山陽新幹線でも存在感が薄くなった、ひかり。その大多数は山陽新幹線内では速達輸送を担っていません。しかし、臨時列車の一部で速達輸送を担います。そんなひかり号に乗ってみました。

写真1. 新大阪に停車中のひかりレールスター博多行き
復習:山陽新幹線の輸送体系とひかりの位置づけ
最初に山陽新幹線の輸送体系について簡単に紹介します。

図1. 山陽新幹線の路線図(路線図エディタで作成)
路線図を示します(図1)。山陽新幹線の列車群は大きく分け、東海道新幹線直通と九州新幹線直通に分類できます(東海道新幹線と九州新幹線を直通する列車はありません)。そのうえで、大まかなパターンを確認します。
- のぞみ:東海道新幹線直通、基本停車駅(新神戸、岡山、広島、小倉)のほかに準主要駅(姫路、福山、徳山、新山口)のどれかに1つ追加停車することが多い
- みずほ:九州新幹線直通、基本停車駅(新神戸、岡山、広島、小倉)のほかに準主要駅(姫路、福山、徳山、新山口)のどれかに1つ追加停車することが多い
- さくら:九州新幹線直通、基本停車駅(新神戸、岡山、広島、小倉)のほかに準主要駅(姫路、福山、徳山、新山口)のどれかに2つ~3つ追加停車することが多い(新下関停車などイレギュラーなパターンもある)
- こだま:各駅に停車、日中時間帯の岡山以東はひかり(東海道新幹線内で通過駅あり)に替わられる
骨格は東海道新幹線(たいていは東京直通)ののぞみです。これが毎時2本走り、さらに広島以東は毎時1本追加されます(多客時は臨時列車が追加されます)。このほかに毎時1本以上さくらが設定されます。これにより、九州内から関西地区へのアクセスも確保されます。この列車は姫路、福山、徳山に停車することが多く、山陽新幹線の準主要駅をカバーする意味もあります。
乗客が多く、速達列車のニーズが高まる時間帯についてはみずほが設定されます。これらの列車のほかに、各駅に停車する列車としてこだまが設定されます。日中時間帯については、岡山以東はひかりとして設定されます。
現在、東京直通はのぞみのニーズが高く、ひかりの出る幕はありません。他方、九州新幹線直通は定義上、みずほかさくらです。なお、朝夕に一部だけ通過する列車が設定され、このような列車はひかりと称されます。2026年ダイヤにおいて、ひかり680号(新下関発岡山行き、厚狭のみ通過)やひかり681号(新大阪発博多行き、厚狭だけ通過)が典型的な例でしょう。すなわち、九州新幹線に直通せずにダイヤの都合上一部だけ通過する列車群についてはひかりと称するわけです。
ところが、多客時にはその様子が変わります。すなわち、山陽新幹線完結の速達列車が設定されます。山陽新幹線完結の列車についてはのぞみ料金を取らないという意図があるのか、一部列車はひかりとして設定されます。かつては山陽新幹線内完結のひかりがありました(九州新幹線直通後はさくらに変更されました)が、期間限定でそれが復活する格好です。
2026年のGWについては、下りは1日だけ速達タイプの臨時ひかりが運転され(別日は設定時刻はほどんど同じでさくらとして運転、上りは別途運転)、山陽新幹線の「補佐」として努めます。本来は九州新幹線直通としてほうがサービス上は好ましいのですが、需要予測や運転上の都合なのでしょうか。
ここまで長々と記しましたが、現状の山陽新幹線は東京直通ののぞみと九州新幹線直通のさくら、みずほが主力であり、ひかりは「一部駅を通過するこだま」という位置付けです。ただし、多客期かつ山陽新幹線完結の速達列車を設定する場合に限り、速達タイプのひかりが運転されるということです。いいかえると、普段のひかりは大手民鉄でいう通勤準急や区間準急のような種別でありながら、多客期は(特急とはいかなくとも)快速急行を示す種別となるわけです。
ひかりレールスターに実際に乗る
御託はこの程度にして、ひかりレールスターに実際に乗りましょう!700系8両編成を使う便については、通過駅の個数によらずにひかりレールスター(Rail Star)と称しています。
Step1. 新大阪での乗車と車内

写真2. 人の多い新大阪駅
新大阪駅に立つと、人の多さと列車本数の多さが目立ちます(写真2)。27分で6本が運転されます。平均運転間隔は5.4分とかなりの密度です。それがすべて博多まで向かいます。
博多から先は27分開いていますが、9:02発に乗ると熊本まで先着のつばめに乗りかえられます。そのような意味ではこの時間帯のダイヤホールは17分まで短縮されます。

写真3. 20番線の発車案内
20番線の案内です(写真3)。ひかり779号という情報だけでなく、「レールスター」とも表示されます。

写真4. みんなのスター、レイルスター!
最後尾の様子を写真に収めました(写真4)。私以外の撮影者も見かけ、みんなのスターであることが伝わります。

(参考)写真5. レールスターの表記(2025年に姫路で撮影)
車体にもRail Starの表記があります(写真5)。余談ですが、このときは9:32発のこだまに乗っており、このホームに来ています。

写真6. セミコンパートメントもある
セミコンパートメントもあります(写真6)。このような設備があると家族連れには良いでしょう。現にこのときも家族連れがコンパートメントを使っていました。セミコンパートメントが設置されているのは、700系8両編成だけです。16両編成の新幹線についても、2室ずつ4人用と6人用のセミコンパートメントを設置するのは難しいのでしょうか。

写真7. 指定席では普通車でも横4列配列
指定席では普通車でも横4列配列です(写真7)。通常の横5列配列の車両よりも通路幅が広く感じます。

写真8. 普通車指定席の様子
普通車指定席の様子を別の角度から撮影しました(写真8)。通常のN700系に比べ、座席の明度が低く、シックな感じがあります。さらに電球色の照明によりシックさが強調されます。
ただし、私の近くにいた人は「古い車両でしょ」という発言していたように聞こえ、単に「古い車両」として乗客に認識されている可能性があります。

写真9. 座席の様子
座席の様子です(写真9)。

写真10. ひじかけは大きい
ひじかけは大きいです(写真10)。

写真11. 座席背面の様子
座席背面の様子です(写真11)。背面テーブルが目立ちます。

写真12. 天井の様子
天井の様子です(写真12)。

写真13. デッキの様子
デッキの様子です(写真13)。グレーが基本の配色に見えます。
新大阪から広島の車窓から
せっかくの列車旅です。車窓を楽しみましょう!

写真17. Rail Starの表記
車内の電光掲示板にもRail Starの案内がなされ、単なるひかりでないことを実感します(写真17)。なお、車内は予約で満席かつ自由席は混雑している旨の案内もありました。

写真18. 新大阪を発車!
新大阪を発車しました(写真18)。

写真19. 大阪郊外の住宅街を走る
大阪郊外の住宅街を走ります(写真19)。

写真20. 大阪郊外の住宅街を走る
大阪郊外の住宅街を走ります(写真20)。

写真21. 新神戸に停車
新神戸に停車します(写真21)。山陽新幹線の全列車停車駅かつ2面2線と交互発着ができないという条件があり、山陽新幹線の列車本数を増やせない1つの原因と聞いたことがあります。輸送力を少しでも増強したいなら、臨時列車の一部を新神戸通過にすれば良いかもしれません。

写真22. 新神戸付近のトンネルを抜ける
新神戸付近のトンネルを抜けました(写真22)。

写真23. 西明石を通過!
西明石を通過します(写真23)。

写真24. 住宅の密度が徐々に減ってくる
大阪から離れるにつれ、住宅の密度が徐々に減ってきます(写真24)。

写真25. 少しのどかな風景に変わってきた
少しのどかな風景に変わってきました(写真25)。

写真26. 貨物駅が見える
貨物駅が見えます(写真26)。

写真27. 都市の風景に変わる
都市の風景に変わります(写真27)。

写真28. 姫路に停車!
姫路に停車します(写真28)。通常、のぞみとさくらが毎時1本ずつ停車しますが、両者は均等な運転間隔でなく、10分以内に続行で停車したと思ったら、次は50分以上開きます。さくらの毎時1本とのぞみの毎時3本のうち選択的に停車すると、全駅で運転間隔が均等にはなりません。それがなかなか難しいところです。

写真29. 姫路を発車!
姫路を発車しました(写真29)。

写真30. 山が迫ってきた
徐々に山が迫ってきました(写真30)。

写真31. 山を見ながら走る
山を見ながら走ります(写真31)。

写真32. 緑が広がる
緑が広がってきました(写真32)。

写真33. 川を渡る
川を渡ります(写真33)。

写真34. 少しづつ建物が増えてきた
岡山に近づくにつれ、少しづつ建物が増えてきました(写真34)。

写真35. 岡山に停車!
次の停車駅の岡山に停車します(写真35)。ここまでは西明石と相生を通過しただけで、停車駅の数は多いです。

写真36. 500系のこだまも停車
500系のこだまも停車していました(写真36)。ここで指定席から降りる人も見られ、逆に指定席に乗る人も見えました。この様子から察するに、四国方面や山陰方面に向かう人が降り、自由席も少し余裕が出てきたかもしれません。

写真37. 岡山を発車!
岡山を発車しました(写真37)。

写真38. のどかな風景が広がる
岡山の市街地を抜けると、のどかな風景が広がります(写真38)。

写真39. 丘陵地帯に住宅が点在
丘陵地帯に住宅が点在します(写真39)。

写真40. 再び市街地が広がる
再び市街地が広がります(写真40)。

写真41. 福山に停車!
福山に停車します(写真41)。広島県第2の都市です。通常は毎時1本ののぞみと毎時1本のさくらが停車します。下りについては運転間隔がそれなりにばらけていますが、上りは運転間隔が16分/44分とやや均等ではありません。

写真42. 福山に停車中
福山に停車中です(写真42)。ここでのぞみ7号を先に通します。関西との速達輸送は16両編成の輸送力に任せ、こちらは準主要駅のニーズを補完する役割でしょうか。

写真43. 山の近くを走る
山の近くを走ります(写真43)。

写真44. 三原を通過!
いつの間にか新尾道を通過しており、次に三原を通過します(写真44)。

写真45. ドーム型の芸術文化センターがある
三原駅西方にはドーム型の芸術文化センターがあります。芸術は先鋭的ですからね…。

写真46. 赤い瓦に変わる
周囲の風景が赤い瓦に変わります(写真46)。

写真45. 盆地の光景が広がる
盆地の光景が広がります(写真45)。

写真46. 東広島を通過!
東広島を通過します(写真46)。東広島市といいながら、広島県のほぼ中央部に位置します。

写真47. 盆地を走る
盆地を走ります(写真47)。

写真48. 広島の市街地に入る
盆地からトンネルを抜け、広島の市街地に入ります(写真48)。貨物駅が見えます。

写真49. 広島に到着!
広島に到着します(写真49)。ここでもひかりレールスターと案内されます。ここから博多までは66分です。翌日運転のさくらが63分ですので、車両性能が低く3分余計にかかることがわかります。

写真50. 広島を発車!
そうしてひかりレールスターは広島を発車しました(写真50)。
ひかりレールスターに乗ってみて

写真51. 雰囲気ある車内は魅力的だが
表1. ひかりレールスターと他の列車の所要時間例比較
| 新大阪-広島 | 広島-博多 | |
| ひかりレールスター | 96分 | 66分 |
| さくら(福山待避) | 92分 | 65分 |
| のぞみ(福山停車) | 85分 | 62分 |
| 翌日設定列車 | 96分 | 63分 |
今回、ひかりレールスターに乗ってみました。新大阪-広島の所要時間は96分と、福山での待避時間の3分を除いてものぞみの85分(姫路または福山停車)より8分遅く、同様の停車駅かつ福山で待避するさくらよりも5分遅い設定でした(表1)。
もちろん、臨時列車ゆえにポテンシャルをじゅうぶんに発揮できるダイヤでないという可能性は指摘できます。しかし、広島から博多までの所要時間も翌日運転のさくらよりも3分遅いことから、やはり足の遅さを指摘できます。
速度が第一の生命線の新幹線、たとえ10分程度の所要時間差である以上、商品価値が下がってしまいます。そのような意味で、ひかりレールスターが前面で活躍する時代は終わったと評価できるでしょう。そして、内装も「古いやつ」という評価も車内で聞かれました。そのような意味では2020年代にそぐわない存在と評することも可能です。また、新大阪発着で運転するなら、博多まででなく九州新幹線直通が旅客サービス上は良いでしょう。
かつてはひかりレールスターとして最前面で活躍していた存在といえど、その存在は永遠ではありません。多客期にピンチヒッターとして後方から活躍することが合っているのでしょう。
趣味的には楽しい乗車でしたが、時代に取り残されつつある、そんな感想をひかりレールスターに抱きました。そして、裏を返すと現代の新幹線の進歩にも。
果たして前後はどこに行ったのでしょうか?
(←前)(参考)東海道新幹線の繁忙期の「のぞみ」に乗る(東京→新大阪):25年GWの記事です
ひかりレールスターに乗る(26年GW、新大阪→広島):現在地
広島から三次までのバス移動(→次)
※本旅行の全体像(旅程、費用など)については26年GW九州旅行のまとめをご覧ください。
コメント
乗客がいる車内を(無断で)撮るのであればモザイクくらいされてはいかがでしょうか。
あさま、コメントありがとうございます。
いただいた内容は今後のコンテンツ作成の1つの助言として受け取り、適宜反映させていただきます。
このたびはご指摘ありがとうございました。