熊本県の八代と鹿児島県の川内。かつては鹿児島本線という幹線で結ばれていましたが、現在は第三セクターの肥薩おれんじ鉄道により結ばれています。そんな肥薩おれんじ鉄道で移動しました。

写真1. 八代にやってきた川内方面行き
復習:肥薩おれんじ鉄道の概要
最初に肥薩おれんじ鉄道の概要を紹介します。
表1. 肥薩おれんじ鉄道の概要
| 区間 | 八代-川内 |
| 距離 | 116.9km |
| 運賃 | 2810円 |
| 所要時間 | 約2時間30分 |
| 運転間隔 | 1時間~3時間間隔 |
図1. 八代駅と川内駅の位置関係(googleマップより引用)
肥薩おれんじ鉄道は、八代と川内を結ぶ鉄道路線を所持する第三セクター路線です。もともとこの前後も含め鹿児島本線でしたが、九州新幹線開業時に「並行在来線」として経営分離され、肥薩おれんじ鉄道に移管されたのです。
これ以降、JR九州は新幹線開業時に並行在来線の経営分離をしていません。それほど、厳しい経営環境と見込まれた路線であるということです。
鹿児島本線時代は都市間輸送を担う特急列車もこの区間を走っていましたが、その旅客は新幹線に移行し、肥薩おれんじ鉄道の役割は地域輸送です(そして地味だが重要な役割として貨物列車ルートというのがある)。ただし、この区間の新幹線も毎時2本が基本(うち1本は各駅に停車、1本が速達タイプ)であり、都市間輸送のパイそのものも大きくなく、かつ途中の新水俣や出水にも新幹線の駅があるというハンディキャップもあります。
そういった背景から1両編成でも組成しやすいディーゼル車が使用され(1両編成の交流電車は存在しない)ます。そして、毎時1本もなく2時間~3時間間隔という列車本数です。個人的には2時間を超えて間隔が開くのはしんどいので、2時間間隔は確保(きっちりとしたパターンダイヤ)かつ利用の多い時間帯は1時間間隔とするのが良いとは感じました。
運賃は2810円です。新八代から川内まで新幹線(自由席)で4140円より1300円以上安いです。ただし、新幹線の所要時間は34分ですので、2時間余計にかかることになります。
新幹線や山側を通り、風景にはそこまで恵まれません。一方、肥薩おれんじ鉄道は海岸に近い場所を走り、風景にも恵まれます(JR九州の特急36ぷらす3も週に1回通ります)。観光路線として打ち出すことも考慮され、おれんじ食堂も走っていましたが、現在は運転士不足という理由で出水駅構内で列車レストランです。
肥薩おれんじ鉄道に実際に乗る
御託はこの程度にして、肥薩おれんじ鉄道に実際に乗りましょう!今回は途中駅での座席確保が信用できないという理由で、全区間通しとしています。また、八代で鹿児島中央までの乗車券を窓口で購入しました。この方法はクレジットカードが使えて便利です。
このときは出水で乗りかえたので、2つに分けて記します。
Stage1. 八代→出水

写真2. 普通出水行きがやってきた(出水で川内行きに連絡)
普通出水行きがやってきました(写真2)。どこで待つか分かりにくかったです。また、熊本よりのドアから降りる人が多く、鹿児島よりのドアから乗るとフライングで乗り込めました。
そこそこ待っている人がいるにも関わらず、整列位置を示さず、かつ乗降分離もなしという有様です。「地元のルール」を知っている人なら良いですが、排他的で感心しないシステムです。八代で降りる人は熊本よりのドアから、乗る人は鹿児島よりのドアからと乗降分離すれば不公平感は解消されます。

写真3. 着席は可能!
着席は可能でした。ただし見知らぬ人と向かい合わせというのは現代日本にそぐわない面があり、転換クロスシートが望まれます。可動式の部品のメンテナンス作業に対する懸念があるなら、固定式の2人がけでも良いでしょう。

(参考)写真4. 固定クロスシートの例(名鉄6800系、2023年10月に撮影)
その固定クロスシートの例です(写真4)。

写真5. 八代を発車!
八代を発車しました(写真5)。

写真6. 住宅街を走る
住宅街を走ります(写真6)。

写真7. 球磨川を渡る
球磨川を渡ります(写真7)。こちらから見て川の左側に肥薩線が見えます。もっとも長期運休中ですが。

写真8. 肥後高田に停車!
肥後高田に停車します(写真8)。ひごたかだでなく、「ひごこうだ」と読みます。海側は住宅街が広がり、このあたりは毎時1本あっても良さそうな雰囲気です。

