西武鉄道の最新型の40000系。この車両の一部はS-trainなどの着席列車として運用すべく、ロング/クロス切替が可能な仕様です。そんな車両の通勤車運用時の車内を見てみました。
写真1. 所沢に停車中の西武40000系
復習:西武40000系の概要
簡単に西武40000系の概要を紹介します。
- 編成:10両先生
- 車体素材:アルミニウム製
- 車体:4ドアロングシート(一部はロング/クロス転換座席)
西武40000系は地下鉄に直通できる電車です。地下鉄直通用は先代の6000系の後継車両として、地上を含めた全体では30000系の後継車両としてデビューしました。30000系は車体幅が広いので、地下鉄には直通できず、新しい形式をデビューさせた格好です。
これと合わせてS-trainという有料列車がデビューしました。4ドアでありながらクロスシートを装備し、それが地下鉄に直通します。従来の6000系を改造するよりも新形式で実現したほうがやりやすいことでしょう。それも40000系という新形式を設計しようという機運となったことでしょう
西武40000系の車内を眺める
御託はこの程度として、車内を実際に眺めてみましょう!今回は朝の下りの準急(池袋発7:14の準急反応行き)で出会いました。
写真2. 西武40000系の車内
西武40000系の車内全景です(写真2)。青い座席に目線が取られますが、床の色相は赤紫系(ただし彩度は低い)、妻面の壁は橙系と多くの色相を取り入れていることがわかります。
写真3. 座席の様子
背もたれが長く、ひじかけもあり、ロングシートとしては豪華な座席です。それもそのはず、夕方を中心にS-trainとして走り、座席料金を徴収するのです。
写真4. 座席の様子
座席の様子です(写真4)。座席の端部には仕切壁を兼ねたパーテーションがあります。座席はそれなりの柔らかさで座り心地は良好と感じました。また、可動部の多い座席ですが、そこまで揺れない印象がありました。
写真5. 天井の様子
天井の様子です(写真5)。青紫系の吊り手が印象に残ります。照明もそれなりに意匠の凝ったものです。特急車としての運用を考えると間接照明が必要に感じますが、通勤車に間接照明はそぐわないです。そのような意味で、意匠性と照度を両立させる苦労があったように見えます。
写真6. 天井を別の角度から眺める
別の角度から天井を眺めました(写真6)。液晶画面が多く、クロスシート場面でも案内を確認できるように工夫されています。そういえば、東武50090系は車端部にもLED表示がありますが、これはそれを深化させたように見えます。
写真7. 車端部の様子
車端部の様子です(写真7)。こちらはハイバック式のロングシートであり、クロスシートにはなりません。座席の質は他の場所に揃えられています。
写真8. ドア部分の様子
ドア部分の様子です(写真8)。
写真9. ドア上の液晶画面
ドア上の液晶画面です(写真9)。2画面が一体に見えるデザインです。
写真10. ドアの様子
ドアの様子です(写真10)。2000年以降の民鉄車で標準となった化粧板付きのドアで、窓ガラスは複層ガラスです。結露防止には良いと思います。
写真11. 車いすスペースがある
先頭車(1号車)の先頭よりには車いすスペースがあります(写真11)。
写真12. 運転席仕切壁
運転席との仕切壁です(写真12)。窓1枚の大きさはやや横幅が小さくどうかと思いますが、3枚設置されていて開放的な印象があります。同じ地下鉄直通の6000系とは大違いです。
写真13. ドアを外から眺める
ドアを外から眺めました(写真13)。
写真14. 行先表示
行先表示です(写真14)。S-trainに対応するためか、フルカラーLED表示です。
西武40000系を眺めてみて
写真15. 2ドアの有料座席車のイメージ(京急2100形)
西武40000系は通勤車と有料座席車の両立を狙った車内です。個々の設計は質が高いように感じましたが、通勤車と有料座席車を兼ねるという発想が無茶なように感じます。通勤車として考えると、座席の後ろに空間があり、結果的に通路が狭くなるという欠点があります。逆に特急車として考えると、座席数が少なかったり、空間が落ち着かないという欠点があります。
このコンセプトは、合計の車両数を減らすための策(車両の必要な朝ラッシュ時に有料列車を運転しないため、朝は通勤車として運用する必要がある)なのでしょう。しかし、幸か不幸か朝ラッシュ時の利用が減り、朝ラッシュ時でも有料座席列車を運転することができるようになりました。そうすると、有料列車用の車両を別途用意しても問題ないように思います(中間のドアを埋めた車両で良いでしょう)。
今後はこのようなことも考えてもらいたいものです。