筑肥線快速の乗車記(唐津→天神)

記事上部注釈
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福岡市営地下鉄と相互直通運転している筑肥線。主力は地下鉄と直結した都市圏輸送ですが、一部、遠方に配慮した「快速」が運転されています。その筑肥線快速に乗りました。

写真1. 唐津に入る快速福岡空港行き

復習:筑肥線電化区間の運行体系

まず、筑肥線電化区間の運行体系を紹介します。

筑肥線電化区間の運行体系の概要

筑肥線電化区間概要

  • 区間:姪浜-唐津(一部列車はとなりの西唐津まで直通)
  • 本数:30分間隔が基本(筑前前原以東は15分間隔が基本)
  • 直通先:福岡市営地下鉄空港線

図1. 唐津と姪浜の位置関係(googleマップより引用)

唐津と姪浜の位置関係を示しました(図1)。筑肥線はもともと博多に直結していました。しかし、福岡市内で迂回するような線形だったことや都市内交通を担うには力不足という側面があり、都市圏交通として脱皮する際に、博多-姪浜は廃止されました。同時に、新規開業の地下鉄空港線に乗り入れ、地下鉄経由で博多への直通は維持されました。

地下鉄空港線との相互直通運転開始時に唐津地区の経由地が変更され、虹ノ松原-山本が現在の唐津駅経由に変更されました。これにより、伊万里側との直通は放棄され、伊万里側はローカル線に転落しました。

つまり、以下のできごとが同時(1983年3月22日)に実施されたことになります。

  1. 博多-姪浜の廃止
  2. 姪浜-虹ノ松原の電化
  3. 虹ノ松原-山本の旧線の廃線
  4. 虹ノ松原-唐津の新線の開業(電化路線)
  5. 福岡市営地下鉄空港線との相互直通運転

このときに都市圏鉄道としての筑肥線の歴史が始まりました。このことにより、福岡市西側の人にとっては、「筑肥線は地下鉄の延長線のJR線」というイメージとなったことでしょう。これは、国鉄~JRの都市圏電車にふさわしい姿に変化しようという輸送改善の努力もあります(JR発足後と比較し、本数はおよそ倍増しています)。

筑肥線快速:長距離輸送の補強

ただし、都市圏鉄道としての役割を重視するあまり、従来の博多-唐津方面の急行列車が消滅したりという長距離輸送が放棄された部分があるのも事実です。この課題に対する部分的な答えが快速の運転です。

快速は以下の停車駅で運転されます。

  • 平日:姪浜-筑前前原の各駅、筑前深江、浜崎、東唐津、和多田、唐津
  • 土曜・休日:姪浜、九大学研都市、筑前前原、筑前深江、浜崎、東唐津、和多田、唐津

興味深いのは、朝夕に運転されており、朝夕ともに両方向で運転される点です。快速は筑前前原-唐津で10分近い所要時間短縮効果があり、土曜・休日の場合は15分程度の所要時間短縮効果があります。平日は姪浜-筑前前原は各駅にとまりますが、土曜・休日は姪浜-筑前前原にも通過駅があります。

快速の天神-唐津の所要時間は70分強(平日)か65分程度(土曜・休日)です。昭和バスだと75分程度なので、高速バスと同等程度です。

なお、筑前前原で運転系統が分割されることが多く、快速以外は原則として筑前前原での乗りかえが必要です。筑前前原以西では103系3両編成が活躍しています。

写真2. 筑前前原以西で活躍する103系電車

筑肥線快速に実際に乗る

御託はこの程度にして、筑肥線快速に実際に乗ってみましょう。今回は以下の列車です。

  • (土曜・休日ダイヤ)唐津17:06→筑前前原17:41/17:43→姪浜17:58/18:00→天神18:13→博多18:19→福岡空港18:25

※今回乗っていない区間は灰色で表示

写真3. 唐津駅に快速福岡空港行きが入線

快速福岡空港行きがやってきました(写真3)。逆光ですね…。新しい305系電車がやってきました。

写真4. 305系電車の車内

305系電車の車内です(写真4)。木を多用した車内はJR九州らしさを感じます。

写真5. クッションもある

座席にはクッションもあります(写真5)。ただし、腰の部分にはクッションはなく、変なかたさを感じました。私には新しすぎる概念の座席でした。この写真を撮影できるくらい空いていました…。

写真6. 唐津を発車!

唐津を発車しました(写真6)。しばらくは唐津線と並走します。

写真7. 唐津城が見える

唐津城が見えます(写真7)。唐津城は駅から遠いですが、周囲の街歩きを兼ねて歩くと風情があると思います!

写真8. 松浦川を渡る

和久田を出ると松浦川を渡ります(写真8)。

写真9. 東唐津に停車!

