大阪と福井の移動。北陸新幹線の敦賀開業でのメリットがあまり大きくないとも言われています。そんな両者を新幹線を使って移動しました。

写真1. 敦賀での乗りかえは一定の配慮が見られる
復習:大阪と福井の移動方法
最初に大阪と福井の移動方法の概要を紹介します(表1)。
図1. 大阪駅と福井駅の位置関係(googleマップより引用)
表1. 大阪と福井の移動方法概要
| 2025年現在 | (参考)2023年ダイヤ | |
| 所要時間 | 1時間50分程度 | 1時間55分前後 |
| 運転間隔 | 毎時1本~2本 | 毎時1本~2本 |
| 運賃+料金 | 7,290円 | 6,140円 |
所要時間は1時間50分程度です。ただし、新幹線開業前は1時間55分程度であり、敦賀開業により5分程度短縮しています。その代償として、乗りかえが増え、さらに運賃と料金の合計額が上がっています。
移行措置のようなものはなく、敦賀開業時に大阪発着の特急列車は敦賀発着に短縮され、敦賀から新幹線利用に変わりました。ともかく、現状は敦賀乗りかえが発生し、所要時間は1時間50分程度ということです。北陸新幹線の金沢-敦賀開業で同区間の所要時間は80分前後から50分前後と約30分短縮されていますが、大阪方面への利用については、乗りかえ時間が発生し、かつ途中駅だと所要時間の短縮効果がそこまで大きくないのです。
大阪から福井に実際に移動する
御託はこの程度にして、実際に大阪から福井に移動します。
Stage1. 特急サンダーバード

写真2. 特急サンダーバードの案内
北陸方面特急は11番のりばから発車します。特急サンダーバードの発車標です(写真2)。この日は風の影響により湖西線経由から米原経由に変更されていました。そのため、行先も「米原方面」と示されています。もっとも、米原は運転停車であり、乗り降りはできませんが…。
全席指定席であり、ふらっと乗る人は少ないと想定できますが、敦賀から新幹線接続と表示したほうが親切に感じます。そうでないと、金沢まで1本で行ける列車を延々と待ち続ける人がいるかもしれません。

写真3. 特急サンダーバードがやってきた
特急サンダーバードがやってきました(写真3)。大阪駅進入断面では東海道線(JR神戸線)の外側線を通ります。新快速到着が58分、13分であり、宝塚線区間快速の大阪到着が51分、06分です。このように考えると、14:12発の特急列車が大阪駅に入線するタイミングは00分~03分、09分に限定されます。さすがに始発の特急が3分前入線はないと踏んでいたら、14:03ごろに入線してきました。

写真4. 特急サンダーバードの側面
私は鉄道にうといので、この車両が681系なのか683系なのか外観からわかりません…。

写真5. 室内に入る
車内に入ります(写真5)。照明が中央にあり、補助照明が荷棚下に読書灯という形であります。これは683系です(681系は荷棚下に常時点灯の照明があります)。

(参考)写真6. 荷棚下に常時点灯の照明がある車内(能登かがり火で撮影)
参考に681系電車の車内を掲載しました(写真6)。

写真7. 座席の様子
座席の様子です(写真7)。一般的な座席に見えます。電球色の照明とマッチする配色に感じます。

写真8. 着席したときの視点
着席したときの視点です(写真8)。JR西日本の特急車は車内の雰囲気づくりは上手と思います。

写真9. 読書灯を使用
読書灯を使用しました(写真9)。しかし、このような設備だと使っている人はあまり見かけません。

写真10. 大阪を発車!
大阪を発車しました(写真10)。この日は米原経由ですが、京都までは通常通りの経路です。

写真11. 新快速とすれ違う
新快速とすれ違います(写真11)。

写真12. 淀川を渡る
淀川を渡ります(写真12)。

写真13. まもなく新大阪!
まもなく新大阪です(写真13)。

写真14. 新大阪に停車!
新大阪に停車します(写真14)。空いていた車内にも乗客が乗りこみ、そこそこの乗車率の車内になりました。

写真15. 新大阪を発車!
新大阪を発車しました(写真15)。前方におおさか東線の線路が見えます。

写真16. 普通電車とすれ違う
普通電車とすれ違います(写真16)。

写真17. 住宅街を走る
大阪郊外の住宅街を走ります(写真17)。

写真18. 高槻を通過!
高槻を通過します(写真18)。

写真19. 普通電車の車両が停車中
普通電車の車両が停車中です(写真19)。日中の普通電車は高槻折り返しのため、このタイプの車両が見られるのもここまでです。

写真20. 車窓に広がりを感じる
車窓に広がりを感じます(写真20)。住宅がやや減ってきたのでしょうか。

写真21. 高規格道路の建設中
高規格道路が建設されています(写真21)。道路網のこのような発展に対し、鉄道も競争力を高めなければなりません。その1つの回答が新幹線の延伸でしょう。

