ベルギー鉄道旅行の基本情報

記事上部注釈
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ヨーロッパの隠れた鉄道大国、ベルギー。そのベルギーには多くの鉄道網が発達しており、とても楽しい旅行が楽しめます。そんなベルギーの鉄道旅行の基本知識を丁寧に詳しくまとめました。

写真1. ベルギー旅行の白眉、グランプルス(2年に1回の祭典に当たった!)

ベルギーとその鉄道の基本知識

まず、ベルギーの概要について簡単にまとめます。概要といっても多くの側面がありますが、ここでは鉄道旅行に関する内容をまとめます。

図1. ベルギーの位置(wikipediaより引用、NuclearVacuum - Location European nation states.svg, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=8097211による)

  • 首都:ブリュッセル
  • 鉄道の営業キロ:3595km(2013年のデータ、世界の鉄道より引用)
  • 主な都市:ブリュッセル、アントウェルペン(英語読みでアントワープ)、ヘント(英語読みでゲント)
  • 主な観光地:ブリュッセルの旧市街

ベルギーはドイツとフランスの間に位置し、昔から大国のはざまとして生きてきました。時代によっては北のオランダや南のフランスの一部分だったこともあります。全体的に平坦でそこまで標高の高い場所はありません(そうはいっても南部は丘陵地帯です)。面積は日本の九州と同程度です。

現在は西ヨーロッパの大国の間にあるという地理的条件を生かし、EUの首都としての地位を確立しています。自然豊かな国というよりも国全体が産業化された工業国というイメージです。

国の南部がフランス語圏、国の北部がオランダ語圏、そして中央付近の首都ブリュッセルは両言語併用地区という特徴があります。特に両言語併用地区というのはあまり例がなく、地下鉄を利用する際には、フランス語とオランダ語で全く駅名が異なる(例. フランス語でArts-Loiという駅がオランダ語ではKunst-Wetと表記)ことがあり、注意が必要です。

観光輸送よりも産業輸送が主体ということもあり、ベルギー国内の鉄道は平日のほうが土曜・休日よりも本数が確保されている例が多いです。全体的に本数はそれなりに多く(特に平日)、鉄道旅行するうえでストレスはあまりたまらない印象です。

なお、ベルギーに限らず、世界各国の鉄道に関する基本情報がまとめられた優良書籍(世界の鉄道)があります。ベルギーの鉄道に興味がわいたら、下記の書籍で周辺国の知識を広げることも重要です!

一般社団法人 海外鉄道技術協力協会 ダイヤモンド社

ベルギーの鉄道利用について

では、ベルギーの鉄道利用の実践的な内容について紹介しましょう!

写真2. ベルギーの列車は基本的に全車自由席(ブリュッセル中央駅で撮影)

ベルギーの列車種別

国際列車を除き、基本的には以下の種別です。

  • IC:国内の主要駅を結ぶ役割。日本でいう快速に相当(乗っていて特急感は感じませんでした)
  • L:国内の各駅を結ぶ役割。日本でいう普通に相当
  • S:都市近郊で運転される列車。日本でいう「国電」に相当するが、毎時1本の区間もあり、頻発運転とは限らない

ベルギー国鉄(フランス語表記ではSNCB、オランダ語表記ではNMBS)の列車は基本的に全車自由席です。指定席はありません。これは国内列車とブリュッセル-アムステルダムのIC、ブリュッセル-ルクセンブルクのICに適用されます。

また、基本的に1時間サイクルパターンダイヤが適用され(土曜・休日は2時間サイクルに変更される区間もある)、国内移動、とりわけ平日での移動は旅程が組みやすいです。また、隣国のドイツよりも遅れが少ないように見え、そのような意味でもストレスはたまりません。

図1. ベルギー国鉄の路線図(ベルギー国鉄の公式サイトより引用)

国鉄の路線網は非常に緻密です(図1)。私の感覚では、ブリュッセル-ヘントやブリュッセル-アントウェルペンが主要な幹線軸です。国鉄の公式サイトに全路線の時刻表も掲載されていますので、必要に応じご参照ください。

国際列車は以下の系統が主流です。

  • フランス方面:ユーロスター(パリ北駅発着)、TGV(パリ以外発着)が直通。パリ方面は毎時1本の運転が基本だがパターンダイヤではない。全席指定
  • イギリス方面:ユーロスター(ロンドン発着)が直通。全席指定でブリュッセルで国境審査あり(イギリスと欧州諸国は国境審査があります)
  • ドイツ方面:ケルン方面にあり。ICE(ケルンからフランクフルト直通もあり)またはユーロスター。ICEは任意指定制(JR東日本の首都圏特急のような制度)で2時間間隔。ユーロスターは全席指定
  • オランダ方面:最速達列車はユーロスターで全席指定、ICは全席自由席
  • ルクセンブルク方面:ICは全席自由席

