近鉄の以前の代名詞的な存在のビスタカー。そのビスタカーはリニューアルされましたが、2階建ての車内は健在です。そんなビスタカーの車内を満喫しました。

写真1. ビスタカーは2階建て構造
復習:多様な車両の近鉄特急
近鉄特急には多くの種類があり、系統もさまざまです。系統によって求められるものも異なりますので、それに応じた車種があります。
近鉄特急は主に、3つに分けられるでしょう(グループ1~グループ3は本記事独自の分類)。
- グループ1:名阪特急。大阪と名古屋を結ぶ特急。ここは新幹線との競争もあり、近鉄特急車でも花形となる車両が投入される
- グループ2:そのほかの特急(大阪阿部野橋発着を除く)。新幹線との競争も激しくなく、汎用特急車も含めたオールジャンルの特急車が使われる。ただし、伊勢方面はしまかぜや伊勢志摩ライナーも使われ、あおによしなどの特化型も見られる
- グループ3:大阪阿部野橋発着の特急。南大阪線系統は線路幅が異なるため、専用の車両が使われる。ただし、車体の見た目はグループ2に準ずる


写真群1. 汎用特急車(これは比較的新しいほう)


写真群2. 2階建て車両を連結したビスタカー


写真群3. しまかぜの補完ともいえる伊勢志摩ライナー


写真群4. 伊勢方面にも使われるアーバンライナー


写真群5. 伊勢方面への大人気のしまかぜ


写真群6. 大阪と名古屋のフラッグショップトレイン、ひのとり
いわばグループ1にはひのとりやアーバンライナーという目玉となる車両が必ず使われます。また、伊勢方面にはしまかぜや伊勢志摩ライナーが使われることもあり、これらが近鉄特急というイメージの人もいるかもしれません。しかし、それ以外の特急車のほうが多く、伊勢方面の特急や奈良地区の特急のほとんどが汎用車両です。
ビスタカーはグループ2の異端児といった位置づけです。4両編成のうち2両は2階建てと目を引きますが、もう2両は通常の汎用特急と同じような車内です。また、ビスタカー4両と汎用車両2~4両の組成もあり、ビスタカーは汎用特急車の一員ともカウントできます。
ビスタカーの車内を眺める
御託はこの程度にして、実際に車内を眺めます。

写真2. ビスタカーの2F席
ビスタカーの2F席です(写真5)。

写真3. 車端部もハイデッカー構造が続く
ビスタカーは中央部にデッキ、車端部は客室という構造です。そのため、2階建て車両の間の車端部はそのままの床高さです(写真3)。

写真4. 2F席を座席から眺める
その2Fを座席から眺めます(写真4)。荷棚もしっかりしており、それなりの荷物でも収納できそうです。天井の高さに制限があるためか、通路上には照明はありません。かわりに座席上に照明を設置しています。座席上の照明は西日本地区らしさを感じます。補助照明として荷棚から通路に向けて照明が設置されています。雰囲気のある配置と思います。

写真5. 座席周りは意外と広い
座席に座ると、座席周りが意外と広く感じました(写真5)。

写真6. 客席の端部の様子
ビスタカーはドアが中央にあり、客席が両端というスタイルです。その客席端部の様子です(写真6)。

写真7. インアームテーブルが備わる
インアームテーブルが備わります(写真7)。向かい合わせにしたときに重宝します。といっても、向かい合わせにするよりも適切な設備がありますが…。

写真8. 照明と荷棚
照明と荷棚を別の角度で撮影しました(写真8)。2階建ての狭さをあまり感じません。

写真9. 座席背面の様子
座席背面の様子です(写真9)。

写真10. 赤系のモケットの編成もあった
2024年に乗車したときはこのような座席もありました(写真10)。こちらの座席は背面テーブルがありません。個人的にはこちらのほうが高級感を感じられるので好みです。

