特急ゆふいんの森の乗車記(由布院→鳥栖)

記事上部注釈
弊サイトでは実際に利用したサービスなどをアフィリエイトリンク付きで紹介することがあります

九州でも有名であこがれの列車である特急ゆふいんの森。このあこがれの列車の概要を紹介するとともに、実際の車内などを紹介します。

写真1. 由布院に停車中の特急ゆふいんの森

復習:博多(福岡)と由布院(湯布院)の移動方法

由布院のアクセス概要

図1. 由布院と博多の位置関係(googleマップより引用)

まず、由布院アクセスについて簡単に紹介します(表1)。条件を同等にするために、博多地区と由布院駅周辺で比較しました。亀の井バスは湯布院と表記していますが、実質的には同じことです。

鉄道バス
所要時間約2時間20分約2時間
運転本数1日6往復1日13往復
運賃+料金(企画乗車券)4080円(4580円)-
運賃+料金(正規料金)5190円(5690円)3250円
運行主体JR九州亀の井バス

※JR九州の企画乗車券は九州ネットきっぷのもの

実は由布院アクセスはバスのほうが便利です。所要時間も20分短く(バスは天神直結)、本数も多いです。さらにバスのほうが安いです。

正規料金だと価格差が大きく、惨敗です。そこで、JR九州では割引切符を導入しています。特に九州ネットきっぷは直前まで変更可能であり、繁忙期による料金加算もありません。駅の券売機や窓口による発売はありませんが、これはDX化による人件費節約で値下げが可能になった、ということです。

もっとも、最後に駅の指定席券売機で紙の乗車券に引き換える必要があり、その手間がかかるのはどうかと思います…。QRコードでの乗車も可能な鉄道もありますので、携帯電話での予約画面を見せれば乗れるようにすることが必要に思います。

特急ゆふと特急ゆふいんの森

写真2. 特急ゆふいんの森(由布院で撮影)

写真3. 特急ゆふ(由布院で撮影)

博多と由布院を結ぶ特急列車がすべてゆふいんの森ということはありません。むしろゆふいんの森は3往復しかなく、もう3往復は特急ゆふです(車両点検の関係で特急ゆふいんの森を運休し、同時刻の特急ゆふを運転することもあります)。

特急ゆふよりも凝った車両が使われるためか、(JR九州の他のD&S列車と称される特急と同様に)特急ゆふいんの森は全車指定席で指定席料金も500円高いです。表1で価格に500円の差があったのは、特急ゆふと特急ゆふいんの森の双方の普通車指定席料金を示したためです。

特急ゆふいんの森は乗車体験に力点を置いた列車ですが、特急ゆふもそれなりに工夫を凝らした車両です。特急ゆふ号はシートピッチが特急ゆふいんの森よりも広い座席があり(もともとグリーン車を想定してつくられた区画がある)、そのような意味では特急ゆふも良いのでしょう。両者の所要時間差は大きくありません。

なお、ゆふいんの森は2編成あり、クラシカルなⅠ世とそれを発展させたⅢ世があります。2024年6月現在は4両編成のⅠ性が別府発着の1往復に、5両編成のⅢ世が由布院発着の2往復に充当されます。

写真群1. Ⅰ世とⅢ世(Ⅱ世は改造後に豊肥本線特急で活躍中)

特急ゆふいんの森の予約方法

特急ゆふいんの森の予約は難しくありません。通常の特急列車と同じ予約方法です。主な予約方法は以下の通りです。

  • JR九州公式サイトからネット予約(JR九州の駅できっぷに引き換える必要あり)
  • えきねっとからネット予約(JR東日本の駅できっぷに引き換える必要あり)
  • JR駅の指定席券売機から予約
  • JR駅のみどりの窓口から予約

ゆふいんの森を含む、(制度としては)JRの特急券や指定席券はJRのどこの駅でも購入できます。ただし、無人駅や対応した券売機が設置されていない駅では購入できません。制度上はJRの駅どこでも買えるが、設備が整っていない場合は買えないということです。

JR九州の公式サイトで購入すると、九州ネットきっぷも含めた価格別の乗りかえ検索結果が表示されるので、おすすめです(図2)。なお、九州ネットきっぷなどの詳細も表示されますので、キャンセル可否などを確認することもできます。大型連休などの多客期は1か月前に予約するなどの心構えが大切かもしれません。

図2. JR九州公式サイトの検索結果場面(会員登録が必要)

特急ゆふいんの森に乗る

さて、実際に特急ゆふいんの森に乗りましょう。

ゆふいんの森の車内

ゆふいんの森の車内を紹介します。

写真4. 4号車以外の車内

4号車以外の車内の雰囲気です(写真4)。4号車も含め、ハイデッカー構造です。

写真5. 5号車の車内

5号車の車内です(写真5)。床がオレンジとこげ茶色が使われ、まさにトーンオントーン配色です(2色なのでドミナントカラー配色ではありません)。

写真6. 先頭の席の様子

ゆふいんの森の先頭の席の様子です(写真6)。この親子は前面展望や列車旅を楽しんでいたように見えます。

写真7. 座席の様子

座席の様子です(写真7)。森らしい色合いともいえます。ゆふいんの「森」だからね!

