移動しました。たったの45分でしたが、上質な移動空間を満喫できました。また、最高速度も300km/hと高く、速度も満たし、まさに王道の快適移動空間でした。車内は比較的混んでおり、同様の考えの人も多いと実感しました。
グリーン車ほど肩肘はらず、通常の普通車指定席よりグレードが高い「準グリーン車」ともいえる存在でした。ただし、2011年デビューからしばらくたち、この車両の後継も検討され始める段階にありましょう。後継車両でもこのようなゆとりを継続いただくことをお願いしたいところです。
他方、このようなサービスは山陽新幹線以西だけの特権ではないでしょう。東海道新幹線であっても、このような「準グリーン車」を1両くらい連結し、多様なサービスを提供することも良いでしょう。定員が減少するのが望ましくないのであれば、この車両の配色パターンだけでも東海道新幹線に導入いただきたいものです。
果たして前後はどこに行ったのでしょうか?
さくら号の旅(岡山→新大阪):現在地
近鉄特急での大阪から名古屋の移動(穴場列車に乗車!)(→次)
★今回の旅行の全体像は25年GW瀬戸内旅行のまとめに記載しています。