アルプス山脈をはさんで隣接するイタリアとスイス。鉄道が発達した現代、両国の移動はそこまで難しくありません。しかし、それなりの注意が必要です。そんな両国を短距離ながら鉄道で移動しました。

写真1. ブリークに到着した列車
復習:ドモドッソラとブリークの位置関係
最初にドモドッソラとブリークの位置関係を示します。
図1. ブリークとドモドッソラの位置関係(googleマップより引用)
両者の位置関係を示しました(図1)。両者の間にはアルプス山脈がありますが、シンプロントンネルにより、42km離れた距離でも33分で結びます。したがって、アルプス山脈を越えることによる時間的負担は小さいです。
それよりも注意するべき点は運転本数です。基本的に2時間間隔のREが運転されていますが、平日は午前中に4時間間隔が開くことがあります。このほかにユーロシティも設定されていますが、ミラノとジュネーブを結ぶ系統は1日3往復(土曜・休日は4往復)とこちらも本数が多くありません。
これはシンプロントンネルを隔てて生活圏が分かれていることもありましょうが、その多くの要因はイタリアが関与しているためと想像します。ドモドッソラから南側も列車本数がそこまで多くないのです。

(参考)図2. ドモドッソラ以北の路線図(bls鉄道公式サイト掲載の路線図より引用後加工)
参考にドモドッソラ以北の路線図を示します(図2)。ベルン直通のREが運転されています。
ドモドッソラからブリークまで実際に移動
御託はこの程度にして、実際に移動しましょう!

写真2. 先発のジュネーブ行きECが停車中
先発のジュネーブ行きECが停車中です(写真2)。こちらだと30分と所要時間はやや短いですが、ユーレイルグローバルパスを使う場合は指定席に対する座席予約が必要で、15ユーロかかるので対費用効果という意味では微妙と評価できます。
イタリア国内で座席指定の方法を述べています。国内列車だとイタリア国鉄で14ユーロ(13n+1、nは人数)で購入可能ですが、国際列車だとユーレイルパスの公式サイトしかできない場合がありました。
イタリア国鉄の座席指定方法(レイルパス使用時、日本で安価に予約可能)

写真3. ジュネーブ行きECの直後にベルン行きREが発車
EC、RE、ジュネーブ、ベルンといったスイスの用語が出てきますが、ここはイタリアです。ジュネーブ行きECの直後にベルン行きREが出発します。それにしても人が多いです。これなら1時間間隔に増発しては?

写真4. ベルン行きREが入線
ベルン行きREが入線しました(写真4)。編成はけっこう長かったですが、後ろの車両は途中のブリーク止まりでした。乗客が少なさそうな国境区間より、乗客が多そうなスイス国内のほうが編成が短いのですか。スイス国内はICが比較的頻繁に運転(毎時1本~毎時2本)されているからかな?

写真5. 1等車の車内
1等車の車内です(写真5)。スイスらしい向かい合わせの座席です。車端部の席は通路を中央に配置し、荷物スペースを確保するためか、横2列配列です。ある意味贅沢な配置です。

写真6. 横3列配列の1等車
横3列配列の1等車です(写真6)。

写真7. 車端部の座席
車端部の座席を別の角度から撮影しました(写真7)。車端部の座席だと床が高いので、風景がやや見やすいと思います。この座席だとスーツケースは入らないかもしれません。10日程度の海外旅行であれば、スーツケースは不要なので、大した問題ではありませんが…。
それでは、風景を堪能しましょう!

写真8. ドモドッソラを発車!
ドモドッソラを発車しました(写真8)。

写真9. 斜面をどんどん登る
斜面をどんどん登ります(写真9)。

写真10. イタリアの大地が遠ざかる
イタリアの大地が遠ざかります(写真10)。

写真11. イタリアの大地が見える
イタリアの大地が見えます(写真11)。

写真12. 山あいを走る
山あいを走ります(写真12)。

写真13. 山あいを走る
山あいを走ります(写真13)。

写真14. 山あいの駅に停車!
山あいの駅に停車します(写真14)。

写真15. まもなくシンプロントンネルに突入!
まもなくシンプロントンネルに突入します(写真15)。

写真16. スイスに入った!
シンプロントンネルを抜け、スイスに入りました(写真16)。架線柱がイタリアと異なり、別の国に入ったことを感じます。

写真17. 交通の要衝、ブリークに近づく
交通の要衝、ブリークに近づきます(写真17)。

写真18. 近距離電車の姿が見える
近距離電車の姿も見えます(写真18)。

写真19. ブリークに到着!
ブリークに到着しました(写真19)。私の乗っていた車両はブリーク止めであり、多くの人が移動していました。もっとも私はここでこの列車から降りるので、ベルンまで行かない車両でも問題ありません。

写真20. 後ろの編成には乗車不可!
後ろの編成には乗車不可という旨の案内がありました(写真20)。

写真21. 山あいのブリーク駅
改めてブリーク駅の周囲を眺めると山が近くに迫っていることに気づきます(写真21)。改めてスイス南部が山がちな場所であることに気づかされます。
ドモドッソラからブリークまで移動してみて

写真22. イタリア車のようにみえるがスイス車が担当する
温暖な国イタリアと、山の国スイス。両者は遠く離れた国というイメージがありますが、山を越える区間であっても30分少々で到着します(山をはさまないティチーノ州はもっとあっけない国境越えですが)。多くの人のイメージより短い移動時間ではないでしょうか。
その「短い移動時間」はシンプロントンネルによるものです。これだけ長いトンネル(約20km)を1906年に開業させたことは特筆すべきことです。そして、現状はそれを100%生かしていないようなダイヤはインフラの活用としてはややもったいないとも感じました。
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