釧網本線快速列車の旅(19年GW、網走→東釧路、混雑もレポート)




北海道には有名ではないものの、素晴らしい景色が味わえる路線があります。その1つが釧網本線です。釧網本線は東釧路から網走まで伸びていますが、特急の運転はなく、全線通しの普通列車は1日4往復しかありません。その列車から眺める車窓はどのようなものでしょうか。そして、GWの混雑はどの程度なのでしょうか?実際に乗って確認しました。

54系気動車(知床斜里)

写真1. 釧網本線の主役、54系気動車


長いローカル線、釧網本線

釧網本線は166.2kmにも伸びる路線ですが、両端の釧路と網走を除くと市はありません。そのためか、特急列車の運転はありません。快速列車が1日1往復運転されています。しれとこ摩周号という大仰な名前が付けられていますが、ほとんどの駅に停車します。この他に全線通しの普通列車は1日4往復運転されています。せっかくなので、全線通しの列車の運転時刻を示します。

釧路6:03→摩周7:27→知床斜里8:34→網走9:19
釧路8:57→摩周10:11→知床斜里11:12→網走11:53(快速)
釧路14:14→摩周15:31→知床斜里16:33→網走17:17
釧路16:05→摩周17:23→知床斜里18:55→網走19:45(知床斜里で26分停車)
釧路18:52→摩周20:11→知床斜里21:22→網走22:03

網走行きの所要時間はだいたい3時間程度です。快速はさすがに早くて所要時間が3時間を切っています。

網走6:41→知床斜里7:26→摩周8:36→釧路10:00
網走10:24→知床斜里11:11→摩周12:16→釧路13:33(快速)
網走15:10→知床斜里15:57→摩周17:23→釧路18:46
網走16:17→知床斜里17:30→摩周18:32→釧路19:55(知床斜里で22分停車)
網走18:52→知床斜里19:39→摩周20:55→釧路22:15

釧路行きの所要時間は3時間20分程度です。快速はさすがに早くて所要時間は3時間9分です。ただし、いずれも網走行きよりも所要時間はかかります。

この他に釧路よりと網走よりに区間列車の運転があり、多い区間は通し列車と合わせて1日7往復です。それでも1日7往復ですか…。時刻表からも人がいない地方を走ることがわかります。以前は通し列車は1日4往復でしたので、増発されていますね。

実際に乗ってみる

私は網走10:24発の快速に乗りました。快速といっても、ほとんど各駅に停車しますが…。

54系気動車の車内

今回の旅のパートナー、54系気動車の車内を簡単に紹介しましょう。

54系気動車(知床斜里)

写真2. 今回のパートナー54系気動車

この車両は北海道北部と東部で運用される車両です。宗谷本線、石北本線、花咲線と留萌本線でも見かける車両です。この車両の内装の特徴は、ボックスシートが前提の車体に集団見合いシートを採用(一部の車両は転換クロスシートもあり)したことです。

54系気動車の車内

写真3. 昔の回転式シートが並ぶ

回転シートを移植した車内です(写真3)。せっかく景色の良いところを走るのに、窓割と座席割が一致せずに、景色を眺めにくい席があるのは残念です。

54系気動車の車内

写真4. 中央部はボックスシート

中央部はボックスシートです(写真4)。ボックスシートには大きなテーブルがありますので、食事などにもちょうど良いです。

54系気動車の車内

写真5. 運転席後ろは前面展望に優れる

この車両は国鉄末期に投入された車両です。当然ながら民営化後のワンマン運転も視野に入れていたことでしょう。そのため、運転席と客席の仕切はあまりありません。その副産物として、前面展望に優れています(写真5)。

54系気動車の車内

写真6. 出入口付近にはロングシートが並ぶ

北国仕様ですので、デッキも備わっています。これが民営化後に登場した130系気動車との違いの1つです。デッキの向こうにはロングシートが並んでいます(写真6)。

54系気動車の車内

写真7. 狭いながらもトイレは完備

54系気動車の車内

写真8. 狭いながらもトイレは洋式!

