福島市の中心部と郊外の飯坂温泉を結ぶ、福島交通飯坂線。飯坂電車とも称され地元にも親しまれている存在でもあります。そんな飯坂電車に乗りました。

写真1. 飯坂温泉に停車中の様子
復習:福島交通飯坂線の概要
最初に福島交通飯坂線の概要を紹介します。
- 区間:福島-飯坂温泉
- 営業キロ:9.2km
- 所要時間:通常23分
- 運転間隔:通常25分(平日朝夕は短縮される)
図1. 福島駅と飯坂温泉駅の位置関係(googleマップより引用)

図2. 福島交通飯坂線の沿線マップ(福島交通公式サイトより引用)
福島駅から北西の飯坂温泉までのローカル線です。所要時間は23分、両駅で2分で折り返し、運転間隔は25分です。ただし、平日朝夕は15分間隔、土曜・休日の朝は20分間隔です。位置関係や沿線の雰囲気を示しました(図1、図2)。
このような地方民鉄は全国にはそれなりにありますが、東北地方に限っては非常に少なく、ましてや全線電化されている地方民鉄の路線は弘南鉄道とここ福島交通だけです。非電化路線も含めても津軽鉄道が加わるだけですが(会津鉄道などは旧国鉄系の第3セクター鉄道です)。
地元の案内などには「福島交通」という名称は前面に出さず、「飯坂電車」か「いい電」という愛称を前面に出していました。
飯坂電車に実際に乗る
御託はこの程度にして、飯坂電車に実際に乗ってみましょう!

写真2. 福島駅の電車のりば
福島駅の北東側に飯坂電車と阿武隈急行ののりばがあります(写真2)。往路は不慣れでしたので外からアクセスしましたが、地元の慣れた人はエスパルを通り抜けていました。

写真3. JRとの乗りかえ改札もある
JRとの乗りかえ改札もあります(写真3)。

写真4. 飯坂電車の改札
飯坂電車の改札です(写真4)。特筆するべきのは、Visaカードなどのタッチ式クレジットカードは使えることです(参考:福島交通のプレスリリース)。また、Suicaなどの全国で使える交通系ICカードは電子マネーとして券売機で使えます。これらは改札機では使えません。

写真5. 同じホームに阿武隈急行と並ぶ
同じホームに阿武隈急行と並びます(写真5)。

写真6. 飯坂温泉行きがやってきた
飯坂温泉行きがやってきました(写真6)。そこそこ利用されています。何の変哲のない東急からの中古車とあり、ファンに注目されているのでなく、地元の人の足になっているのです。

写真7. 福島を発車!
福島を発車しました(写真7)。

写真8. 踏切がある
踏切があります(写真8)。

写真9. 曽根田に停車!
最初の駅、曽根田に停車します(写真9)。土曜の昼下がりの郊外向きの電車に関わらず、ここから乗る人もいました。

写真10. 東北新幹線をくぐる
東北新幹線をくぐります(写真10)。

写真11. 美術館図書館前に停車!
2つ目の美術館図書館前に停車します。福島県立美術館と福島県立美術館があります。立派な施設なようですが、沿線マップには書かれていません。きっと、言うまでもない目的地なのでしょう。

写真12. 東北本線を越える
東北本線をまたぎます(写真12)。阿武隈急行の線路が見当たらず不思議に感じましたが、この区間は東北本線と阿武隈急行の線路は共用です。

写真13. 新興住宅街を走る
新興住宅街を走ります(写真13)。

写真14. 泉に停車
泉に停車します(写真14)。乗っていて思いましたが、交換駅が多いです。

写真15. 松川を渡る
松川を渡ります(写真15)。

写真16. 福島行きとすれ違う
福島行きとすれ違います(写真16)。何も知識のない私は国鉄特急色と勘違いしました(国鉄特急色だったらクリーム色と赤色が逆)が、昔の色を復元したものです。

写真17. Good Trainと称する
飯坂電車をいい電と呼び、良い電車だからGood Train と称しているのでしょう(写真17)。これをこじつけと呼ぶと思います!

写真18. 住宅街を走る
住宅街を走ります(写真18)。

写真19. 郊外型店舗も見える
郊外型店舗も見えます(写真19)。

写真20. 車庫がある
車庫があります(写真20)。中間車だけ抜きとって何をしているのでしょうか?

写真21. 桜水に停車!
桜水に停車しました(写真21)。原則として福島-飯坂温泉の通しだけですが、本数を調整する時間帯は桜水発着もあります。

写真22. 拠点駅らしい雰囲気
何だか拠点駅らしい雰囲気があります(写真22)。

写真23. のどかな風景になってきた
のどかな風景になってきました(写真23)。東北自動車道も視界の脇に見えます。

写真24. 平野に停車
平野に停車します(写真24)。

写真25. 果樹園を眺める
果樹園を眺めます(写真25)。2月のはじめだけあって、福島でも白くなっています。この1週間後に全国に大雪が降っていました。ここはどうなったのでしょうか?

写真26. 小川を渡る
小川を渡ります(写真26)。阿武隈川水系の小川という名称の川です。ここを渡るときはやたらゆっくり…。

写真27. 花水に停車!
花水に停車します(写真27)。ここでたまたま撮影できましたが、車掌さんがまじめにきっぷを確認していました。このような姿勢は、正直者が馬鹿を見ることがなく、好感が持てます。

写真28. 最後の上り坂を走る
最後の上り坂を走ります(写真28)。ただし、今乗っている1000系電車にとっては、この程度は屁でもないでしょう。東急時代は急な坂が多い地下鉄に乗り入れることを前提としていました。

写真29. 飯坂温泉に到着!
飯坂温泉に到着しました(写真29)。

写真30. 顔を拝む
顔を拝みます(写真30)。ここも2分で折り返すので、顔をじっくり拝むのは難しいでしょう。
飯坂電車に乗ってみて

写真31. 沿線の道路は渋滞していた
飯坂電車は住宅が並び、終点には温泉地があります。そして、起点の駅は新幹線の多くの列車が停車します。これにより、遠来からの観光客も(若干ながら)期待できます。
そして沿線の道路は渋滞していました。これが飯坂電車が現在まで生き延びている1つの理由でしょう。渋滞する道路よりも鉄道を利用する動機が産まれます。
現在は「地域に親しまれる電車」になろうと努力しています。これは1つの見識です。しかし、本来は交通機関としての機能が重要なはずです。例えば、全線の所要時間を現在の23分から18分に短縮すれば20分間隔が可能です。それには最高速度の向上(特に小川を渡る箇所)、起動加速度の向上、部分的な複線化による交換待ちの排除、などの手法があります。もちろん、福島交通単独で可能な内容でなく、場合によっては福島市の補助も必要でしょう。福島市としても自動車利用者が飯坂電車に一部でも流れてくれれば、道路渋滞が改善され、それだけ道路行政にかかる費用を節約できます。
曽根田駅の自習室(=飯坂電車が目的地になる)、タッチ式クレジットカードの解禁など、営業努力は素晴らしいものがあり、不正乗車をさせないための施策もされています。そのような営業努力があるからこそ、より高い次元への脱皮も求めてしまうのです。