このほかにナイトジェット(ウィーン方面とベルリン方面)やヨーロピアンスリーパー(ベルリン経由プラハ方面)という夜行列車もベルギーに乗り入れています。

国際列車はイギリス、フランス方面の運営が全席指定制、ドイツ方面の運営が任意指定制(たまに国境区間が全席指定制になっているが実態はそこまで変わらないように見えた)と考えると覚えやすいです。つまり、ベルギー以外の国のルールがそのまま持ち込まれているということです。

ベルギーの駅

ヨーロッパのターミナル駅というと、頭端式を思い浮かべます。しかし、路線の終端の駅はともかく、路線の中間駅は基本的に通過式です。これはブリュッセルでも当てはまります。もともと頭端式の北駅と南駅がありましたが、戦後に北南連絡線を建設し、スルー運転が可能になったためです。そのような意味では日本に近い感覚で利用できます。

また、ブリュッセルのターミナル駅はブリュッセル南駅ですが、ブリュッセルの中心部にはブリュッセル中央駅があり、ICは停車します。ブリュッセル南駅のつづりをBruxelles Midi(フランス語表記)と覚えているとBrussels Zuid(オランダ語)と書かれており、戸惑うことがあります。

ベルギー国鉄の駅に基本的に改札はなく、その気になれば乗車券類を購入せずに乗ることができます。ただし、車内改札で不正が発覚すると多額の罰金が取られます。これは欧州で共通ですが、私の印象ですが、ベルギー国鉄の列車ではしょっちゅう検札がありました。ブルッヘとクノックの間のローカル列車ナミュールとディナンの間のローカル列車でも検札があったことは、印象に残っています。

ベルギーの1等車

欧州のほかの国と同様、1等車と2等車に分かれています。1等が日本でいうグリーン車、2等が日本でいう普通車に相当します。ただし、両者の設備の差異はそこまで感じません。予備知識がほぼない状態でベルギー国鉄の1等車に乗りましたが、重厚感はなく、そっけなく感じたものです。

ただし、2等車よりも利用客のモラルが高いことは事実といえ、ある意味「客層」を買うための1等車という位置づけなのでしょう。

なお、使用車両については国鉄の検索画面から確認できます。私の記憶ですが、l11系客車であればそれなりに重厚な1等車が期待できます。AM80系電車などではそのようなプレミアムさは期待できません。鉄道パス系での利用はともかく、個別にチケットを購入する場合、使用車両によって等級を選択するのも1つの手でしょう。

図2. ベルギー国鉄の検索結果

写真3. 珍しく重厚な1等車

鉄道パスとの比較

私が2024年8月にベルギーに行った際は、初ベルギーということで、安全策を取って鉄道パス(ユーレイルグローバルパス)を使いました。しかし、実際にはベルギー国鉄の運賃は安く、鉄道パスは高くつきました。ブリュッセルからの主要区間の運賃を示します。

表1. ブリュッセルからの運賃(片道、割引なし)

1等運賃2等運賃
アントウェルペン12.48.9
リエージュ27.517.8
ブルッヘ26.017.0
オステンド31.020.2

グローバルパスのフレキシーパスの場合、4日用(2等)で283ユーロ、4日用(1等)で359ユーロです。そのため、4日でこれらを往復した場合でも1等でも193.8ユーロ、2等では127.8ユーロと当然元を取れません。そして、ドイツ方面以外の高速列車はパスホルダ料金(座席限定で発売される指定席券のようなもの)対象の席が限られ、安易に鉄道パスを使うと損です。

ベルギーの鉄道旅行で印象に残った場所

ベルギーの鉄道旅行で印象に残った場所を記します。クリックいただくと、実際の旅行記を読むことができます。

リエージュからナミュールまでのIC

リエージュからナミュールまでの列車旅

写真4. ベルギーの列車には落書きが多い(明るいためか治安の悪さは感じませんでした)

フランス語圏の2都市を移動しました(フランス語圏の最大都市はシャルルロアなのですが)。この列車はベルギー国鉄の地方都市間の標準クラスと想定され、そのような意味では特筆すべき列車ではありません。しかし、私にとってはドイツからの移動で運休、混雑、遅れ、編成逆転というトラブルから乗りかえた、人生初のベルギー国鉄の列車ということで印象に残っています。そして車内が暑いことも(このときは数年に1回レベルの異常な暑さでした)。

このとき、車両に華美さはないものの(ベルギー国鉄の国内列車には食堂車はおろかカフェテリアもなく、1等車でも簡素)、走りや定時制は信頼できると感じました。それは、この列車に限ったことではなく、ベルギー国鉄全般にいえることでした。

ブリュッセルからブルッヘのIC

ブリュッセルからブルージュ(ブルッヘ)への列車旅

写真5. ブルッヘも観光地であり、多くの人が降りた

夏にブリュッセルからブルッヘ(英語読みではブルージュ)までICに乗りました。列車の行先はオステンドというリゾート地でした。夏の海に行く列車とあってか、大変混雑していました。2等車では座れないかもしれず、1等車を選択したことは良かったかもしれません。多くの人が南駅から乗っていたので、北駅で乗車し、南駅の座席争奪戦に参加しないという手もありましたが、そこまで頭が回りませんでした…。

