中央ヨーロッパに位置しているハンガリー。知名度はそこまで高くないですが、雰囲気のある街、中央ヨーロッパらしい良好な治安など、旅行先としてはおすすめです。また、戦後の工業化政策もあり、鉄道も発達しています。そんなハンガリーの鉄道旅行の基本情報をまとめました。
写真1. 夜のくさり橋と国会議事堂のライトアップ
ハンガリーとその鉄道の基本知識
まず、ハンガリーの概要について簡単にまとめます。概要といっても多くの側面がありますが、ここでは鉄道旅行に関する内容をまとめます。
・首都:ブダペスト
・鉄道の営業キロ:7607km(2012年のデータ、世界の鉄道より引用)
・主な都市:ブダレスト、デブレツェン
・主な観光地:ブダペスト旧市街、バラトン湖
ハンガリーは英語での呼び名で、ハンガリー語でハンガリーはMagyar(マジャル)と呼びます。
オーストリア帝国から1918年に独立しました。それから100年以上独立国家として運営されています。戦後はソビエトの友好国として存在していましたが、その中でも可能な範囲で独自裁量で運営されてきり、ベルリンの壁崩壊の第1歩はハンガリーの判断(※)でなされたこともあり、骨のある国家運営がなされてきた印象があります。
※1989年5月にハンガリーがオーストリアとの国境を開放し、「友好国」東ドイツの国民が大量に押し寄せたのが最初です。当初は表向き「友好国」に戻るように説得していましたが、1989年9月に完全にスルーするようになりました。表口が封鎖されていても勝手口が開いた状態になったのですね。
そんなハンガリーはオーストリア帝国のなかでも一定の地位を占めていて、当時の栄光がブダペストを中心に残っています。そのような意味でも観光にはもってこいの国です。
オーストリア帝国時代に多くの路線が整備されてきたこともあり、路線網はウィーンを向いています。今でもウィーンとのつながりは見逃せません。
なお、ハンガリーに限らず、世界各国の鉄道に関する基本情報がまとめられた優良書籍(世界の鉄道)があります。ハンガリーの鉄道に興味がわいたら、下記の書籍で周辺国の知識を広げることも重要です!
ハンガリーの鉄道利用について
写真2. ブダペストのターミナル駅の1つ、ブダペスト東駅
では、ハンガリーの鉄道利用の実践的な内容について紹介しましょう!
ハンガリーの列車種別
ハンガリーは比較的鉄道が発達しており、多くの列車種別があります。その列車種別は基本的に以下の通りです。便宜上、日本に相当する列車種別を挙げていますが、日本とハンガリーは異なる国です!そのため、完全に対応するわけではありません。
・IC(インターシティ):日本の在来線特急に相当。全席指定制。
※国際列車の場合はEC、その中でもオーストリア国鉄が車両を用意する便はRJと呼ばれます。呼び名に関わらず、システムは同じです。
写真3. オーストリア車を充当するレイルジェット(ブダペスト東駅で撮影)
・EX(エクスプレス):日本の在来線特急(多停車型)に相当。全席指定制。
・IR(インターレギオ):日本の在来線快速に相当。全車自由席
※Gyorsítot(ジョルシュ)と呼ばれるものもあります
・Személy(セメーイ):日本の在来線普通に相当。全車自由席
ハンガリーの長距離列車の多くは全席指定制なので、急な旅程変更には不向きです(車内で買うと500フォリントかかりますし、不正と疑われるのも嫌ですよね)。ただし、主要路線のブダペスト-デブレツェン、ブダペスト-ミシュコルツ、ブダペスト-ジュールなどはICが毎時1本運転されています。
ハンガリーはブダペストこそ人口150万人を超えていますが、そのほかの都市は人口30万人を超える都市はありません。そのため、ハンガリーの鉄道網はブダペスト中心です。地方都市から地方都市への行き来もブダペストを経由したほうがスムーズな場合もあります。
ハンガリーの列車利用方法
(我々外国人にとって)長距離列車の使いかたは2通りあります。1つは鉄道パスを利用して、気ままに乗ること。もう1つは事前に安い金額で予約して利用する方法です。ただし、ハンガリー国鉄は全席指定制、インターネットで座席のみの予約ができないことから、鉄道パス旅行は不向きでしょう。
また、国際列車の場合はインターネット予約をしたときに発行される番号を駅で入力する必要があります。そのため、国際列車の場合は可能ならばオーストリア国鉄やドイツ鉄道のサイトで予約したほうがやりやすいです。
※ハンガリーは紙チケットが主流に思えました。そのため、インターネット予約の場合でも、紙に印刷したほうが無難です。
座席指定や乗車券の入手が大変?そんな声があると思い、事前に座席指定する方法や、事前に乗車券を手配する方法を詳しくまとめています。
ウィーンからブダペストまでの列車のネット予約方法(手数料なし!)
