九州でも大きい駅にカウントされる小倉駅。その小倉駅の雰囲気を堪能しました。
写真1. 駅番号が付いた駅名標は大都市圏ではもはや標準
復習:小倉駅の概要
小倉駅の概要を紹介します。
小倉駅の位置
- 位置:福岡県北九州市小倉北区浅野1-1-1
- 路線:山陽新幹線、JR鹿児島本線、日豊本線(日田彦山線や山陽本線の乗り入れあり)、北九州モノレール
- 規模:2面4線(新幹線)+4面8線(JR在来線、ホームに面した線路のみカウント)+1面2線(モノレール)
- 備考:メインは南側
図1. 小倉駅の位置(googleマップより引用)
小倉駅は北九州市の代表駅です。小倉市ではありません(小倉などの市が合併し、北九州市が誕生してます)。JRは山陽新幹線、鹿児島本線と日豊本線が乗り入れている駅です。鹿児島本線は九州の西側の南北軸、日豊本線は九州の東側の南北軸を形成していますので、九州の南北軸の交差点でもあります。なお、すぐ西側に西小倉駅がありますので、小倉-西小倉は鹿児島本線と日豊本線の重複区間です。
また、本州とつながる山陽本線が隣の門司に乗り入れており、本州への玄関口とも表現できます。ただし、小倉から行ける本州の在来線の駅は原則として下関だけですが…。山陽本線はむしろ貨物列車の動脈という意味合いが強いのでしょう。
このほか、北九州市の南北方向を貫く都市鉄道の北九州モノレールが乗り入れており、小倉駅の自由通路からアクセスできます。
小倉駅の構造
小倉駅の構造はやや複雑で、すんなりとは理解できません。そのため、構内図を使いながら構造を紹介します。
図2. 小倉駅の構内図(JR九州公式サイトより引用)
小倉付近は東西方向にJR線(在来線、新幹線とも)が通っており、その南北に出入口があります。北九州モノレールはこれと直交する形で南北方向に通っています(もっとも小倉が起点なので北には伸びていませんが)。その北九州モノレールは道路上にありますから、小倉駅やその周辺を理解するのには重視しすぎないほうが良いでしょう。
詳細な構内図はJR西日本の公式サイトに掲載のものがわかりやすいと思います!
図3. JR西日本掲載の詳細な構内図(JR西日本公式サイトより引用)
小倉駅を実際に楽しむ
御託はこの程度にして、実際に小倉駅を楽しみましょう!
改札外の光景
写真2. 小倉城口から小倉駅を眺める
小倉城口から小倉駅を眺めます(写真2)。モノレールが伸びているのが印象的です。
写真2. 南北方向の自由通路
南北方向の自由通路です。印象的なことは、駅の自由通路にモノレールが通っており、都市間交通と都市内交通の間の移動がスムーズなことです。立川駅から微妙に離れた場所に駅を設置した、どこかのモノレールやそれを計画した地方自治体とは大違いです。
写真3. 南北方向の自由通路から市街地側を眺める
南北方向の自由通路から市街地側を眺めます(写真3)。
写真4. 在来線改札口付近のミニ広場
在来線改札口付近に小さな広場があります(写真4)。このときは古本市が開催されていました。このような小さな取り組みであっても駅に来る目的があると、鉄道利用者が増えます。そのため、本来の利用者の邪魔にならない範囲内であれば、積極的に開催してもらいたいものです。
写真5. 改札の中の光景
肝心の改札口を撮影し忘れていました…。そのため、改札内から改札を眺めた写真を掲載します(写真5)。
写真6. 新幹線に向かう
山陽新幹線のりばの方向に向かいます(写真6)。
写真7. 新幹線改札口付近の光景
新幹線改札口付近の光景です(写真7)。さきほどの写真の階段下から振り返った格好です。よく見ると、小倉駅名物(と私が思っている)、JR九州線の表示もあります。この表現は大胆で、東京駅や品川駅でJR東日本線と表示するようなものです。
写真8. 新幹線改札口の光景
新幹線改札口付近の光景です(写真8)。
写真9. 都市間交通の神髄を示す行先案内
行先が多様です(写真9)。近所の新下関、中距離の博多はもちろんのこと、鹿児島中央、新大阪、東京と遠方の行先も表示されています。都市間交通の神髄を感じます。
JR在来線の改札内の光景
改札内に入ってみましょう!
