315系電車の想定

JR東海が315系電車を投入することを発表しました。この内容を鑑みて、投入状況を予想してみましょう。この中で、多くのファンの思い込みについて述べ、その思い込みを排除した予想をしています。

311系(名古屋)

写真1. この車両の置き換えぶんまでオールロング車とは考えにくい

315系の投入状況(確定事項)

JR東海が在来線に新車を投入して、古い車両を取り換えることを発表しました。その概要をまとめましょう。あくまでもJR東海のプレスリリースをまとめただけです。

315系電車の概要
・安全性と安定性の向上
 非常走行用蓄電装置の採用、主要機器の二重系化など

・快適性・利便性の向上
 次期特急車両HC85系と同じ台車構造、車内のフルカラー液晶ディスプレイなど

・環境負荷の低減
 消費電力量を約35%低減、室内灯及び前照灯にLEDを採用

・投入計画
 2021年度から2025年度にかけて352両を新製し、名古屋・静岡都市圏を中心に、中央本線、東海道本線、関西本線等に順次投入
→交通新聞の報道によると352両の内訳は8両編成×23編成、4両編成×42編成

以上の情報が公式発表からの情報です。また、別紙には211系との比較でロングシートと記されています。

投入状況の予想

上の公式発表から、投入状況を予想してみましょう。

現状把握:通勤電車電車の一覧

まずは、置き換え対象の211系、213系と311系の状況をまとめます。参考に、313系の車両数もカウントしています(表1)。

表1. JR東海在来線通勤電車の一覧

車両基地形式・番台在籍車両数
大垣313系(5000番台)6両×17本
313系(0、1000番台)4両×25本
313系(300番台)2両×16本
313系(3000番台)2両×16本
313系(5300番台)2両×5本
311系4両×15本
213系2両×14本
神領313系(1000番台)4両×6本
313系(1300番台)2両×24本
313系(1500番台)3両×10本
313系(8500番台)3両×6本
211系(0番台)4両×2本
211系(5000番台)3両×17本
211系(5000番台)4両×20本
静岡313系(2000番台)3両×27本
313系(2000番台)2両×9本
313系(3000番台)2両×14本
211系(5000番台)3両×31本
211系(5000番台)2両×9本

※神領の313系1500番台に1600番台と1700番台を含む。同様に1100番台は1000番台でカウント
※大垣の313系300番台に5300番台を含む
※静岡の313系2X00番台はひとまとめに313系2000番台扱い

ここで、置き換えとなる211系、213系と311系は2両編成、3両編成、4両編成ですが、新製する315系は4両編成と8両編成です。これは予想が難しいです。鍵となるのは現在配置されている313系の2両編成なり3両編成です。この短編成の313系を活用して、2両編成の置き換えに充当するのでしょう。

私には神領-大垣-静岡の車両転配まで予想できませんので、ここでは313系電車の車両基地の移動はないものとして取り扱います。

神領では関西線と中央線の車両を管理し、大垣では名古屋地区東海道線と飯田線の車両を管理しています。静岡県内の路線は静岡に配置されています。細かな点で違いがあるでしょうが、おおむねこのような理解で問題ありません。

置き換えの予想:神領電車区

神領電車区には多くの211系電車が在籍しています。逆にいうと、置き換え対象はこれらの車両だけです。これらは間違えなく315系のオールロング車が導入されることでしょう。中央線に8両編成が23編成全てが投入すると予想している人もいますが、そのようなことはないでしょう。現在の中央線名古屋地区は最大10両編成で運転されていますが、増結用の2両編成の投入はないからです。現在、朝ラッシュ時には2両編成は7運用程度しかありません。関西線で運用されている2両編成の運用を建て替えるなどしても、せいぜい9運用でしょう(このうちピーク時に東海道線で運用している2両×3本の運用も含む)。ということは、8両編成は9本程度です。ただし、ラッシュ直後に8両編成の電車が3本程度ありますから、これについてはパートナーとなる313系2両編成は不要です。つまり、8両編成は12本程度投入されると予想できます。予備車なしで想定していますが、予備車は後で述べる4両編成を2組確保すれば良いことでしょう。

現在の211系電車の合計が139両あります。8両編成12本で96両導入で、残りは(139両-96両=)43両です。このため、4両編成×11編成=44両導入されると予想できます。

中央線のラッシュ時の10両編成は14本連続(ただし14本目は1本目と同じ運用でしょう)です。315系8両編成+313系2両編成の組み合わせが9本想定できます。この他に315系4両+313系6両が4本必要(13運用から9運用を引く)ですが、313系3両編成が12本(1700番台の3両3本と8500番台1本を除く)ありますから、313系3両編成は10運用確保できます。この運用で8運用必要(6両編成1本は3両編成2本ということに注意!)です。この10運用から8運用はまかなえます。

