色彩検定2級対策:配色技法の方法(色彩調和)まとめ

記事上部注釈
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色彩検定2級において配点が大きいのが配色技法です。そんな色彩調和についてまとめました。試験に解答するうえでひっかりやすいポイントも丁寧にまとめています。

写真1. コントラストも配色には重要な概念

配色技法の方法論の概要

配色技法の方法論で多くの名称が出てきますが、整理してしまえば難しくありません。

大まかに分類すると、色相・トーン・色相の分割で考えることができます。

  • 色相が類似している技法:ドミナントカラー、トーンオントーン
  • 色調(トーン)が類似している技法:ドミナントトーン、トーンイントーン
  • 色相・色調ともに類似している技法:カマイユ、フォカマイユ
  • 色相の分割:ダイアード、トライアド、テトラード、ペンタード、ヘクサード
  • 色調の関係性:ナチュラル、コンプレックス
  • その他:ビコロール、トリコロール

以下の章で、これらの概要を解説します。そして、最後に配色技法を判別する方法を紹介しましょう。

それぞれの配色技法の概要

では、それぞれの配色技法の概要を紹介しましょう。ここでは問題演習をした私なりに「引っ掛かりやすいポイント」も含めて紹介します。

なお、配色技法はPCCSの分類に基づきます(sは出題範囲外です)。そのため、PCCSについての理解が必要です。

色相が類似している技法

色相が類似している技法は2つあり、ドミナントカラー配色とトーンオントーン配色です。

  • ドミナントカラー配色:3色以上の配色で、同一色相でトーンは自由に選択
  • トーンオントーン配色:同一配色で明度差のあるトーンを選択

両者の区別が難しいですが、2色の場合ではトーンオントーン配色です。また、3色以上で明度差が大きくない場合はドミナントカラー配色です。ただし、明度差も彩度差も小さい場合はフォカマイユ配色(色相差2~3)やカマイユ配色(色相差0~1)に分類されましょう。

なお、ここでは同一色相と書きましたが、場合によっては色相差3以内であれば両配色に区分することができます。

例題1.次の配色はどのような配色技法か記述しなさい。

解答1

今回の組み合わせはlt14とdk14で、同一色相で濃淡差があります。そのため、これはトーンオントーン配色です。2色の組み合わせなので、ドミナントカラー配色ではありません。

私が公式テキストや問題集を見る限り、低彩度と高彩度の双方がある組み合わせはありませんでした

例題2.次の配色はどのような配色技法か記述しなさい。

解答2

今回の組み合わせはltg6、sf6、v6で、同一色相の3色以上の配色ですので、ドミナントカラー配色です。今回の例は明度差はありませんので、トーンオントーン配色ではありません。

例題3.次の配色はどのような配色技法か記述しなさい。

解答3

今回の組み合わせはp2、sf2、d2、dk2の4色です。これは同一色相で明度差がありますし、3色以上の配色です。そのため、トーンオントーン配色ですし、ドミナントカラー配色でもあります。

このように、トーンオントーン配色かつドミナントカラー配色の組み合わせもあります。

色調が類似している技法

色彩検定2級の範囲において、配色は色相かトーン(明度と彩度を組み合わせた指標)を軸に考えます。では、色調(トーン)が類似している技法を紹介しましょう。

  • トーンイントーン配色:同一トーンで色相を自由に選択
  • ドミナントトーン配色:3色以上の配色で、同一で色相を自由に選択(たいてい色相差は6以内と書いている書籍もある)

ドミナントトーンは3色以上の配色という決まりがありますが、トーンイントーン配色にはそのような制限がありません。それならば、ドミナントトーン配色という用語が不要な気がします。ただし、一部の記述によると、色相に違いを出したい場合はトーンイントーン配色、ある程度色相を揃えたい(赤~黄色)場合はドミナントトーン配色と呼ぶと記しています(公式テキストにはそのような記述は皆無)。

理論上、高彩度色でトーンを統一するとドミナントトーン配色(あるいはトーンイントーン配色)になるのですが、高彩度色はトーンのイメージより色相のイメージが印象に残ります。そのため、公式テキストや問題集を眺めると、低彩度~中彩度のトーンを選択しています。

なお、隣接したトーンを選択することも可能です。

例題4.次の配色はどのような配色技法か記述しなさい。

解答4

今回の組み合わせはlt2とlt10です。同一トーンの配色なので、トーンイントーン配色です。3色使用していないので、ドミナントトーン配色には該当しません。

例題5.次の配色はどのような配色技法か記述しなさい。

解答5

今回の組み合わせはd2、d4、dk8です。同一トーンではないのですが、dトーンとdkトーンは隣接したトーンですので、ドミナントトーン配色に該当します。また、トーンイントーン配色でもあります。厳密な定義はありませんが、赤~黄とそこまで遠くない色相でまとめていますので、ドミナントトーン配色としたほうがより適切かもしれません(色彩検定2級ではそのような違いは出題されないでしょう)。

