宝塚線を走る丹波路快速。宝塚線の中では看板種別ともいえる種別です。現在は日中時間帯は区間快速も多いですが、丹波路快速の素顔を探ってみました。
写真1. 大阪にやってくる丹波路快速
復習:丹波路快速の概要
まず、丹波路快速の概要を示しましょう。
- 区間:大阪-篠山口
※一部は福知山直通 - 経由:宝塚線(東海道線・福知山線)
- 所要時間:70分程度(大阪-篠山口)
- 使用車両:223系・225系
丹波路快速は大阪発着の宝塚線の快速電車です。JR宝塚線の快速は大阪発着と東西線直通の2つがありますが、丹波路快速は大阪発着です。また、利用の多い区間(大阪-宝塚・新三田)のみの運転は丹波路快速の定義に当てはまりません。
とはいっても丹波路快速と快速と停車駅は共通です。先発の電車が快速であれば丹波路快速を待つ必要はありません。
丹波路快速や快速は大阪-三田で通過駅があります。大阪-三田の停車駅は尼崎・伊丹・川西池田・中山寺・宝塚・西宮名塩です。区間快速は宝塚-三田も各駅に停車します。逆にいうと、三田-篠山口は各駅にとまります。
車両は223系や225系が使われています。もともと丹波路快速は2000年から221系を使用した宝塚線の快速という位置づけでした。現在は221系は宝塚線から撤退し、後継の223系や225系に置き換わっています。いずれも221系性能に固定された6000番台です。221系と連結することを考慮してこのような措置になっていますが、宝塚線には221系はありません。もう223系・225系本来の性能に戻しても良さそうに思います。そうすれば、大阪-尼崎を130km/h運転でき、ダイヤに余裕ができそうに思います。
写真2. 223系の内装
223系の内装です(写真2)。225系も若干の差異はありますが、同様の内装です。
その223系6000番台の車内を紹介しています。
なお、東西線直通電車は207系・321系という4ドアロングシート車が使われます。私が見た範囲では、大阪発着の快速も207系や321系が使われている場面もありました(この場合、基本的に丹波路快速と名乗りません)。
丹波路快速に乗る
ステージ1. 大阪→三田(快速運転区間)
では、丹波路快速に乗ってみましょう。
写真3. 丹波路快速がやってきた
丹波路快速がやってきました(写真3)。宝塚線の快速(丹波路快速)は東海道線の外側線を通る関係で、4番のりばから発車することが多いです。
写真4. 大阪を発車!
大阪を発車しました(写真4)。あれは神戸線の上り快速かな?
写真5. 淀川を渡る
淀川を渡ります(写真5)。
写真6. 北方貨物線が分岐
北方貨物線が分岐します(写真6)。東海道線は大阪駅付近で南に迂回していますが、貨物列車などは大阪駅を通らずにショートカットします。大阪折り返しの列車もここを活用します。
写真7. 北方貨物線が合流
北方貨物線が合流してきました。
写真8. 神崎川を渡る
神崎川を渡ります(写真8)。この川が大阪府と兵庫県の境界です。
写真9. 特急はまかぜとすれ違う
特急はまかぜとすれ違います(写真9)。大阪と浜坂を播但線経由で結ぶ列車ですね。神戸と兵庫県北部の連絡の役割が強いと聞きます。
写真10. 神戸線快速が見える
神戸線快速が見えます(写真10)。神戸線快速は内側線、宝塚線快速は外側線を通るので、同時に走ることができます。
写真11. 東西線快速が見える
尼崎に停車します。東西線快速が見えます(写真11)。日中時間帯の東西線快速は基本的に次の塚口までですが、朝と日中の移り変わり時間帯なのか、見えている東西線快速は宝塚まで行きます。大阪ではがら空きでしたが、尼崎で人が乗ってきました。
ここジャンクション尼崎の接続状況を観察しています。
写真12. 尼崎を発車!
尼崎を発車しました(写真12)。ここから東海道線から宝塚線に入ります。
写真13. 複線になる
福知山線に入りました(写真13)。
写真14. 塚口を通過
塚口を通過します(写真14)。日中の東西線直通快速(区間快速)はここまでの運転です。
写真15. 住宅街を走る
住宅街を走ります(写真15)。宝塚線の宝塚までは住宅が多いです。
写真16. 伊丹に停車!
伊丹に停車します(写真16)。阪急にも伊丹駅がありますが、若干離れています(図1)。
図1. 阪急伊丹とJR伊丹の位置関係(googleマップより引用)
JRの駅は伊丹の中心から外れているように見えますが、大阪駅方面に直通するのでこちらのほうが便利だと思います。
写真17. 猪名川沿いを走る
猪名川沿いを走ります(写真17)。
写真18. 川西池田に停車!
川西池田に停車します(写真18)。快速系はここで普通電車を追い抜きます。ただし、日中に運転される区間快速は普通電車を抜きません。
写真19. 阪急電車が見える
阪急電車が見えます(写真19)。JRと阪急の競合が激しいと聞いていますが、ここまで線路が近いのですね。
写真20. 高架線を走る
高架線を走ります(写真20)。
写真21. 中山寺に停車!
中山寺にとまります(写真21)。以前は快速はとまらなかったと思いますが、阪急の駅に近いこともあり、停車駅に加えられたのでしょうか。
写真22. 阪急の線路が近い
阪急の線路が近いです(写真22)。線路が近いというということは、駅も必然的に近く位置し、競合も激しくなります。
写真23. まもなく宝塚に到着!