写真22. 新幹線と阪急電車の線路が見える
新幹線と阪急電車の線路が見えます(写真22)。

写真23. 住宅街を走る
高槻を過ぎたといっても、大阪と京都の間とあって、住宅は多いです(写真23)。

写真24. 特急車とすれ違う
特急車とすれ違います(写真24)。この飾り帯の車両は福知山方面に使われる車両です。でも、福知山方面の特急は京都始発(山陰本線経由)か新大阪始発(福知山線経由)なので、この区間を営業運転で通らないのでは?これは回送列車でしょうか。

写真25. フォークリフトの工場
フォークリフトの工場です(写真25)。このような事業用車両は産業、とりわけ製造業にとって必要なものです。そして、その製造業を含め、この地域、あるいは日本の経済を支え、交通流動が産まれるのです。

写真26. 車両基地が見える
車両基地の横を通ります(写真26)。銀河用の車両も見えます。白系のJR西日本の特急車のなかにあり、青系の銀河用車両が目立ちます。

写真27. 桂川を通過!
桂川を通過します(写真27)。イオンモールが近く、そのような意味では現代的な立地の駅といえます。

写真28. 新幹線列車に抜かれる
いくら特急といえど、新幹線より速度は遅く、新幹線列車に抜かれます(写真28)。

写真29. 建物が多くなる
京都駅に近づくにつれ、建物が増えてきました(写真29)。

写真30. 京都駅近くのホテルが見える
京都駅近くのホテルが見えます(写真30)。

写真31. 京都に停車!
京都に停車しました(写真31)。観光都市かつ大都市の駅だけあり、利用者も多いです。京都でもそれなりに乗車がありました。

写真32. 京都から敦賀の間の利用状況
この後にトイレに行くタイミングで利用状況を軽く撮影しました(写真32)。半分弱の座席が埋まる状況です。土曜の午後に12両編成でこれだけの利用であればそれなりでしょう。

写真33. 京都を発車!
京都を発車しました(写真33)。

写真34. すぐに山深くなる
すぐに山深い風景に変わります(写真34)。

写真35. トンネルを越えるとカーブ
トンネルを越えるとカーブがあります(写真35)。

写真36. 山科で湖西線と分岐
山科で湖西線と分岐します(写真36)。通常、サンダーバード号は湖西線を走りますが、この日は強風の影響で湖西線を経由せずにこのまま東海道線を東に進みます。湖西線にしろ、東海道線にしろ、トンネルを通り、滋賀県に入ります。

写真37. 瀬田川を渡る
瀬田川を渡ります(写真37)。

写真38. 南草津を通過!
南草津を通過します(写真38)。新しい駅ですが、滋賀県でもトップクラスの乗降客数を誇る駅に成長しました。

写真39. 線路が増える
線路が増えてきました(写真39)。

写真40. 草津を通過!
草津を通過します(写真40)。向かいに停車しているのは先行の普通米原行きでしょうか。複々線区間で列車間隔を詰め、草津での停車時間をあまり長くしないように工夫している様子が伝わります。

写真41. 草津線が分岐!
草津線が分岐します(写真41)。現在の草津線はローカル列車のみが行き来する路線ですが、草津線を通り、京都と伊勢を結ぶ速達列車があれば、などと妄想してしまいます。

写真42. のどかな風景に変わってきた
複々線が終わったためなのか、周囲から住宅が徐々に減っていき、徐々にのどかな風景に変わってきました。

写真43. 野洲の車両基地
野洲には車両基地があります(写真43)。ここまで普通(大阪付近は快速)が15分間隔、ここから普通が30分間隔と都市近郊ダイヤか否かが分かれる場所でもあります。

