京成本線(ダイヤパターン紹介)

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上野から千葉県に向かう京成本線。安く成田空港に向かう手段としても定着しています。沿線住民のための役割と空港連絡という役割。相反する2つの役割を両立させるためのダイヤ上の工夫を探ってみました。

京成3000系

写真1. 2019年秋から日中時間帯にも快速特急が設定された

復習:ダイヤパターンとは

具体的なダイヤパターンを紹介する前に、ダイヤパターンの基本概念について紹介しましょう。

多くの路線では鉄道ダイヤを作成する際に、基本的なパターンを形成しています。例えば、20分間隔で快速1本、各駅停車が2本が運転されている場合は、20分サイクルのパターンダイヤと呼びます。サイクルとは、列車の運転順序が1回りする時間を示します。例で示した路線の場合は、20分サイクルと呼びます。本記事ではこのような路線の場合、「20分サイクルで快速が1本、各駅停車が2本」というように呼ぶことにします。

多くの路線では、1サイクルを60の約数(何サイクルかすれば60分になる)としています。そうすると、毎時の発車時間が一定になります。

多くの路線では1サイクルに何本かの速達列車と各駅停車を混ぜています。(快速が各駅に停車する場合も含めて)各駅停車は平均10分に1本以上運転するようにしている路線が多いです。これは、どの駅でも10分程度待てば次の電車がやってくることを実現させるためです。

また、1サイクルの間に細かな繰り返しがあるパターンがあります。例えば、20分サイクルで快速2本、各駅停車2本が運転されていて、都心側は快速、各駅停車双方が10分間隔で運転されていて、郊外側で枝分かれするパターンです。この場合は厳密には20分サイクルですが、都心側のダイヤを論じる場合は10分サイクルと考えても差し支えはありません。このような、1サイクルの中で小さな繰り返しがある場合は疑似サイクルと呼ぶことにします。今回の例では、「疑似10分サイクルの中で快速1本、各駅停車1本が運転されている」と呼ぶという具合です。

ダイヤの実態は路線によって異なりますので、疑似サイクルの表記の方法については、適宜対応することにします。

京成本線の停車駅

京成電鉄の路線図を示します(図1)。

京成路線図

図1. 京成の路線図

京成本線には多くの種別が設定されています。京成高砂から成田スカイアクセス線に入る種別を除いても、モーニングライナーイブニングライナー快速特急特急通勤特急快速普通が設定されています。

モーニングライナーイブニングライナーはラッシュ時間帯に運転されるライナー的な種別で別枠とお考えください。運転時間帯が朝なのがモーニングライナー、夕方以降なのがイブニングライナーです。停車駅は同じです。

ライナー以外の種別(一般列車)の種別については、以下のように考えると理解しやすいです。

快速特急は一般列車の中では一番停車駅が少ない

特急は佐倉より郊外側、通勤特急は勝田台より郊外側を各駅にとまる種別

快速は津田沼より郊外側の各駅に停車する種別で、津田沼以西の停車駅も特急などより多い

京成については、停車駅の多い種別は、より停車駅の少ない種別のとまる駅を通過することはありません。一例を示すと、快速は、より停車駅の少ない特急の停車駅を通過するということはないということです。他の鉄道会社だと、この上下が反転することがあります(※)が、京成にはそれがありません。

※西武池袋線は、いわゆる上位種別の快速急行が停車するひばりヶ丘を、下位種別の通勤急行が通過します。このような逆転現象が京成にはないということです。

都営浅草線側の発着駅について

京成本線は京成押上線を介して都営浅草線と相互直通運転を行っています。都営浅草線は反対側で京急線に直通している関係で行先は多くありますが、都営浅草線まで向かえば京成利用者の多くにとっては関係ないでしょう。そこで、本記事では都営浅草線側の行先について特に触れることはせずに、都営浅草線方面などと記すこととします。

京成本線の朝ラッシュ時上りのダイヤパターン

京成3400系(青砥)