写真8. 中央にテーブルがある

中央にインアームテーブルがあります(写真8)。中央のひじかけにテーブルがあるのは珍しい配置です。向かい合わせにしたときにグループで1つのテーブルを使えるようにするための配慮と聞いたことがあります。このように用途を考慮し、テーブルの配置を考えるのが本来のデザインであり、ゆふいんの森はデザインされていると感じた1つの場面です。

写真9. テーブルが開く

テーブルを展開しました(写真9)。

写真10. 先頭を眺める

先頭を眺めます(写真10)。博多行きは5号車15番席が進行方向先頭です。

写真11. 補助照明もある

補助照明も備わります(写真11)。

写真12. ハイデッカー構造の出入口

ハイデッカー構造の出入口です(写真12)。ハイデッカー構造と車内の散策を両立した構造ですが…。

写真13. 荷物を持って乗車するのは大変!

荷物を持って乗車するのは大変です(写真13)。みんな荷物を持ちすぎですよ!このときの私は日常使いのかばんですし、乗車1年前の海外旅行でも手前の銀色のスーツケースの半分程度の量でした(何と!航空機で預け入り手荷物なし)。

ほとんどの乗客が博多と由布院を乗り通すのですから、大型バスのように荷物室があると良いと感じます。

(参考)写真14. 高速バスの荷物室

参考に高速バス(新宿から羽田のバスで撮影)の荷物室の様子です(写真14)。

写真15. 4号車はウォームナチュラルを意識した車内

4号車はウォームナチュラル(単純にいうと木と葉っぱ)を意識した配色で、となりの5号車と雰囲気が異なります(写真15)。この車両は増結車で、他の車両よりも新しく、デザインの方向性が異なるためです。

写真16. フリースペースの様子

フリースペースの様子です(写真16)。実質的に荷物スペースです。荷物のせいで楽しみが奪われているようにも感じてしまいます。みんな、荷物多すぎです。

写真17. セミコンパートメントも備わる

セミコンパートメントも備わります(写真17)。グループ旅行にはうってつけです。

写真18. セミコンパートメントの様子

セミコンパートメントの様子を別角度から撮影しました(写真18)。

写真19. 売店の様子

売店の様子です(写真19)。多くのグッズが売っていたり、軽食が売っています。往々にしてこのような軽食は売り切れます。そのため、私は由布院駅近くのコンビニエンスストアで九州限定の鶏めしを購入しました。九州旅行らしいチョイスですね!

写真20. 売店が混んでいる様子

売店が混んでいる様子です(写真20)。発車前から売店の営業を開始すれば、売店の混雑は緩和すると思います。出航前からレストランを営業した名門大洋フェリーを見習うと良いと思いました。

写真21. 雰囲気あるデッキの様子

雰囲気のあるデッキです(写真21)。一時代のJR九州の車両はこのあたりの雰囲気作りは上手と思います。

写真22. お手洗いの様子

お手洗いの様子です(写真22)。

写真23. お手洗いの照明はおしゃれ

お手洗いの照明はおしゃれです(写真23)。

写真24. 洗面台もおしゃれ

洗面台もおしゃれです(写真24)。

ゆふいんの森からの車窓を楽しむ

実際に特急ゆふいんの森から車窓を楽しみました。

写真25. 由布院に停車中の特急ゆふいんの森

由布院に停車中の特急ゆふいんの森です(写真25)。多くの人が自身の姿を添えて記念撮影していました。

写真26. 行先は3色LED

行先表示は3色LEDです(写真26)。今やフルカラーLEDの時代ですから、やや古さを感じさせます。もっともゆふいんの森は車両が列車名を示す存在であり、この表示を確認する場面は少ないかもしれません。

写真27. 乗車前の行列が長い

乗車前の行列は長いです(写真27)。もっともこれはドアの数が少ないためでもあります。多くの乗客は由布院と博多での乗り降りですから、この2駅の停車時間を確保すれば問題なく、ドアの数をしぼり客室を広く取ったとも解釈できます。これも一種のデザインですね。

