日本の本土で最も東にある鉄道路線、根室本線。この路線のうち釧路-根室は「花咲線」と呼ばれています。その花咲線は意外と混雑しているという評判もインターネットで聞いています。実際の状況はどうなのでしょうか?美しい車窓とともにGWの実態を観察しました。
写真1. 花咲線の終点、根室駅
花咲線の概要
花咲線は釧路から根室まで伸びている路線です。この間の距離は135.4kmですが、いかんせんローカル線ですので、2時間30分近くかかってしまいます。釧路から厚岸までは1日8往復、厚岸から根室までは1日6往復と、釧網本線よりも充実した輸送サービスが実現されています。なお、花咲線と釧網本線が分岐するのは東釧路です。釧路-東釧路は1日14往復、最低運転間隔4分(釧路発18:52と18:56)と地方ローカル線にしては充実の本数です。
図1. 釧路と根室の経路
並行してバス路線もありますが、バスは所要時間2時間45分程度、本数も1日3往復(土休日は1日2往復)と鉄道よりも不便です。あえていえば、根室の都心部分まで伸びているところがメリットでしょうか。並行する国道もほとんど車が通っていなかったので、この2都市を結ぶ流動そのものが少ないのでしょう。
車両は54系気動車です。転換クロスシートになっていますが、窓割と座席割が合っていませんので、景色を見づらい席もあります。
写真2. 54系気動車の車内
このような車内です(写真2)。座席のモケットは水色で彩りを添えてくれます。2ドア車で車両の端はロングシート、中央部は転換クロスシートになっています。
写真3. 54系気動車の車内
写真4. 54系気動車の車内
水色がまぶしい車内です(写真3-4)。
写真5. 座席割と窓割が合っていない様子
もともとボックスシートを前提とした車体として設計されました。そのため、転換クロスシートの座席配置と窓割が一致していないのです(写真5)。それならば、もともと転換クロスシートの車体を設計すれば良かったと思います。
写真6. 窓は上昇窓
窓は上昇窓です(写真6)。この点は他の国鉄車と同じです。
写真7. 寒冷地仕様なので二重窓
寒冷地なので、二重窓です(写真7)。GWだと厳しい寒さは終わっているので、内側の窓は開いています。JRになってからの車両には二重窓はありません。この車両は国鉄が分割民営化される直前に登場しているので、国鉄型の香りと民営化を踏まえた新設計の香りの双方があるのです。
花咲線に乗ってみる:東釧路→根室
では、実際に乗ってみましょう。私は釧網本線の網走からやってきたので、東釧路で乗りかえました。0分乗りかえの計画でしたが、きちんと乗りかえはできました。きちんと接続が取られています。私は釧路発13:25の列車に乗っていました。
写真8. 東釧路を離れる
東釧路を発車した時点で、座席は8割程度埋まっていました。このとき窓側の席が埋まっていましたので、私は最後尾付近にいました。その1つが東釧路を離れるときのものです(写真8)。
写真9. 原野に住宅が広がる
原野に住宅が広がります。釧路の住宅街がここまで広がっています(写真9)。武佐までの区間便があっても良さそうですが、そのようなものはありません。
写真10. 原野に駅がある
このような原野の中に駅があります。原野の中に小さな集落があり、その集落のために駅がある、そのような光景が広がります。
写真11. ヤチボウズが生い茂る
原野の地面を見てみましょう。ヤチボウズが生い茂っています(写真11)。人の頭のようで、気味が悪いです。
写真12. 集落がある
このような集落があります(写真12)。尾幌です。
写真13. 尾幌の駅舎は元貨車
その尾幌の駅舎は元貨車です(写真13)。最低限の費用で待合室を設置したことがわかります。冬になるととても寒いですから、待合室は必須です。
写真14. 国道と並走する
国道と並走します。その国道も車がほとんど通っていません(写真14)。人口密度は低いため、車の通行量も少ないです。このような光景を見ると、日本の端に来ていることを実感します。
写真15. 厚岸手前で海が広がる
門静から厚岸までは海岸沿いを走ります。景色がきれいなところです(写真15)。
写真16. 厚岸に到着
町が近づくと、厚岸が近づいてきた証拠です(写真16)。釧路と根室の間では大きな町です。人口が1万人近くいます。ここ厚岸で乗客が降り、座席は半数程度埋まる状況になるまで空いてきました。ここで私は空いた座席に座ることにしました。
写真17. 海沿いを走る
写真18. 海沿いを走る
厚岸と糸魚沢のあいだは文字通り海沿いを走ります(写真17-18)。ここは花咲線で一番の景色だと思います。
写真19. 干潟に変わった
やや内陸に入り、干潟に変わります(写真19)。
写真20. 川沿いを走る
海がいつの間にか川に変わりました(写真20)。
写真21. 川沿いを走る
少しだけ川沿いを走ります(写真21)。ここまで来ると、いつもの原野に戻ります。
写真22. 原野を走る
このような原野になるのです(写真22)。
写真23. 踏切がある
踏切が現れる=幹線道路以外の道路があるということです(写真23)。つまり、集落に入ったということを示します。このような光景を見るとホッとします。
写真24. 茶内で釧路行きとすれ違う
