ヨーロッパでも大規模な空港のフランクフルト空港。その近くに目を向けると、フランクフルト空港駅があります。実はここフランクフルト空港駅はドイツの鉄道の重要なジャンクションでもあります。その素顔を探りました。

写真1. フランクフルト空港駅の長距離駅はガラス張りの駅舎が印象に残る
復習:フランクフルト空港とその2つの駅

写真2. 空港と長距離列車の駅が隣接しているため列車を航空便としても使用(T7が該当)
最初にフランクフルト空港と隣接する2つの駅を簡単に紹介します。
観点1. フランクフルト空港の立ち位置
図1. フランクフルト空港の位置(googleマップより引用)
フランクフルト空港の位置を示しました(図1)。ドイツ西部に位置し、ベルギーやオランダへも視野に入ります。その立地ゆえなのか、多くの方面の航空機が集まるハブ空港として機能しています。もちろん、フランクフルト空港がそのような空港としての地位を築くために不断の努力をしている点も見逃せません。第3ターミナル新設(2026年に供用開始、第2ターミナルは改修工事中)や4本ある滑走路がその成果の例でしょう。
このようなハブ空港になったのは、もう1つの理由があります。それは、フランクフルト空港駅が鉄道の重要な結節点であるためです。
観点2. フランクフルト空港駅の長距離列車の拠点性
そして、フランクフルト空港駅は長距離列車の拠点でもあります。

図2. ドイツ鉄道の長距離列車網(ドイツ鉄道の公式サイトから引用)
ここでドイツ鉄道の長距離列車網を示しました(図1)。ここで注目したいのは、フランクフルト空港駅が単なる専用系統の駅ではなく、ケルン方面-マンハイム方面の(フランクフルト中央駅に対する)ショートカットに寄与していていることがわかります。もっというと、長距離列車網にフランクフルト空港駅が組み込まれ、フランクフルト中央駅にも来ていない系統もやってくるのです。
日本で例えると、東海道新幹線の一部系統が羽田空港を経由し、さらに東北方面の系統もやってくるということです。
とりわけ、フランクフルト-ケルンの高速新線のフランクフルト側の起点とあり、ケルン方面のフランクフルト側の拠点駅でもあります。例えば、オランダ方面やベルギー方面の高速列車の停車駅であり、フランクフルト空港からそのまま別の国に向かうことができます。これもフランクフルト空港がハブ空港としての機能を維持している1つの理由と感じます。
なお、フランクフルト空港駅は第1ターミナル側にあります。第3ターミナル発着の航空便の場合は、第1ターミナルと第3ターミナルの間を移動する必要があります。この移動は無料で移動できるシャトルを使用します。
観点3. フランクフルト空港の2つの駅
ここまでフランクフルト空港には駅があると述べました。しかし、実際には2つの駅があります。
図3. フランクフルト空港の2つの駅(googleマップより引用)
フランクフルト空港には2つの駅があります(図3)。その2つの駅は以下の通りです。
- Frankfurt(M) Flughafen Fernbahnhof:長距離列車の駅、空港からやや距離がある
- frankfurt-main-flughafen-regionalbahnhof:近距離列車の駅、空港から近い
実際には近距離駅は1番線~3番線、長距離駅は4番線~7番線と称されています。

図4. フランクフルト空港駅の地図(ドイツ鉄道公式サイトより引用後加工)(空港は図の下側)
フランクフルト空港の駅はフランクフルト空港の第1ターミナルの北側に近接しています。近距離駅は空港の北側すぐにあり、長距離駅は空港の北側の道路をはさんだ場所にあります。近距離駅の1番線が最も空港に近く、長距離駅の7番線が空港から最も遠い立地です。近距離駅の1番線からフランクフルト中央駅方面のSバーンが発車します。すなわち、(初めてのドイツや初めてのフランクフルトで)不安な人は、最も近い1番線の列車に乗るとフランクフルト中央駅方面に向かえる、という初心者向けの構造ともいえます。
フランクフルト空港駅を実際に歩く
御託はこの程度にして、フランクフルト空港駅を実際に歩きます。

写真3. フランクフルト空港から下に向かう(24年8月撮影)
フランクフルト空港から下に向かいます(写真3)。

写真4. フランクフルト中央駅方面は1番線(24年8月撮影)
フランクフルト中央駅方面は1番線です(写真4)。

写真5. 1番線はCityとも表記される(24年8月撮影)
1番線はCityとも表記され、一見さんにはわかりやすいとは思います(写真5)。ここだけでなく、ドイツの多くの駅には改札口がありません。

写真6. 1番線の様子
1番線の様子です(写真6)。フランクフルト空港駅からフランクフルト中央駅は15分間隔のSバーン利用と書かれますが、毎時1本程度のREも利用可能です。実際に先発列車はSバーンでなくRE3系統です。

写真7. Sバーン到着時の様子
マインツ経由のSバーンが到着したときの様子です(写真7)。1番線のSバーンにはマインツを経由する系統とそうでない系統がありますが、フランクフルト空港とフランクフルト市内の間はどちらも使え、15分間隔です。このほかにRE3系統が通り、毎時5回の乗車チャンスがあります。

写真8. 道路を渡る連絡橋
フランクフルト空港駅(近距離駅)とフランクフルト空港駅(長距離駅)の間は道路があり、そこを連絡橋で渡ります(写真8)。ただし、このような知識がないと単に空港の延長上状としか感じません。

