夕方に湘南新宿ラインで横浜方面に帰宅する人は多いことでしょう。では、その湘南新宿ラインに新宿から座れるのでしょうか?夕方ラッシュのピーク時間帯に調査しましたので、そこから考察してみましょう。
写真1. 湘南新宿ライン(イメージ、朝時間帯に大塚で撮影)
調査方法選定
新宿に到着する横浜方面行きの各号車の混雑率を目視で確認することが、最も確実でしょう。しかし、それでは不可能な理由があったのです。
新宿での調査の困難さ
新宿に進入する列車の混雑を確認する、言葉にすれば簡単です。しかし、実際にラッシュ時の混雑にそのような調査をすることは無謀です。なぜでしょうか?
新宿の湘南新宿ラインのホームは南側にずれています。そのため、新宿の街に近いのはホームの北側なのです(南側もバスタがありますけどね)。つまり、ホームの北側は混雑する傾向にあるのです。新宿の北側から横浜方面行きが入線します。つまり、混雑している新宿のホームの混雑した箇所で混雑を調査する必要があるのです。これはやりにくいですね。
発想の逆転
湘南新宿ラインは池袋から新宿までノンストップです。(東南アジアとは異なり)駅間での乗り降りはありませんから、新宿到着の混雑=池袋発車の混雑と考えることができます。駅間で車内を移動する人はいるでしょうが、そこまで多くないためその影響を無視できるとしています。ならば、池袋発車時の混雑を調査しようと発想を逆転させたのです。その発想力、さすが私ですね!
混雑調査結果
混雑調査結果を示します。
表1. 池袋発車時の混雑
暖色系の車両は立ちが生じていることを示します。
参考までに、混雑ポイントの概念も示します。
表2. 混雑ポイントの概要
混雑調査からわかること
結果だけ示されても「で?」というのが本音かもしれません。そこで、私なりに解析を加えます(私の解析が「で?」という人もいるかもしれません)。湘南新宿ラインと埼京線で個別に考えましょう。
湘南新宿ラインの混雑傾向
まずは、混雑している湘南新宿ラインの混雑傾向を分析しましょう。
号車ごとの解析
号車ごとの混雑を見ますと、前より(1号車)の混雑はゆるくて、後ろより(15号車)の混雑が激しいことがわかります。湘南新宿ラインの主要目的地の池袋、新宿、渋谷ともにメインの出口が15号車よりにあるので、仕方ないですね。池袋は比較的分散していますが、1号車よりの出口はメトロポリタン口しかなく、メトロポリタン口は駅の西側にしか抜けられないので、やはり1号車よりには有力な出口がないのです。
池袋発車時点でこれら3駅のアクセスが便利な位置の車両が混んでいることの意味を深く考えましょう。大宮から横浜から乗車する乗客にとっては、池袋・新宿・渋谷で乗り降りに便利な車両がどこかということは関係ありません。関係あるのは、この3駅で乗り降りする人に限定されます。池袋発車時に15号車が混んでいるということは、池袋での乗車がそれなりに多いか、新宿や渋谷で降りる人がそれなりに多いことがわかります。
列車ごとの解析
18:47発よりも19:01発が空いています。これは、前列車間隔が影響しているのでしょう。池袋基準で18:13、18:24、18:47、19:01と発車します。18:47発は23分待ち、19:01発は14分待ちです。そのため、18:47発は18:25~18:47までの23分ぶんの乗客が乗車するのに対し、19:01発は18:47~19:01までの14分ぶんの乗客しか乗車しないのです。詳細に計算すると、ほぼ待ち時間と乗車率が比例しているのです。
で、座れるの?
残念ながら、池袋発の時点で座席がほぼ埋まっていますので、新宿から乗車して着席することは困難といえます。湘南「新宿」ラインというくらいですから、新宿でそれなりに乗客が降りることでしょう。そこで座席が空くことはじゅうぶんに予想されますが、その空席には目の前の立客=池袋までに乗り込んだ人が座るでしょうから、やはり新宿で座ることは難しいでしょう。
どうしても座りたいならば、新宿発18:53(=池袋発18:47)を避けて、新宿で1-3号車で列の先頭に並べば確率は上がることでしょう。
ただし、以上の傾向は普通車に限定したものです。グリーン車ならば座れます。
埼京線の混雑傾向
埼京線の混雑傾向は1号車が混んでおり、10号車が空いているというものです。
※埼京線は湘南新宿ラインと号車番号が逆であることに注意しましょう。
大宮方面からやってきて、新木場に行く系統が混雑している傾向がわかります。その傾向が顕著に現れているのが、18:28発の新木場行きです。同じ新木場行きでも18:50発はそれほど混雑していません。この理由は、18:50発は赤羽始発でそこまで乗客を集めないためです。
顕著に空いているのは、18:54発通勤快速新宿行きです。通勤快速がゆえに武蔵浦和から赤羽まで集客できないことや、赤羽からは前列車間隔が4分しかなく、赤羽~板橋での集客不足が挙げられます。これならば、通勤快速を新宿どまりではなく、新木場まで延長させても良いように思います。
池袋から新宿~大崎に向かう際は、埼京線の先頭寄り(8-10号車)に陣取れば比較的快適な移動時間を過ごせることでしょう。
ダイヤの妥当性
湘南新宿ラインは現在の本数では不足ぎみです。新宿、渋谷というビッグターミナルを経由する前なのに、立ちが生じているのです。新宿で全員着席が無理にしても、各ドア5名程度ならば座れる程度の混雑(新宿到着時点で座席が3/4埋まる程度)が理想です。そのための間隔は10分程度です。一方、東急東横線は新宿(三丁目)から横浜まで15分に2回の速達列車を運転しています。このことを踏まえますと、毎時8本の乗車機会を提供することが重要でしょう。両数に関しては、最混雑区間と予想される大崎発車時点の混雑を観察したうえで決定する必要があるでしょう。