写真9. 住宅街から離れる
徐々に住宅街から離れます(写真9)。

写真10. 線路が分岐する
線路が分岐します(写真10)。このような設備は純然たるローカル線ではまず見られず、かつて国土軸として機能していた時代の名残を感じます。

写真11. 日奈久温泉に停車!
日奈久温泉に停車します(写真11)。

写真12. 海が見える
海が見えます(写真12)。多くの人が海を見ていました。やはり良い車窓は人を惹きつけるのです。

写真13. 海が見える
海が見えます(写真13)。

写真14. 肥後二見に停車!
肥後二見に停車します(写真14)。

写真15. 海が見える
海が見えます(写真15)。対岸に天草諸島もあり、風情のある風景です。

写真16. 海沿いに道路がある
海沿いに道路があります(写真16)。

写真17. 上田浦付近の様子
上田浦付近の様子です(写真17)。

写真18. 海が見える
反対側の車窓からは海が見えます(写真18)。

写真19. たのうら御立岬公園に停車!
たのうら御立岬公園に停車します(写真19)。もっとも御立岬公園まではかなり遠く、利用者も多くありません。とはいえ、このあたりの道の駅や集落へのアクセスには重宝し、細かく利用者を拾う姿勢は重要でしょう。

写真20. 道路沿いを走る
道路沿いを走りますが、国道3号線といえども自動車の量はそこまで多くありません。地域輸送のパイの小ささを物語ります。

写真21. 海が見える
たびたび海が見えます(写真21)。

写真22. 海浦に停車
海浦に停車します(写真22)。幹線輸送時代の名残か、ホームは長いです。

写真23. 海浦の駅名標
海浦の駅名標です(写真23)。

写真24. のどかな風景を走る
のどかな風景を走ります(写真24)。

写真25. 線路が増える
線路が増えます(写真25)。

写真24. 佐敷はそこそこ大きな駅
佐敷はこのあたりではそこそこ大きな駅です(写真24)。乗り降りもそれなりにあったと記憶しています。

写真25. のどかな風景を走る
のどかな風景を走ります(写真25)。

写真26. 湯浦に停車!
湯浦に停車します(写真26)。

写真27. 湯浦を発車!
湯浦を発車しました(写真27)。

写真28. のどかな風景を走る
のどかな風景を走ります(写真28)。

写真29. のどかな風景を走る
のどかな風景が続きます(写真29)。

写真30. 九州新幹線の高架が見える
九州新幹線の高架が見えます(写真30)。幹線軸であれば抜本的な改良がなされた高速鉄道は必須です。では、地域輸送をどうするか?これが課題です。旅客輸送はコミュニティバスに変更することも可能ですが、貨物列車だけはどうにもなりません。

写真31. ホームの長い駅に停車!
鹿児島本線時代の名残か、ホームの長い駅に停車します(写真31)。

写真32. ここは津奈木
ここは津奈木です(写真32)。芦北町から水俣市に入っています。

写真33. 森を眺める
森を眺めます(写真33)。

写真34. 新水俣に停車!
新水俣に停車します(写真34)。ここは九州新幹線の駅です。

写真35. 住宅街を走る
住宅街を走ります(写真35)。

写真36. 広い構内
広い構内です(写真36)。

写真37. 水俣に停車!
水俣に停車します(写真37)。街はずれにも見えますが、市街地側とは反対方向の車窓なためです。人口は2万人とそこまで多くありませんが、風光明媚な場所として知られています。有名な公害病の場所でもありますが、化学事業はJNCに引き継がれています。

写真38. 水俣を発車!
水俣を発車しました(写真38)。

写真39. のどかな風景を走る
のどかな風景を走ります(写真39)。

写真40. 袋に停車!
袋に停車します(写真40)。肥薩おれんじ鉄道の熊本県側の最後の駅です。東北本線や北陸本線から転換された第三セクター路線と異なり、県境で会社が分割されていません。会社を下手に分割すると境界付近が不便になる弊害があります。ここではそれを避けたのでしょうか。