写真2. 青砥での速達列車の接続は重要

20分サイクルのパターンダイヤで運転されています。1サイクルあたりの内訳は以下の通りです。

快速特急:京成成田(芝山千代田や成田空港始発もあり)-都営浅草線2本

通勤特急:京成成田(芝山千代田始発もあり)-京成上野1本

普通:京成成田-京成上野1本、宗吾参道-京成上野1本、うすい-京成上野1本、京成高砂-京成上野1本

京成上野側よりも都営浅草線側に速達列車を割り振っています。その証拠に、3本ある速達列車のうち2本は都営浅草線に向かいます。残りの1本(通勤特急)は都営浅草線にこそ直通しませんが、京成高砂で北総線からの特急(都営浅草線直通)に接続します。

勝田台-青砥では速達列車1本、普通1本の割合です。普通は船橋競馬場、東中山、市川真間、京成小岩で速達列車の待ち合わせを行います。通勤特急は勝田台まで各駅にとまりますから、快速特急より時間がかかります。そのため、京成佐倉で快速特急を待ち合せます。

青砥からは速達列車が20分に1本に減少します。その減少分を補う意味か、京成高砂から京成上野まで普通が別途設定されます。

京成本線内は速達列車が6分40秒間隔、押上線は10分間隔なので、3分20秒のずれがあります。このため、半数の快速特急は3分20秒も時刻調整のために余計にかかっています。

6分40秒間隔よりも10分間隔というのが時刻調整もなくてサービスアップです。そうであれば、普通の1本を通勤特急に振り替えるのも手です。そうすれば、快速特急通勤特急普通いずれも10分間隔となってすっきりします。

京成本線の日中時間帯(昼間)のダイヤ

京成3000形(勝田台)

写真3. うすい行きの表示が変わってきた

40分サイクルで運転され、その内訳は以下の通りです。

  • 快速特急:1本(京成上野-京成成田)
  • 快速:3本(西馬込-成田空港2本、京成上野-京成佐倉1本)
  • 普通:4本(京成上野-京成津田沼3本、京成上野-京成臼井1本)

軸となるのは、快速特急です。これが40分間隔で運転され、その間を埋めるように、京成上野発着の快速も40分間隔で運転されます。両者を合わせて京成上野-京成津田沼は約20分間隔の速達列車が運転されます。

メインとなる区間の速達列車が20分間隔では少ないですから、これを埋めるように都営浅草線発着の快速が20分間隔で運転され、青砥-京成津田沼は速達列車が平均10分間隔で運転されます。

普通は速達列車の間を10分間隔で運転されます。下りは京成小岩(京成上野発着速達列車のみ)、東中山、京成津田沼で抜かれるか緩急結合があります。上りは京成津田沼、東中山、京成高砂です。

ここまで見ると完成度が高そうなダイヤですが、京成上野から大佐倉(京成佐倉より1つ成田空港よりの駅)以遠の有効列車が3分-37分と偏っています。これは、快速特急は佐倉で前の快速成田空港行きに連絡しますが、その20分後の快速京成佐倉行きは(所要時間差が7分あるので)成田空港行きに連絡できないためです。

可能ならば、以前のように特急もまじえた運転形態に復帰させるべきでしょう。あるいは京成佐倉-京成成田を40分に1本減便し、京成津田沼-京成佐倉を1本増発し、特急快速を各20分間隔(京成津田沼-京成佐倉は特急を40分間隔で増発、京成佐倉-京成成田は快速特急を40分間隔で減便ということ)としても良いでしょう。

なお、京成上野発着の速達列車は青砥で連絡列車があり、都営浅草線方面にスムーズに連絡できます。都営浅草線方面への乗車チャンスは10分間隔であり、それなりの利便性が確保されています。

2022年2月ダイヤ改正以前

昼間は正確には40分サイクルのパターンダイヤで運転されています。ただし、京成上野-京成佐倉までは20分サイクルと考えて差し支えありません。40分1サイクルあたり、以下の種別が運転されます。