写真44. 近江八幡を通過!
近江八幡を通過します(写真44)。新快速ならとまる駅も特急サンダーバードは迂回運転とあって、滋賀県内はどこにもとまりません。

写真45. 高校の横を通過!
高校の横を通過します(写真45)。

写真46. 麦畑がある
5月下旬というのに稲が色づいていました、と感じてしまいますが、これは麦畑でしょう。ご承知の通り、麦秋は夏の季語です。

写真47. こちらが水田
こちらが水田です(写真47)。

写真48. 川を渡る
川を渡ります(写真48)。

写真49. 近江鉄道線が近づく
近江鉄道線が近づきました(写真49)。

写真50. 彦根を通過!
彦根を通過しました(写真50)。

写真51. 近江鉄道線が再び分かれる
近江鉄道線が再び分かれます(写真52)。

写真52. 広大な駅構内にさしかかる
広大な駅構内にさしかかります(写真52)。滋賀県のジャンクション駅、米原です。

写真53. 米原に運転停車!
米原に運転停車します(写真53)。迂回運転で停車するのであれば、東海道新幹線への迂回を認めたら、所要時間をあまり増加させずに対応可能では?

写真54. 引退近くの311系電車が見えた
引退が迫っていた311系電車の姿も確認できました(写真54)。315系投入により、日中時間帯の大垣-米原はロングシート車が主力になったとも聞いています。ロングシートにそぐわない区間にも感じます。

写真55. 米原を発車!
米原を発車しました(写真55)。

写真56. 車両がとまっている
鉄道のジャンクションとあり、多くの車両がとまっています(写真56)。時刻表上は米原折り返しは毎時2本ですが、新快速は米原で車両を切り離す(米原以南12両編成、米原以北4両編成か8両編成)ので、そのぶんの車両もありましょう。

写真57. 北陸本線に入り風景がのどかに
北陸本線に入り、風景がのどかに変わってきました(写真57)。この区間は毎時1本の新快速が基本であり、時間帯によっては長浜発着の新快速が加わり、30分間隔になります。

写真58. 新しい住宅もある
とはいえ、新快速が長浜に延伸後は京都や大阪に直通で行けるという事情もあり、新しい住宅も見えます(写真58)。もちろん、都市化が進んだ滋賀県内の事業所で仕事をする人が新しい住宅を建てたという可能性もあります。

写真59. 長浜を通過!
長浜を通過します(写真59)。

写真60. 住宅は徐々に減ってくる
住宅は徐々に減ってきます(写真60)。

写真61. 山が徐々に迫ってくる
ここまで巨視的には太平洋側を走ってきましたが、サンダーバードの行先の敦賀は分水嶺を越えた日本海側に位置します。その分水嶺を形成する山々に迫りつつあります(写真61)。

写真62. のどかな風景が続く
とはいえ、山に迫るまでは平地部分を走り、のどかな風景を楽しめる区間は続きます(写真62)。

写真63. 山が近い
山が近いです(写真63)。

写真64. もやっていて幻想的な風景
もやっていて幻想的な風景が広がります(写真64)。

写真65. トンネルを抜ける
トンネルを抜けます(写真65)。まだ滋賀県内です。

写真66. 近江塩津を通過!
近江塩津を通過します(写真66)。これで湖西線を経由しない迂回ルートは終了し、本来のルートに戻ります。そうはいっても、湖西線と北陸本線の合流地点は近江塩津のホームよりも北側に位置し、厳密には本来の線路にはまだ復帰していません。

写真67. 山中で線路が交差する
山中で線路が交差します(写真67)。ダイナミックな分岐です。

写真68. 北陸本線上りと湖西線ルートの分岐点
北陸本線と湖西線ルートの分岐点です(写真68)。

写真69. トンネルを抜けると福井県
トンネルを抜けると福井県に入ります(写真69)。

写真70. 新疋田を通過!
新疋田を通過します(写真70)。

写真71. 山中を走る
山中を走ります(写真71)。新疋田と敦賀は隣駅ですが、前者は山中に位置し、後者は海岸沿いに位置します。それだけ高低差が大きいです。そのため、ループ線を走ります。

写真72. 先ほどまで通っていた線路をくぐる
先ほどまで通っていた線路をくぐります(写真72)。勾配を緩和するためにあえて走行距離を伸ばしているのです。

写真73. 上り線と合流
このような勾配区間は上下線で別の場所を通ることも多いですが、敦賀付近も例外でありません。その区間が終了し、上り線と合流しました。

写真74. 新幹線の線路が見える
新幹線の線路が見えます(写真74)。

写真75. 新幹線の線路の下に入る
新幹線の線路の下に入ります(写真75)。xy軸上では新幹線と在来線特急を同一平面上に配置し、乗りかえの利便性を「考慮」した設計であることが伝わります。