写真41. 高規格道路と新幹線と並走
高規格道路と新幹線と並走します(写真41)。

写真42. 海が見える
海が見えます(写真42)。

写真43. 米ノ津に停車!
米ノ津に停車しました(写真43)。

写真44. 新幹線の高架が近づく
新幹線の高架が近づきます(写真44)。

写真45. 次は出水
次は出水です(写真45)。この列車は次の出水までで、出水から先は乗りかえが必要です。これは不親切です。
Stege2. 出水→川内
出水到着は多少遅れていましたが、同じホームの反対とあり、スムーズに乗りかえられました(多少の遅れは接続すると読んでいましたが)。

写真46. 出水で乗りかえた列車はマスコットキャラクター付き
出水で乗りかえた列車はマスコットキャラクター付きでした(写真46)。このようなキャラクターのために行脚する人がいるので収益源になる一方、嫌悪感を抱く人もいます。個人的所感ですが、好みの分かれる装飾はやらないほうが良いと感じます。
出水で運転席後ろの出口に陣取ったおかげで、首尾よく乗りかえられました。

写真47. 出水に停車中
出水に停車中です(写真47)。

写真48. 出水を発車!
出水を発車しました(写真48)。人口約5万人の沿線の経由地で最も人口の多い都市です。

写真49. 米ノ津川を渡る
米ノ津川を渡ります(写真49)。

写真50. 市街地の広さを感じる
出水の市街地の広さを感じる風景です(写真50)。

写真51. 住宅街を走る
住宅街を走ります(写真51)。

写真52. 西出水に停車!
西出水に停車します(写真52)。駅名から最近開業した駅に感じますが、開業は1923年(開業当時は武本)と歴史のある駅です。

写真53. 住宅街を走る
住宅街を走ります(写真53)。

写真54. 住宅街を走る
住宅街を走ります(写真54)。

写真55. 畑が見える
畑が見えます(写真55)。鹿児島県はシラス台地とあって畑作が発達したと学校で習ったことを覚えています。

写真56. 遠くに山が見える
遠くに山が見えます(写真56)。

写真57. 高尾野に停車!
高尾野に停車します(写真57)。

写真58. のどかな風景を走る
のどかな風景を走ります(写真58)。

写真59. のどかな風景を走る
のどかな風景を走ります(写真59)。

写真60. 野田郷に停車!
野田郷に停車します(写真60)。

写真61. のどかな風景を走る
のどかな風景を走ります(写真61)。

写真62. 川を渡る
川を渡ります(写真62)。

写真63. 折口に停車!
折口に停車します(写真63)。

写真64. アクの強い絵がある
アクの強い絵があります(写真64)。好みが分かれるイラストは公共の空間にそぐわないというのが私の感想です。

写真65. のどかな風景を走る
のどかな風景を走ります(写真65)。鹿児島県に入り、南国感のある風景になってきた気がします。

写真66. 赤瀬川信号場を通過
赤瀬川信号場を通過します(写真66)。

写真67. 海が見える
海が見えます(写真67)。

写真68. 天草諸島が見える
天草諸島が見えます(写真68)。

写真69. 阿久根に停車!
阿久根に停車します(写真69)。

写真70. 高松川を渡る
阿久根を発車し、高松川を渡るところです(写真70)。

写真71. 海が見えてきた
海が見えてきました(写真71)。

写真72. 海を眺める
海を眺めます(写真72)。八代-阿久根で見えていた天草諸島はこの区間では見えません。天草諸島の南端を過ぎたのです。

写真73. 牛ノ浜に停車
牛ノ浜に停車します(写真73)。

写真74. 海岸沿いを走る
海岸沿いを走ります(写真74)。

写真75. 海岸沿いを走る
海岸沿いを走ります(写真75)。

写真76. 海岸から徐々に遠ざかる
海岸から徐々に遠ざかります(写真76)。

写真77. のどかな風景を走る
のどかな風景を走ります(写真77)。

写真78. 薩摩大川に停車
薩摩大川に停車します(写真78)。あちらは新八代行きです。新八代到着は16:14、接続のさくらは16:31発と必ずしも接続は良好ではありません。折り返しも同様です。

写真79. 海岸に近づく
再び海岸に近づきます(写真79)。

写真80. 海岸沿いを走る
海岸沿いを走ります(写真80)。

写真81. 海を眺める
海を眺めます(写真81)。

写真82. 海を眺める
海を眺めます(写真82)。

写真83. 西方に停車!
西方に停車します(写真83)。

写真84. 海水浴場が見える
海水浴場が見えます(写真84)。まだ5月上旬なのに、海水浴している人がいる!

