札幌近郊の珍列車の紹介(函館本線方面)




札幌近郊のJR線は基本的に電車による運転ですが、一部ディーゼル車による運転もあります。その列車の一部に実際に乗ってみました。単なる感想文だけに終わらず、技術と事業活動の関係についても考察しています。

201系気動車と731系

写真1. 731系電車と201系気動車による連結運転


なぜディーゼル車による運転があるの?

札幌近郊は電化されています。そのため、札幌近郊の列車は基本的には電車による運転です。しかし、一部にはディーゼル車による運転があります。では、なぜ電車による運転ではないのでしょうか?

その理由は非電化区間と直通するからと説明できます。札幌から小樽方面に向かうと、札幌からわずか33.8kmの小樽からは電化されていません。小樽から先は山がちな地形ということもあり、需要が大きくないために電化されていないのです。では、小樽より先の各駅と札幌の需要はないのでしょうか。答えは「いいえ」です。日中時間帯はそれほど直通需要はありません(とされています)が、朝夕はそれなりに直通の需要があります。そのため、ディーゼル車による直通列車があります。

また、苫小牧-室蘭は電化されていますが、普通列車には電車は使われていません(すずらんと化ける東室蘭-室蘭を除く)。これは編成両数から説明できます。JR北海道の電車は3両編成です。一方、苫小牧-室蘭の普通列車は3両では過剰です(とされています)。そのため、この区間はディーゼル車による2両編成の運転です。この車両は車両基地が札幌にあるため、札幌-苫小牧にもディーゼル車を運転する必要があります。具体的には、札幌6:20発の普通東室蘭行きと札幌着23:09の室蘭始発の普通が該当します。どうせなら2両編成の電車を投入して、札幌近郊では8両編成で運転、閑散区間では2両編成で運転とすれば良いのに。

このような背景で、電車が主体の札幌近郊にディーゼル車による運転があるのです。今回は室蘭地区の送り込み列車には乗れませんでした(というより寝ていました)が、その他の列車には乗ってみたので紹介します。

快速ニセコライナーに乗る

札幌と倶知安を結ぶことを目的に、快速ニセコライナーが1日1往復運転されています。昔の時刻表を見ると快速マリンライナーが1日3往復直通していましたが、現在は1日1往復です。これは札幌-小樽の電化区間に性能の劣るディーゼル車を運転させたくないという意図を感じます。現在の1往復は電車並みの性能を誇る201系気動車による運転で、このような意味では合理的です。

倶知安6:58に出発して札幌に9:01に到着する下り列車(蘭越始発)と、札幌を17:50に出発して倶知安に19:46に到着する上り列車が該当します。余市地区の人が札幌に通勤するには微妙に不便な設定ですね…。私は札幌を17:50に出発する上り列車に乗りました。

写真2. 快速列車が7分間隔で続行する

私は最後尾に並びました。最前部だと遮光幕を下ろされてしまうと予想したためです。私の乗った車両は小樽止まりです。また、このときには先発の快速が同じホームに停車していました(写真2)。そのため、この時点でここに並んでいる人はもの好き決定です(倶知安方面に行く人は前の車両に乗るし、小樽までの人は先発の快速を選ぶため)。

というより、快速ニセコライナーの5分前に普通列車が発車しているので、手稲までスピードが上がりませんよね…。

写真3. 苗穂方から回送列車がやってきた

苗穂方から回送列車がやってきました(写真3)。どうせ札幌から快速なので、「快速」と表示したほうが親切というものでしょう(写真3)。

写真4. ドアを開いて乗客を迎え入れた

表示は回送のまま乗客を迎え入れました(写真4)。本当に乗り込む人が少ないですね…。

写真5. ロングシートの車内

車内はロングシートです(写真5)。倶知安まで長時間乗ろうとも、ロングシートで移動させられる羽目になります。

写真6. 札幌を発車した

このような数少ない乗客を乗せて列車は6両編成で札幌を発車しました(写真6)。普段から乗客が少ないわけではないのでしょう。私が乗ったのは最後尾車両と比較的空いている場所、そして前の快速から7分しか経過していないこと、そしてGW初日という通勤客がほとんどいない環境、がここまで空かせていたのでしょう。

写真7. スピードは最初は上がらない

札幌を発車してすぐにはスピードが上がりません(写真7)。桑園を通過してもスピードは全く上がりません。これは5分前に普通列車が走っているためです。

写真8. 札幌市内の高架線を行く

しばらくは札幌市内の高架線を走ります(写真8)。桑園を通過したら、琴似に停車します。琴似を発車してもスピードは上がりません。加速は良いんですけどね…(動画1)。

動画1. 琴似発車後の加速の様子

このように手稲に到着しました。手稲から小樽築港まではブンブン飛ばすのでしょうが、私の運賃もブンブン上がるので、手稲までの体験乗車としました。

このように、せっかくの快速ニセコライナーですが、前列車間隔が5分しかないので、札幌から手稲まで4分余計にかかっています。時刻表をよく眺めると、札幌発17:30~18:00の手稲方面の普通は4本もあります。一方、札幌発18時台の普通は6本しかありません。一般に18時台のほうが退勤の需要があることでしょう。快速ニセコライナーのスピードアップも兼ねて17時台後半の普通を1本18時台にシフトしたほうが良いでしょう。つまり、以下のようなダイヤとするのです。