写真10. 1Fに改札口がある
自由通路は3Fに相当しますが、1Fにも改札口があります(写真10)。アミュプラザから近く、地域の拠点駅にありがちな商業施設直結の改札口です。商業施設に行きやすいのは駅の価値を高めるので、良い構造だと思います。
写真11. 1Fの通路
1Fの通路です(写真11)。メインの改札につながっていないためか、人は少ないです。
写真12. ホームへの階段
ホームへの階段です(写真12)。この通路から新幹線へは直接乗れず、いったん在来線のホームを経由します。
写真13. 3Fの連絡通路
3Fの連絡通路です(写真13)。連絡通路を直進しても新幹線には着けず、改札口近くまで向かう必要があります(新幹線と在来線連絡改札があります)。
写真14. 連絡通路からホームに降りる様子
連絡通路からホームに降りる階段があります(写真14)。
写真15. ホームの様子
ホームから3F連絡通路への階段を眺めます(写真15)。
写真16. 新幹線ホームの様子(2018年に撮影)
新幹線ホームの様子です(写真16)。ホームが若干カーブしている2面4線の構造です。東京方面にのぞみ号が毎時2本、さくら号が毎時1本、こだま号も毎時1本の合計毎時4本が約束されています。このほか、毎時1本のさくら号やみずほ号が追加されることもあります。また、博多方面にはこだま号が別途運転される時間帯もあります。
在来線ホームにやってくる列車
九州でも存在感の大きい駅ということもあり、在来線ホームには多彩な列車がやってきます。
写真17. 意外と目立つ415系電車
存在感が意外と大きかったのは415系電車です(写真17)。JR九州が所有している(広い意味での)通勤電車の多くは交流電車で、直流電化区間の下関方面にはこの車両しか選択肢がありません。415系電車も車齢が高いので、そろそろ交換時期と思いますが、後継車両はどうするのでしょうか?同じ青帯だし521系電車を投入し、山口県西部への直通運転を再開するのも良いと思います!
写真18. 在来線ホームの花形、特急列車!
在来線ホームの花形の特急列車です。博多と大分を小倉経由で結ぶ系統で毎時2本運転されます。かつては小倉から博多への特急きらめきや小倉発着の特急にちりんもそれぞれ毎時1本運転されていましたが、合理化のためか特急ソニックに集約されています。
写真19. 特急ソニック
特急ソニックには青い車両も充当されます(写真19)。白いソニックと青いソニックを合わせて30分間隔です。
写真20. 門司港方面も415系が充当されることがある
門司港方面も415系が充当されることがあります(写真20)。
写真21. 小倉方面の文字
小倉方面門司港行きの表示です(写真21)。博多などでは親切な表示とは思いますが、小倉を過ぎたら「小倉方面」の表示は不要と思うよ!
写真22. 小倉止まりの821系電車
小倉止まりの821系電車が来ました(写真22)。JR九州の通勤車は前面に種別表示がなく、やや不親切に感じます。
写真23. 韓国語表記もある
驚いたのは821系電車の行先表示に韓国語表記もあることです(写真23)。朝鮮半島に近いことを感じさせる瞬間です。
写真24. 博多方面の本数は意外と少ない
博多方面の本数は意外と少なく、博多まで直通で向かえる無料列車は毎時1本~毎時2本しかありません(写真24)。ほかの時間帯は毎時45分と07分に区間快速が運転されていますが、10:00近辺は9:55発だけな点が本数が少なく見える点かもしれません。この時間帯に1本増発したほうが良いと思います!
なお、小倉断面では以下の通りです。
- 毎時07分発:福間から二日市まで快速運転。ただし福間では始発の普通には20分ほど待ち時間あり
- 毎時24分発:折尾から福北ゆたか線に入るため、博多への直通でない。折尾で始発の普通に接続(福間まで先着なので博多への有効列車ではない)
- 毎時44分発:折尾から羽犬塚まで快速
もっとも博多には特急が早く着きます。小倉から博多までの普通運賃は1310円、九州ネットきっぷは1470円なので、(無料の会員登録は必要ですが)事実上160円の特急料金を支払うことで利用可能です。それも発車直前まで予約可能に見え、区間快速の需要も限られると見られます。
そうはいっても、北九州市内の折尾までは毎時4本あっても良さそうに感じます。
写真25. 区間快速博多行きが停車中
区間快速博多行きが停車中です(写真25)。さすがに博多に3両編成で突入するのは暴挙であり、2編成以上が連結されていました。
写真26. 日豊本線方面の普通が発車!
