日本でも珍しい座席配列を有する719系電車。その最後の生き残りが標準軌用の5000番台です。そんな719系5000番台の車内を観察しました。

写真1. 米沢に到着した719系5000番台
復習:719系5000番台の概要
最初に719系電車の概要を紹介します。
- 車体:ステンレス車両
- 車両:3ドアセミクロスシート車
- 編成:2両編成
- 製造初年:1989年
719系電車は1989年に登場したJR東日本の通勤電車です。当時は3ドアステンレス車両の近郊型電車が全国に導入されていた時期です。札幌圏の721系電車、首都圏の211系電車、名古屋地区の311系電車、九州地区の811系電車というようにです。
これらのシリーズの仙台地区に導入された車両が719系電車という印象です。当時の東北地区は2ドア車両が主体であり、乗り降りしにくい点がやや問題でした。そこでドアの数を3つに増やし、乗降を容易にしました。また、4人向き合わせだけでなく、2人がけ座席を設置したことも大胆なレイアウトでした。
このなかで、奥羽本線の「山形新幹線」化にともない、福島-山形の標準軌用の車両も必要になりました。このときの東北地区の標準車両が719系電車だったことから、この区間も719系電車が導入されました。こちらは標準軌用ということで5000番台が付されました。今回紹介する車両はこの5000番台です。
719系5000番台の車内を眺める
御託はこの程度にして、719系5000番台の車内を観察しましょう!

写真2. 719系5000番台の車内
719系5000番台の車内です(写真2)。クリーム系のベースカラーに赤系の座席のアクセントカラーが存在感を出します。この車両の親分ともいえる211系0番台の車内に似ています(現在はモケットが張り替えられています)。

写真3. ドア付近の様子
ドア付近の様子です(写真3)。ワンマン対応車は整理券発行機があります。

写真4. ドア間の様子
ドア間の様子です(写真4)。1990年代前半より前の車両らしく、ロングシートの座席下にはスペースはありません。足元が狭くて悪いとも、寒い風が通らなくて良いとも解釈できます。

写真5. 2人がけシートの様子
2人がけシートの様子です(写真5)。

写真6. 2人がけシートを別の角度から撮影
2人がけ座席を別の角度から撮影しました(写真6)。

写真7. 2人がけ座席の視点から
2人がけ座席の視点から撮影しました(写真7)。意外と狭く感じました。朝の通勤時間帯に窓側の人が小駅で降りる場面では苦労するかもしれません。

写真8. 4人向かい合わせの座席
4人向かい合わせのボックス席です(写真8)。座り心地は良くもなく悪くもなく、という印象でした。また、窓側には灰皿が撤去された跡があります。

写真9. 車端部の様子
車端部の様子です(写真9)。トイレの前に2人がけの座席があります。

写真10. トイレ近くにはごみ箱もある
トイレの近くにはごみ箱もあります(写真10)。

写真11. トイレの入口
トイレの入口です(写真11)。

写真12. トイレの様子
トイレの様子です(写真12)。いにしえの和を感じます。

写真13. もう1つの車端部
先の写真はクハ718の車端部、こちらはもう1つの車端部のクモハ719の車端部です(写真13)。こちらはロングシートです。

写真14. 天井の照明は直接照明のカバーなし
天井の照明は直接照明でカバーもありません(写真14)。シンプルな照明です。ただし、周囲が白系の壁ですので、車内は明るく感じます。

写真15. 運転室と客室の仕切り壁
運転室と客室の仕切り壁です(写真15)。もともとは助手席側の窓の下辺が低い構造でしたが、後年の改造がそれを無駄にしてしまっています。719系電車はもともとワンマン対応を考慮しておらず、やや無駄な空間になってしまっています。とはいえ、719系電車設計当時には車端部の客用ドアをさらに端部に配置する考えはなかったのでしょう。ドアの配置1つとっても、将来の見通すことの難しさを読み取れます。

写真16. 運転室と客室の仕切り壁
運転室と客室の仕切り壁を別の角度から撮影しました(写真16)。

写真17. ドア付近を眺める
ドア付近を眺めます(写真17)。ホームの高い標準軌の路線限定のためか、ドアステップもありません。
719系5000番台の車内を眺めてみて

写真17. セミクロスシートが並ぶ車内
719系電車は地方都市圏での輸送改善を目的に独特の座席配置でデビューしました。確かに座席定員が少なくとも転換クロスシートを採用すれば、快適性は向上したでしょう。車両定員が小さくなることによる輸送力不足に対しては、3両編成で構成して「量で解決」という手段を選択できました。乗客目線ではこれがベストです。このような点はあれど、意欲的な車両であることは事実でした。
しかし、現実には通勤時間帯の乗り降りのしやすさを重視したロングシート車両が求められることが多くなったと感じます。それも1つの側面でしょう。意欲的な設計をしても普遍的な希望には勝てません。719系電車の車内配置と近年の地方都市圏の車両レイアウトを比較し、そのようなことを考えてしまいました。