写真84. 海岸沿いを走る
海岸沿いを走ります(写真84)。

写真85. ヤシの木が並ぶ
ヤシの木が並び、南国にやってきた実感がわきます(写真85)。

写真86. 薩摩高城に停車
薩摩高城に停車します(写真86)。

写真87. のどかな風景を走る
のどかな風景を走ります(写真87)。

写真88. 海岸沿いを走る
海岸沿いを走ります(写真88)。ここまで車窓から海を眺められてましたが、それもここで終了です。

写真89. のどかな風景を走る
のどかな風景を走ります(写真89)。

写真90. 草道に停車
草道に停車します(写真90)。

写真91. のどかな風景を走る
のどかな風景を走ります(写真91)。

写真92. ロードサイド店舗も見える
ロードサイド店舗も見えます(写真92)。

写真93. 上川内に停車!
上川内に停車します(写真93)。肥薩おれんじ鉄道の最後の駅です。

写真94. 川内地区の市街地に入る
川内地区の市街地に入ります(写真94)。

写真95. 住宅街を走る
住宅街を走ります(写真95)。

写真96. 市街地を走る
市街地を走ります(写真96)。

写真97. 川内に停車!
川内に停車します(写真97)。

写真98. 足早に鹿児島中央行きに乗りかえる
多くの乗客が足早に鹿児島中央行きに乗りかえます(写真98)。

写真99. 先頭部も撮影
せっかくなので先頭部も撮影しました(写真99)。
肥薩おれんじ鉄道に乗ってみて

写真100. 海岸沿いの風景は美しい
肥薩おれんじ鉄道に乗って驚いたのは、風景の良さです。そして、運転本数の少なさとその割に多い利用者数も印象に残りました。
ただし、現状ではこの風景を堪能するために確実に着席する方法はありません。これによって、利用者を逃している面は否定できません。また、(JR時代より改善されたとはいえ)2時間以上のダイヤホールがあるのも感心しません。
前者については、一部列車におれんじ食堂を連結し、客単価の向上と着席サービスを兼ねると良いでしょう。運転士不足でおれんじ食堂列車を運転できないと表明していますが、定期列車に増結(食堂部分は別途料金が必要)すれば何とかなるでしょう。問題は現在の運賃収受方式を採用している場合、両端の駅で編成を組み換えねばならないことです(最近の観光列車の潮流は運転要員はワンマン運転、サービス要員が別途添乗なので車掌乗務で解消できません)。開き直っておれんじ食堂の半分を一般列車扱いとすればこの点は解消します。
ただし、この点は1両運転を放棄すれば解消します。近年の非電化区間の車両の潮流を見るに、1両編成でも2両編成でも製造費用は大きく変わらず、(朝夕に2両運転をする以上は)運用費用も大きく変わらないでしょう。そうすれば、座席確保の問題は極小化します。電化設備を維持している以上、製造費用が安いと見積もられる電車(=JR九州車と共通仕様)に取り換えるのも手です。そうすれば、JR線との直通も復活できます(JR九州車がオールロングシート車なので、その点と風光明媚な沿線風景をどうするのかという問題もありますが)。
後者については、2時間間隔のパターンダイヤ(朝夕は1時間間隔のパターンダイヤ)に変更し(JR線を含めて乗りかえパターンを一定にする)、最大でも2時間待ちとするのが王道でしょう。九州新幹線を含めてパターンダイヤとすれば、長距離利用者も取り込めます。
せっかくの風景がありながら、それをじゅうぶんに活用できていないように感じました。もちろん先立つものの不足という問題もあるでしょう。この点は貨物輸送を担っている以上、国費による補填もなされるべきでしょう。肥薩おれんじ鉄道そのものは経営努力をなされていますが、それ以上に制度設計などの問題が大きく、いろいろと考えてしまったのも事実です。
果たして前後はどこに行ったのでしょうか?
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※本旅行の全体像(旅程、費用など)については26年GW九州旅行のまとめをご覧ください。