東急電鉄でもあまり目立たない路線、東急多摩川線。目蒲線の片割れの目黒線とは異なり、幹線輸送の機能もありません。しかし、クロスシートの乗車チャンスがあるなど、旅行気分を味わえる路線でもあります。そんな東急多摩川線に乗ってみました。
写真1. 多摩川に停車中の様子
復習:東急多摩川線の概要
実際に乗る前に、東急多摩川線の概要を示しましょう。
・区間:多摩川-蒲田(図1)
・距離:5.6km
・所要時間:10分
図1. 東急多摩川線の経路(googleマップより引用)
東急多摩川線は多摩川-蒲田の5.6kmの路線です(図1)。大手民鉄の路線としては珍しく、同じ区(大田区)で完結する路線です。平日日中でも7.5分間隔(休日日中は6分間隔)で運転され、「都市内のローカル線」とされつつも、利便性は高い路線でもあります(ダイヤの詳細は別の記事を参照)。
昔は目黒線の目黒-多摩川を含め、目黒-蒲田の目蒲線として運用されていました。運転系統変更に伴い、2000年8月26日に目黒-武蔵小杉の目黒線と、多摩川-蒲田の東急多摩川線に分割されました。現在では車両などは東急池上線と共用です。一部、池上線と直通する運用はありますが、乗客案内上は直通を前面に押し出していません。多摩川と五反田を直通する人が少ないためでしょう。
車両は3両編成の7000系や1000系が使われています。
実際に東急多摩川線に乗る
実際に東急多摩川線に乗ってみましょう!
写真2. 7000系がとまっていた!
7000系がとまっていました(写真2)。この車両は池上線と東急多摩川線用の新車です。
写真3. 7000系のクロスシート
7000系のクロスシートです(写真3)。なぜか車端部のみクロスシートが配置されています。
写真4. 蒲田を発車!
蒲田を発車しました(写真4)。渋谷にはない頭端式のターミナルです。
写真5. 池上線との線路別複々線を走る
池上線と並走します。まるで複々線を走っているような感じですね(写真5)。その池上線とはすぐに分岐します。
写真6. 都道311号線を渡る
都道311号線をまたぎます(写真6)。別名環状8号線です。このような大幹線道路に対しては立体交差が順当でしょう。
写真7. 矢口渡に停車
矢口渡に停車します(写真7)。ここまで1駅ですが、1.3kmもあります。東急多摩川線の中では最も長い駅間です。
写真8. 矢口渡を発車
矢口渡を発車したところです(写真8)。駅前には商店もあり、昔から街が発展してきたことがわかります。
写真9. 高架区間がある
高架区間に差し掛かりました(写真9)。国道1号線をまたぐために高架になっています。東急多摩川線も本数が多いですし、国道1号線も通行量が多い道路です。そのため、高架にする効果は大きいでしょう。
写真10. 武蔵新田を発車したところ
武蔵新田を発車したところです(写真10)。だいたいこのあたりが東急多摩川線の中間地点です。武蔵新田駅前も個人店やチェーン店などがそろっていて、生活するには不便はなさそうです。
写真11. 下丸子付近の景色
住宅街を走り、次の駅である下丸子に停車します(写真11)。右に見える大きな建物は大田区民プラザです。下丸子は東急多摩川線の駅、新丸子は東急東横線(と目黒線)の駅です。1文字違いですが、県も異なるので注意が必要でしょう。
図2. 下丸子と新丸子の位置関係(googleマップより引用)
下丸子と新丸子は3.3kmも離れています(図2)
写真12. まもなく鵜の木
次の駅は鵜の木です(写真12)。「うのき」と読みます。
写真13. 鵜の木に停車!
その鵜の木に停車です(写真13)。東急電鉄では精力的にホームドアが導入されていますが、池上線と東急多摩川線は以前にホーム柵などが整備されている関係上、その対象ではありません。
写真14. 住宅街を走る
住宅街を走ります(写真14)。
写真15. 沼部を発車
沼部を発車しました。今までの駅よりも商店が少ないような印象を抱きます(写真15)。
写真16. 地下にもぐる
地下にもぐります(写真16)。
写真17. 多摩川に到着
多摩川に到着しました(写真17)。蒲田行きの行先を掲げています。
写真18. 田園調布方面に線路が伸びる
田園調布方面を見てみると、線路が伸びています。目黒線と東急多摩川線の線路は現在でもつながっており、車両をやり取りするのに活用されています。営業運転での直通はありません。
東急多摩川線に乗ってみて
東急多摩川線はどちらかというと地味な路線です。そして、乗った時には池上線よりも乗客が少なかったように感じます。それも無理がありません。比較的短距離な路線、そして片方の終点は拠点性があまりない場所です。とはいえ、沿線に住宅が広がり、駅前にはチェーン店や個人商店が並び、駅前に用事のある場所があることも多いでしょう。
遠い将来、エイトライナーがこの区間に延びるという話もあると聞きます。エイトライナーそのものも18m車4両で足りそうで、この設備を有効活用したほうが、駅や電車へのアクセスという意味でも良いでしょう。
エイトライナーが具体化するまでは現在の状態で推移し、地味な存在ながらも沿線にとって必要な交通機関であり続けるのでしょう。