阪神なんば線の混雑状況(西九条-千鳥橋、休日朝時間帯、現場調査結果)

記事上部注釈
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2009年に延長開業し、神戸地区と難波地区を結ぶ重要な役割を担った阪神なんば線。開業から15年以上経過し、すでに定着しています。9時すぎの混雑を確認しました。

写真1. 9時過ぎという時間帯のためか難波地区に向かう乗客よりもUSJに向かう乗客が目立った

阪神なんば線の休日朝時間帯の混雑状況のまとめ

阪神なんば線の休日の朝時間帯(9時過ぎ)の混雑状況の概要は以下の通りです。

  • 西行き(近鉄奈良→大阪難波→神戸三宮)よりも東行き(神戸三宮→大阪難波→近鉄奈良)が混んでいる
  • 全体的に座れる程度の混雑だが、中間よりの車両は立ちが発生するレベルである
  • 快速急行の利用は多いが、8両編成と長く、結果的に他の種別と同等の混雑である

詳細は以下に示します。

混雑調査の概要

今回の混雑調査の方法を紹介しましょう。この記事では、定点観測を行い、一定時間の全列車を対象にして各車両の混雑を目視で確認しています。これはプロも行っている調査方法です。

簡単に調査方法を紹介しましょう。一部の個人サイトでは混雑状況を書いているところもありますが、調査方法や混雑指標の言及がないのでう~んと考えてしまうところがあります。そのようなことを踏まえて、弊サイトではきちんと方法を示します(さすがー)。

表1. 混雑ポイントの基本的な概念と混雑率

120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

今回は西九条の神戸よりの駅間の、西九条-千鳥橋の混雑を確認しました。

阪神なんば線の休日朝時間帯の混雑状況の生データ

写真5. 阪神車(左側)と近鉄車(右側)が並ぶ

まず、阪神なんば線の休日朝時間帯の混雑状況の生データを示します(表2、表3)。なお、生データには近鉄車(1両あたり21m)と阪神車(1両当たり19m)の区別を付けますが、簡単のためにデータ処理上は以降は同等として取り扱います。

表2. 休日朝時間帯の混雑状況(神戸三宮方面行き、生データ)

表2. 休日朝時間帯の混雑状況(大阪難波方面行き、生データ)

次に、列車別の混雑率も視覚化しました(表4、表5)。

表4. 休日朝時間帯の混雑状況(神戸三宮方面行き、列車別混雑率視覚化)

表5. 休日朝時間帯の混雑状況(大阪難波方面行き、列車別混雑率視覚化)

意外と混雑率に差が生じていないことがわかります。ただし、東花園からの普通尼崎行きが空いています。それもそのはずで、大阪難波断面で前の快速急行と2分差で続行しているためです。もっともこの時刻に設定することによって、尼崎で特急との接続を良好にしている面もあります。

阪神なんば線の混雑状況の解析

写真6. 阪神車による神戸三宮行き快速急行

前の章で利用状況の生データを示しました。しかし、傾向がわからないと不親切でしょう。そこで、利用状況を解析します(やさしー)。

混雑ポイントは比例尺度でなく、計算ができません。そのため、一般的な混雑率に換算してから統計処理します。

復習:阪神なんば線のダイヤパターン

写真7. 近鉄線内を走る快速急行(学園前で撮影)

混雑傾向にダイヤは大きく関係します(逆にダイヤを組む際に混雑状況も想定します)。そのため、阪神なんば線のダイヤパターンを簡単に紹介します。

阪神なんば線は基本的に20分サイクルパターンダイヤを採用しています。1サイクル当たりの内訳は以下の通りです。

  • 快速急行:(近鉄奈良-)大阪難波-神戸三宮1本
  • 普通(一部は区間準急か準急):(近鉄奈良線-)大阪難波-尼崎2本

比較的簡単なパターンで、近鉄奈良と神戸三宮を結ぶ快速急行が20分間隔、各駅にとまる普通が20分に2本運転されます。なお、いずれの種別も近鉄奈良線に直通します。土曜・休日ダイヤでは東行きの普通の半数が準急か区間準急で運転されますが、阪神線内では各駅に停車し、普通として取り扱っても問題ないでしょう。阪神なんば線内はこれ以外の列車種別は基本的に存在せず、列車種別が複雑な阪神本線とは対照的です。