写真76. まもなく敦賀!
まもなく敦賀です。所定では15:33到着のところ、迂回の影響で15:59到着と26分遅れです。所定では接続列車のつるぎ28号は15:41発ですが、特急連絡という役割が主体なので、発車も遅れます。また、後続のかがやき512号は所定16:04発ですので、この日はかがやき512号を先行させるとの案内もありました。黒部宇奈月温泉(所定ではかがやき512号から金沢で連絡するはくたか572号で行ける)などへの利用については、別途対応している様子でした。
前日の大阪で暑さを感じるほどでしたが、このときは山を越えたこともあり、肌寒く感じました。
Stage2. 敦賀での乗りかえ
今回の移動である意味一番しんどい場面、敦賀での乗りかえです。

写真77. 背面テーブルにも親切に示されている
背面テーブルにも敦賀での乗りかえ方法が示されています。どうせだったら、図示したほうがより親切と思いますが…

写真78. 新しいホームに降りる
新しいホームに降ります(写真78)。私は荷物軽めなので良いのですが、大荷物の人は乗りかえが大変そうです。

写真79. エスカレータを昇る
エスカレータを昇ります(写真79)。

写真80. コンコースに訪日観光客の一団がいる
コンコースに訪日観光客の一団がいます(写真80)。慣れない国で短い時間で乗りかえています。

写真81. 新幹線のりかえ口を進む
新幹線のりかえ口を進みます(写真81)。私はこのときあえて有人改札を通り、先発となったかがやき号への乗りかえが可能かを確認しました。可能だが席に人がやってくる可能性があることを伝えられました。

写真82. 新幹線到着
新幹線(つるぎ号)が到着したのか、多くの人とすれ違いました(写真82)。在来線特急は基本的に到着ホームと発車ホームが分けられ、ホームに降りる人とホームから上がる人の流れが交錯しないように配慮されています。

写真83. 新幹線ホームに向かう
新幹線ホームに向かいます(写真83)。

写真84. 新幹線ホームの様子
新幹線ホームの様子です(写真84)。

写真85. 6号車に乗りこむ
そして座席を指定した6号車に乗りこみました(写真85)。結局、所定のつるぎ号に乗りました。ホームで撮影したときは16:00:50、列車に乗りこむ直前は16:05:05でしたので、乗りかえ時間は4分30秒程度でした。
Stage3. 新幹線つるぎ号

写真86. 新幹線の車内は広い
さすが新幹線、車内は広いです(写真86)。ただし、個人的にはサンダーバードの配色のほうが好みです。

写真87. 敦賀を発車!
16:12ごろ、約31分遅れで敦賀を発車しました(写真87)。現状は毎時3本程度の列車をさばくのに2面4線の配線はぜいたくに感じます。もっとも延伸した後は緩急結合可能な待避駅として機能し、適切な規模と感じられるのでしょう。

写真88. 高架線を走る
高架線を走ります(写真88)。

写真89. トンネルを抜けて山中を走る
在来線時代から敦賀の北側にはトンネルがありました。線形を追求する新幹線ならなおさらトンネルを選択します。そのトンネルを抜けても山中です(写真89)。

写真90. 周囲がやや開ける
周囲がやや開けます(写真90)。

写真91. 越前たけふに停車!
越前たけふに停車します(写真91)。敦賀から10分程度と新幹線の高速性を実感します。

写真92. 越前たけふを発車!
越前たけふを発車です(写真92)。

写真93. 山あいを走る
山あいを走ります(写真93)。

写真94. 徐々に平地が広がる
徐々に平地が広がります(写真94)。

写真95. 福井の市街地が見えてきた
福井の市街地が見えてきました(写真95)。もっとも福井の中心街は進行方向右手にあり、こちら側ではありません。

写真96. 福井に到着!
福井に到着です。16:31に到着、16:32に発車と30分遅れでした。

写真97. 富山に向けて出発!
富山に向けて出発しました(写真97)。大阪を14:12に出発、福井に16:31に到着と2時間19分の移動でした。本来なら16:01に到着でしたので30分の遅れです。内訳は迂回運転による所要時間増加が26分、列車入れ替えによる新幹線遅れが4分でした。

写真98. 動から静のイメージ
そして、私は大阪で乗り鉄や万博見学という動から、福井でののんびり旅行という静への変化点の中継の移動でした(写真98)。私の今回の旅行は「動」のステージから「静」のステージへと、別の局面を迎えたのです。
大阪から福井に移動してみて