トイレも完備されています(写真7-8)。JR北海道の列車には例外なくトイレが設置されています。列車本数が少ないところが多いので、途中駅でトイレに行ってもらうことができないためでしょう。トイレは網走方のデッキから入ります。

実際の車窓を堪能する

網走で私が乗り込んだ際は、条件の良いクロスシート部分は埋まっていました。私の後からも人が多く乗りこんできて、ほぼ満席の状態で網走を発車します。

写真9. 網走市内の高架区間を行く

網走の中心部は網走駅のやや東側にあります。網走の次の桂台までは高架区間もあります(写真9)。どうせ本数の少ない釧網本線のこと、石北本線の特急列車を桂台まで延長運転しても良さそうです。

写真10. 海沿いを走る

網走の市街地は終わり、次のステージは海沿いです(写真10)。このような景色が知床斜里まで続きます。ただし、海と線路の間に防風林がある場所も多いですので、ずっと海を眺められるわけではありません。チラ見の美学ですね。

写真11. 鱒浦に停車!

桂台の次は鱒浦です。ログハウス風の素敵な駅舎です(写真11)。ただし、乗り降りはほとんどありません。

写真12. 海岸沿いを行く

写真13. 海岸沿いを行く

美しい海岸線を走ります(写真12-13)。このあたりの海はオホーツク海です。皮肉なことに、特急オホーツクからはオホーツク海を眺めることができません。日本の鉄路では釧網本線と宗谷本線しか車窓からオホーツク海を眺められません。オホーツクという言葉はロシア語由来です。このようなところにも、日本の端に来たことを思い起こさせます。

写真14. 知床半島の山々が見える

海岸の向こうには知床半島の山々が見えます(写真14)。知床の自然は美しいですが、鉄路がないので今回の私の旅の目的地にはなりません。自らの旅の選択肢の狭さは何かと問い詰めたくなります(海外でも結局鉄道脳…)。

写真15. まもなく知床斜里に停車

網走を発車して1時間近く経ちますが、ようやく街が見えてきました(写真15)。斜里町の中心部に近づいてきたのです。斜里町は知床観光の拠点ともいえる場所です。

写真16. 知床斜里で多くが降りる

その知床斜里で多くの乗客が降りました(写真16)。多客期はここまで特急列車の一部を延長させても良さそうかな?

写真17. 美しい山が姿を現す

わが釧網本線は知床斜里から向きを変えて、南に進みます。ここから釧路まで海からお別れです。かわりに車窓にはっきりと美しい山が姿を見せます(写真17)。

写真18. 美しい山が姿を現す

写真19. 美しい山が姿を現す

何度か美しい山を眺めることができます(写真18-19)。

写真20. 美しい景色を行く

山がなくとも、景色は美しいです(写真20)。

写真21. ドライブすると気持ち良さそうな道

踏切を通る際に、ドライブすると気持ちよさそうな道がありました(写真21)。このような何もないところこそが北海道の本質だと思います(もちろん異論はありましょう)。

写真22. 緑に停車

ここまでが網走地区です。次の川湯温泉は釧路地区です。ここが国境といえる山越えです。網走の国と釧路の国の境です。

写真23. 雪が残る

山道を列車は走ります。山には雪が残っています(写真23)。標高が高いことがわかります。

写真24. 川湯温泉に停車

川湯温泉に停車します(写真24)。硫黄の臭いが漂ってきました。余談ですが、温泉の硫黄の臭いは硫黄そのものの臭いではありません。硫黄の粉末は黄色ですが、ほとんど無臭です(学生時代によく扱っていたのでよくわかります)。硫黄の臭いといわれるのは、硫黄化合物の臭いです。この知識を自慢してみましょう!誰も感心してくれませんよ!

ここまでは座席の半数程度が埋まる混雑でした。ここから釧路地区に入りますので、乗客は増える一方です。どの程度増えるのか不安になってきました。川湯温泉からは75%程度が埋まる混雑です。

写真25. 原野を行く

川湯温泉からも原野が続きます(写真25)。

写真26. 道路と立体交差する

と思ったら、道路と立体交差します(写真26)。今まで自然と素朴な家を見てきましたので、近代的な人工物に戸惑います。

写真27. 摩周に停車

摩周に停車します。隣の駅が南弟子屈とあるのに、弟子屈がありません!どこに行ったのでしょう?何のことはありません。ここ摩周は1989年までは弟子屈だったのです。観光客向けに駅名を変えたのです。北海道にはこのような駅名が多いです。洞爺(旧名称:虻田)、ニセコ(旧名称:狩太)、知床斜里(旧名称:斜里)と浅学ぶりが目立つ私でもこんなに思い浮かびます。