前述の通り、ブダペストからジュール、ミシュコルツ、デブレツェンまでは毎時1本のICが運転されています。また、バラトン湖方面は予約不要の列車が1時間~2時間程度の間隔で運転されています。
要注意事項:ブダペストのターミナル駅
写真3. ブダペスト西駅はブダペスト中心部に最も近い
ブダペストは昔ながらの街で、ブダペストの中心部には鉄道の長距離ターミナル駅はなく、中心部から離れた場所にターミナル駅が点在しています。したがって、ブダペストには中央駅やブダペスト駅というものはなく、行先に応じてターミナル駅を使い分ける必要があります。主要ターミナル駅の主な行先は以下の通りです。
ブダペスト東駅:多くの国際列車が発着、ハンガリー西部への列車が発着
ブダペスト西駅:チェコ方面、デブレツェン方面の列車が発着
ブダペスト南駅:バラトン湖方面の列車が発着
このように目的地に応じてターミナル駅を使い分けます。ブダペストを出発地や目的地にする人は良いですが、ブダペストを通過する人にとっては厄介です。地下鉄で各ターミナル駅を移動する必要があるためです。
いずれのターミナル駅も中心部からやや離れています(特に南駅は離れ過ぎで不便です)。ドイツの首都では都心部に地下線を建設して、わざわざ中央駅を建設しました。ハンガリーでも同様に南駅と東駅を結ぶ地下線を建設、中心部に駅を開設して、そこから西駅に至る地下線も同様に建設すれば、とても便利になると思います!特に、東駅発着のハンガリー西部への列車は迂回していますから、それを改善する意味も大きいです。
ブダペストのターミナル駅(ブダペスト東駅、ブダペスト西駅、ブダペスト南駅)を楽しむ(19年夏ブダペスト旅行記)
頭端式の駅と通過式の駅
写真4. ブダペスト東駅も頭端式の駅
日本の多くの駅は通過式ですが、ヨーロッパの古いターミナル駅は頭端式といって、ホームの端に駅舎があるタイプの駅が多いです。頭端式はいいかえると、駅舎を出てホームに向かうと、正面に多くの列車の先頭車がある光景です。
ハンガリーの場合は、ブダペストに多くの頭端式の駅があります。中央ヨーロッパの場合、首都の駅はたいてい通過式(ドイツ、オーストリア、スイス、チェコ、ポーランドなど)ですが、ハンガリーは昔ながらの駅を保っています。それが先に述べた3つのターミナル駅です。
ハンガリー鉄道旅行で印象に残った場所
ハンガリーの鉄道旅行で印象に残った場所を紹介します。
ブダ王宮への訪問
写真5. 王宮の丘にはこのようなのどかな通りもある
ハンガリーで多くの人が訪問するブダペスト。そんなブダペストの観光の目玉がブダ王宮です。ブダ王宮といっても、1つの建物ではなく、多くの建物があり、見どころも多いです。また、王宮そのものが丘にあるので、周囲の景色も美しいです。
ブダペストのブダ王宮を訪問する(素晴らしい交通アクセスの発見!、19年夏ブダペスト旅行記)
ブダペストの登山電車と子供鉄道
写真6. 子供たちが運営する子供鉄道(子供相手なので現金のみ、カードや各種乗車券は不可!)
ブダペストの西にヤーノシュ山があります。この山に向けて、登山鉄道・リフト・子供鉄道があり、とても面白いところです。そんなヤーノシュ山を訪問しています。
写真7. こんなリフトでもヤーノシュ山にアクセスできる
ブダペストを一望できるヤーノシュ山を訪問する(19年夏ブダペスト旅行記)
もちろん、山の上からの景色も抜群です!
ブダペストの温泉
写真8. ルカーチ温泉は美しい建物にある!
ハンガリーは温泉大国です。そんなハンガリーの温泉にも訪問しています。この温泉はブダペストカードが使えるので、実質無料でした!
ブダペストの穴場温泉(ルカーチ温泉)に行く(アクセスも紹介、19年夏ブダペスト旅行記)
ハンガリーの列車乗車記
ハンガリーの列車の乗車記を記しています。
ウィーンからブダペストの国際列車
写真9. レイルジェットの快適な1等車
多くの人はブダペスト観光だけではなく、ウィーン観光もセットですることでしょう。そのウィーンからブダペストまでの移動手段は(私なら)当然列車です。そんな国際列車に乗ってハンガリー入りしました。
ハンガリー国鉄車の夜行列車
写真10. 夜行列車の雰囲気が素晴らしい!
