フランクフルトからベルギー方面には高速列車ICEが運転されています。そんな国境越えのICEに乗りました。

写真1. フランクフルト空港駅に入線するブリュッセル南駅行きのICE
復習:フランクフルトとブリュッセルの移動

写真2. フランクフルトで並ぶブリュッセル行き(奥)とパリ行き(手前)
最初にフランクフルトとリエージュの移動方法の概要を紹介します。なお、リエージュへの移動はブリュッセルの移動を紹介することと同じ(基本的にリエージュを通るICEはブリュッセル行き)ですので、ブリュッセルとの移動方法も併せて述べます。
図1. フランクフルトとブリュッセルの位置関係
最初のフランクフルトとブリュッセルの位置関係を示しました(図1)。ケルンとブリュッセルの間にリエージュが位置します。
表1. フランクフルトとブリュッセルの移動概要
| ブリュッセル | リエージュ | |
| 所要時間 | 約3時間 | 約2時間10分 |
| 運転間隔 | 2時間間隔 | 2時間間隔 |
| 運賃+料金 | €50~150目安(2等車) | €45~125目安(2等車) |
フランクフルトとブリュッセルは約400km離れています。それをICEは約3時間で結びます。そして、途中でフランクフルト空港駅に停車し、長距離国際線との連絡も兼ねています(そのような意味はあまり大きくないとは思いますが)。
ICEはフランクフルト-ブリュッセルを2時間間隔で運転されています。このほか、(ドルトムント-)ケルン-ブリュッセル-パリを結ぶユーロスターが基本的に2時間間隔で運転され、(理論上は)フランクフルト-ケルンを結ぶオランダ方面のICEと接続しています。フランクフルトからパリまで通しの運転はありませんが、フランス東部を経由する別系統の高速列車が存在するため、ケルン経由でパリ直通がなくとも問題ないのでしょう。フランクフルトからブリュッセルの所要時間は3時間程度、途中のリエージュまでなら2時間10分程度です。
基本的にICEは座席指定は必須ではありませんが、一部期間の国境越え区間(アーヘン-リエージュ)は座席指定が必須です。私が乗った26年夏(と24年夏)は座席指定が必須でした。ユーレイルパスで乗車する際はこの点に注意する必要があります。
フランクフルトから途中ケルンを通りますが、フランクフルトからケルンの列車本数はそれなりに存在するものの、双方の中央駅を通る系統はそこまで多くありません。そのなかで、フランクフルト-ブリュッセルの系統は両駅を通る貴重な系統でもあります。
フランクフルトからケルンまでの運転系統について簡単に紹介しています。
車両はICE 3neoが使われます。以前はICE 3でしたが、車両の世代交代がなされています。

図2. フランクフルトからブリュッセルの料金検索結果

図3. フランクフルトからリエージュの料金検索結果
料金面は事前予約と当日予約で料金が異なります(図2、図3)。簡単にいうと、乗車よりだいぶ前に変更不可能/キャンセル不可能な料金体系で予約すると安いということです。欧州地区では高速列車の高頻度運転はなされておらず、駅に到着した時間に応じて列車を自由に変更することは考えられていないのでしょうか。予定の読めない場合は、(時間に余裕を取って)後の時間の便を予約するか、高い料金を払うことになり、鉄道の利便性を放棄しているように感じてしまいました。もっとも私のように欧州外の人間はユーレイルパスを使えばこの点は何とかなるのですが。
フランクフルトからリエージュまで実際にICEに乗る
御託はこの程度にして、フランクフルトからリエージュまで実際にICEに乗ってみましょう!
Stage1. フランクフルト空港駅の乗車まで
このときは中国東方航空の1.5日遅れにより、フランクフルト空港駅から直にICEに乗りました。よって、フランクフルト中央駅からは乗車していません。

写真3. フランクフルト空港駅(長距離駅)の発車一覧
フランクフルト空港駅(長距離駅)の発車一覧です(写真3)。2023年や2024年ほどではありませんが、遅れもそれなりにあります。もう少し定時運転確保しましょうよ…。

写真4. ブリュッセル行きの案内
ブリュッセル行きの表示です(写真4)。さっそく4分遅れの表示です。遅れ時間やのりば変更も反映してくれるので優秀といえば優秀な運行ではありますが…。
ブリュッセル行きはBruxelles-Midiと表示されています。これはフランス語表記です。オランダ語表記ではBrussel-Zuidです。ブリュッセルそのものはフランス語表記が主流とされていますが、周囲はオランダ語表記が主流です。そのような背景があり、フランス語表記なのでしょうか。1つ前の停車駅のリエージュもフランス語表記が主流の場所(ワロン地域)です。

写真5. ブリュッセル行きがやってきた
このような御託を並べていたら、ホームに向かって右側から列車がやってきました。右側通行のドイツであればごく自然な場面ですが、左側通行に慣れた身からすると違和感があります(ベルギーの鉄道は左側通行です)。
Stage2. ICE 3neoの車内
この系統にはICE 3neoが使われます。

写真6. ICE 3neoの1等車
ICE 3neoの1等車の様子です(写真6)。日本でいう在来線と同等の車体幅で横3列の座席配列です。窓割と座席割が一致していないのは欧州らしさを感じますが、新製車体なので考慮いただきたいと感じます。

写真7. ICE 3neoの1等車
1等車の様子を別の角度から撮影しました(写真7)。近年のICEは「木目調」の彩度が下がっているように感じます。

写真8. 1等車の車内
1等車の車内です(写真8)。以前の車両より座席の彩度も低くなっており、現代的な配色とも感じます。

写真9. 1人がけの座席
1人がけの座席です(写真9)。座席上にランプがあり、予約状況を確認できます。ドイツの列車は任意指定制であり、予約区間だけが指定席、それ以外の区間は自由席です。ただし、予約状況を反映しているとはいいがたく、その点は日本の首都圏JR特急のような精度を求めてはいけません(この点は比較的几帳面なオーストリアでもそうでした)。
もっとも他の列車も含めて見ると、適当な空席に座る風潮がありました。