写真28. 前面展望はそこまで良くない

前面展望はそこまで良くありません(写真28)。車体強度の関係と思いますが、横方向の枠がなくなれば見える風景もぐっと良くなります。

写真29. のどかな風景が広がる

のどかな風景が広がります(写真29)。

写真30. 山間部を走る

山間部を走ります(写真30)。トンネルもあります。

写真31. 山間部を走る

山間部を走ります(写真31)。

写真32. 野矢に停車中

野矢に停車中です(写真32)。ゆふいんの森を差し置いて行き違い待ちさせると思いましたが、対向列車もゆふいんの森でした。あちらはⅠ世とされ、よりクラシカルな車両です。

写真33. 川を渡る

川を渡ります(写真33)。ハイデッカー構造で風景が良く見えるとはいっても、沿線風景に絶景があるわけでなく、平凡な風景と表現できそうです。

写真34. カーブを曲がる

カーブを曲がります(写真34)。平凡な風景です。逆にいうと、(目的地の由布院の知名度はあれど)ここまで列車のブランド価値を付け、そのブランド価値を維持し続けるJR九州の努力はすごいと思います。

写真35. 豊後森に停車!

豊後森に停車しました(写真35)。ここで臨時快速と行き違います。大型連休なので特急ゆふいんの森は混雑し、その混雑を緩和するのにこのような臨時快速は有効でしょう。

写真36. 臨時快速とすれ違う

その豊後森で臨時快速とすれ違います(写真36)。

写真37. 日本の地方らしい風景を走る

日本の地方らしい風景を走ります(写真37)。

写真38. 道路と並走する

道路と並走する場面もあります(写真38)。

写真39. 川沿いを走る

川沿いを走ります(写真39)。

写真40. 渓谷らしい風景

渓谷らしい風景も広がり、風景の変化も楽しめます(写真40)。

写真41. まもなく天ヶ瀬に停車!

まもなく天ヶ瀬に停車します(写真41)。由布院ほどではありませんが、温泉街という雰囲気があります。

写真42. 対向列車とすれ違う

対向列車とすれ違います(写真42)。この区間の普通は間隔が開くことがあり、対向の普通は約5時間ぶりです。

写真43. 歴史を感じる街並

歴史を感じる街並です(写真43)。

写真44. まもなく日田に停車!

まもなく日田に停車します(写真44)。

写真45. 日田に停車!

日田に停車します(写真45)。多くの人が待っています。日田は昔ながらの街があり、観光地ともいえる場所です。天領(幕領)であり、昔から発達した場所です。

写真46. 夜明を通過!

夜明を通過します(写真46)。普通日田行きとすれ違います。

写真47. 森が広がる

森が広がります(写真47)。ゆふいんの森という列車名はなかなか良いセンスと思います。

写真48. 川沿いを走る

川沿いを走ります(写真48)。

写真49. 筑後川を渡る

筑後川を渡ります(写真49)。ここが大分県と福岡県の境界でしょうか。

写真50. 急に線形が良くなった

福岡県に入り、急に線形が良くなりました(写真50)。平野部が主体であり、カーブが減ったのです。

写真51. 駅に停車し、特急待ち

通過駅に停車しました(運転停車)。わがゆふいんの森を待たせるのは不謹慎と思いましたが、相手は下り特急ゆふです(写真51)。同格なので、こちらが行き違い待ちで停車するのも仕方ないでしょう。

写真52. 古い民家がある

古い民家があります(写真52)。今回の旅行で名古屋以西の鉄道路線に多く乗っていますが、関東地方よりも古い民家が多いように見えます。

写真53. 駅を通過!

駅を通過します(写真53)。ポイントがあり、これを渡るために減速を強いられ、かつ揺られます(どこかで揺れ軽減のためにD&S列車だけ制限速度が低いポイントも見かけました)。D&S列車は車内を散策することを前提としているので、ずっと座席に座っていることが前提の一般特急との違いです。

写真54. 平地部を走る

平地部を走ります(写真54)。都市圏らしい風景に徐々に近づきます。

写真55. 普通が待っている

普通が待っています(写真55)。このあたりは普通も約1時間間隔で運転されており、それだけ行き違いも発生します。

写真56. あめが配られる

写真57. あめが配られる

あめが配られます(写真56、写真57)。このような演出はさすがです。

写真58. 都市近郊の風景

都市近郊の風景です(写真58)。このあたりは毎時1本設定され、都市近郊にふさわしい運転本数が確保したつもりかもしれませんが、西鉄電車が30分間隔を実現していることと比べると見劣りします。

写真59. 新幹線の高架が見えてきた

新幹線の高架が見えてきました(写真59)。

写真60. 新幹線高架と西鉄電車の線路が見える

新幹線と西鉄電車が見えます(写真60)。

写真61. 鹿児島本線が見える

鹿児島本線に合流します(写真61)。

写真62. 久留米に停車!