ハンガリーとスイス。実はこの2か国は夜行列車で結ばれています。その間にはオーストリアがありますが、他の2か国も通過します(たいていの人はこの事実に気づきません)。暑いハンガリーを出て、肌寒いスイスまでの道中を記しています。
ブダペストの都市交通
写真11. ドナウ川沿いを走る(対岸に見えるのが国会議事堂)
ブダペストの都市交通はトラムと地下鉄です。地下鉄で大まかな移動を行い、トラムで微調整をするという感覚です。トラムの路線にはドナウ川沿いを通る路線もあり、美しい景色を堪能できます。
ブダペストの地下鉄とトラム(路面電車)に親しむ(19年夏ブダペスト旅行記)
ハンガリーの鉄道旅行に関する細かくて深い情報のごあんない
ここまで大まかな内容を述べてきました。しかし、それだけでは芸がありません。そこで、ハンガリー鉄道旅行の細かな利用場面ごとにその詳細を書きました。狭くて「深い」情報を収録しています。
夜行列車関連
ハンガリーの隣国にはオーストリアがあり、そこではナイトジェットという国際夜行列車が運営されています。そのナイトジェットはハンガリーにも直通しています。そのナイトジェット(とパートナー)の全運転系統一覧をまとめています。
中央ヨーロッパの夜行列車~ナイトジェットの概要と運行形態解析
そのナイトジェットの最も安い予約方法も紹介しています。
ブダペスト観光関係
一般的な情報(観光名所や交通アクセス)については観光ガイドに掲載されています。でも、ブダペスト市内の国鉄で各種乗り放題チケットが使えるかどうかなどは記載されていません。そのようなことを考察しました。
ブダペストの郊外電車と国鉄に乗る(真のブダペストへの旅、19年夏ブダペスト旅行記)
鉄道旅行に当たって入手したほうが良い本
ここまでハンガリーの鉄道旅行に関する基本的な内容を記しましたが、実際に現地に向かう場合はガイドブックや時刻表は必須でしょう。そんな必携の本をまとめました。
まず、鉄道旅行をするには、やはり王道、地球の歩き方ハンガリー版でしょう。カフェ情報のような「女子向け」の内容は薄いですが、旅の教科書という感じがして、頼もしいです。
旅の教科書ともいえる地球の歩き方先生だけでは機能不足です。時刻表はプランニングの際は必携です。また、現地でフレキシブルに動くことを考えると、グループで1冊は必携です。
地球の歩き方先生とは異なり、ヨーロッパ時刻表については扱っている書店も少ないことでしょう。そのため、以下のリンクから買うのも手です。
旅行の手配の際に利用したほうが良いサービス
往復の航空券、現地の宿泊施設、現地のインターネットはあらかじめ日本で手配するのが鉄則です。そうでないと、現地で貴重な観光時間の一部を割いて、手配せねばならないからです。日本であらかじめ手配すれば、現地での時間を観光などに最大限使うことができます。ここでは、そのサービスを紹介しましょう。
航空機の予約
海外旅行だと航空便の選択肢として、「直行便」「乗継便」というのが選択肢に登場します。一般的に直行便が高く、乗継便が安いです。そして、ヨーロッパ旅行の場合、乗継箇所は韓国、中国、ロシア、フィンランド、トルコなど多くの選択肢があります。でも、それだけの選択肢の情報をそれぞれ公式サイトで探すのは大変ですよね?
そこで登場するのが代理店です。代理店であれば、多くの航空会社の情報を知っています(旅行業界に限らず、商社を使うメリットです)。でも、旅行代理店に行くのは大変?そんな場合は、自宅でインターネット上で探してみましょう!
このサイトであれば、出発地と到着地を入力すれば、価格順だったり所要時間順に航空便を複数教えてくれます。ご自身の希望に合わせて航空便を選択すれば予約完了です!
ホテルの予約
ホテルを探すのも大変です。地球の歩き方先生にホテル情報は掲載されていますが、そこから電話予約するのも大変です。だいいち、日本語が通用しない相手です。
そこで登場するのが代理店です。ここで注意したいのが、日本の代理店を使うことです。日本の代理店であれば、いざという時に日本語で連絡できます(そして、以下のサイトでは「いざ」というときがありませんでした)。
このサイトさんは地図からホテルを選択することができますので、非常に助かります。地図上に表示された独自の★の数からホテルを選択できるのです。
インターネット環境の整備
海外で手持ちの電話機でそのままインターネットを利用することは困難です。携帯電話会社と契約し、高額な海外利用サービスを利用せねばなりません。
そんなお金があるのであれば、日本でwifiルータを契約し、それでインターネット利用したほうが良いでしょう。以下の会社の4Gサービスを利用しましたが、特に問題なく使えました。それに本体の重さも軽かったです。
2人以上が同一行程で使う場合、全員で1台のルータを共用することとすれば、価格も抑えられます。
海外ローミングと比較して78%以上お得?
海外インターネットならGLOBAL WiFi
ハンガリーの記事一覧
ハンガリーに関する記事一覧はこちら。
ここまで詳細に解説しました。公式サイトから予約できると思いますが、日本語で予約できないことに不安を感じる人もいるかもしれません。下記のサイトであれば、日本語で予約できるので安心です。
Omio:ヨーロッパ鉄道旅行交通予約サイト
また、その予約にはクレジットカードが便利です。
個人的にはエポスカード がおすすめです。海外旅行に使えるカード:エポスカードで詳細を紹介しています。