補足

ドミナントトーン配色とトーンイントーン配色の区分けがいまいちわかりませんでした。このような疑問を持ってwikipediaの配色の記事を眺めると、以下のように解説がありました。

  • ドミナントトーン配色:トーンが統一されていること
  • トーンイントーン配色:トーンが統一され、かつ明度も近いこと

と書かれていました。トーンが同じならば明度も同じと理解したくなりますが、PCCSの体系ではそうなっていません。同じトーンであっても色相によって明度が異なるためです。例えば、dトーンの場合、公式テキストの巻末の明度表には以下のように書かれています。

  • d8:明度6.0程度
  • d2、d14:明度4.5程度
  • d18~d22:明度3.5程度

そのため、d2とd14の組み合わせは同一トーンかつ同一明度のため、ドミナントトーン配色かつトーンイントーン配色です。一方、d8とd18の組み合わせは(同じトーンであるので)ドミナントトーン配色であるものの、(明度が異なるので)トーンイントーン配色ではないことになります。

ただし、色彩検定の公式テキストにはそこまで触れておらず、この点は出題範囲内から外れそうです。

色相、色調ともに類似している技法

色相、色調ともに類似している技法は以下の2つです。

  • カマイユ配色:色相も色調もかなり類似
  • フォカマイユ配色:色相も色調も類似

類似しているとカマイユ配色、それよりやや離れているとフォカマイユ配色と呼びます。では、カマイユ配色とフォカマイユ配色の違いは何でしょうか。

色彩検定2級において、カマイユ配色は色相差が0~1、フォカマイユ配色は色相差が2程度というのが識別するポイントです。

例題6.次の配色はどのような配色技法か記述しなさい。

解答6

今回の組み合わせはlt16とsf14です。隣接トーンで色相が2ですから、フォカマイユ配色と記述できます。また、黄色に近い色の明度が低いので、(後述する)コンプレックス配色でもあります。

例題7.次の配色はどのような配色技法か記述しなさい。

解答7

今回の組み合わせはv8とb8です。隣接トーンで同一色相ですから、カマイユ配色と記述できます。

色相を分割する技法

色相を分割する配色技法があります。色相についての言及はありますが、トーンの言及はありません。そのため、トーンの選択は自由で、同一トーンを選択する必要もありません(もちろん同一トーンを選択しても構いません)。ただし、公式テキストや問題集を見ると、あまりにも明度や彩度が異なるトーンを選んでいる例はありません。トーンが離れていると、トーンの違いに意識が向いてしまうということと理解しています。

ダイアード配色

補色色相配色とも呼ばれ、補色の2色を使用する配色をダイアードと呼びます。補色を使うわけですから、無彩色は選択範囲に含まれません。

例1. ダイアードの例

ここではv6とv18を選択しています。色相差は12ですから、補色の組み合わせです。

3色配色の例

3色配色は2通りあります。いずれも有彩色の配色であり、無彩色は含まれません。

  • トライアド:色相差が8の3色を組み合わせた配色
  • スプリットコンプリメンタリー:ダイアードの1つを均等に色相を2つに分けた配色

トライアド配色は他の似た配色名と異なり、アードと伸びません。三角形のことをトライアングルと呼びますから、そこからイメージすると覚えやすいと思います。

例2. トライアドの例

ここではb24、dp8、b16を選択しています。PCCSでは色相ごとに明度が異なり、8に近いほうが明度が高いです。今回はそれを考慮し、8のトーンを低明度のdpトーンを選んでみました(別にbトーンを選んでもかまいません)。

例3. スプリットコンプリメンタリーの例

さきほどのダイアード(例2)ではv6とv18を選択しました。そのv18を分裂させて、v16とv20にしました。つまり、v6、v16とv20を選択したことになります。色相差は10、4、10となっています。分裂幅はここでは4としましたが、2でも構いません。今回の場合でいうと、v18をv17とv19に分裂させるということです。その場合の色相差は11、2、11となります。

トライアド配色の場合は色相差が8で、今回は4~10と色相差の違いがわかりにくい部分があります。この点については自分で判断するしかありません。

4色以上の配色技法

色彩検定2級の範囲で4色以上の配色技法は、以下の3つです。基本的に色相を均等に分割するのですが、白と黒を入れる例もあります。なお、白だけや黒だけを入れることはありません(両方入れる、両方入れないのどちらかということです)。

  • テトラード:色相を4分割する配色技法(色相差は6)
  • ペンタード:トライアド+白と黒
  • ヘクサード:色相を6分割する配色技法(色相差は4)またはテトラード+白と黒

ペンタードは本来は色相を5分割する技法なのですが、PCCSでは5分割できません。そのため、トライアドの3色と白と黒の組み合わせです。ヘクサードも同様の考えで色相を分割します。