阪神なんば線内ではどの種別も追い抜きはなく、いずれも先着します。なお、快速急行は尼崎で大阪梅田-尼崎の急行と連絡し、大阪梅田への有効列車にもカウントされます。

また、平日の日中時間帯は快速急行は30分間隔、普通は30分に3本と、土曜・休日よりも毎時1本少ないダイヤパターンです。

種別ごとの考察

まず、種別ごとに分析します(表6、図1)。大阪難波やUSJに向かう乗客のほうが、神戸三宮に向かう乗客より多い時間帯と見え、全般的に大阪難波方面行きのほうが混雑していました。

表6. 休日朝時間帯の混雑状況(種別ごとの混雑率)

図1. 休日朝時間帯の混雑状況(種別ごとの混雑率、視覚化)

西行きは快速急行普通で混雑率に差が生じていることに対し、東行きはそこまでの差はありません。西行きは大阪難波断面で快速急行の2分後に普通が発車し、当該の普通がやたらと空いています。一方、東行きは尼崎断面で比較的等間隔で設定されていることと、快速急行の直後の普通特急に連絡することから、混雑は分散しています。

快速急行は8両編成で輸送力に余裕があるため、単体の輸送量そのものは快速急行のほうが多いです。快速急行に乗客が集中するぶん、編成が長いという理解で良いでしょう。

号車ごとの混雑状況

次に号車ごとの混雑状況をまとめます(表7、図2)。

表7. 休日朝時間帯の混雑状況(号車ごとの混雑率)

図2. 休日朝時間帯の混雑状況(号車ごとの混雑率、視覚化)

全体的に中央寄りの車両が混雑し、その傾向は両方向で変わりません。そのため、混雑を回避するには両先頭車を選択すると良いでしょう。

混雑状況から阪神なんば線のダイヤを考える

写真8. 西九条に入線する電車

混雑状況から阪神なんば線のダイヤを考えます。

全般的に座席が埋まる程度の混雑であり、特に問題なく見えます。また、(近鉄線内の)鶴橋-大阪難波-西九条は全列車が各駅に停車し(細かくいうと近鉄特急は近鉄日本橋を通過するが、近鉄特急は阪神なんば線に乗り入れず、本記事に関係ない)、大阪都心部に限ってはわかりやすい停車駅が実現しています。

あえていえば、大阪難波と神戸三宮の所要時間が40分以上(神戸三宮行きが43~45分、近鉄奈良行きが41分)かかっている点が課題でしょう。JR利用だと乗りかえ時間を含まないと29分(大阪駅と梅田駅の乗りかえ時間がそれなりにかかるのは事実だが)と圧倒的な差があり、乗車チャンスもJRが15分間隔、阪神が20~30分間隔と劣ります。これは、阪神本線と近鉄線のダイヤを組み合わせる性質上、阪神なんば線の所要時間だけに焦点を当てたダイヤを作成することが困難な事情もあります。

需要の大きさを考慮すると、これ以上の増発は難しく、他方で利便性を犠牲にする減便はリスクがあります。駅停車時に一発停車(前後の最高速度から一気に停車すること)がなされないことによる、駅停車時のロスタイムが大きいように見えます。阪神電車に限ったことではありませんが、今後はこのようなロスタイムを削減し、全体として所要時間を短縮することが得策と思いました。

別の側面ですが、長らく直通運転を実施し、大阪難波で降りない人もそれなりに目撃しました。2009年から直通運転を継続し、阪神線と近鉄線の相互間の行き来がもはや当たり前に定着した光景も確認できました。

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