東唐津に停車します(写真9)。

写真10. 住宅街を走る

住宅街を走ります(写真10)。

写真11. 浜崎に停車!

浜崎に停車します(写真11)。ここまで虹ノ松原以外の各駅にとまっています。土曜・休日の快速でも観光地の虹ノ松原を通過するんだ…。

写真12. 海沿いを走る

海沿いを走ります(写真12)。

写真13. 海沿いを走る

海沿いを走ります(写真13)。唐津は福岡市との流動が強いとはいえ、佐賀県と福岡県の県境付近は地形が険しく、自治体の境界がここに存在することも理解できます。

写真14. 大入に停車する

いつの間にか福岡県に入っていました。快速停車駅ではありませんが、大入に停車します(写真14)。ドアは開きません。

写真15. 行き違いの普通がやってきた

行き違いの普通がやってきました(写真15)。この車両は旧塗装です。行き違い待ちが生じるのが単線鉄道の弱点です。

写真16. 海が見える

海が見えます(写真16)。地下鉄直通の通勤電車が走る路線の中ではトップクラスの風景の良さだと思います。JR九州お得意の観光列車を走らせればウケそうですが、根本が地下鉄路線なのでとがった施策はやりにくいのでしょう。

写真17. 筑前深江に停車!

筑前深江に停車します(写真17)。乗客が少しずつ増えてきました。筑前深江以東は本数がやや増え、それだけ乗客も多くなります。

写真18. 駅を通過!

筑前深江からも通過駅があります(写真18)。

写真19. ややのどかな場所を走る

ややのどかな場所を走ります(写真19)。

写真20. 住宅が増えてきた

住宅が増えてきました(写真20)。

写真21. 筑前前原に停車!

筑前前原に停車します(写真21)。まえばると読むのが九州らしいです。ここまで車両乗務でしたが、筑前前原からワンマン運転に変わりました。ホームドアが完備されたので、安全性が高まったために人的コストを削減した格好でしょうか。

写真22. 建物の密度が増える

建物の密度が増えてきました(写真22)。福岡の近くで都市化が進んできた場所とわかります。

写真23. 新しい街が広がる

新しい街が広がります(写真23)。

写真24. 九大学研都市に停車!

九大学研都市に停車します(写真24)。周囲が新しい街に見えるのも当然で、2005年開業の駅です。

写真25. 住宅街を進む

住宅街を進みます(写真25)。前述の通り、このあたりは日中時間帯でも15分間隔で運転されますが、国鉄時代は単線でした。国鉄末期~JR初期に都市圏鉄道として改良が繰り返された様子が伝わります。

写真26. 山が迫る

山が迫ってきました(写真26)。

写真27. 海沿いを走る

海沿いを走ります(写真27)。

写真28. 線路が増える

線路が増えます(写真28)。

写真29. 姪浜に停車!

姪浜に停車します(写真29)。ホームドアが異なりますが、姪浜は福岡市営地下鉄管轄の駅のためです。ここから乗客が増えました。姪浜から本数も増え、運賃も安い(下山門以西だとJR運賃と地下鉄運賃の合算だが姪浜以西ではJR運賃は不要)ためです。この乗客差は綾瀬を思い出させます。

姪浜からは地下鉄内を各駅にとまります。1日5往復の貴重な快速という表情は消え失せ、数多くある地下鉄電車の一員として運転されていましたし、利用客にも貴重な快速という意識はありませんでした。

写真30. 天神に到着!

天神に到着しました(写真30)。祝日の夕方ということもあり、多くの人々が吐き出されました。このうち唐津から乗ってきた人の割合はごく低いでしょう。それだけ近距離からの乗客が多いのです。

写真31. 天神では満員!

天神では満員でした(写真31)。この乗客のどのくらいの人が唐津からやってきた快速と理解しているのでしょうか。もちろん、そのようなことは知らなくとも全く問題ありません。

筑肥線の快速に乗ってみて

写真32. たまたま遭遇した快速西唐津行き

唐津から乗った快速。夕方の都心方面行きとあってか、唐津からの乗車は少なく、都市輸送の少なさが見えました。一方、地下鉄線内ではよく乗っており、(地下鉄線内快速運転をしないなどの)都市内輸送や都市圏輸送に力点を置くことも理解できます。

比較的利用の多い時間帯に利用の少ない駅を通過する、というのが快速の実態かもしれません。それでも、ワンマン運転の推進など利便性に影響ない範囲でコストを削減し、速達列車維持しようという意地も感じました。

このような速達列車は地味でも運行を維持することが最も重要です。これからも地味でも維持してもらいたいものです。

前後を読みたい!

果たして前後はどこに行ったのでしょうか?

(←前)唐津城と唐津の街歩き観光

筑肥線快速の乗車記(唐津→天神):現在地

ソラリア西鉄ホテル福岡の宿泊記(→次)

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