残りの313系4両編成はラッシュ直後に315系4両編成と組むなり、東海道線や武豊線のサポート役などの全体的な補助と考えることができます。

置き換えの予想:大垣電車区

大垣電車区の置き換え対象は311系と213系です。ただし、213系に相当する2両編成の投入はありません。これは、現在の313系の2両編成がその役割を果たすと想定できます。現在、朝ラッシュ時に名古屋駅を通る快速系統は8両編成を組んでいますが、これは313系5000番台6両と増結車扱い2両編成の8両編成です。逆にいうと、これに2両編成の車両を組む必要はありません。ということは、これに対して8両編成を投入すると考えるのが自然です。313系300番台を213系の運用に組み替えれば、213系の置き換えは何も問題ありません(213系がワンマン非対応の車両なので、313系もワンマン非対応の300番台で問題なし)。中央線用に8両編成を12本と予想しましたので、東海道線には11本の投入です。置き換え対象の車両が311系60両と213系28両ですので、ちょうどぴったりです。

では、名鉄対策をしている東海道線名古屋地区でオールロングシート車が導入されるというのか、という疑問があるでしょう。これについては、投入される315系電車が全車オールロング車とは言っていないことがポイントです。ロングシートと示されているのはあくまでも(置き換え対象のうち多くを占める)211系5000番台との比較です。311系や213系置き換え用をオールロング車とは誰も述べていません(逆にいうとクロスシート車とも述べていませんが)。そのため、東海道線に導入される車両はクロスシート車になると予想しています。オールロング車を乗車距離の短い普通電車に投入するという考えもあるでしょう。しかし、普通電車であれば8両編成ではなく4両編成が適切ですから、今回はクロスシート車が導入されると予想いたしました。

コラム.スペック表との矛盾は大丈夫?
上の予想で、「東海道線名古屋地区向けにクロスシート車が88両投入される」と記しました。88両はともかく、クロスシート車が投入されるという資料はどこにもないですが、本当に大丈夫でしょうか。以下でクロスシート車が投入されるという予想と示された車両スペック表の違いについて考察します。

JR東海はあまり詳細な情報公開をしない、という風潮があります(ダイヤ改正のプレスリリースでも、在来線での増発や増結もあまり取り上げません)。315系の投入車両数は352両です(これは公開された情報です)。一方、私が予想した両数は88両です。(クロスシート車88両)/(全体の352両) = 25%です。在来線に関する情報を詳細に公開しないJR東海のことです。わざわざ25%程度の少数派についての情報を公開しないのも自然です。

また、車両のスペック表には211系しか掲載されていない点も不自然です。置き換え対象に311系や213系が含まれているにも関わらずです。置き換え完了まで時間があり、置き換え対象の多くが211系であれば、多数派だけの情報を公開してもおかしくありません。

置き換えの対象:静岡電車区

では、静岡電車区の置き換え対象はどうでしょうか。211系3両編成が31本、2両編成が9本ありますが、投入されるのは4両編成です。2両編成9本は3両編成と連結して5両編成を組むと考えると、3両編成が22本と5両編成が9本という考えもできます。さらに、3両編成22本は、3両編成13本と3両編成9本と分解して考えることができます。3両編成13本は4両編成10本程度で置き換え、3両編成9本と5両編成9本は4両編成18本で置き換える(3両編成+5両編成を4両編成+4両編成と置き換えるということ)と辻褄が合います。つまり、静岡地区には4両編成が28本投入されるということです。置き換え対象の211系はロングシートであることから、ここに導入される315系もオールロング車でしょう。

静岡地区に使われる車両はオールロング車という路線は変わらないでしょう。静岡都市圏は都市圏の規模が小さく、長距離移動するというパターンが考えにくいです。もしも長距離移動(静岡-浜松や静岡-三島)であれば追加料金990円で新幹線(しかも1時間に2本以上の頻度)で移動できるのです。

置き換えで増える車両は?

ここまでの推論で以下の陣営の車両が導入されると予想しました。

神領電車区
8両編成×12本
4両編成×11本(最大13本)

大垣電車区
8両編成×11本(クロス車)
※全体の25%なので、現段階でクロスシート車の投入を言わないことは自然でしょう(上のコラム参照)。

静岡電車区
4両編成×28本(最大30本)

しかし、4両編成は40本でしかありません。公式には4両編成は42本投入と発表されています。これは、神領か静岡にもう少し4両編成が導入されるということです。特に静岡地区は編成数が減りますので、編成数確保のためにもう1本投入されることもありましょう。大垣電車区は編成数が減るのに投入車両数が変わらないという指摘もあるでしょう。これについては、武豊線運用の電車を全て神領持ちにする、浜松-豊橋の運用を静岡持ちにするなど逃げ道はいくらでもあります。

スペック表の最高速度の意味

最高速度は120km/hではなく、はっきりと130km/hと示されています。これは、130km/h運転を行うという意思表示と推定しています。もしも、120km/h運転に留まるのであれば、最高速度120km/h(130km/h準備)と書くことでしょう。

