イギリス、フランス、ベルギー、オランダ、ドイツを結ぶユーロスター。そのユーロスターは全車指定席で予約は必須です。そのユーロスターの予約方法を示します。
写真1. タリス時代の様子(2019年にパリ北駅で撮影)
復習:ユーロスターとは?
写真2. イギリス直通便は昔からユーロスターだった(2019年に撮影)
予約方法を述べる前に、ユーロスターの概要を紹介します。
ユーロスターの概要
- 区間:ロンドン-パリ、ロンドン-ブリュッセル方面、パリ-ブリュッセル-アムステルダム、パリ-ブリュッセル-ケルン方面
- 所要時間:2時間20分(パリ-ロンドン)、1時間30分(パリ-ブリュッセル)、2時間(ブリュッセル-アムステルダム)
- 座席指定:全席指定(座席指定なしでの乗車は不可能)
ユーロスターはもともとロンドンとヨーロッパ(パリ、ブリュッセル方面)を結ぶ列車のことを指していました。そして、パリ-ブリュッセル-アムステルダム、ケルン方面の列車はタリスと称していました(運営も異なっていた)。しかし、経営環境の変化によって、タリスとユーロスターは統合され、パリ発着のベルギー方面の列車もタリスでなくユーロスターです。
古い書籍には「パリとブリュッセルを結ぶタリス」と書かれていますが、今やユーロスターです。この点は今や常識かもしれませんが、念のため記しました。
(タリス時代もそうですが)ユーロスターは全席指定席です。ドイツ、スイス、オーストリアであれば(夜行列車、一部の観光列車や国境線を越える一部のICEを除き)任意指定制ですが、そのような進んだ制度はこの3か国が中心であり、国境を越えて西ヨーロッパに入ったらこの常識は通用しません。フランス、イタリアに1歩でも入った瞬間に長距離列車は全席指定制が基本です。
ユーロスターはフランスの香りがあるためか、ユーロスターも例外ではありません。レイルパスであっても座席をあらかじめ指定する必要があります。指定席単独では販売しておらず、パスホルダという枠で指定席を入手します。パスホルダ枠は限られており、前もって購入する必要があります。
一方、欧州は列車限定(変更不可)という条件で割安で列車を予約できます(東海道新幹線で例えると、東京から新大阪に移動するのに東京11:00発ののぞみ225号だけ有効で変更不可、後続の自由席利用も利用不可)。パスホルダ枠で早めに指定席を確保するくらいであれば、個別に予約したほうが良いでしょう。もちろん、その日に別の列車に乗る予定があり、合計金額を計算して損得を勘定した結果であればパスホルダ枠を狙うのも手です。
1時間間隔で運転されるのが基本ですが、一部区間で運転間隔がずれています。パターンダイヤで運転する思考が薄いフランス寄りであればその傾向は強いです。
参考:パスホルダ枠の確認
ユーロスターのパスホルダ枠の空き状況はベルギー国鉄の公式サイトから確認できます。片道ならsingle、往復ならdoubleをクリックすることで選べます。EurailPass(ユーレイルパス)かInterrailPassを選びますが、双方に効力の違いはありません。EurailPassは欧州市民以外が使えるレイルパス、InterrailPassは欧州市民(かつ居住国以外)が使えるレイルパスです。
弊サイトの読者さんの多くは日本人でしょう。日本人であれば日本国籍をお持ちの人が多いでしょう。そのため、EurailPassを選んで問題ありません。
例えば、8/17のブリュッセル→アムステルダムでパスホルダ枠が空いている列車は、以下の通りでした。
図1. 8/17のパスホルダ枠の空き状況
参考に記事執筆時点で約7日後の空き状況を示しました(図1)。2等は1本しか選択肢になく、1等でも2本しか選択肢になりません。
図2. 列車指定の場合の空き状況
個別予約の場合の空き状況です(図2)。選択肢が大幅に加わりました。このように列車の座席が空いていてもパスホルダ枠が空いていないことがあり、レイルパスだと自由度はかえって下がることがわかります。価格差も75€-22€=53€であり、4日用と5日用の価格差の35€を考慮すると、レイルパスだからといって安いとも限らないのがポイントです。18€と自由度のどちらを優先するかどうかのことです。
余談ですが、この区間のICは39€で全席自由席です。レイルパスの場合、自由度と割安な価格を両立しつつ、パスホルダ座席を狙うという手法があります。
ユーロスターの座席予約方法
さて、実際の座席予約方法を示します。今回はユーロスターの公式サイトではなく、SNCB(ベルギー国鉄)の公式サイトから予約しました。ベルギーが関わる場合、ユーロスターとそれ以外を選んで予約できるので、一覧性という意味ではベルギー国鉄から予約すると良いでしょう!