快速特急:京成上野-京成成田1本

特急:京成上野-成田空港1本
快速特急と合わせて、京成上野-京成佐倉は20分間隔

快速:都営浅草線-京成佐倉1本、都営浅草線-成田空港1本

普通:京成上野-うすい2本、京成上野-京成津田沼2本

軸となるのが、京成上野-成田空港を運転する特急です。特急は京成佐倉から成田空港は各駅にとまります。40分間隔の特急の間に快速特急が走ります。

快速特急は京成佐倉から先も通過駅がありますので、快速がフォローする形です。全部が成田空港まで向かえば便利なのでしょうが、空港第2ビル-成田空港は単線です。そのため、一部を京成成田折り返しにせざるを得ません。では、どれを京成成田折り返しにしましょうか。成田付近の各駅と成田空港の乗車チャンスの確保を考慮すると、快速特急を京成成田折り返しにするのが得策です。

このようにして、快速特急特急が主軸として設定されています。

快速特急特急が主軸で合わせて20分間隔といっても、都心よりの駅で速達列車が20分間隔でしかないのは、サービス水準は高くありません。そこで、都心よりの速達列車を補完する役割として快速が20分間隔で設定されています。特急系が京成上野発着ですので、快速は都営浅草線に向かいます。

これでは、都営浅草線方面の速達列車は20分間隔でしかなく、その速達列車も魅力に乏しい快速でしかありません。そこで、快速特急特急は青砥で都営浅草線に向かう速達列車と接続します。これで、都営浅草線方面のフォローがなされています。ただし、快速に接続するのは普通でしかなく、実質的な乗車チャンスは20分間隔でしかありません。京成上野-青砥(または京成高砂)の連絡特急を設定すると良いでしょう。

普通はだいたい10分間隔で走ります。京成津田沼から先は20分間隔となりますが、この区間は快速は各駅にとまりますから、この区間の各駅は10分に1回の乗車チャンスがあることになります。

現在は千葉線直通の速達列車は設定されていません。快速と接続する連絡特急の設定を提言しました。この連絡特急をちはら台まで運転(京成千葉-ちはら台は各駅に停車)することも手です。千原線は途中で外房線と交差します。その外房線は日中時間帯は総武線経由で東京の都心に直通する列車はありません。また、千葉市から山手線北側に向かうのも意外と不便です。これらのJRの穴を突くのです。

京成本線の夕方ラッシュ時下りのダイヤパターン

これといって決まったパターンはありませんが、だいたい10分サイクルのパターンダイヤで運転されています。だいたい10分に快速特急1本、普通1本です。このほかに、イブニングライナーが40分間隔、京成上野-京成高砂の普通が20分間隔、京成上野発着のアクセス特急が加わります。

京成高砂-京成津田沼の一般列車は毎時12本に過ぎません。また、京成上野側の速達列車が思い出したように設定される快速しかないのも問題です。現在の快速特急普通のほかに、20分間隔で京成上野発着の快速を設定するのも手です。京成津田沼以東の輸送力過剰が懸念事項であれば、千葉方面に運転するのが良いでしょう。そうすれば、意外と不便な山手線北側と千葉市の移動が便利になります。

京成本線のダイヤパターンまとめ

スカイライナーの先頭部

写真4. スカイライナー(初海外旅行のときに撮影)

京成本線のダイヤ作成上で難しいところは、都心側で二股に分かれていることです。現在は、朝夕はオフィス街のある都営浅草線方面を重視し、日中時間帯は山手線と直接接する京成上野発着とすることでバランスを取ることがわかりました。日中時間帯に手薄になる都営浅草線方面へは青砥できっちり接続して、フォローもなされている点も確認しました。

とはいえ、京成上野への速達列車の本数が少ないことや、千葉方面の速達列車がないことなど、欠点も多くみられるダイヤです。京成はスカイライナーが気を吐いていますが、スカイライナー以外の一般列車にもスポットライトを当ててほしいものです。JRと真っ向勝負をすると完全に惨敗です。JRの手薄な山手線北側-千葉市の輸送など、ニッチな新規市場を狙うのです。

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