写真99. 狭軌用のレールを1本追加するのは容易ではなさそうだが
今回、北陸新幹線延伸の「影」が目立ちやすい区間である福井をターゲットに移動しました。確かにカタログスペック上は5分程度所要時間は短縮されていますが、今回の場合は(迂回運転は在来線時代にも発生していたため、迂回運転による26分の遅れは考慮しないとして)4分余計にかかりました。差し引き在来線時代より1分しか短縮されず、かつ乗りかえが発生し、そして運賃と料金の合計で1000円以上負担が生じた形です。もちろん、このとき先発の新幹線に乗れば(越前たけふ通過と合わせ)8分程度の短縮となり、あえて順序が入れ替わった後続の新幹線を選択した私にも責任があるでしょう。
敦賀-福井の在来線時代の所要時間は30分程度、新幹線は17分程度です(いずれもノンストップで比較)。その13分の所要時間短縮のうち8分程度は乗りかえにより消費され、差し引き5分程度のスピードアップでしかありません。
そもそも敦賀という流動の中間点で乗りかえを強制的に発生させた交通政策が失敗のもとでした。2025年7月現在、敦賀以南ではルートは完全には決まっておらず、当面は現在の乗りかえが継続するでしょう。
整備新幹線の制度設計上、途中通過する自治体にも負担を要求します。これは受益者負担という考えですが、途中通過する自治体がこれを根拠に新幹線を欲しない場合、前後の自治体が新幹線をいくら欲していても建設はなされません。自治体が整備新幹線を欲しがることを前提とした制度ですので、その前提が崩れると機能しない制度とも表現できます。
そして、新幹線は高速道路や道路のバイパスと異なり、部分開業だと本領発揮できないシステムです。そのため、金沢-関西地区のなかで敦賀以北のみの部分開業となり、新幹線のシステムがじゅうぶんに発揮されない顕著な例となってしまいました。もしも「高速新線」という考えであれば、今回の敦賀開業は機能をじゅうぶんに発揮していました。
これを改善するには、以下の方策が考えられましょう。
- 可能な限り、新幹線の関西地区への開業を早め、京都や新大阪に1本で向かえるようにする
- それが難しい場合、3線軌条により在来線列車を新幹線に直通させ、富山まで直通を維持
- それも難しい場合、敦賀駅構内だけでも3線軌条により対面乗りかえを確保する
ベストな方策は新幹線を関西地区まで開業し、関西地区と北陸地区の直通定期旅客列車を復活させることです。北陸新幹線の京都以南の開業が難しい場合、京都までの開業であっても(サンダーバードで京都で乗り降りする割合が高いことを考慮すると)それなりに役割を果たすでしょう。この場合、京都-大阪のリレー号を頻発運転することが条件です。専用のリレー号を頻発運転するのが採算上難しい場合、その一翼に特急はるか号を担わせることも1つの手段です。
次に良い方策は、北陸新幹線の西側の区間を3線軌条に変更し、在来線列車を「スーパー特急」として富山まで走らせることです。一般に狭軌列車だと最高速度は180km/h~200km/hに制限されるといわれますが、最高速度を新幹線列車より低くするかわりに、加速性能を向上させれば、駅間距離の短い北陸新幹線であればそこまでの足かせにはならないでしょう。この方策のメリットは、和倉温泉直通を再開できることや、大阪駅や京都駅の好立地を活用し続けられることです。
それもかなわない場合、敦賀駅南側に渡り線を設置、かつ新幹線の敦賀駅構内の一部の線路を3線軌条にすることで、ホーム対面接続とすることです。これにより乗りかえ時間は2分に短縮でき、列車じたいのスピードアップなしで5分以上の所要時間短縮を狙えます。幸い写真74の前後は同一平面上に位置していますので、渡り線を設置することは可能でしょう。
今回の延伸の場合、在来線列車と新幹線列車の共存を考慮した3線軌条などの「逃げ道」を考えずに整備してしまったことが根本原因に見えました。ものごとをやるには多くの「逃げ道」を用意したほうが良いと改めて実感しました。
果たして前後はどこに行ったのでしょうか?
(←前)大阪駅周辺の列車が見えるカフェ
大阪と福井の移動(敦賀乗りかえあり):現在地
あわら温泉グランドホテルの宿泊記(→次)
※この旅行の全体像は25年初夏大阪・福井旅行のまとめをご覧ください。