阪急の京とれいんに乗る

記事上部注釈
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阪急京都線で運転されている、京とれいん。隠れた人気列車であり、狙い乗車も多く見られます。そんな京とれいんに乗りました。

写真1. 料金不要とは思えないおしゃれな車内

復習:京とれいんの概要

まず、京とれいんの概要を示します。

京とれいんの概要
  • 名称:京とれいん雅洛(きょうとれいんがらく)
  • 運転区間:大阪梅田-京都河原町
  • 運転日:土曜・休日ダイヤ実施日
  • 所要時間:43分~47分
  • 運転本数:1日4往復
  • 車両:原則専用の車両、一般車の代走あり
  • 特別料金:不要

概要を簡単に示しました。簡単にまとめると、「専用車両を使った、特別な料金や予約が不要な休日のお出かけに特化した列車」です。阪急の一般の特急より停車こそ少ないですが、所要時間は通常の特急より早くはなく、速達性に力点を置いていません。

表1. 雅洛の運行ダイヤ(阪急公式サイトより引用)

また、列車は6両編成で、2号車と5号車がロングシート配列、1号車と6号車がボックス配列、3号車と4号車が変則配列です。

写真2. 実はロングシート配列でしかない2号車と5号車

写真3. 興味深い座席配列の3号車、4号車

写真4. ボックス配列の1号車、6号車

車両によって座席配列や雰囲気が異なり、例えば6号車は和風の装い(写真4)、5号車はやや高級な雰囲気(写真2)、4号車はクラシカルな雰囲気です(写真4)。阪急の公式サイトにはもう少し高度な記述がなされていますが、実際には座席配列が重要なため、このように記しました。

客側の目線だと、京都に行くわくわくを演出できる列車、会社側の目線だと京都に向かう利用者を分離し、日常利用客の不満をそらすための列車(これに狙って乗車する乗客のぶん、一般の車両が空く)、といえます。

実際に京とれいん雅洛に乗る

さて、実際に京とれいん雅洛に乗ってみましょう!

写真5. 狙い乗車も多く、ホームは行列

2時間に1本だけの運転とあってか、指名買いする乗客は多く、大阪梅田のホームには行列ができていました(写真5)。京とれいんは行楽列車なので2つドアです。

写真6. 車内はすぐに満席になる

車内はすぐに満席になりました(写真6)。10月中旬の土曜日とあって、行楽日和だったためでしょうか。

写真7. 車端部のロングシート部分も人がいっぱい

車端部のロングシート部分も人がいっぱいです(写真7)。

写真8. ロングシート車両が有効活用されている

6両編成で輸送力が足らないことを予感してかのロングシートです(写真8)。外国籍と思われる方がこちらを向いていますが、外国籍に見える人たちが多く、インバウンド需要に応えていることがわかります。というより、この人たちは京とれいんの存在をどこで知ったのだろう?

私は先頭のボックスシート車に陣取りました。

写真9. 丸窓がおしゃれに見える

丸窓がおしゃれに見えます(写真9)。片方は2人ボックス、もう片方は4人ボックスです。シートピッチもそれなりに広く感じました。

写真10. 出入口もおしゃれ

このような出入口でおしゃれ感があります(写真10)。町家風です。

写真11. 出入口部分もしゃれている

出入口部分もしゃれています(写真11)。

写真12. 大阪梅田を発車!

大阪梅田を発車しました(写真12)。宝塚線の急行と並走します。丸窓なので外が見えにくいです…。

写真13. 十三に停車!

十三に停車します(写真13)。

写真14. 快速特急の表示

快速特急の表示です(写真14)。特急停車駅の高槻市などには停車しません。基本的に大阪と京都の直行客のためと解釈できます。

写真15. 大阪市内を走る

大阪市内を走ります(写真15)。大都市近郊の民鉄のほかの路線と同様、都市部の住宅街を走ります。これといった絶景ではなく、京都への観光客に気分をそがれる風景かもしれません。

写真16. 淡路に停車!

淡路に停車しました(写真16)。堺筋線方面からの乗客を受け入れるための停車でしょうか。事実、私の隣のボックス(4人がけ)には先客の同行者が合流しました。

写真17. 千里線が分岐する

千里線が分岐します(写真17)。

写真18. 大規模な工事が進められる

淡路では千里線と京都本線が交差しますが、両者は平面交差であり、京都本線の上り(京都河原町方面行き)と千里線の堺筋線方面行きを同時に走らせられません。これが輸送上のネックですので、道路との立体化と同時に、京都本線と千里線が立体交差する線形に組みなおしています(写真18)。

写真19. 高架区間に入る

高架区間に入りました(写真19)。

写真20. 先行列車を追い抜く

先行列車を追い抜きます(写真20)。阪急京都線に限らず、大手民鉄は駅や列車本数が多く、追い抜きの巧拙がダイヤを左右します。

動画1. 意外と速度を出す

走りはそこまで悪くなく、速度は出ます(動画1)。このあたりは関西民鉄の軽快さという印象です。

写真21. 高架区間に入る

再度高架区間に入りました(写真21)。

写真22. 茨木市を通過!

茨木市を通過しました(写真22)。特急停車駅も通過するのが快速特急の醍醐味です!

写真23. 山に近づいてきた

山に近づいてきました(写真23)。

写真24. 速度が落ちてきた

速度が落ちてきました(写真24)。

写真25. ついに40km/h!

ついに40km/hです(写真25)。これでは快速特急の名が泣いてしまいます。

写真26. 高槻市を通過!

高槻市を通過します(写真26)。

写真27. 速度が回復してきた

速度が回復してきました(写真27)。

写真28. ついに108km/h!

ついに108km/hに達しました(写真28)!