久留米に停車します(写真62)。わがゆふいんの森は久留米着13:45、そのまま乗ると博多に14:19に着きます。

久留米で7分乗りかえ(乗り換え標準時分は7分に設定されています)のつばめ318号に乗ると博多に14:09に着きます。つまり、10分の短縮です。このつばめ318号は博多で6分の乗りかえ時分でのぞみ36号に接続し、新大阪に16:43、東京に19:15に着けます。意図しているかはわかりませんが、新幹線で博多に早く着くための中継ポイントです。

列車はこの先鹿児島本線に入り、同じ福岡県の博多に向かいます。

写真63. 久留米を発車!

久留米を発車しました(写真63)。鹿児島本線の下り線を横切り、上り線に入ります。

今やゆふやゆふいんの森を除き、鹿児島本線のこの区間を通る特急列車は原則としてありませんが、かつては特急も20分間隔で走り抜けていました。そのような区間に平面交差が発生し、地味ながらダイヤ作成上の障壁ではなかったのでしょうか。

写真64. 筑後川を渡る

筑後川を渡ります(写真64)。

写真65. 佐賀県に入る

筑後川を渡ったら佐賀県に入ります(写真65)。久留米から博多まで福岡県内だけをはしるのではなく、佐賀県も通るのです。並行する西鉄電車は佐賀県には入りません。

写真66. 住宅街を走る

住宅街を走ります(写真66)。

写真67. まもなく鳥栖に停車!

まもなく鳥栖に停車します(写真67)。

写真68. 鳥栖に降り立つ

鳥栖に降り立ちます(写真68)。このような中間駅では乗り降りが少ないので、ドアが少ないことによる問題は発生しません。

写真69. 緑色の車体が美しい

緑色の車体が美しいです(写真69)。

写真70. 博多に向けて発車!

博多に向けて発車しました(写真70)。私は行程の都合上鳥栖で降りましたが、細かな需要を拾えるのは鉄道の1つの強みです。

特急ゆふいんの森に乗ってみて

写真71. 由布院駅でゆふいんの森に並ぶ人々

今回、特急ゆふいんの森に乗ってみました。ハイデッカー構造の車両、意匠面だけではなく機能面も含めたデザイン性、比較的良い風景。まさにD&S列車(デザインとストーリーの列車)の王道という印象でした。また、途中駅での「おもてなし停車」(=所要時間が伸びる)もなく、移動の機能性にも力点を置き、移動の機能と楽しみを両立した列車と感じました。

そのような列車なのか、利用率が高く、すぐに満席になってしまいます。久大本線の特急列車の本数が少なく、供給不足の側面もありましょう。

現段階では「移動の機能」だけで考えると、バスに惨敗です。乗れなかったり、本数が少ないとブランド価値も色あせてしまいます。久大本線の久留米よりはそれなりに高速運転が可能なように見えましたから、高速化対応工事(最高速度を95km/hから110km/h、ポイントの改良)で、全体的に久大本線の特急を底上げするのが良いと感じます。高速した線路を振り子の特急ゆふが高速で結ぶようにし、車両回転が改善されれば、(増発ぶんは由布院以東の運転)ゆふいんの森と合わせ毎時1本レベルになり、バスとの競争も有利に働くでしょう。

写真72. ゆとりの空間は荷物に占領される…(むなしい光景です)

そして、デザインの敗北と感じたのは、ハイデッカー車両ゆえの段差による荷物運搬の手間や座席数の減少です。この一因は2010年代以降増えた大型スーツケースとそれによる荷物の増加です。これは荷物スペースをケチったJR九州の問題というよりも利用者側のモラルの問題です。そこまでの大荷物は必要なのでしょうか。海外でも小型スールケースの半分程度の荷物で旅行した身としては疑問に思います(このときは日常使いのかばんなので、網棚さえあれば事足りました)。

このようなことを考えると、次世代のゆふいんの森は平屋の4両とハイデッカー構造の先頭車(グリーン車)の6両編成という構造が良さそうです。さらに、両先頭車は2階建てとして、階下にはコンパートメントを設置すると、定員も増加できそうです。

目的地の需要も多く、ブランド列車に育った特急ゆふいんの森。久大本線の特急そのものの需要が大きいのですから、列車を育てるだけでなく線路にも手を加え、さらに洗練された輸送サービスを提供いただきたいものです。

前後を読みたい!

果たして前後はどこに行ったのでしょうか?

(←前)由布院の街歩き観光

特急ゆふいんの森の乗車記(由布院→鳥栖):現在地

リレーかもめとかもめの旅(鳥栖→長崎)(→次)

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする