JR九州の通勤電車で最も新しい形式の821系電車。その内装は他のJRで見かける通勤電車の内装と異なるものがあります。そんな821系電車の車内を観察しました。

写真1. 独特の内装に驚く
復習:821系電車の概要
最初に821系電車の概要を紹介します。
- 車体:アルミ車両
- 車両:3ドアロングシート車
- 編成:3両編成
- 製造初年:2018年
821系電車は2018年に登場したJR九州の通勤電車です。817系3000番台の流れを汲み、ロングシートが採用されています。811系、813系、817系0番台と転換クロスシート車でデビューしていましたが、2016年から811系電車のリニューアル時にロング化改造、2012年登場の817系3000番台(2000番台も含む)からはロングシートで新製されています。したがって、2018年登場の821系電車がオールロングシート車なことは既定路線だったのでしょう。
ここで状況を整理するために1985年ごろ以降に登場した九州地区の通勤電車の座席配列をまとめます。
表1. 1985年~2017年まで登場の九州地区の通勤電車の座席配列一覧(筑肥線や国鉄型の改造車を除く)
| 登場年 | 車両形式 | 座席配列 |
| 1986年 | 415系1500番台 | ロングシート |
| 1989年 | 811系電車 | 転換クロスシート |
| 1994年 | 813系電車 | 転換クロスシート |
| 1999年 | 815系電車 | ロングシート |
| 2001年 | 817系電車 | 転換クロスシート |
| 2001年 | 813系500番台 | ロングシート(中間車のみ、例外的) |
| 2009年 | 813系最終増備車 | 転換クロスシート |
| 2012年 | 817系3000番台 | ロングシート |
| 2016年 | 819系 | ロングシート |
| 2016年 | 811系(リニューアル) | ロングシート化改造 |
815系電車は地方都市圏向け、813系500番台は筑豊地区の朝夕の増結用という特殊な位置づけで例外的と考えると、1989年登場の811系電車~2009年最終増備の813系はJR九州の通勤車といえば転換クロスシート車でした。
この流れが変わるのが2012年登場の817系2000番台、3000番台からです。九州地方の人口が福岡市やその近郊に集中したという事情もあるのか(=都市間輸送から都市圏輸送への転換)、乗り降りしやすいロングシートに変更されました。
2012年にロングシート車が登場した際は例外的な処置と感じましたが、その流れは2016年に既存の811系電車のリニューアル時に変わりました。2028年までという長期間にわたっての計画でしたが、全車オールロングシート車に変更するという内容でした。このころには、JR九州管内の電車はいずれオールロングシート車に変える計画だったのでしょう。
その流れで登場したのが821系電車です。2012年以降のオールロングシートの新製車と2016年以降の既存車両のオールロングシート化のなかで、2018年に登場した車両がオールロングシート車なのは自然だったでしょう。
821系電車の車内を観察する
御託はこの程度にして、821系電車の車内を観察しましょう!

写真2. 八代に停車中の821系電車
八代に停車中の821系電車です(写真2)。

写真3. 側面の窓は小さい
側面の窓は小さいです(写真3)。ロングシートの背もたれを確保するためですが、窓が小さく見え、好ましくありません。

写真4. 側面の方向幕
側面の方向幕です(写真4)。2010年代に登場した車両らしく、フルカラーLEDによる表示です。

写真5. 車内の様子
車内の様子です(写真5)。車両外観は簡素な印象でしたが、車内は「おしゃれ」さを前面に出しています。2010年代以降のJR九州の特急車にも共通の雰囲気に見え、(このようなデザインが好みかどうかは別として)JR九州車として統一したイメージを持たせていることがわかります。床がブロック調だったり、モケットの柄が複雑だったりと、装飾味が強い車内に感じます。

写真6. ドア側から座席を眺める
ドア側から座席を眺めます(写真6)。座席の袖仕切りが大きいことと、透明なことに気づかされます。

写真7. ドア間の座席は10人がけ
ドア間の座席は10人がけです(写真7)。817系電車(転換クロス)のドア間8人より多いです。背もたれが高く、結果として窓が小さくなっています。
窓の下辺が高いことが窓の小さい原因の1つですが、窓の上辺が低いことも窓の小さい原因です。これはどうにかならなかったのでしょうか。

写真11. 座席には2本のポールがある
座席には2本のポールがあり、3人+4人+3人と分けられています。座席そのものも区分けがあり、定員着席を志向しているとわかります。木の意匠も見えます。305系電車では「木」を前面に押し出し、座り心地は犠牲になっていました。しかし、821系電車では意外と座り心地は犠牲になっておらず、JR九州テイストと実用性の両立が図られていると感じました。

写真12. 車端部は4人がけ
車端部は4人がけです(写真12)。

写真13. ドア付近の様子
ドア付近の様子です(写真13)。

写真14. 整理券発行機の準備スペースか
整理券発行機の準備スペースに見えるミニテーブルがあります。

写真15. 別の車両だとモケットの色が異なる
別の車両だとモケットの色が異なります(写真15)。

(参考)写真16. 305系電車の座席(2024年に唐津で撮影)
参考に305系電車の座席を撮影しました(写真16)。821系電車より大人しい柄であり、かつ座席のクッション性は低いと感じます。

写真17. 照明がダウンライト
天井の方向を眺めると照明がダウンライト(天井に埋め込む照明)なことが印象に残ります(写真17)。

写真18. 八代方の先頭部分のドアの様子
ドアの部分にフォーカスして別の角度から撮影しました(写真18)。整理券発行機の下に消火器があります。目立つ場所にあり、(あってほしくないが)有事の際も機能しそうです。
よく見るとドアの上にLCD表示器があり、情報伝達技術の進歩を感じます。

写真19. 運転室との仕切壁
運転室との仕切壁です(写真19)。この写真で向かって右側の窓の下辺が高いことがやや残念に感じます。

写真20. 運転室との仕切壁
運転室との仕切り壁を別の角度から撮影しました(写真20)。車両前面の貫通扉の下辺が高いことも残念に感じます。これをもう少し低くすれば、背の低い人でも前面展望を満喫しやすくなります。
JR九州の通勤車はドア部分のつり革が円形に配置されており、独特さを感じます。

写真21. ドア窓は単板ガラス
ドア窓は単板ガラスに見えました(写真21)。ドア窓の結露を防ぐには複層ガラスが必須でしょう。そのような意味ではサービスレベルはまだまだと感じました。

写真22. 門司港方先頭車は緑色のモケット
門司港方先頭車は緑色のモケットです(写真22)。これは遊び心があります。ただし、優先席も同じようなモケットなのは識別しにくく、やや問題に感じます。
821系電車を眺めてみて

写真23. 821系電車の外観はそっけない
今回、旅行で821系電車に初めて触れ、その外観のそっけなさと内装のこだわりぶりのギャップに驚きました。また、305系電車などで実績のある「木」を前面に押し出した座席を見た瞬間、座席の座り心地の悪さを覚悟しましたが、意外と座り心地は良く、テイストを維持しつつ、実用性もある程度考慮したことを感じました。


写真群1. 普通の通勤電車(E233系)とおしゃれを目指した通勤電車(821系)の比較
そして、このような内装は普通の「電車の内装」とはテイストが異なるように見えました(写真群1)。これは「おしゃれな電車」を確立しようという努力にも見えました。他方、座り心地など思ったよりも実用性も重視しており、このようなテイストのなかで極力実用性や快適性と両立させようという意図も感じました(このようなテイストやオールロングシート車が良いかどうかは別として)。
個人的には常識的な背もたれの高さ(=窓を大きくする)とし、座席は全面的にモケットで覆うことでより良くなると感じました。さらに、一部車両だけでも転換クロスシートを復活いただくと、より多くのニーズに応えられると感じました。
果たして前後はどこに行ったのでしょうか?
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821系電車の車内:現在地
※本旅行の全体像(旅程、費用など)については26年GW九州旅行のまとめをご覧ください。
コメント
ちょっと考察が浅い気がする。それと自分の好みを推しすぎ。
ゴリ石さま、コメントありがとうございます。
考察の浅い点、ご期待に沿えず申し訳ありません。また、好みを推しすぎという点についてもご期待に沿えず申し訳ありません。
他方、個人サイトの特長として個人の好みや考えについて自由に述べられる言語空間(もちろん名誉棄損しない範囲内などの一般常識は必要ですが)と理解しています。
したがって、今後も弊サイトでは「個人の好みや考えについて自由に述べられる言語空間」という方針で運営を続けます。
それに対し、読者さんがどのように考えるか感じるか反応するかという点まではこちらが立ち入ることもいたしません。
この点について再認識いただければ望外の喜びです。