東海道線(名古屋地区)の混雑状況(平日朝ラッシュ時、枇杷島→名古屋、現場調査結果)

記事上部注釈
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近年も勢いの落ちることのない名古屋地区。その主軸の1つが東海道線でしょう。その東海道線も朝ラッシュ時は本数が多く設定され、速度より輸送力という姿勢が見えます。その実態を探りました。

写真1. 名古屋に着いた普通豊橋行き

東海道線(名古屋地区)の混雑状況のまとめ

東海道線(名古屋地区)の混雑状況は以下の通りです。

  • 7:40~8:39の平均混雑率は132%程度である
  • 普通、快速で混雑率に差異はほとんどない
  • 最ピーク時は8:00~8:20ごろであるが、その時間帯は列車本数が多いので、列車そのものの混雑率は他と同等である

詳細は以下に記します。

混雑調査の概要

今回の混雑調査の方法を紹介しましょう。この記事では、定点観測を行い、一定時間の全列車を対象にして各車両の混雑を目視で確認しています。これはプロも行っている調査方法です。

簡単に調査方法を紹介しましょう。一部の個人サイトでは混雑状況を書いているところもありますが、調査方法や混雑指標の言及がないのでう~んと考えてしまうところがあります。そのようなことを踏まえて、弊サイトではきちんと方法を示します(さすがー)。

表1. 混雑ポイントの基本的な概念と混雑率

120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

今回は岐阜側の混雑状況を確認するため、枇杷島→名古屋の状態を確認しました。

東海道線(名古屋地区、岐阜側)の平日朝ラッシュ時の混雑状況の生データ

写真5. 引退間近の311系電車と安全確認する車掌

最初に生データを示します(表2)。

表2. 東海道線名古屋地区(岐阜側)の朝ラッシュ時の混雑状況(枇杷島→名古屋、生データ)

どの列車のどの車両もドア付近に乗客が集中しており、ドア付近の混雑は相当のものがありました。なお、ドア付近のスペースが狭い311系電車と313系5000番台車両については、その旨を記しています。

なお、各列車の混雑率も視覚化しました(表3)。

表3. 東海道線名古屋地区(岐阜側)の朝ラッシュ時の混雑状況(枇杷島→名古屋、各列車混雑率視覚化)

東海道線(名古屋地区、岐阜側)の平日朝ラッシュ時の混雑状況の解析

写真6. 名古屋出発直前でも立ちが生じているレベル(=名古屋で降りない客も多い)

生データを示すだけでは不親切でしょうから、混雑状況を解析します(やさしー)。列車ごとの混雑を分析するに当たり、弊サイトの指標である混雑ポイントから、一般的な混雑率に変換しています。これにより、序列指標から定量的な指標に変換され、計算などが便利になるためです。

最混雑1時間の推定

最初に最混雑1時間を推定します。今回の標本だけで決めるのはやや問題ですが、7:40~8:39の60分間が混雑のピークと推定できます。

ただし、時間帯が前にずれていたとしても、名古屋7:29着の新快速が対象に入り、名古屋着8:32の快速が対象から外れるくらいであり、大勢に影響はないでしょう。

復習:東海道線名古屋地区のダイヤ

混雑状況はダイヤに依存します(逆にダイヤを作成する際は混雑状況も加味されます)。東海道線名古屋地区は基本的に快速系、普通ともに15分間隔で運転されますが、朝ラッシュ時については快速系、普通ともに10分間隔に増発されます。

基本的に20分サイクルに新快速1本(豊橋方面)、普通2本、快速名古屋行きで組成されます。新快速と快速名古屋行きを合わせて約10分間隔です。ただし、乗客が多い時間帯は快速名古屋行きを区間快速として岡崎方面まで延長し(名古屋までの停車駅は同じ)、新快速の露払いに快速名古屋行きが設定されます。

なお、岐阜から名古屋までは普通も含めて、無料列車どうしでは全列車先着します。また、新快速の「露払い」の快速名古屋行きは稲沢にも停車します。

種別ごとの混雑状況

では、種別ごとの混雑を示します(表4、図1)。

表4. 東海道線名古屋地区(岐阜側)の朝ラッシュ時の混雑状況(枇杷島→名古屋、種別・号車ごと)

図1. 東海道線名古屋地区(岐阜側)の朝ラッシュ時の混雑状況(枇杷島→名古屋、種別・号車ごと、視覚化)

種別や号車の違いによる混雑の違いはあまり大きくありません。これは、名古屋での乗りかえが分散していることや、製造業が盛んな地域で郊外にある事業所にも向かう流動があることによる降車駅の分散がその要因でしょう。

時間ごとの混雑状況

今回の対象列車については、どの列車も混雑率が130%程度であり、時間帯による差はさほどではありません。ただし、実際には8:00~8:20ごろについては、普通は8両編成であり、「露払い」の快速名古屋行きが運転されています。そのため、通常の10分に1本の快速と普通(6両編成)の組み合わせであれば、もっと混雑するでしょう。

そのため、名古屋断面で8:00~8:20が最ピークと判断できます。先述の通り、JR側はこの時間帯には増発や増結の手当てをしているので、利用客としては特に大きく意識する必要はありません。

逆にいうと、どの時間帯でも混雑がそれなりに均一になるようにJR側も工夫しているということです。

混雑状況から東海道線のダイヤを考える

写真6. 名古屋止まりは6両編成ばかり

8:10ごろの列車については、混雑が激しく混雑緩和が必要でしょう。また、快速名古屋行きは6両編成ばかりであり、これらの混雑緩和も必要でしょう。

一方、増発するとスピードダウンがともないます。このため、これ以上の増発は得策ではないでしょう。例えば、最ピークの普通8両編成を315系に置き換え、これによって、313系電車を8両捻出します。この捻出した8両で3本の快速系を6両編成から8両編成に増強します。

普通の場合、乗車時間が短いためにドア付近にとどまる傾向にあります。それを改善するためには通路の広いロングシート車はうってつけでしょう。このことを意識し、ピーク時の普通をロングシートにするという案を提案しました。このことにより、岐阜から名古屋までの停車時間を若干ながら短縮することも可能でしょうから、普通のスピードアップ、ひいては後続の快速のスピードアップも期待できます。

東京の電車に乗り慣れており、ある程度のラッシュ時にも耐性があると自覚する私でさえ、東海道線名古屋地区の混雑にはおどろきました。今後も増結や増発などの正攻法でこのような混雑に対応いただきたいと感じました。

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