写真11. 背面テーブルがない
この編成には背面テーブルがありませんでした(写真11)。

写真12. モケットが赤い編成の様子
モケットが赤い編成を別の角度から撮影しました(写真12)。

写真13. インアームテーブルがある
座席背面にテーブルがないかわりに、ひじかけにテーブルがあります。今やグローバル化したこの世界、テーブルの案内も英語表記です(写真13)。

写真14. 携帯電話が入るサイズのテーブル
テーブルのサイズをわかりやすく示すために自前の電話機を置きました(写真14)。

写真15. 1Fに5人がけの座席がある
1Fに5人がけの座席があります(写真15)。3人以上なら個室料金なしで利用できるので、わざわざ向かい合わせにするよりもこちらの座席を予約するほうが良いのです。

写真16. サロン席に近づく
サロン席にもう少し近づきました(写真16)。空間をぜいたくに使った5人用の空間です。この奥にもサロン席を置くと定員を確保できて良いとは思いますが、どうでしょう?

写真17. デッキの様子
デッキの様子です(写真17)。余計なぬいぐるみがありますが、これをなくせばさらに雰囲気はアダルトになるでしょう。

写真18. 階段が交差するデッキ
階段が交差するデッキ部分です(写真18)。

写真19. 両先頭車は通常の構造
両先頭車は通常の構造です(写真19)。2Fだと狭いという意見もあるでしょうから、両先頭車がこのような構造な点は理にかなっていると思います。

写真20. 先頭車両の座席の様子
先頭車両の座席の様子です(写真20)。

写真21. モケットが青い編成もある(2024年撮影)
モケットが青い編成もありました(写真21)。先頭車青系+中間車赤系の組み合わせと先頭車赤系+中間車青系の組み合わせがあるということ?

写真22. サロン席の座席の色
中間車の座席が赤色の編成であっても、サロン席は青系の座席でした(写真22)。

写真23. 先頭車と中間車の間
先頭車と中間車の間です(写真23)。床の高さが異なるため、階段があります。

写真24. 3段の階段を昇る
先頭車から3段の階段があります(写真24)。

写真25. 中間車に入るところも段差がある
中間車に入る箇所にも段差がありました(写真25)。

写真26. レトロな洗面台
レトロな洗面台です(写真26)。

写真27. レトロな洗面台
その洗面台を別の角度から撮影しました(写真27)。

写真28. コンパクトなお手洗い
コンパクトなお手洗いです(写真28)。リフレッシュされて清潔感は維持されていますが、この造りに時代を感じさせます。

写真29. お手洗いを別の角度から撮影
お手洗いを別の角度から撮影しました(写真29)。
近鉄ビスタカーの車内をめぐってみて

写真30. 近鉄ビスタカーのデッキ部分
近鉄ビスタカー。現代の特急車としては珍しい、2階建て車両です。2階建て車両ならではの風景を楽しめ、階段があるなど「探検」の楽しみも感じさせる車両です。他方、機能に特化した平屋の車両も付いており、一般的な利用も可能な「オールラウンドプレーヤー」型の車体構造と感じました。古いながらもリフレッシュされており、利用した際に不快な思いをすることもありませんでした。
現代の車両は一点集中型のものが多く感じます。これは列車全体の統一イメージを形成することには役立ちますが、グレードごとに見ると利用可能な本数が減ってしまうというデメリットも存在します。
近鉄ビスタカーは誕生からかなりの年月が経っており、いつ置き換えられてもおかしくありません。後継車両には2階建て車両を含む「オールラウンドプレーヤー」の性格を持つ車両を期待するとともに、利用者としてはその醍醐味を味わうことにしましょう。
果たして前後はどこに行ったのでしょうか?
(←前)近鉄特急での大阪から名古屋の移動(穴場列車に乗車!)
近鉄ビスタカーの車内:現在地
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★今回の旅行の全体像は25年GW瀬戸内旅行のまとめに記載しています。