お座敷列車宴に乗る(伊東初日の出号)

記事上部注釈
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お座敷列車。これに乗る機会はとても限られています。その中でもなかなか乗れないのが宴です。その宴にわずかながら乗車しましたので、その記録をまとめます。単なる乗車記のみならずお座敷列車の将来についても考えます。

写真1. 伊東駅に停車中の伊東初日の出号

宴の概要と充当列車の確認

現在、JR東日本の首都圏のお座敷列車は2本あり、宴と華がその役割を担っています。宴は先に登場し、その欠点を埋める(前面が曲面ガラスなので運転しにくいという声を反映させて前面形状を変更)形で華が登場しています。そのため、華と宴はほぼ同じ仕様です。

これらの車両は基本的には団体列車で運転されていますが、たまに臨時列車に使われます。そのほとんどは華によって運転され、宴による運転はほとんどありません。近年は伊東初日の出号だけに充当されることが多いです。つまり、団体利用ではなければこの列車に乗るしかないのです。

このような背景があるのか、1か月前の10:00前に最寄駅に手配に行きましたが、残念ながら全区間の手配は不可能でした。そのため、次善の策として新宿-品川と熱海-伊東の指定席券を手配することとしたのです。多くの利用客が品川-熱海を利用するために、末端区間はそれなりに空いているのです。

実際の乗車:部分的な乗車

さて、実際に乗車しましょう。私の最寄駅は山手線ですので、終夜運転を実施しています。そのため、前泊の必要はありません。

写真2. 宴は湘南新宿ラインの仲間らしい

この列車は新宿-品川-東海道線と走行しますが、湘南新宿ラインの仲間と扱われます(写真2)。確かに、新宿から横浜に向かいますからね。

写真3. 7番線の電光掲示板

私は5番線からの発車と見込んでいましたが、7番線からの発車です(写真3)。中央線快速のホームですから、この列車ではなく、快速東京行きに乗ろうとする女性の姿も確認できました(しばらく来ないとわかったのか階段に引き返していました)。

写真4. 7番線の電光掲示板

写真5. 宴が入線してきた

発車5分前の4:55ごろにホームの代々木よりから宴が入線してきました(写真5)。私は池袋方から入線すると思い込んでいましたが、多くのファンは正しい情報を知っているのですね。脱帽です。

写真6. 宴のマークが誇らしい

宴である証拠をもう1つ撮影しました(写真6)。前が6号車、後ろが1号車の6両編成です。

写真7. 意外と暗い出入口付近

出入口の扉が開き、車内に入ります。ここで気づくことが、デッキが暗いことです。雰囲気を保つためでしょうか。

写真8. 旅館みたいな車内

車内を撮影しました。ファンが多く、ファンの小団体(6~10人くらいかな)の中に放り込まれました。彼らはこれから宴が始まるのです。

宴の先頭車

写真9. 宴の先頭車

私は品川でいったん下車しました(写真9)。

写真10. 宴の表示(品川)

これが品川での表示です(写真10)。

私は品川から熱海までは普通電車のグリーン車で移動しました。元旦だけかもしれませんが、熱海に向かう人たちでとても混雑していました。余談ですが、私の利用した列車は東京発5:20の普通沼津行きです。2012年3月ダイヤ改正までは静岡直通で、373系による運転でした。現在はE23X系による10両編成で趣味的にはつまらなくなりました。

写真11. 熱海の電光掲示板

そんなことを考えたり、(外は暗いので)睡眠したりしながら時を過ごしていたら、熱海に着きました。伊東初日の出号は根府川で40分程度停車しますので、このようなトリックが成立するのです。その熱海で電光掲示板を眺めます(写真11)。

写真12. 宴の入線

宴が入線します(写真12)。新宿とは異なり、まったりしていました。

写真13. ミーティングルームの景色

熱海まで盛り上がっていた宴にお邪魔するのも良くないので、ミーティングルームで過ごすことにしました(写真13)。多くのサイトで宴のミーティングルームの写真は公開されていませんので、とても貴重な写真ですね!

