ユーレイルグローバルパスの遅延補償金の申請

記事上部注釈
弊サイトでは実際に利用したサービスなどをアフィリエイトリンク付きで紹介することがあります

ユーレイルグローバルパス。欧州の国鉄系の鉄道に乗り放題(国によっては座席指定が必要な列車あり)の最強のチケットです。そのユーレイルグローバルパスでは列車遅延の際に補償金を受け取ることができます。その方法と実体験を記しました。

写真1. 乗った列車は52分遅れであったが…

復習:ユーレイルグローバルパスの概要

写真2. スイスは自由席が基本、パターンダイヤで鉄道パスとの親和性は高い(モントルーで撮影)

最初にユーレイルパスの概要を紹介します。

  • 欧州の33か国の国鉄系の鉄道路線に乗り放題
  • 使用用途によって、1か国パスとグローバルパスを用意
  • 1等用、2等用があり、価格は前者のほうが高い
  • 指定席料金は含まれておらず、指定席については別途予約が必要

ユーレイルパスはジャパンレールパスの欧州版です。欧州以外に住んでいる人が購入できます(欧州市民は別途インターレイルパスがあります)。

1か国パスとグローバルパスがあります。例えば、ドイツ国内だけを移動するのであれば、ドイツ1か国パスを使い、ドイツと別の国を移動するのであればグローバルパスを使う、という具合です。

1か国パスであれ、グローバルパスであれ、乗車できる権利は座席指定されていない等級のみです。座席指定列車に乗る場合は、別途指定席料金が必要です。私の印象ですが、中欧地区は座席指定料金、西欧地区はパスホルダ料金(座席数限定で販売)という形態です。東欧地区や北欧地区は経験がないのでわかりません…。まあ、ルーマニアやブルガリアは物価が安く、わざわざレイルパスを使う意味もないようなイメージがあります。

いずれも都市内交通は利用不可(ドイツ語圏でいうSバーンのような国鉄系都市鉄道は利用可能)です。

2023年の旅行では「知っている国」相手(そして弊サイトで記事を執筆しながら強力に復習している)でしたので、旅程1つ1つを検討しながら安い手段を探しました。一方、2024年の旅行では「知らない国」相手でしたので、安心を重視して単純にグローバルパスを採用しました。結果、高かったのですが…。

グローバルパスの遅延補償金

写真3. 20分遅れでハレに到着したICE(このときは旅程が60分遅れだがこの制度を知らなかった)

ヨーロッパは顧客への保証を重視する側面があり、列車運休などの保証も手厚いです。インターネットを見た記憶ですが、1本目の列車が遅れ、2本目の区間の最終列車に間に合わなかった人が、翌日の列車に振り替えられたほかに、乗りつぎ駅付近のホテルに宿泊したということもありました(ホテルは鉄道会社で用意し、旅行者はそのホテルに行くだけ)。

遅延に関してもその点は補償が手厚いです。

ユーレイルパスでの旅行中に60分以上の列車の遅延が発生した場合には、不都合に対する金銭的な補償を受けられる場合があります。以下の規定で詳細を確認するか、フォームを使用して補償を申請してください。

ユーレイルパス公式サイトより引用

その大まかな規定については、下記の通りです。

1. 遅延補償はどんな場合に適用されますか?

遅延は、到着予定時刻と、実際の到着時刻または推定到着時刻との間に生じた時間差で定義されます。旅行中に少なくとも60分以上の遅延が発生した場合、遅延補償の対象となります。その前の1つ以上の運行の遅延または運休の結果として乗り継ぎができなかった場合、継続的な遅延の長さは、ご旅行時に適用される運送約款により異なります。Eurail B.V. は、遅延補償に加えて、ご旅行の中断に伴う追加費用を払戻します。

2. 補償額はどれくらいになりますか?

継続的な遅延に対する補償は、60分から119分の遅延の場合は €12、120分以上の遅延の場合は €24(予約またはその他の費用を除く)となります。報酬は、金銭形式で、ユーロでの銀行振込により支払われるものとします。最高額はパスの価格の50%となります。

3. 遅延に伴い発生した追加費用の払戻し

また、継続的な列車の運休や遅延のために発生した追加費用の払戻しを受ける資格が生じる場合もあります。この払戻しは、当初の目的地に到着するまでに発生するやむを得ない費用のみを対象とし、EU 旅客の権利および規則第18条に定められた基準に従います。

ユーレイルパス公式サイトより引用

非常に簡単にまとめると、以下の通りです。

  1. 列車遅延や運休そのもので生じた遅れだけでなく、遅延や遅れによる列車乗りつぎの不成立も遅れと定義される(細かな点で規約が存在するが)
  2. 遅延補償金は60分以上で12ユーロ、120分以上で24ユーロ
  3. 上記取り扱いは3か月以内に申請すること

ここで重要な点は、遅れなどによる最終目的地の到着遅れに対して補償されることです。

遅延補償金発生の実例

さて、実例を紹介します。なお、実際の様子についてはケルンからリエージュまでの列車旅(トラブルとその対処法も収録、24年夏)をご覧ください。

写真4. ブリュッセル行きが運休!