表1. 札幌17時台~18時台の発車時刻

札幌夕ラッシュ時手稲方面時刻表

具体的には、17:52発普通ほしみ行きを18:15発にシフトするのです。こうすることで、快速ニセコライナーは手稲まで4分のスピードアップが実現できます。当該の快速ニセコライナーは手稲から小樽まで26分もかかっています。日中時間帯の快速エアポートは22分で走行していますので、23分走行はじゅうぶんに可能です。すると、手稲から小樽まで3分のスピードアップが実現できます。当該の列車は小樽で9分停車していますが、これも3分でじゅうぶんです。こうすれば、小樽以遠の各駅は9分繰り上げることができます。すると、札幌発17:54、倶知安着19:35が実現できます。このように、少しでも利用しやすくすることを考えるべきでしょう。

もっといえば、小樽で切り離す車両を731系にすれば、201系気動車による快速ニセコライナーをもう1本設定できます。小樽で切り離される車両は小樽発21:36の普通倶知安行きとして運転されます。それならば、この車両を札幌からの運転とするのです。具体的には、札幌発20:53、手稲発21:02、小樽着21:25とします。この時間帯の快速運転は終わっている(札幌発19:44が最後)ので、小樽までの利用者にもプラスとなりましょう。

731系と201系の連結運転

さて、そのようなことを考えた私はなかなか眠れませんでした。しかし、気づくと朝を迎えていました(世間ではこれをよく眠れたといいます)。朝を迎えた私は稲穂まで向かうことにしたのです。

写真9. 稲穂の駅舎

稲穂は運転所の近くにあるにも関わらず、無人駅です。そのため、のどかに感じます(写真9)。

写真10. 稲穂の自動改札(通り抜けできそうだ!)

その稲穂には自動改札があります。何だか通り抜けできそうですね(写真10)。私はSuicaでタッチしましたが…。

写真11. 稲穂に到着する963M

稲穂に到着する963Mです(写真11)。この列車は倶知安発苫小牧行きの普通列車です。倶知安から小樽までは201系気動車による3両編成、小樽から札幌までは731系を増結した6両編成、札幌からは電車だけの3両編成です。このアングルからはただの731系電車にしか見えません。

写真12. 731系電車と201系気動車の連結運転

後ろには201系気動車が連結されています(写真12)。GW2日目ということもあり、全く混んでいませんでした。小樽からも3両編成でも何とかなりそうでした。前は静かな電車による運転、後ろは音の大きい気動車による運転ですので、気動車から電車に乗り移ると違いを感じますが、いずれも同じようなロングシートなので違いに気づかない人も多いでしょう(私のそばにいた高校生はそのような感想は全く述べていませんでした)。

このように、日本で(ほぼ)唯一の電車と気動車の協調運転は地元の人の意識にものぼらないレベルで、日常的に運転され(GWなのにマニアもいなかった!)、札幌に到着したのです。

201系気動車と731系

写真13. 札幌に到着した電車と気動車

このような連結状態から、切り離し作業が実施されます(写真14-16)。じっくりご覧いただきましょう!

写真14. 電車と気動車の切り離しが行われる

写真15. 電車と気動車の切り離しが行われる

写真16. 電車と気動車の切り離しが行われる

201系気動車は不経済?

201系気動車は以下の内容を目的として登場しました。

・電車並みの走行性能を実現して、電車並みのダイヤで走る
・電車と連結して走行できるようにする

この結果が1両4億円という価格です。そのせいで4編成12両しか製造されず、小樽以遠から札幌までの直通は1日2往復しかありません。持て余すのももったいないので、札幌-江別を中心に電車のように運用されています。電車と連結運転するのは小樽での増結を念頭に置いていたのでしょう。しかし、朝ラッシュ時の小樽-札幌の6両編成運用に対応するのであれば、気動車の増結で良かったはずです。1日1本だか2本の協調運転をやらずに、気動車による6両編成での運用で割り切れば、電車との協調運転のための設備は省略できました。また、車体傾斜装置を省略すれば、さらにコストダウンになったことでしょう。この浮いたコストでもう3両の製造が可能となったことでしょう。

また、ワンマン運転が可能な設備になっていたら、さらに重宝しました。

もしも3両5編成の陣営になっていたら、4運用が可能でした。ラッシュ時は2運用が倶知安からの普通列車、1運用が蘭越からの快速、もう1運用で小樽-余市のラッシュ輸送が可能です。札幌-余市の所要時間は60分程度です。そうすれば、1時間間隔で直通快速を運転すれば、3運用で可能です(さすがに2運用では厳しいでしょう)。3両編成で小樽-余市のワンマン運転は絵空事?途中駅の塩谷と蘭島の乗降は少ないので、先頭車のみの客扱いで何とかなります。どうせ小樽と余市は駅員配置駅なので、何とかなります。

201系気動車は途方もない技術的努力で完成した車両です。しかし、必ずしも技術的努力が生かされていない現実を見て、トータルコーディネートをするべき経営陣の判断ミスを感じてしまいました。かならずしも技術が売上(この場合は輸送改善)につながらないという事実を社会人である私も糧にしようと思いました。

何だか悲しい締めとなってしまいましたが、趣味的には興味深い列車であることも事実です。旅人である私は次の目的地に向かうことにしましょう。

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さて、前後ではどこに行ったのでしょうか?

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★今回の旅行の全体的な計画~まとめは以下のページに記載しています。
北海道鉄道旅行の計画とまとめ(19年GW)

※それぞれ別ウィンドウで開きます。

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