写真14. ミーティングルームの車内

写真15. ミーティングルームの室内

6人が会議できるようになっています。華にあった内線電話はありませんでした。内線電話をかけても「電話に出んわ」だからでしょうか。

写真16. 2号車で景色を見てくつろぐ人たち

このように景色を見てくつろぐ人たちが多いです(写真16)。普通に座っているとなかなか海が見えませんからね。

写真17. 広がる車窓

写真18. 広がる車窓

私もミーティングルームから景色を見てみました(写真17-18)。伊東線の素晴らしい景色を堪能できます。

写真19. 2号車のお座敷部分

2号車のお座敷部分を眺めます(写真19)。手前側が低くなっていることがわかります。これは、この上にパンタグラフがあって屋根の高さに限界があるためです。

写真20. 一部が低屋根なので堀ごたつ式ではない

その境界部分は意匠的に凝っていました(写真20)。

写真21. 荷物収納スペース

荷物収納スペースもあります。網棚だと頭がぶつかるためなのでしょう。

写真22. 先頭部のラウンジ(前面展望は全く望めませんでした)

華や宴にはこのようなラウンジがあります(写真21)。社員旅行でこの車両を使ったのなら、私は「他の部署の人を探してきますね」と宣言して、先頭部分に隠れることでしょう。

写真23. 伊東に到着した宴

伊東に到着です(写真23)。鉄道ファンの団体も降りていました。彼らの宴はここに終わったのです。

写真24. 回送として8:21に発車

回送列車として8:21に発車しました(写真24)。ファンの方々は上り列車で引き返しました。折り返し乗車対策として、1番線(下り列車到着ホーム)から2、3番線に向かう階段で駅員が乗車券をチェックしていました(伊東で降りる乗客は通常通り改札で乗車券を回収)。これは大変重要なことで、非常に賞賛されるべき行為です。

お座敷列車の今後を考える

今回の伊東初日の出号に乗車してみて、以下の2つが問題と感じました。

・想定の客層と実際の客層が合っていない
・想定の設備と実際の使用方法が異なる

この2点について問題点の詳細とその解決方法を考えてみましょう。なお、この2点は独立した内容ですので、片方の問題点を解決するためにもう1つの…ということはありません。

想定の客層と実際の客層が合っていない

伊東初日の出号の想定の客層は「家族連れなどの初日の出を見たい人たち」でしょう。しかし、現実にはファンに席が埋め尽くされていました(ちゃんと初日の出を堪能しに来た家族連れもいました)。これでは本末転倒です。ファンの私がいうのもなんですが、ファンが寄ってしまう原因があるためです。

この車両は通常営業運転しない「宴」が使われています。そのため、珍しい車両を志向するファンが集まってしまいます。これを避けるには、マニアホイホイの列車を運転すれば良いのです。その一例として、返却回送が挙げられます。伊東に到着後にどこかに回送します。おそらく高崎の車庫に返すために長距離走行します。この返却回送を営業運転してしまえば良いのです。それもダイヤが過密な上野東京ラインや湘南新宿ラインではなく、武蔵野線を活用すれば、ファンはそちらに群がることでしょう。すると、伊東初日の出号は本来の客層が乗れるようになるはずです。すると、「こんな列車があるんだ!列車って楽しいね☆」と(マニアなどではない)ファンが増えるかもしれません。せっかくなので、新春の渋滞を避けるという消極的な意味合いではなくて、鉄道を積極的に選んでもらうようになるかもしれません。

想定の設備と実際の使用方法が異なる

この車両は宴会を行いながら移動できるように考えられた車両で、主に団体向けとして運用されます。そのため、車内は団体利用を前提としています。

華の車内

写真25. 兄弟車の華の車内(お座敷列車に乗る(探しかた、車内紹介から実際の乗車)からの引用)

団体利用ということは「それなりに親しい人の集まり」ということです(仲が良いかはともかくとして、同じ会社やクラスであればそれなりに気心がしれている仲間です)。その団体が談笑できるような設備であることがわかります。一方、団体利用ではない臨時列車の場合、6人がけのテーブルに見ず知らずの人が座ることもじゅうぶんに想定されます。このような、団体向けの設備と、個人利用という利用実態のギャップがあることも事実です。

これに関しては、個人利用を前提とした車両を投入することも重要でしょう。現在の観光列車の多くは欧風の車内です。そうではなく、臨時列車に使うことのできる和風の車内にすることも良いでしょう。具体的には、4人がけのボックス席と2人がけのボックス席を配置して、いずれも靴を脱いで利用できるようにすることです。

ファミレスのお座敷(例)

写真26. ファミレスのお座敷の例(食べログ 藍屋 武蔵野西久保店から引用)

例としてファミレスのお座敷を掲載します(写真26)。これは4人がけボックス席のイメージです。座席の下に靴を収納するスペースを設けます。ファミリーであれば4人グループが適切でしょうし、アベックであれば2人グループでしょう。そのようなニーズに対応するために横3列とするのです。個人行動を行う人のために、ICEのように1人がけ席を用意すれば完璧でしょう。このような車両を用意して臨時列車に活用するのです。売れ行きがよければ特急列車のグリーン車として、そうでなければ臨時快速として運転するのです。

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