東海道新幹線(ダイヤパターン紹介)

記事上部注釈
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非常に輸送量の多い、東海道新幹線。この路線は長距離交通機関でありながら、通勤路線のような頻度で運転されている点も特徴的です。そのような東海道新幹線のダイヤパターンを紹介します。

写真1. のぞみ停車駅は2面4線以上が確保され、交互発着が可能(本数確保に重要、京都で2023年に撮影)

ダイヤパターンとは?

都市鉄道のパターンダイヤを簡単にまとめたものです。都市鉄道ではダイヤは繰り返し単位になっており、そのようになっているダイヤをパターンダイヤと称します。また、パターンダイヤの周期をサイクルと呼びます。本記事はダイヤの繰り返しの単位とその内訳から、その路線のダイヤの骨格を理解することを目的としています。

例えば、20分に急行1本と各駅停車2本ならば、「20分サイクルのパターンダイヤでその内訳は急行1本と各駅停車2本」と表現できます。原則をつかむために、基本的には朝ラッシュ上り、日中時間帯、夕方ラッシュ下りについて述べます。

なお、厳密には大きいサイクルで論じるべき部分もありますが、厳密さを無視すると小さなサイクルで論じることができる場合もあります。この場合、小さなサイクルを疑似サイクルと称します。先の例だと、実は急行が1時間間隔で遠方に向かう場合、厳密には60分サイクルです。しかし、遠方に直通するか否かがあまり重要視されない場面だと、20分サイクルと考察することも可能です。このような場合、疑似20分サイクルと称するということです。

東海道新幹線の停車駅

東海道新幹線には、以下の3つの列車が設定されています。

図1. 東海道新幹線の路線図(Wikipediaより引用、白丸はのぞみ停車駅)

  • のぞみ:東京-新大阪の都市間輸送を担う列車。東京-新大阪の停車駅は品川、新横浜、名古屋、京都。
  • ひかり:上記のぞみが通過する主要駅にも停車する列車。
  • こだま:各駅に停車する列車。

この3つの列車が運転されています。のぞみこだまの停車駅は明確ですが、ひかりの停車駅はややあいまいです。多くのひかり号は下記の2つのどちらかに分類されます。

  • ひかり(東名間速達パターン):東京-名古屋をのぞみ停車駅+(小田原または豊橋)だけに停車し、のぞみ号から逃げ切る。一方、名古屋-新大阪は各駅に停車。小田原停車パターンは各駅に停車する区間(東京-小田原、名古屋-新大阪)とノンストップの区間(小田原-名古屋)と両極端なこともある
  • ひかり(名阪間速達パターン):東京-名古屋は静岡県内に2~3駅停車(静岡と浜松には停車、熱海と三島はどちらかに停車することが多い)、名古屋-新大阪はのぞみ号並みの停車駅で、この間はのぞみから逃げ切る

このような停車駅パターンのため、ひかり号停車駅相互間をひかり号で移動するのは困難です。例えば、小田原と静岡の双方に停車するひかり号は基本的にありませんから、この間はこだま号で移動するのが基本です。

のぞみ号はこのような変則パターンはなく、東海道新幹線内は停車駅が固定されています。ただし、山陽新幹線内は基本の停車駅(新神戸、岡山、広島、小倉)だけに停車する列車はごく限られ、追加停車駅(姫路、福山、徳山、新山口のどれか1駅に停車)がある列車がほとんどです。

東海道新幹線は終日、1時間サイクルのパターンダイヤが基本です。のぞみ号を中心に臨時列車枠が多く取られ、日々の需要に合わせ、臨時列車を運転しています(※)。本記事では、定期列車と臨時列車を特に区別せずに記述します。

※例えば、東京毎時21分発ののぞみ号は臨時枠とされます。しかし、9時台は毎日運転(正確には通常設定される新大阪行き217号は多客期には運休し、多客期には広島行き123号が運転、号数を無視すれば新大阪までは毎日運転)、12時台は多客期のみ運転です。

このように時間帯によって定期列車だったり臨時列車だったりします。それにかかわらず、臨時列車をいつでも運転できるようにダイヤをつくっています。本記事の主眼はダイヤパターンの把握なので、特定日の特定時間帯の運転状況についてことさら確認する必要がないのです。