まもなく宝塚に到着します。路線愛称の由来になるだけあって、駅前は発展しています(写真23)。
写真24. 宝塚に到着!
宝塚に到着しました(写真24)。ここは2面3線しかなく、上下列車が同時に待避できません。この役割を2つ隣の川西池田が担っています。
写真25. 宝塚を発車!
宝塚を発車しました(写真25)。少し山が迫ってきたように感じます。
写真26. 一気に山が迫ってくる
一気に山が迫ってきます(写真26)。宝塚から三田までは山を越える線形です。1980年代まではこの山を縫うように通っていました。1980年代の電化・複線化で山をトンネルで貫くルートに変わりました。
写真27. 生瀬を通過!
生瀬を通過します(写真27)。生瀬を出るとトンネルを高速で走行します。
写真28. 西宮名塩に停車!
西宮名塩にとまります(写真28)。ここは快速停車駅の割に駅前が閑散としているように見えますが、駅の上に住宅街が広がっています。
写真29. 渓谷を通る
渓谷を通ります(写真29)。
写真30. 渓谷を通る
渓谷を通ります(写真30)。最近でこそ減便されましたが、日中でも毎時4本がやってきます。渓谷の見た目の割に本数が多いです。
写真31. 山間部を抜けた
山間部を抜け、田園風景を走ります(写真31)。
写真32. 三田に停車!
三田に停車します(写真32)。丹波路快速は宝塚線のなかでも停車駅の少ないほうですが、ここ三田から各駅にとまります。
ステージ2. 三田→篠山口(各駅に停車する区間)
写真33. 三田を発車!
三田を発車しました(写真33)。
写真34. 田園風景を走る
田園風景を走ります(写真34)。
写真35. 新三田に停車!
新三田にとまります(写真35)。大阪発着の普通電車や区間快速の多くはここで折り返します。ここから本数は減り、特急列車を除くと毎時1~2本に減ります。
写真36. 車内はがら空きになった
上りのラッシュ輸送の折り返しという事情のためか、私が乗った朝の下りでも8両編成で運転されていました。私はその先頭車両に乗っていたのですが、大阪発車時点よりも空いてきました(写真36)。
写真37. 相野に停車!
相野に停車します。
写真38. 特急列車とすれ違う
特急列車とすれ違います(写真38)。大阪と福知山・城崎温泉を結ぶ特急こうのとり号が1~2時間間隔で運転されています。昔は天橋立直通の特急文殊が運転されていましたが、いつの間にか大阪と天橋立を直通する特急はなくなりました。なお、京都と天橋立を直通する特急はしだて号は今も運転されています。
写真39. のどかな風景を走る
のどかな風景を走ります(写真39)。
写真40. 藍本に停車
藍本に停車します(写真40)。丹波路快速といえども、この区間は各駅に停車します。福知山線電化時点(1986年)はこのあたりは単線区間でしたが、東西線開業までに新三田-篠山口も複線化されています。山陰線・奈良線と並び、JR西日本の線増・輸送改善が目立つ区間ですね。
写真41. 緑の中を走る
緑の中を走ります(写真41)。
写真42. 草野に停車
草野に停車します(写真42)。広野といい、草野といい、常磐線を思い出させる駅名があります。
写真43. 緑のなかを走る
緑のなかを走ります(写真43)。
写真44. 古市に停車
古市にとまります(写真44)。駅前に古い小集落があるように見えます。
写真45. 少し開けてきた
少し開けてきました(写真45)。
写真46. 南矢代に停車
南矢代にとまります(写真46)。
写真47. 緑が多い
緑の多い風景が続きます(写真47)。新三田から篠山口手前までこの光景であれば、特急を除き毎時2本程度というのも納得できます。
写真48. 篠山口が近づいてきた
篠山口が近づいてきて、住宅も少し増えてきました(写真48)。
写真49. 篠山口に到着!
篠山口に到着しました(写真49)。
写真50. ホームは閑散としている
ホームは閑散としています(写真50)。篠山口以南は大阪直通の長編成、篠山口以北は短編成の運転と運転系統が分割されていることが多いですが、同じホームで乗りかえるように配慮されているように見えました。
丹波路快速に乗ってみて
2000年3月ダイヤ改正で221系が使われる快速電車に華々しく命名された丹波路快速。当時は113系などのボックスシート車や4ドア車による運転も多かったので、221系電車による運転を強調することに意味はあったでしょう。しかし、現在は3ドア車は転換クロスシート車に統一され、朝ラッシュ時も大阪発着の快速は転換クロスシート車のほうが多いように見え(4ドア車だと7両編成に対し、3ドア車だと8両編成と輸送力を確保できる)、わざわざ「丹波路快速」と区別する必要も薄いように見えます。
写真51. 平日の20:54発は4ドア車による運転
写真52. この日は321系による運転
ただし、4ドア車による篠山口行きがなくなったわけでもありません(写真51、写真52)。とはいえ、車両の違いだけでわざわざ種別を明示する必要もないように思います。走りは単なる快速であり、最高速度も同じですので、わざわざ丹波路快速と命名する必要もなさそうです。
○○路快速という種別にブランドを付与しているJR西日本の1つの戦術とは思いますが、全体的なサービスレベルが向上すればわざわざ個別にブランドを付与する必要はありません。そのような意味で、JR宝塚線という路線全体をブランド化し、丹波路快速という個別の種別名をわざわざ付けるという発想から1つ上のステージを見据える必要がありそうです。