315系電車は313系電車と共用で使用されると想定できます。場合によっては連結運転することでしょう。「最高速度120km/hの313系電車と連結するのであれば、130km/hするわけないじゃん」と指摘する人もいるでしょう。でも、よく考えてください。セントラルライナーで130km/h運転を行っていましたし、313系の車両スペック表(鉄道ジャーナル1999年7月号に掲載されています)にも130km/h準備と記されています。したがって、313系そのものの130km/h運転は全く問題ありません。今回の315系投入で120km/hしか出せない車両(311系、211系0番台)や110km/hしか出せない車両(211系5000番台、213系)が排除されるので、313系・315系を前提としたダイヤと変貌していくのでしょう。

では、JR東海の電化されている在来線全線で130km/h運転をするのでしょうか。それはないです(身延線や飯田線はまずありません)。高速運転には車両だけではなく、線路の改良も必要です。私は以下の路線で130km/h運転すると予想しています。

・中央線(名古屋-中津川)
・東海道線(豊橋-大垣)

中央線は特急「しなの」が130km/h運転しているので、線路設備はすでに対応しています。あとは車両をそろえればいつでも高速運転は可能です。現在は211系5000番台が主力ですので110km/h運転ですが、その制約が取り払われることになります。中央線の中津川-塩尻も理論上は可能ですが、カーブが多いのでそこまで効果はありません(特急「しなの」はカーブでも高速運転できるので130km/h運転の効果は大きい)。JR東日本で常磐線が130km/h運転を実施しているのも、もともと特急が130km/h運転に対応していて線路が高速運転に対応していた面もあります。

東海道線も対名鉄を考慮すれば、130km/h運転の価値はあります。ただし、熱海-米原ではなく、豊橋-大垣の区間限定です。これは、名鉄と対向している区間に限定して線路を整備するという予想です。もしかしたら、豊橋-岐阜という露骨な区間で実施する可能性もあります。特に、豊橋-名古屋は必須です。現在は名鉄の快速特急が49分で結んでいるところ、JRの新快速だと52分かかっているので、所要時間面で劣勢に立たされているからです。

そのほかの路線は130km/h運転することはないでしょう。線形の比較的良好な東海道線静岡地区については120km/h運転はするかもしれませんが、やってそんなもんでしょう。関西線は130km/h運転したところで、単線の行き違い待ちで短縮時間が相殺されるので、ないでしょう。東海道線静岡地区、関西線以外では高速運転できる路線は思い浮かびません。

これからの社会は「働き方改革」の美名のもとに労働時間を削減する傾向にあります。列車の運行も「労働時間」です。その「労働時間」を短縮するために、無理のない範囲でスピードアップを行うことは正義です。もちろん、他の交通機関に対する競争力も向上しますし、利用者としてもありがたいです。堅実なJR東海のことです。新型車両投入を機に若干であれど所要時間を短縮することでしょう。

315系電車投入の予想のまとめ

315系電車は長編成主体、313系が短編成主体と割り切ることで、(運転台が少なくなるぶん)1両あたりのコストを削減が可能で、そのぶんを投入車両の増加に充てることができましょう。これは短編成で混雑しがちなJR東海管内の在来線の問題点を解決する1つの方策でしょう。

そして、多くのファンは(公式で何も発表されていないにも関わらず)315系がオールロング車と思い込んでいます。今回の記事がそのような思い込みから目を覚める一助となったら幸いです。そして、8両編成の処遇や(短編成の飯田線で使われる)213系の置き換えの目算など、一定の予想をしたものと確信しております。

また、公開しているスペック表から多くのサイトさんで予想されていない未来予想図も示しました。私の予想が当たるにしろ、外れるにしろ、多くのファンの予想記事とは一線を画す記事になったと確信しております(ただし、悪いほうに「一線を画す」記事かもね!)。

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コメント

  1. ののり より:

    初めまして。静岡市内に住んでおります。静岡県全体となりますが車社会とあってからか移動となると車主体で平日は官公庁や駅周辺の勤務となれば鉄道となりますが休日となると車での移動が主体です。確かに990円プラスすれば静岡~浜松並びに三島と新幹線で移動できますがやはり特急料金と高いという考えもありますので、特別に急がない限り在来線か車での移動となるのではないかと思います。自身電車通勤圏外ですのであくまでもこんな感じかなと思ったとこです。

  2. tc1151234 より:

    のりりさま、コメントありがとうございます。

    確かに静岡県は自動車社会ですよね(私の知り合いには静岡県西部出身の人がいます)。1人ならともかく、(国の想定する標準家庭でいうと)家族4人で片道特急料金990円×4人=3960円(往復7920円)は高く感じますよね。このような状況を見ると、私のようなマニアだと「在来線に快速を!」と言いたくなってしまいますが、こだま号限定の割引きっぷを発売するほうが現実的でしょう。こうすれば、初期投資なしで輸送改善が可能です。