いいかたを変えると、臨時列車も含めてダイヤを作成し、必要に応じて間引いているとも表現できます。

東海道新幹線の朝ラッシュ時のダイヤパターン

写真2. 早朝の東京に到着する営業列車は存在しない(2021年に撮影)

ほぼ終日に渡ってパターンダイヤが組まれている東海道新幹線ですが、朝ラッシュ時の東京着はのぞみ号の割合は比較的少ないです。新大阪を6:00に出発しても東京には8:20以前に着くことができないためです。8時台前半は2本のみの設定(名古屋始発)、8時台後半は西明石や姫路発ののぞみ号も設定され、30分に5本の設定とそのほかの時間帯並みです。

ひかり号も8時台は約30分間隔の設定で、日中時間帯と変わりません。日中時間帯と異なるのは、小田原に停車する停車パターンはなく、静岡停車が毎時2本設定されていることです。

かわりにこだま号が多く設定されています。東京着7時台は4本ともこだま号です。いうまでもなく、通勤客対応です。その証拠に土曜・休日運休便の設定も見られます。8時台も6本ありやはり通勤客対応の側面が強いです。

補足

新幹線は政令により、原則として0時~6時まで運転されません。そのため、6時を過ぎたら下り列車が次々に発車します。では、現在の東海道新幹線の下りの始発近辺はどうなのでしょうか。

ここまでの記述のうち定期列車についてまとめました(図2)。

図2. 始発周辺の始発列車の模式図(2024年ダイヤの場合、自作)

現在は下り定期列車は下記の通りです。

  1. 静岡6:02発こだま763号新大阪行き(名古屋まで先着、名古屋で始発ののぞみ273号博多行きに接続)→新大阪7:54着
  2. 新横浜6:00発ひかり533号広島行き(定期列車ベースだと新神戸まで先着)→新大阪8:13着
  3. 品川6:00発のぞみ99号博多行き→新大阪8:16着
  4. 東京6:00発のぞみ1号博多行き→新大阪8:22着

このように東京のほかに品川と新横浜から6:00きっかりに発車します。

ここで興味深いのが2の新横浜6:00発ひかり533号広島行きです(号数は異なるものの2008年から設定)。このひかり号は小田原に停車し、小田原からの速達輸送も担っています。後続ののぞみ99号博多行きより新神戸まで先着し、小田原や静岡(6:42発)から関西地区に先着するように工夫しています。このひかり号は静岡で三島始発のこだま765号から乗りかえ可能であり、三島と新富士からの需要に対応しています。

1に例示した通り、さらに早い時間帯へのニーズに対応し、静岡6:02発こだま763号新大阪行きが発車しています。この列車は名古屋まで先着し、名古屋で始発ののぞみ273号博多行きに接続しています。新大阪に7:54に到着し、静岡以西から大阪8時前着というニーズに応えています。

1と2の列車を設定することにより、新横浜から三河安城の各駅から関西地区にのぞみ99号より先着できるように工夫されているのです。上記4列車で熱海はカバーされていませんが、東海道線普通列車が設定されており、(熱海を5時台に出発することになりますが)三島始発のこだま765号に乗りかえ可能です。これは、新幹線と在来線が同じ会社が運営している強みでしょう。

なお、2023年ダイヤからはひかり533号の直後に新横浜始発の臨時列車ののぞみ号(6:03発)が設定され、名古屋、京都、新大阪には7分先着(新大阪に8:06着)するようになりました。ダイヤ改正と同日の新横浜線開業に合わせた集客列車でしょう。JR東海としては他社が集客してくれるわけですから、そのチャンスを大いに活用したのでしょう。

東海道新幹線の終日のダイヤパターン

写真3. 京都に到着する下り列車(すべて16両編成で統一されています、2023年に撮影)

上記の朝ラッシュ時、下記の夕方ラッシュ時以外はこのパターンで運転されます。1時間あたりの本数は以下の通りです。

  • のぞみ:最大12本の設定。本当の定期列車は4本のことが多い。4本の行先の内訳は新大阪1本、広島1本、博多2本。
  • ひかり:東名間速達パターンと名阪間速達パターン(静岡県内停車型)が各1本
  • こだま:東京-新大阪1本、東京-名古屋1本

こだま号は毎時2本設定されますが、半数は名古屋発着で名古屋以西は毎時1本に半減します。かわりにひかり号の半数が名古屋-新大阪の各駅に停車し、各停車駅では毎時2本が約束されます。

