快速と急行どっちが上?~種別の意味から考える

記事上部注釈
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新年度になりますと、表題のようなタイトルの記事が多く見られます。たいてい、急行が上の路線(西武線など)と快速が上の路線(東武東上線)を挙げて、最後は「その路線を使うときに確かめましょう」で締めくくられています。鉄道ファンにも序列を気にする人が多いようです。それに対して私の見解を述べましょう。

ベルリン中央駅に停車中のSバーン

写真1. 全て各駅停車タイプのベルリンSバーン(ベルリン中央駅で撮影)

速達列車がある理由

そもそも、なぜ快速やら急行やらというものが存在するのでしょうか?各駅に停まる列車だけあれば良いように思えます。事実、ヨーロッパの近郊電車は各駅に停まる列車だけの運転です(たとえば、ベルリンの都市電車-Sバーンといいます-快速電車はありません、写真1)。しかし、それでは遠い場所への移動に時間がかかってしまいます。そこで、一部の駅を通過することで、遠くへ移動するときの時間を短くしているのです。

ならば、とても停車駅が少ない列車と各駅に停まる列車の2種類だけではいけないのでしょうか?答えは「2種類だけでは不足するケースが多い」です。少し考えてみましょう。

例えば、ある路線の中間までは非常に利用者が多く、終点への利用もそれなりにある場合です。終点まで通過駅がある列車と、各駅に停まる列車だけですと、中間駅より終点側の本数が過剰になってしまうか、中間駅より手前の本数が不足するかのどちらかです。これを解消する方法が、中間駅より終点側は各駅に停まる列車を設定することです。ならば、これだけにすると、終点までの所要時間が増えてしまいます。これを補うために、中間駅より終点側で各駅に停まる速達列車と、終点まで通過駅がある速達列車を設定するのです。今は単純な例を紹介しましたが、場合によっては速達列車が数種類必要なケースが存在します。

識別の重要性

このような速達列車はパターン化されることでしょう。そのパターンごとに名前をつけてしまえば、運転するほうも、利用するほうも便利でしょう。この名前が快速だったり、急行だったりするのです。その名前も他と同じようなものだとわかりやすいでしょう。このようなことを考えて、さまざまな路線で似た名前が付けられるのです。他の路線とある程度名前をそろえないと(ある路線だけ急行のかわりにヒラメとつけることを想像しましょう)、わかりにくいということです。

識別さえできれば良いのであれば、極端にいうとAとかBとかでも良いのです。急行やら快速やらという名前そのものには意味はないのです。あくまでも、特定の路線を使うときに「急行は何駅にとまる」とわかるための記号なのです。

大手民鉄の種別の代表例:急行(新松田で撮影)

写真2. 大手民鉄の種別の代表例:急行(新松田で撮影)

種別の問題点

種別は識別用の記号でしかないと述べました。種別を聞いてどこに停まるかわかるための目的です。逆に、同じ路線で同じ急行でも停車駅が異なったら…、それは良くないですね。識別記号の意味をなしません。

小田急線の急行の場合~異なっていてもほぼ問題ない

例えば、小田急の急行は一部時間帯は経堂を通過します。これは小田急の特性から導かれた停車駅であり、規則性があるのでそこまでは問題ありません。同様の例として名鉄の特別停車もあります。これも「特定の列車に限り特定の駅にとまる」という性質のものですので、そこまで問題ありません。

東海道線のひかりの場合~2パターンに分けられるのに同じ「ひかり」

やや疑問なのは東海道新幹線のひかりです。東海道新幹線のひかりは、

1) 東京-名古屋をのぞみなみの停車駅+名古屋以西各駅停車のパターン
2) 静岡県内3駅停車+名古屋-新大阪はのぞみ並みのパターン

の2通りあります。

1) は首都圏、中京圏のサブターミナルの利便性を上げるために小田原か豊橋に停車します。このどちらかに停まる程度の違いであれば、わざわざ名前を分ける必要もないでしょう。

2) は静岡県内の静岡と浜松に停車、追加で熱海か三島に停車します。熱海か三島に停車で名前を分ける必要はないでしょう。

しかし、1)と2)は明らかに停車駅が異なるのに同じ名前であることは混乱する元です。

上越新幹線の場合~同じ「とき」でも発車するときで停車駅が全く異なる

この傾向が顕著なのは、上越新幹線でしょう。同じ「とき」でも停車駅は全く異なります。これでは1本1本を確かめないといけません。つまり、同じときでも、ホームに着くときが違うと停車駅が全く異なるのです。上越新幹線の場合は、同じホームにさまざまな行き先の新幹線が来る環境で上越新幹線であることを区別するために、あえて停車駅違いでも同じ名前にしているという事情は理解できます。それでも、何らかの区別方法を考えるべきでしょう。

同じ名前であっても停車駅が大きく異なる場合は、何らかの区別方法が必要と考えます。快速やら急行という名前は、停車駅の違いを区別するための記号なのですから。

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