スイスの有名観光地のツェルマット。そのツェルマットへのアクセス鉄道のMGB鉄道。そんなMGB鉄道に導入されているKomet電車の車内を観察しました。

写真1. フィスプで発車を待つKomet電車
復習:MGB鉄道とその電車
最初にMGB鉄道とその電車について簡単に紹介します。
MGB鉄道はMatterhorn-Gotthard-Bahnのことで、スイス南部を東西に結ぶ路線です。

図1. MGB鉄道の路線図(公式サイトより引用)
そのMGB鉄道の路線図を示します(図1)。なぜかWebサイト上にしかなく、PDFファイルなどは提示されていません。東のディゼンティスからはRhB鉄道につながり、クール方面にもつながっています。
スイスでもかなり有名な観光地のマッターホルン方面への玄関口のツェルマットへの公共交通機関としても大きな役割を果たします。
そのMGB鉄道は山奥を通ることもあり、ラックレールシステムを運用している区間があります。そのため、専用の車両が必要です。そのなか、2000年代に製造開始されたのがKomet電車です。乗客として見た場合、パノラマ構造の高床部分とバリアフリー対応の低床部分が混在しているのが特徴です。
Komet電車の内装を眺める
御託はこの程度にして、実際に車内を眺めましょう!

写真2. フィスプに停車中の電車
フィスプに停車中の様子です(写真2)。この先の風景はなかなか美しく、大きな窓がその効果を発揮します。

写真3. 中間の連結方法は客車を彷彿させる
中間の連結方法は客車を彷彿させるものでした(写真3)。基本は3両編成に見え、これだけだと編成両数が不足するのか、このような形態で増結していました。

写真4. 先頭部分は1等車
先頭部分は1等車です(写真4)。低床部分と床が高い部分に分けられています。

写真5. 先頭の仕切壁は窓がない
大きな窓の前面が外観上の特徴であり、客室からの展望も期待してしまいます。しかし、その期待に反し、運転室と客室の仕切は壁だけであり、窓はありません(写真5)。

写真6. 先頭側から扉付近を振り返る
先頭側から扉付近を振り返ります(写真6)。1等車であることをわかりやすく示すためか、座席カバーには黄色を使っています。

写真7. 1等車の4人がけの座席
1等車の4人がけの座席です(写真7)。ほどよい角度で傾いており、いわゆる「普通列車」用車両としては豪華な座席に感じます。

写真8. 2人がけの座席
2人がけの座席です(写真8)。

写真9. テーブルが備わる
各向かい合わせの座席にテーブルが備わります(写真9)。スイス地区ではテーブルに路線図が書いてあることが多いですが、ここでもその通り、路線図が描かれています。

写真10. テーブルの下にゴミ箱がある
テーブルの下に小さなゴミ箱があります(写真10)。

写真11. テーブルに電源も備わる
そのテーブルには電源も備わります(写真11)。

写真12. 大きな窓から風景を堪能
大きな窓から風景を堪能できます(写真12)。この区画の座席には荷棚がありません。後述の通り、出入口近くには荷物入れがありますので、スーツケースを持っている場合でもそこまで不安でないでしょう。

写真13. 2等車の様子
2等車の様子です(写真13)。横4列配列の座席が並んでいます。近年のヨーロッパ地区らしく、車端部の床は高く、車両中央の床は低いです。

写真14. 2等車の様子
2等車の様子を別の角度から撮影しました(写真14)。

写真15. パノラマ車ともいえる2等車
パノラマ車ともいえる2等車です(写真15)。機器配置と眺望を両立する上手な車体構造です。もっともこの配置は中間車両の側面に客用ドアを配置しないことが前提です。すなわち、途中駅の乗り降りが少ないという特性がないと実現できない配置です。

写真16. 大きなトイレが備わる
大きなトイレが備わります(写真16)。

写真17. トイレの様子
トイレの様子です(写真17)。清潔感が漂います。

写真18. 洗面台の様子
トイレには洗面台も付いており、これも清潔感があります(写真18)。

写真19. 客用ドアの様子
客用ドアの様子です(写真19)。

写真20. 客用ドアを外から眺める
客用ドアを外から眺めます(写真20)。車両とホームの隙間に踏み板を出し、隙間をより縮める工夫がなされています(そもそもホームをかさ上げすれば…)。

写真21. ドア付近には荷物スペースもある
ドア付近には荷物スペースもあります(写真21)。スーツケースも格納できそうです(私は海外旅行であってもスーツケースを原則卒業したのでわかりませんが…)。
動画1. Komet電車の発車風景(ブリークで撮影)
最後にKomet電車の走行風景をお送りします。
MGB鉄道のKomet電車の内装を観察して

写真22. ツェルマットに着いたKomet電車
今回、ツェルマットへの移動手段としてMGB鉄道を使いましたが、たまたま当たった電車が当該の車両でした。すなわち、狙ってこの車両に乗ったわけではありません。そんな汎用車両であっても、天井まで回り込んだ窓やゆったりした座席があり、現地の特急系車両と比べ、決して見劣りしませんでした。
MGB鉄道には氷河急行という特別な列車が走っています。しかし、このような特別な列車は気軽に乗れません。また、フィスプとツェルマットの行き来にも使えません(氷河急行はフィスプを通過します)。そのようなことを考えると、一般列車の接客設備が一定程度の水準を確保されていることは、観光輸送にとって非常に重要です。全員着席を指向した長編成での運転も含め、MGB鉄道のサービス水準の高さを感じる車両でした。
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果たして前後はどこに行ったのでしょうか?
MGB鉄道のKomet電車の車内:現在地