海岸トラムへの乗車

ベルギーの海岸トラム(ベルギー沿岸軌道)に乗る

写真6. オステンドでは乗客が入れ替わる

ベルギーの海岸線沿いに長いトラムがあります。単独の路面電車系交通機関としては世界一の長さを誇ります。夏場は10分間隔という高頻度運転がなされており、渋滞や駐車場探しから解放される交通機関として利用されている様子が伝わりました。

沿線は工業地帯とリゾート地が交錯し、独特の風景を楽しむことができました。

ブリュッセルの街歩き

ブリュッセルの街歩き観光

写真7. 夜のグランプルス周辺はライトアップが美しい

首都ブリュッセルはエリアによって見どころが異なり、なかなか趣のある都市でした。

ディナンの要塞

シタデル(ディナンの城跡)の散策

写真8. 要塞から眺める川沿いの風景

ベルギー南部にディナンという場所があります。ここは昔から川沿いの要塞という位置づけでした。ベルギーでもそこまで有名な場所ではありませんが、ここは必見と思いました。

ベルギーの鉄道に関する深い記事

ここまで大まかな内容を述べてきました。しかし、それだけでは芸がありません。そこで、ベルギー鉄道旅行の細かな利用場面ごとにその詳細を書きました。狭くて「深い」情報を収録しています。

写真9. ブリュッセル南駅にやってきたユーロスターのアムステルダム行き

高速列車の予約に関する記事

ユーロスターの予約方法(ブリュッセル→アムステルダム)

ブリュッセルからオランダ方面とパリ方面は全席指定制の高速列車で結ばれています。パスホルダ料金で座席を予約できるのであれば、そうしたいでしょう(パスホルダ料金を適用できなければ個別利用に舵を切る)。その判別法も含めてまとめています。

ブリュッセルの市内交通

ブリュッセルの市内交通に親しむ

ブリュッセルの市内交通について触れています。路線網は複雑ですが、支払い方法はかなりシンプルです。

ベルギーの鉄道移動に関する記事

ベルギーの鉄道移動に関する記事です。

なお、ベルギーを通る国際列車(高速列車)については下記の区間を紹介しています。

旅行の手配の際に利用したほうが良いサービス

写真10. 人生初のベルギー旅行はシンガポール航空で欧州入り

往復の航空券、現地の宿泊施設、現地のインターネットはあらかじめ日本で手配するのが鉄則です。そうでないと、現地で貴重な観光時間の一部を割いて、手配せねばならないからです。日本であらかじめ手配すれば、現地での時間を観光などに最大限使うことができます。ここでは、そのサービスを紹介しましょう。

航空機の予約

海外旅行だと航空便の選択肢として、「直行便」「乗継便」というのが選択肢に登場します。一般的に直行便が高く、乗継便が安いです。そして、ヨーロッパ旅行の場合、乗継箇所は韓国、中国、ロシア、フィンランド、トルコなど多くの選択肢があります。でも、それだけの選択肢の情報をそれぞれ公式サイトで探すのは大変ですよね?

そこで登場するのが代理店です。代理店であれば、多くの航空会社の情報を知っています(旅行業界に限らず、商社を使うメリットです)。でも、旅行代理店に行くのは大変?そんな場合は、自宅でインターネット上で探してみましょう!

海外格安航空券予約サイト-skyticket.jp-



このサイトであれば、出発地と到着地を入力すれば、価格順だったり所要時間順に航空便を複数教えてくれます。ご自身の希望に合わせて航空便を選択すれば予約完了です!

ホテルの予約

ホテルを探すのも大変です。地球の歩き方先生にホテル情報は掲載されていますが、そこから電話予約するのも大変です。だいいち、日本語が通用しない相手です。

そこで登場するのが代理店です。ここで注意したいのが、日本の代理店を使うことです。日本の代理店であれば、いざという時に日本語で連絡できます(そして、以下のサイトでは「いざ」というときがありませんでした)。

旅行先別★海外ホテルを選ぶ!



このサイトさんは地図からホテルを選択することができますので、非常に助かります。地図上に表示された独自の★の数からホテルを選択できるのです。

インターネット環境の整備

海外で手持ちの電話機でそのままインターネットを利用することは困難です。携帯電話会社と契約し、高額な海外利用サービスを利用せねばなりません。

そんなお金があるのであれば、日本でwifiルータを契約し、それでインターネット利用したほうが良いでしょう。以下の会社の4Gサービスを利用しましたが、特に問題なく使えました。それに本体の重さも軽かったです。

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クレジットカードの契約

今やクレジットカードのタッチ決済が当たり前の時代です。そのような時代ではVISAブランドのクレジットカードを所有するのは旅行の常識です。でも、クレジットカードは年会費がかかるから持ちたくない?そうでしょうか。エポスカードならば年会費無料なので、所有することにリスクはありません。

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ベルギーに関する記事一覧

ベルギーに関する記事についてはこちらをご覧ください。

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