例4. テトラードの例

ここではlt2、sf8、lt16とlt24を選択しています。色相差は6です。以下で例示する2つの配色技法は白と黒を入れることが許容されていますが、テトラードの場合はダイアードに白と黒を加えることは許容されていません

例5. ペンタードの例

ここではd4、d12、lt20と白・黒を選択しています。有彩色の3色は例2のトライアドと同じものを選択しています。

このような5色配色が出題されたら、ペンタード配色です。アメリカ国防総省は5角形の形をしていてペンタゴンとも呼ばれていますが、ここから連想すると覚えやすいと思います。

例6. ヘクサードの例(パターンA)

ここでは便宜上パターンAとしましたが、パターンA、パターンBという区分けはこの記事だけの区分です。本記事ではパターンAを有彩色6色、パターンBを有彩色4色+白と黒としています。

ここでは色相を等分に6分割するdp2、dp6、dp10、dp14、b18、b22を選択しました。いずれも色相差は4です。ここでは色相番号20に近い2色を明度の高いトーンにしましたが、このような小細工はやらなくとも構いません。

例7. ヘクサードの例(パターンB)

もう1つのパターンを示しました。lt2、sf8、lt16とlt24のテトラード(例4)に白と黒を加えた配色です。

色相の関係性に着目した配色技法

今までは色相が近いか離れているか、という点に注目してきましたが、色相に明るさがあり、その明るさに着目した分類方法です。

同じトーンでも色相によって明度が異なり、色相番号8に近づくにつれて明度が高く、20に近づくにつれて明度が低くなります。このような見えかたは自然界の配色で多くあります。このことに着目して、以下の2つの分類がなされています。

  • ナチュラル配色:色相が黄色(色相番号8)に近いほうが明度が高い配色
  • コンプレックス配色:色相が黄色(色相番号8)に近いほうが明度が高い配色

ナチュラル配色は自然界にありふれている色合いという定義ですので、色相差は近い(色彩検定2級では3以内)必要がありますが、コンプレックス配色には色相が離れていてもかまいません。

では、どのようなことなのか、pトーン(高明度)、dkトーン(低明度)というトーンと色相番号10と18で考えてみます。つまり、p10、p18、dk10、dk18の組み合わせを考えるということです。

例8. ナチュラル配色にならない

p10とdk18の組み合わせです。色相差は8あります。黄色に近い色相が明るく、色相差がある程度あるとナチュラル配色には該当しません。ただし、ファッションの色彩になると、色相差が大きくともナチュラル配色に該当します。

例9. コンプレックス配色になる例

dk10とp18の組み合わせです。色相差が8ありますが、コンプレックス配色には色相差の制限はないので、この配色はコンプレックス配色に該当します。

例10. ナチュラル配色になる例

lt8とd6の組み合わせです。色相差が2であり、ナチュラル配色に定義されます。

そのほかの配色:ビコロール配色とトリコロール配色

そのほかの配色で、無彩色を含むコントラストのある配色について定義されています。

  • ビコロール配色:コントラストのある2色配色
  • トリコロール配色:コントラストのある3色配色

2色配色や3色配色のコントラストのある配色について定義されています。個人的な感想ですが、道路標識や駅の出口標識(黄色地に黒文字)もそれに該当するように思われます。

例11. ビコロール配色の例

v2と黒を選択しました。ダイアードの多くはビコロールに含まれます。ただし、無彩色が含まれる時点でダイアードには含まれない点に留意する必要があります。

例12. トリコロールの例

v2、v12と白を選択しました。イタリア国旗のような組み合わせです。なお、色彩検定2級を受けるにあたり、フランス国旗とドイツ国旗を覚えたほうがプラスになりましょう。ただし、色彩検定の公式テキストにはドイツ国旗は黒・赤・黄と書かれていますが、本当は金色です。さらに、ドイツ国の国旗は黒・白・赤という人もいるかもしれません(現在のドイツはドイツ連邦共和国です)。まあ、色彩検定なのでそこまで出題されることはありません!

実際に配色を書いてみる

以上の知識を基に、配色から配色名を書く問題に取り組んでみましょう(2020年過去問題より改題)。

この配色はp4、sf16とsf18の3色配色です。3色配色ということはトリコロール、トライアドかスプリットコンプリメンタリーのどれかでしょう。トリコロールは「明確」な3色配色とありますが、これらは低彩度のトーンで明確な色合いでありません。そのため、トリコロールは候補から外れます。また、色相差が8ずつではないので、トライアドも候補から外れます。よって、スプリットコンプリメンタリーです。

また、トーンも類似しています。トーンが類似しておりかつ3色以上ですので、ドミナントトーン配色かつトーンイントーン配色も該当します。

したがって、答えはスプリットコンプリメンタリー、ドミナントトーン、トーンイントーンの3つです。このように、1つの配色技法だけ使用して特定の配色が形作られるのではなく、複数の配色技法を駆使して特定の配色が形作られることもあるのです。

この公式テキストで配色技法を確認することが必須です。

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