日豊本線方面の普通が発車しました(写真26)。こちらは行橋までは毎時3本が確保され、日中時間帯はおおむね60分サイクルのパターンダイヤになっており、最低限の利便性が確保されています。きちんとした車両に座れさえすればサービスレベルは低くないと思います。
写真27. 潤沢な線路設備を活用した同時進入!
小倉付近の鹿児島本線は複々線(旅客輸送に活用されているのは事実上複線だが)、日豊本線は複線が別途確保されている(=小倉-西小倉は3複線!)ので、西小倉方面から普通門司港行き(右側)と特急ソニック(左側)が同時に進入しました(写真27)。小倉そのものの利用が多く、全体的に本数もそれなりにあるのでタクトダイヤの必要性は低いですが、結果として部分的なタクトダイヤを実現しています。
ここまで線路が潤沢に用意されているのは、戦後しばらくまでは筑豊地区の炭鉱が産業上の重要な役割を果たし、それに付随する貨物輸送が重視されたためです。また、北九州地区は四大工業地帯の1つでもありました(現在は北九州工業地域と称することもあります)。
これが関東や関西の大手民鉄の思想であれば、小倉-西小倉を複線で建設したかもしれません。
写真28. 日田彦山線が入線!
日田彦山線もやってきます(写真28)。この路線はパターンダイヤでなく、都市圏輸送を放棄しているようにも見えます。
北九州モノレールの駅構内
小倉駅には北九州モノレールも乗り入れます。その様子も紹介します。
写真29. 自由通路から眺める北九州モノレール
自由通路から北九州モノレールが見えます(写真29)。これなら乗りかえの際に迷うこともありません!(1Fの改札口に着いたら迷いやすいので在来線ホームから階段を昇ることです)
写真30. 改札内の様子
改札内の様子です(写真30)。
写真31. QRコード改札がある
QRコードを活用した改札があります(写真31)。複数回利用されたらという疑問がありましたが、回収しないと自動改札機が開きません。記念に持ち帰ろうと思っていましたが、それは不可能でした(駅員さんに言えばくれたと思いますが)。
写真32. 西側にも出入口がある
西側にも改札口があります(写真32)。JR線との乗りかえには距離がありますが、モノレール駅利用者全員が乗りかえるわけではなく、駅周辺の目的地次第では有用な改札口です。
写真33. ホームの様子
ホームの様子です(写真33)。何の変哲のないモノレール駅の雰囲気です。
写真34. 駅の南側を眺める
駅の南側を眺めます(写真34)。すっきりとした軌道が伸びています!え?ここは起点の駅であり、折り返し用のポイントがあるはずでは?ないの?
そう、ここ小倉にはモノレールの分岐器はなく、来た線路をそのまま引き返します。種を明かすと隣の平和通に分岐器があります。昔は平和通が小倉駅を称しており、平和通で折り返しするための設備がありました。分岐器を省略し安価にJRの小倉駅に乗り入れたのです。平和通でホームを間違えやすいという問題こそありますが、高価な分岐器を節約して上手にコスト削減しつつ利便性を上げたと感心します。
(参考)写真35. 小倉行きが両方から発車する平和通
小倉行きが両方から発車する平和通の様子です(写真35)。
小倉駅を歩いてみて
写真36. (看板を除けば)彩度の低い色が多用されモダンな配色を採用した自由通路
小倉駅。博多駅や天神駅に比べ人が少なく、地方都市感のある駅です。それでも在来線ホームが4面あったり、モノレールへの乗りかえがかなり便利になっていたりと交通結節点としての役割を果たしていることがわかりました。便利に他モードの交通手段にアクセスできることが駅の本分です。駅舎も金属が多用される未来的な造りで、ある意味未来の理想的な駅を実現しているとも感じました。
ただし、平日の朝ということもあり、人通りの少なさが気になりました。小倉は人口90万人の都市の代表駅とはいえ、核が複数に分散している点などもありましょう。鹿児島本線や日豊本線も人口90万都市としてはやや物足りなく思え、パワー不足を感じた部分もありました。
果たして前後はどこに行ったのでしょうか?
(←前)大阪から北九州への船旅
小倉駅を歩く:現在地
★今回の旅行の全体像は24年GW旅行の振り返りに記載しています。
★この日の主な移動手段の時刻は以下の通りです。
名門大洋フェリー | 大阪南港19:50→門司8:30 |
ソニック13号 | 小倉10:43→大分12:04 |
ゆふ4号 | 大分13:26→由布院14:13 |