途中の茶内で少しの時間、停車します。なぜでしょうか?その答えはすぐにわかりました。釧路行きとすれ違うためです(写真24)。
写真25. 原野が広がる
再び原野を走ります(写真25)。
写真26. 踏切がある
踏切が現れます(写真26)。この道路をドライブすると気持ちよさそうです。
写真27. 浜中に近づく
再び集落が近づいてきました。浜中に近づいてきたようです(写真27)。浜中町は人口5000人少々ですが、この近辺では大きな町です
写真28. 浜中に停車
その浜中に停車しました(写真28)。何となく拠点性がありそうな感じです。
写真29. 牧草地が広がる
このあたりからは原野ではなく、牧草地が広がってきました(写真29)。湿地帯ではなくなったのでしょう。
写真30. アニメのキャラクターがこちらに銃口を向ける
途中駅でアニメのキャラクターがこちらに銃口を向けています(写真30)。本当に治安の悪い場所にはこのような絵を飾らないでしょう。日本の治安の良さを改めて実感します。
写真31. 牧草地が広がる
写真32. 北海道らしい原野が広がる
美しい景色が広がります(写真31-32)。釧路付近の原野だらけの景色よりは飽きがきません。
写真33. サイロがある
サイロも現れます(写真33)。サイロとは、農作物などの貯蔵庫です。単に農作物を作るだけではなく、貯蔵・流通があって始めて産業として成立します。
写真34. 厚床に停車
根室市に入り、厚床に停車します(写真34)。昔は標津線が分岐していました。厚床から中標津までの路線があり、標茶から根室標津までの路線と合流していました。今は廃線となっています。その厚床からは座席の1/3だけが埋まる程度まで空いてきました。
写真35. 原野が広がる
写真36. 原野が広がる
写真37. 原野が広がる
美しい北海道らしい景色が展開します(写真35-37)。またこんな景色かと飽き飽きしていたころです。車窓が変わりました。
写真38. 海岸沿いを走る
別当賀と落石の間は海岸すぐ近くを走ります(写真38)。私の近くに座っていた女子高校生が海岸沿いで海を夢中で眺めていたことが印象的です(その人は山側の席にいました)。余談ですが、その女子高校生は次の西和田で乗ってきた女子高校生と親しく話していたので、地元の人でしょう。
写真39. 海岸沿いを走る
もう一枚撮影できました(写真39)。
写真40. 海岸から徐々に離れていく
その海岸ともお別れです(写真40)。
写真41. 風車がある
車窓から風車が見えました(写真41)。風が強い地方なのでしょう。
写真42. 原野と踏切がある
写真43. 原野が広がる
原野が広がります。根室市に入ったとはいえ、人口が多いわけでもないので、さみしい景色が広がります(写真42-43)。
写真44. 動物とご対面!
馬や牛などの動物は、花咲線のこれまでの区間でも見かけましたが、ここまでなかなか写真に撮影できませんでした。ようやく写真に収めることができました(写真44)。
写真45. 馬がいる
と思ったら、馬も撮影できました(写真45)。
写真46. 根室の市街地に入る
西和田を過ぎると、根室の市街地に入ります(写真46)。釧路を出て初めての都市です。
写真47. 東根室に停車
根室本線(花咲線)は一旦東側に回ってから、根室駅に入ります。そのため、根室の1つ手前の東根室が日本最東端の駅です(写真47)。
図2. 根室市で一旦東側に迂回する花咲線(googleマップより引用)
写真48. 丸太が転がっている
根室の市街地を走ります。このような市街地の中でも1日6往復ということは変わりありません。
写真49. 根室に到着
写真50. 根室に到着
こうして根室に到着です(写真49-50)。
写真51. ラッピング車だった
車体をよく見ると、ラッピング車でした(写真51)。
写真52. 最果てに到着
最果てに到着しました。私は15:56に到着しましたが、線路の先に太陽があります。16時ごろの太陽は西側にあります。最果ての線路は西に伸びていることがここでもわかります。方向感覚を誤りがちですが、進行方向右側の出口は北にあります。
写真53. やはりラッピング車だった
花咲線に乗ってみる:根室→釧路
翌日、花咲線で釧路まで戻りました。根室発8:18の釧路行きです。
写真53. 花咲線の終点、根室駅
景色は同じようなものが展開したので、思い切って省略します!
混雑状況については、以下の通りです。
・根室→厚岸:半数程度の席が埋まる(厚床では混雑が変わりませんでした)
・厚岸→釧路:7割程度の席が埋まる
全体として空いている車内で過ごすことができました。また、外国人観光客は見かけませんでした。いくらインバウンド需要に沸いているといっても、札幌近辺で満足する人が多いことがわかります。
さて、前後ではどこに行ったのでしょうか?
←(前)釧網本線快速列車の旅(19年GW、網走→東釧路、混雑もレポート)
花咲線の旅(19年GW、車窓と混雑をレポート)←今ココ!
★今回の旅行の全体的な計画~まとめは以下のページに記載しています。
北海道鉄道旅行の計画とまとめ(19年GW)
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