ひかり号は先述の名古屋-新大阪の各駅に停車するパターン(東名間速達パターン、新大阪発着)と、静岡県内停車型(岡山発着)が毎時1本ずつ運転されます。東名間速達パターンは小田原停車と豊橋停車がそれぞれ2時間ごとに設定されます。首都圏西部と中京圏東部が主なターゲットの設定です。静岡県内停車型は静岡と浜松に加え、2時間に1本は三島にも停車します。東京、名古屋、大阪地区から静岡県への行き来を考慮した形です。三島を通過する列車のうち何本かは熱海にも停車します。

のぞみ号は最大12本の運転です。時刻表上の定期列車は4本だけ(朝夕に近い時間帯はもう少し本数が多い)ですが、本当に毎時4本しか運転されない日は多くありません(たいてい毎時5本は運転されます)。東京-新大阪の所要時間は2時間27分~2時間30分です。

臨時列車の多くは新大阪までの運転で、臨時列車が広島まで運転されるのは土曜・休日に限られることが多いです。もっとも、毎時12本運転の際は博多までの臨時列車も毎時5本程度の設定があり、山陽新幹線にも高頻度運転のサービスが及びます。

臨時列車を含めないと、東京-名古屋の先着列車は毎時5本(のぞみ号4本とひかり号1本)、名古屋-新大阪の先着列車は毎時5本(のぞみ号4本)です。名阪間速達パターンのひかり号はなぜか京都で待ち合わせます。

東海道新幹線の車両は285km/h運転が可能な16両編成に統一されています。そのため、のぞみ号からこだま号まで車両は共通化され(これが目的)、運用の制約は少ないです。

東海道新幹線の夕方ラッシュ時のダイヤパターン

写真4. 夕方の東京駅(2023年に撮影)

朝ラッシュ時ほどではありませんが、ある程度近距離向けのダイヤに変わります(夜間の東海道新幹線の下りのぞみ号自由席に乗ったら新横浜から空いて驚きました、他の時間帯は新横浜から混雑します)。

  • のぞみ:最大12本の設定。本当の定期列車は5本程度。
  • ひかり:東京-名古屋を速達、名古屋以西各駅停車が約30分間隔
  • こだま:東京-名古屋2本、東京-三島1本

日中時間帯を基準にすると速達性より利便性に傾いている印象です。特に異なるのがひかり号です。東名間速達パターンは静岡に停車、名阪間速達パターンは名古屋以西各駅に停車という違いです。結果として、静岡にすべてのひかり号が停車します。また、こだま号が毎時3本設定され、通勤客対応となっています。とはいえ、30分間隔のこだま号に挿入しているので、最大30分待ちかつ不等間隔です。日中時間帯よりも本数が多く、乗車チャンスそのものが増えているので良しという解釈としましょう。

のぞみ号の所要時間は日中時間帯と同様です。博多行きが18時台、広島行き、岡山行きと姫路行きが20時台、新大阪行きが21時台にそれぞれ終電が発車し、徐々に本数が減少します。

東海道新幹線のダイヤパターンまとめ

写真5. ユーロスターは全席指定制、本数や空席も少なく気軽に乗れるとはいいがたい(アムステルダム中央駅で撮影)

世界初の高速鉄道として開業した東海道新幹線。需要が先か供給が先か、本数が増え、その本数の多さで競争力が増してさらに乗客が増して、という正のスパイラルを繰り返してきた路線に見えます。速度や距離はともかく、ダイヤの組みかたは都市圏の民鉄のようで、「究極の都市間電車」に成長しました。

これは諸外国の高速鉄道と全く異なる形態のまさに「新しい幹線」としての姿です。今後も新型車両などの施策によって、所要時間短縮と輸送力増強を両立するのでしょう。可能であれば、繁忙期は品川発着を活用し、輸送力をさらに確保することもご検討いただきたいです。

東海道新幹線の過去のダイヤパターンについて

2001年以降のダイヤパターンについては、下記の記事に記しました。

東海道新幹線(過去ダイヤ)

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コメント

  1. 100系はカッコよかったぞ より:

    東京-名古屋の所要時間は2時間27分~2時間30分です。

    マジっすか!!もっと速いと思ってたから意外

    • tc1151234 より:

      100系はカッコよかったぞさま

      コメントありがとうございます。東京-新大阪のタイプミスでした。大変失礼いたしました。
      さっそく訂正いたしました。