写真29. JR線が見える

JR線が見えます(写真29)。

写真30. JRの電車が見える

JRの電車が見えます(写真30)。阪急特急は10分間隔、JR新快速は15分間隔ですが、あちらは12両編成で輸送力は相当です。

写真31. 住宅が再び増えてきた

住宅が再び増えてきました(写真31)。

写真32. 都市部らしい光景

都市部らしい光景です(写真32)。

写真33. 長岡天神を通過!

長岡天神を通過します(写真33)。ここでは追い抜きはないのですか。

写真34. 川を渡る

川を渡ります(写真34)。

写真35. 桂に停車!

桂に停車します(写真35)。嵐山方面の乗りかえ駅なのでとまるのでしょう。

写真36. 準急を追い抜く

ここで準急を追い抜きます(写真36)。

写真37. 桂を発車!

桂を発車しました(写真37)。

写真38. 嵐山方面が分岐!

嵐山方面が分岐します(写真38)。

写真39. 桂川を渡る

桂川を渡ります(写真39)。

写真40. 烏丸で降りる

地下区間に入り、京都側の拠点の1つ、烏丸に停車します。烏丸で降りる人もいます(写真40)。

写真41. 京都河原町に到着!

京都河原町に到着しました。みんなのスターのようで、記念撮影している人も多かったです。

写真42. 大阪梅田行きに切り替わる

大阪梅田行きに切り替わります(写真42)。

写真43. 京とれいん雅洛の表示

京とれいん雅洛の表示です(写真43)。

写真44. 快速特急の表示

快速特急の表示です(写真44)。

写真45. 一般の特急も停車中

一般の特急も停車中です(写真45)。こちらはそこまで混雑していないように見えました。もっとも、大阪梅田に近づくにつれて混雑するのでしょう。

写真46. 2号線の案内

日中時間帯といえど特急と準急で5分間隔で発着しているので、快速特急はすみの2号線発着です(写真46)。

補足

通常、阪急京都本線には特急準急普通が各10分間隔(高槻市-京都河原町は特急準急が各10分間隔)で設定されており、これにプラスアルファで列車を設定するのは難しいように見えます。では、どのようにしているのでしょうか。今回乗った9:32発の前後を見てみます。

図1. 阪急京都本線のダイヤグラム(OuDia Secondで作成)

まず、梅田断面で準急が消えていることに気づきます。これは梅田の折り返しのホームがいっぱいなため、ダイヤ作成上のテクニックとして堺筋線に逃したとも解釈できますし、需要喚起のために堺筋線発着としたとも解釈できます(これより後は大阪梅田発着の準急は半減し、堺筋線発着が20分間隔)。これで大阪梅田-淡路の線路容量は解決します。

基本的に京とれいんは特急の2分後に設定されます。特急との連続運転ですので、普通準急の待避駅は通常通りです。ただし、待避時間が2分長くなります。

そうすると、京とれいんを相川で待避した普通は、通常より2分遅く発車します。すると茨木市到着も2分繰り下がります。通常のパターンであっても、後続の準急特急との運転間隔はそこまでありません。したがって、後続の準急特急は2分繰り下がります。

この影響があり、京とれいんの後の特急は京都河原町までの所要時間が通常の特急より1分長くなります。こうしてやや無理をして京とれいんを挿入しているのです。

快速特急京とれいん雅洛に乗ってみて

動画2. 快速特急と同時間帯に発車する特急は座席確保も容易

今回、大阪から京都への移動手段に京とれいんを活用しました。そこまでメジャーな存在ではないと踏んでいましたが、インバウンド需要を背景にそれなりに混んでおり、にぎわいを感じました。

これだけに1日4往復というのはもったいなく感じます。また、6両編成で座席数が限定され、立ちが生じているのも疑問に感じました。後続の特急の所要時間を1~2分犠牲にしているにもかかわらずです。

これについてはある意味問題ないのかもしれません。

  • 座りたければ一般の特急が10分間隔で走っている
  • 観光客向けの「客寄せパンダ」的な一面があり、(前後の特急の混雑を緩和しているとはいえ)輸送的にはなくとも問題ない存在である
  • 平日朝夕に使うことができない内装であり、余剰車の改造でまかなうのがコスト的に精一杯
  • 嵐山線に乗り入れるには6両編成が最大、京都河原町駅の2号線では7両編成が最大

そう考えると、現状の「料金不要、内装を工夫する以外のサービスはなし」というのはある意味妥当です。

ただし、これだけ多くの利用者がおり、日本観光の1つの目玉として利用されている以上、もう少し発展できないかと考えてしまいます。例えば、以下のようにするのです。

京都のメインの寺社仏閣が早朝時間帯が良いことを考えると早い時間帯に1往復増発し、全体の乗客を分散させます。

妄想を深度化します。せっかくの専用車です。大阪からの直通がない嵐山方面に特化し、混雑が問題視されている嵯峨野線の混雑を緩和するとともに、新しい乗客を集客するという手があります。その場合、京とれいんが京都中心部に向かわなくなります。これをフォローするために、京とれいんをさらに増備します。この際は7両編成の座席数多めの車両にする手もあります(デッドスペースをなくす)。

別のアプローチとして、現行の特急の一部を8両編成から10両編成に増強し、増結用2両を京都仕様にする手段もあります。これを3編成とすれば、京とれいんの乗車チャンスは30~40分間隔とかなり便利になります。このメリットはダイヤを傷めずに特急の所要時間を維持できることです。

このように妄想もしましたが、料金不要の楽しい列車が存在していることは京都観光においてプラスに作用するでしょう。妄想のような拡大策も一興ですが、6300系引退に合わせて、新しい改造車を用意してでも現状の観光列車を維持いただいただけでもありがたいと考えるべきかもしれません。

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