写真10. 2人がけの座席
2人がけの座席です(写真10)。ここは座席割と窓割が比較的良好です。ただし、ICE 3neoに限らず、欧州地区の鉄道の座席は向きを変えられないことが多いです。よって、進行方向向きに座席が向いているかどうかは運です(編成の向きを把握しても逆転することが多い)。

写真11. 座席背面の様子
座席背面の様子です(写真11)。木目調のテーブルが目立ちます。

写真12. テーブルを出した様子
テーブルを出した様子です(写真12)。シートピッチが意外と狭く見えるかもしれません。その通りで、私が測定した限りではシートピッチは93cmでした。新幹線の普通車でも1040mmが基本で、新幹線のグリーン車は1160mmですので、新幹線より10cm~20cm狭いことになります。
全席が前を向いており(もちろん乗客都合で向きを変えることも可能)、かつ座席割と窓割が一致している新幹線車両は優秀と再認識するところです。配色はこちらのほうが好みですが。

写真13. 2人がけの座席
別の2人がけの座席を撮影しました(写真13)。ひじかけが意味深ですね。

写真14. ひじかけの充電器
ひじかけの下には充電器があります。コードが不要でなかなか便利なシステムに感じます。ただし、揺れで「最適な位置」からずれると充電は停止されます。細かな監視と場所合わせの技能が必要な上級者向けのシステムと感じました。

写真15. シックな配色のデッキ部分
シックな配色のデッキ部分です(写真15)。客室とデッキ部分の仕切扉がガラス張りなことはICEの伝統となっている感じがあります。それでも木目の部分の彩度を下げ、かつ色相を赤から遠ざけて2020年代にふさわしい配色に変更していると感じます。日本の鉄道車両には意外と少ない配色です。

(参考)写真16. ICE Tのデッキ部分
参考にICE Tのデッキ部分を示しました(写真16)。

写真17. 荷物置き場がある
荷物置き場があります(写真17)。旅行者にとってはありがたい設備です。ただし、私のように荷棚に入る程度の荷物しか持っていない(それも海外旅行で!)者は、このスペースをなくして座席周りのスペースに充当してほしいと感じます。

写真18. 食堂の様子
ICE 3neoに限らず、ドイツのICEには食堂車が連結されています(写真18)。このときはフランクフルト空港駅の「行きつけ」のバーガーキング(といいながら3年3か月ぶり!)で昼食を済ませていたので、たいして必要と感じていません。それでも、このような設備があるのはありがたく感じます。

写真19. 食堂車は職員のリラックス空間と化していた
食堂車は職員のリラックス空間と化していました(写真19)。客が利用しにくいと感じる要因と感じ、個人的には好ましくないと感じてしまいます。
単独客が多いのであれば、片方はカウンター形式にしても良いかもしれません。

写真20. 食堂車へのドアが開かない!
食堂車へのドアが開きません(写真20)!このときは食堂車にいた人が手で開けてくれました。
Stage3. フランクフルトからリエージュの車窓から
次にフランクフルトからリエージュまでの車窓を紹介します。

写真21. フランクフルト空港を発車!
フランクフルト空港を発車しました(写真21)。ICE 3neoは窓ガラスが特殊で外が少しだけ見えにくいです。

写真22. 高速道路と並走する
高速道路と並走します(写真22)。

写真23. 少し乗っただけのつもりだったがだいぶ進んだ
少しの時間しか乗っていないつもりでしたが、さすが高速新線区間です。だいぶ進んでいました。
動画1. 快走する様子
快走する様子を動画に収録しました(動画1)。

写真24. 高速道路と並走
高速道路と並走します(写真24)。高速道路と並走する区間が多いように感じますが、これは単なる偶然ではありません。環境保護を考慮し、「環境破壊」する高速道路と高速新線を集中させました。高速道路の騒音は鉄道線路周辺に及んでも問題ありませんし、逆もそうです。あらゆる場面で適用できる考えではありませんが、上手に考えたものです。
この影響で高速新線は鉄道にしては急な勾配になりました。そのため、フランクフルト-ケルンの高速新線は動力分散車両しか運転できず、かつ貨物列車の運転も不可能とされます。

写真25. ケルンの郊外に入った
ケルンの郊外に入ったように感じます。ただし、実際にはボン郊外のボン・ジーグブルクでしょう。フランクフルト空港とケルンの間には3つの中間駅がありますが、ボン・ジーグブルクは他の中間駅と異なり、(日中時間帯は2時間に1回の乗車チャンスでなく)2時間に3回の乗車チャンスがあります。ボンは中都市ですが、(東西ドイツが並立した)西ドイツ時代(※)は首都であり、現在も首都機能の一部は残されています。それだけにある程度の利便性を確保しています。
※現在のドイツはかつての西ドイツが領域を拡大した国家形態ですが、東西分割時代を強調するために「西ドイツ時代」と書きました。当時の西ベルリンは厳密には西ドイツでなく、西ドイツの首都機能を置けませんでした。
この旅行の2年前にボンを訪問しています。ボンに関する記事をいくつか執筆しています。
ボンに位置する、近現代史をまとめた博物館への訪問記です。ここで西ドイツについて私なりに解説しています。
そのボンを気軽に散策しました。かつての首都とは思えないほどののどかさが印象に残っています。
ボンの市内交通について簡単に紹介しています。地下鉄のような路面電車もありました。この路面電車がボン・ジークブルクに足を延ばしています。