写真28. 小規模な集落がある

小規模な集落があります(写真28)。人里にやってきたのです。

写真29. 標茶に停車

標茶に停車します。ここは昔、標津線がありました。終点の駅は根室標津でした。中標津(空港のある町)を通りますが、空港アクセス線としては活用されていなかったようです。士別と区別するために、「根室」標津という駅名でした。さすが国鉄、そのあたりは抜かりがありませんでした。国鉄の経営は、抜かりがあったのか?そこに触れるのはやめましょう。

写真30. 釧路湿原を走る

この辺りから釧路湿原に入ります。湿原らしい景色が広がります(写真30)。

写真31. カヌーを楽しむ人たち

釧路川はカヌーをやる人たちにとって憧れの地といいます。そのためか、カヌーをしている人を見かけました(写真31)。

写真32. 塘路で人が乗り込む

塘路で人が乗り込んできて、ロングシート部分に立ちが発生しました。ノロッコ号でやってきた人が乗るのかもしれません。

写真33. 湿原の東側を見る

釧網本線の東側は湿原の外れです。そのため、車窓的にはつまらない景色が展開します。それでも、自然のままの風景が見られます。

写真34. 釧路湿原に停車

釧路湿原に停車します。ついにここでクロスシート部分にも立ちが発生しました。閑散線区でこれはおかしな話です。何らかの対応をするべきです。

写真35. 釧網本線最後の駅、遠矢に停車

遠矢でも状況は変わりません。私は釧路ではなく東釧路で降りて、0分接続で花咲線に乗りかえる予定ですので焦りました。接続は取るのでしょうが、用心して運転席後ろまで進みました。

写真36. 東釧路に到着(これは花咲線から撮影)

そのような状況の中、東釧路で無事乗りかえできたのでしょうか?答えは上の写真です。花咲線の列車から釧網本線の列車を撮影しています(写真36)。同じホームで乗りかえられたので、0分接続でも全く問題ありませんでした。このように、釧網本線の旅は終わりました。

釧網本線に乗ってみて

釧網本線は車窓的な魅力が詰まっています。日本でも数少ない車窓からのオホーツク海、知床の山々、釧路湿原などという舞台装置にも恵まれています。その証拠に、塘路から混雑しています。また、摩周湖や川湯温泉などの観光客向けの場所もあります。そのようなことを考えると、現在の窓割が座席割があっていない車両のみの運転というのは、たいへんもったいないです。観光列車を走せると良いでしょう。それも網走と釧路の直通です。観光列車といっても奇をてらう必要はありません。

青系の座席が富士山に映える

写真37. せっかくの窓を潰した奇をてらった観光列車(富士山ビュー特急)

2列+2列のハイデッカー車両で充分です。眺望を売りにするのであれば、前面展望も良好なほうが良いでしょう。和風だの木だのは不要です。このような列車は飽き飽きしました。どうせやるなら、お座敷列車でも良いでしょう(ただし個人客用のレイアウトにする必要あり)。

このような列車を1日1往復か2往復運転すれば、少しは釧網本線を訪れる人が増えるでしょう。釧網本線の活性化は石北本線や根室本線の活性化にもつながります。1日4往復しかなかった全線通しの列車が5往復に増やすという努力は尊敬に値します。この努力をもう少し続けて欲しいものです。そうすれば、釧路湿原→釧路の混雑もなくなることでしょう。

というより、ニセコエクスプレスによる臨時列車を運転するだけでもだいぶ違ったと思います。例えば、多客期にはしれとこ摩周号の片方をニセコエクスプレスで運転(=増結)し、もう片方を2両に増結ということをやるだけでも観光客対応になりました。このようなリゾート車両の引退は残念です。

「何もない」のが魅力の釧網本線沿線です。北海道らしい景色が味わえる路線ですので、鉄道会社・ファンともども釧網本線に着目したいものです。

前後を読みたい!
さて、前後ではどこに行ったのでしょうか?

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※それぞれ別ウィンドウで開きます。



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