実例紹介:列車運休と52分遅れの影響

私は以下の旅程を組んでいました(関係ない箇所については省略)。

  1. ケルン中央13:44→リエージュ14:44/14:51→ナミュール15:41/15:51→ディナン16:22
  2. ケルン-エーレンフェルド15:4716:25→リエージュ16:4417:36/17:51→ナミュール18:41/18:51→ディナン19:22

当初は1の旅程で進み、ディナンには16:22に到着する予定でした。しかし、ケルン13:44発のICE1344列車が運休となり、代替列車のICE14列車で移動することになりました(座席指定券を持っていたので、無手数料で代替席も確保された)。しかし、代替のICE14列車も52分遅れており(リエージュ到着時)、さらに旅程は1時間遅れました。つまり、当初の旅程を基準にすると180分遅れました。

日本の感覚だとICE1344列車の遅れが52分しかなく、(遅れ60分以上が対象の)遅延補償金は受け取れないように感じます。しかし、運休や接続不成立も補償の対象ですので、120分以上の遅れとカウントされるのです。

手続きの実際

実際に手続きを行いました。まず、遅延補償申請のページのフォームから送信します。私はICE14列車が運休し、ディナン到着が180分遅れた旨を英語で送りました(Google翻訳で翻訳された英文をそのままコピペしました)。

The ICE1344 departing from Cologne Central Station at 13:42 was cancelled and I took the IC14 train two hours later. However, this train was also delayed, and the transfer in Liège was further delayed, and we arrived in Dinant three hours late, from 16:22 to 19:22.

In addition, the IC14 train I boarded from Cologne was also affected by congestion and reversal of formation, so I was able to sit in the first class seat just before arriving in Aachen.

Please consider refunding this point.

すると、Eurailより返信があり、下記の通りスクリーンショットとともに送りました。

Thank you for contacting me.

・ I was forced to choose a train that was one train later than the original ICE, so I lost 2 hours.
・The ICE train was also delayed by about 40 minutes, and I couldn't make it to Liège in time for the 16:51 train.

In addition, in order to prevent problems in the car, the pass Trip selects the train that you actually rode.

問い合わせのメール(私→Eurailへのメール)より引用

(日本語内容)

連絡ありがとうございます。
・当初のICEより1本遅い列車を選択させられたので、2時間のロスとなった。
・当該のICEも40分くらい遅れ、リエージュ16:51発の列車にも間に合わなかった。

なお、車内トラブル防止のため、パスのTripは実際に乗った列車を選択しています。

この後、24ユーロ振込の連絡があり、実際にエポスカードにマイナスの請求がなされています。残念なのは、レイルパスを購入したときよりユーロが安くなっており、日本円ではやや損となったことです。それでも、旅費が3,675円安くなった点は無視できません。

ユーレイルパスの遅延補償金を受け取ってみて

写真5. 幸か不幸かベルギー国内では遅延はほとんど発生していなかった(ブルッヘで撮影)

今回はユーレイルパスの遅延補償金を受け取ることができました。手続きはそれほど難しくなく(英語でメールされるが翻訳サイトを使えば意味はわかる)、旅費が3600円程度節約できました(為替相場でこの価格は異なりますが)。

ユーレイルパスの使い勝手については、多くの日本語解説サイトがありますが、このようなトラブルについてはなかなか解説されていません(私の探しかたが悪かったかもしれませんが)。そのため、実例を踏まえながら簡単に解説しました。

列車遅れがあると気が立ってしまいます。しかし、多少でも還元されると考えれば、旅程崩壊の負の感情が多少でも緩和されることでしょう。そして、適切な知識と自分で行動することが肝要なことを改めて実感した次第です。

ここまで詳細に解説しました。公式サイトから予約できると思いますが、日本語で予約できないことに不安を感じる人もいるかもしれません。下記のサイトであれば、日本語で予約できるので安心です。


Omio:ヨーロッパ鉄道旅行交通予約サイト

また、その予約にはクレジットカードが便利です。

個人的にはエポスカード がおすすめです。

海外旅行に使えるカード:エポスカードで詳細を紹介しています。