写真9. 連絡橋を進む
連絡橋を進みます(写真9)。

写真10. フランクフルト空港駅(長距離駅)が見える
フランクフルト空港駅(長距離駅)が見えます(写真10)。4番線~7番線と近距離駅からの連番です。日本の発想だと、11番線~14番線になりそうです。

写真11. ガラス張りが印象に残るフランクフルト空港駅(長距離駅)
フランクフルト空港駅(長距離駅)はガラス張りの駅舎が印象に残ります(写真11)。

写真12. 駅舎の西側を眺める
駅舎の西側を眺めます(写真12)。ここまで北に向かったので、連絡橋から見て左側の様子とも表現できます。

写真13. 駅舎の東側を眺める
駅舎の東側を眺めます(写真13)。先ほどと逆に、連絡橋から向かって右手の方向です。

写真14. 駅舎の東側を眺める
駅舎の東側を眺めます(写真14)。こちら側にカフェチェーン店とハンバーガーチェーン店が見えます。

写真15. ハンバーガー店の店内
ハンバーガー店の店内です(写真15)。日本の新幹線を基準とするとドイツの高速列車の本数は少なく(たいていの系統が毎時1本程度)、航空機を降りてから列車に乗るまでの待ち時間の有効活用になるかもしれません。ICEには食堂車こそ連結されていますが、必ずしも座れるとも限りませんし、温かいメニューがあるとも限りません。その点、飲食店なら椅子もあり、温かいメニューもそろっています。

写真16. 駅舎の北側にはドイツ鉄道のカウンターもある
駅舎の北側にはドイツ鉄道のカウンターもあります(写真16)。定型的な内容についてはアプリケーションで事足りますが、遅れた際の対応などの非定型的な内容については窓口が一番です。

写真17. 長距離列車の発車案内
長距離列車の発車案内です(写真17)。日本の駅のように路線ごとに発車案内は分離されていません。空港のスタイルと同様、全列車が一覧で表示されます。運休となる列車は白抜きで表示され、遅れがあると発車時刻が白抜きで表示されます。列車12本中、遅れが4本で運休が1本です。

(参考)写真18. 2023年の様子
参考に2023年の様子です(写真18)。12本中遅れが6本、運休が3本でした。2023年も2026年も抜き取り調査にすぎませんが、2023年よりはドイツ鉄道の運行は安定している、とも表現できます。もちろん、乗客としては遅れや運休はないほうがベストではあります。

写真19. ホームにはICEが停車中
ホームにはICEが停車中です(写真19)。

写真20. ドルトムント行きが停車中
ドルトムント行きが停車中です(写真20)。フランクフルトとケルンという大都市間であっても意外と本数は少ないです。特にケルン側ではこの系統のように中央駅を通らない列車もあるので、フランクフルト中央駅とケルン中央駅の双方を結ぶ列車は毎時1本の速達列車と2時間に1本の停車型列車しかありません。フランクフルト方面とデュッセルドルフ方面を結ぶ列車がケルン中央駅に停車するとケルン中央駅で進行方向を変える必要があるためです。
1時間に1本の速達便のうち半分はケルン中央駅からブリュッセル方面に進むため、進行方向を変えません。これは上手に考えたものです。もっとも、ケルン中央駅を西から迂回するルートはありますので、こちらを活用すれば、ケルン中央駅を通る列車はさらに増やせます。

写真21. ここから乗る乗客が多い
ここから乗る乗客も多いです(写真21)。フランクフルト空港駅より自動車での便が良いためなのか、航空機利用客(特に国際線利用客)が乗り込んだのかはわかりません。少なくとも、高速列車との連絡の良さがフランクフルト空港をハブ空港としての機能向上に役立っている点は無視できません。カタログスペック上はケルンまで50分台、デュッセルドルフまで90分以内です。

写真22. 地域列車の一部も長距離駅に発着
地域列車の一部も長距離駅に発着します(写真22)。ここで見えているRB58系統はフランクフルトの西のリュッセルスハイムとバイエルン州のアシャッフェンブルク方面を結びます。フランクフルト市内に向かうのであれば近距離駅に発着したほうが親切に感じましたが、よく考えると、この系統はフランクフルト中央駅を通りません。そのため、フランクフルト中央駅方面に向かいたい「一見さん」の目に触れないこのホーム発着のほうが結果的に親切でしょう。
図4. リュッセルハイムとアッシャッフェンブルクの位置関係(googleマップより引用)
これらの位置関係を示しました(図4)。中央駅をショートカットする経路です。

写真23. 線路工事の都合で一時期はベルリン方面も延長されていた(23年に撮影)
フランクフルト地区からベルリン方面は2つの経路があります。距離の短いエアフルト経由と距離の長いウォルフスブルク経由です。フランクフルト空港発着はウォルフスブルク経由のうち4時間間隔ですが、このときはウォルフスブルク経由の列車が半減していました。その補填として、エアフルト経由の一部がフランクフルト空港まで延長されていました。

写真24. フランクフルト空港発ベルリン行きICE
フランクフルト空港発ベルリン行きICEです(写真24)。ICE 4による運転でした。このときは空席がほとんどなく、ハレまで2時間半の立ちを強いられました。
フランクフルトからハレまで実際に列車に乗っています。