今回は例示として2人としました。
1) ベルギー国鉄公式サイトを開く
図3. 列車一覧が表示された
ベルギー国鉄の公式サイトを開きます。ベルギー国鉄の公式サイトは国内線と国際線でページが異なっているので、今回の場合は国際線のサイトを開きます(本記事でのリンクは国際線のページにしています)。
駅名を入力し、移動日を選択するとこのように予約可能な列車が示されます(図2)。このときはICが選択肢にありませんでしたが、後日確認するとICも選択肢にありました。ブレダ駅の工事があり、ICの時刻が決まっていなかったためでしょうか。
2) 列車を選ぶ
図4. 等級が示される
今回は朝の列車を選択します(図4)。1等を選択しましたが、なにやら2つあります。どのようなことでしょうか。ユーロスターの公式サイトを確認すると以下の説明がありました。
図5. ユーロスターの等級(公式サイトより引用)
これではわかりにくいと思うので、google翻訳後に私が意訳しました(表1)。
表1. ユーロスターの等級の日本語訳
Standard | Comfort | Premium |
出発の1時間前までは手数料無料で交換可能 | 出発の1時間前までは手数料無料で交換可能 | |
出発の7日前までなら25ユーロ/25ポンド/40ドルで払い戻し可能 | 出発の7日前までなら25ユーロ/25ポンド/40ドルで払い戻し可能 | |
Wi-Fi | Wi-Fi+ | Wi-Fi+ |
荷物2個+手荷物1個 | 荷物2個+手荷物1個 | 荷物2個+手荷物1個 |
飲み物、食事、軽食を購入可能 | 飲み物、食事、軽食を購入可能 | 食事を座席で提供 |
EUプラグソケット | EUプラグソケット | EUプラグソケット |
タクシー予約 | タクシー予約 | タクシー予約 |
広い座席 | 広い座席 | |
専用のラウンジ使用可 |
ComFortとPremiumの違いは食事の有無です。朝に豪勢な食事をすることもないでしょう。そのため、Comfortを選択しました。
3) 個人情報を入力
図6. 個人情報入力
個人情報を入力します(図6)。プライバシー保護のために私の個人情報は伏せさせていただきました。
4) 電子チケットを選択
図7. 電子チケットを選択
ここで電子チケットを選択しました。この場合、QRコードを表示させる必要があります。後の段階でQRコードがメールで送付されます。
5) 支払方法選択
図8. 支払方法を選択
支払方法を選択します(図8)。私はエポスカードに加入しているので、VISAを選択しました。
6) カード番号を入力
図9. カード番号を入力
カード番号を入力します(図9)。これは海外の列車、いやインターネットで購入する際は必須の作業です。
7) 購入完了!
これで購入が完了しました。SNCBからメールが届くとともに添付ファイルでQRコードも送付されます。
鉄道ラボ様
SNCB International で旅程を予約していただきありがとうございます。あなたの電子チケット: 電子チケットをお持ちであれば、チケット売り場に行かなくても直接電車にご乗車いただけます。 電子チケットは3つの方法で使用できます:
オプション1: 添付のQRコードを表示するチケットの詳細はすべて、このメールに添付されている QR コードに記載されています。船内でチケットを管理するには、携帯電話に QR コードを表示するだけです (チケット 1 枚につき 1 つの QR コード)。
注意: 使用している電子メール プログラムによっては、この電子メールにアクセスするには移動中にインターネット接続が必要になる場合があります。(後略)
SNCBから受信のメールより引用(日本語に翻訳)
このメールには乗る列車の号数、号車、席番号が印刷されており、QRコードが貼付されていました。座席表を見ながら予約するにはユーロスターの公式サイトのほうが良かったのかな?
そのほかの移動方法
このようにして全席指定制のユーロスターを予約できます。一方、ブリュッセルから各方面には融通の利く以下の交通手段があります。もともとベルギーやオランダは全車自由席が基本で、全車指定制というシステムは「フランス」のものであり、「ドイツ」方面まで「フランス」流のシステムにしていないのです。
ブリュッセル-アムステルダム
ブリュッセルとアムステルダムは所要時間2時間51分でICが結んでいます。パターンダイヤのベルギーとオランダで完結する系統らしく、ICは1時間間隔のパターンダイヤです。所要時間をもう50分~60分足しても問題ない場合は、ブリュッセル-アムステルダムの移動は割安で自由度の高いICを利用するのも良いでしょう。
(参考)ブリュッセル-ケルン
ブリュッセルとケルンの間はユーロスターだけでなく、ICEも運転されています。ICEは特定の期間の国境越えは指定席を確保する必要がありますが、そのほかは座席を予約する必要もありません。
ドイツ鉄道の公式サイトからパスホルダー料金より割安な座席指定が可能です。ブリュッセルとケルンの間は融通が利くICEの利用もまた良いでしょう!
重要ここまで詳細に解説しました。公式サイトから予約できると思いますが、日本語で予約できないことに不安を感じる人もいるかもしれません。下記のサイトであれば、日本語で予約できるので安心です。
Omio:ヨーロッパ鉄道旅行交通予約サイト
また、その予約にはクレジットカードが便利です。
個人的にはエポスカード がおすすめです。海外旅行に使えるカード:エポスカードで詳細を紹介しています。